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第5章
来世も君といたい※
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「由紀さん、今日は一緒にお風呂、入りましょう?」
大胆な誘いとは裏腹に、亮の頬にはほのかな照れが浮かんでいた。由紀はくすりと笑い、彼に手を取られてバスルームへと足を踏み入れる。
笑い合いながら、互いの服を脱がせ合う。その指先には愛情が宿り、触れ合うたびに幸福感が足元からじんわりと広がる。プロポーズの甘い余韻が、二人を包み込んでいた。
「由紀さんのこと、洗わせてもらってもいい?」
「……うん、いいよ。きゃっ」
亮の瞳が上から覗き込むように輝き、由紀は少しだけ恥じらいながら頷いた。次の瞬間、彼女を軽々と横抱きにし、湯気立ち上る浴槽へと滑り込んだ。温かなお湯が二人を包む。亮は由紀を膝の上に座らせ、そっと背中から腕を回した。
「寒いから。このまま洗うね」
「うん」
亮の胸の温もりが背中に伝わり、由紀の心は穏やかな波に揺れるようだった。大きな手で丁寧に髪を洗われた。
「あ、これってうちと同じシャンプー?」
「うん、この間使ってとってもいい香りだったから。玄関のフレグランスも同じにしたんです。気づきました?」
「え?そうだったの?」
そんな他愛もない会話が、浴室に柔らかく響く。トリートメンの際、頭皮を優しくマッサージされると、瞼が重くなった。
「……眠い?」
「うん、気持ちよくて少し。……ねぇ亮君」
「なんですか?」
「いつ頃この指輪用意したの?」
由紀は左手の薬指に輝くダイヤモンドを、愛おしそうに撫でながら尋ねた。亮はくすりと笑い、華奢な肩に顔を預けた。
「秘密です」
「えー?いつ指輪のサイズも測ったの?」
「それも秘密」
はぐらかすように、亮の唇が由紀の頬にそっと触れる。彼女はふと、年末に亮の部屋で過ごした夜を思い出した。眠っている間に、指のサイズを測られたのかもしれない。それなら、この指輪は最近用意されたもののようだ。心の底から温かいものが込み上げ、由紀の唇に笑みが広がった。
「本当は、半年とか後にしようと思ってたんですけど。今日しかないって思って……」
亮の真摯な言葉が、プロポーズの瞬間の熱を呼び起こす。
「ちょっと、用意が良すぎだったかな?」
亮の声に一抹の不安が滲む。彼のそんな表情に、由紀は笑顔で首を振った。浴槽の水面に揺れる光が、彼女の瞳を輝かせる。
「そんな事ないよ。今、私、とっても嬉しい」
「……由紀さん」
「……あ」
額を寄せ合えば、言葉を超えた想いが交錯する。亮の唇が、まるで誓いを刻むように由紀に触れた。
最初は温かなキス。徐々に熱を帯びていく。亮の手が胸を柔らかく包み込み、頂きをそっと弾くと、由紀の吐息が甘く漏れた。背中に感じる彼の昂ぶりが、体の奥に疼くような熱を呼び起こす。
「ん、はぁ……由紀さん立って?」
「ん、あ……う、うん」
促され、由紀は浴槽の壁際に手を軽く置いた。期待と羞恥に揺れる瞳で振り返ると、亮の手にボディソープが泡立つのが見えた。湯気の向こうで、彼の瞳が妖しく光る。
──全部、綺麗にするね。
耳元で甘く囁かれ、肩が跳ねた。大きな手が優しくも大胆に、彼女の首筋、脇、背中を滑る。やがてその手が股の間に伸び、由紀は思わず声を上げた。
「あ……そ、そこは自分でするから……あ」
「だーめ」
恥ずかしさに身を縮こまらせると、亮の体が背中に密着する。熱い肌が、まるで彼女を包み込むように寄り添う。
「全部綺麗にするって、言ったでしょ?」
「で、でも……んんっ」
「由紀さん、緊張しなくてもいいから」
鼠径部からひだの間、口では言えない秘所まで、泡にまみれて丁寧に洗われる。シャワーの温かな水流が泡を洗い流すと、由紀はほっと息をついた。だがその瞬間、亮の長い指がそっと中へと滑り込む。
「う……あ、やん!」
「ここは染みちゃうから。お湯で洗いましょうね?」
「う……う、あ!」
シャワーの弱い水流が下から当てられ、壁を撫でるように動く指に、由紀の腰が勝手に揺れた。快感が体の芯を突き抜け、彼女の声は浴室に響いた。
「洗ってるのに、すごい溢れてくる。由紀さんえっち」
「だ、だって、こんなの、……あ!」
突然シャワーが止まり、指が引き抜かれる。刺激が途切れ、体に一抹の切なさが走った。
「はい!これでおしまい」
亮は後ろからぎゅっと彼女を抱きしめ、背中に熱い昂ぶりを押し当てる。彼女の喉が、思わず小さく鳴った。
「どうしたんですか?由紀さん」
亮の指が、濡れた唇をなぞる。彼は彼女の気持ちを分かっていて、わざと焦らすように微笑んだ。由紀は少しむくれたが、体の奥から湧き上がる熱に抗えなかった。
──いっちゃいたいの。
恥ずかしさを振り切って言葉にすると、亮はより強く彼女を抱きしめ、肩に顔を埋めた。くつくつと笑う息が、首筋をくすぐる。
「素直な由紀さん、ほんと、かわいくてきれい」
「ん、あ」
亮の瞳が、炯々と愛おしげに煌めく。
その青い瞳に魅了されていると瞬間、秘所に硬いものが当てがわれ、彼女の体がびくりと跳ねる。
「俺も痛いぐらい反応しちゃってて。入れたりはしないから、一緒に気持ちよくなっても、いいですか?」
その声はまるで子犬のような控えめな期待に揺れていた。由紀は答える代わりに、彼の高い鼻先にそっとキスを落とす。半ば蕩けた瞳で頷くと、亮の舌が鼻をべろりと舐めた。
「う、あ、あぁん」
「……っ、はぁ、きもち」
彼の動きは、感じる場所を的確に刺激し、浴室にだらしない声が反響する。胸の先を責められ、由紀は思わずのけ反った。首筋を甘く噛まれた瞬間、電撃のような快感が全身を貫き、体は震えた。
力が抜け、亮にもたれかかると、彼はそっと囁いた。
「気持ちよかったね、由紀さん」
亮自身は達していないのに、その声は心から満足げだった。由紀の胸には、罪悪感と同時に、これまでにない欲望が芽生えていた。彼女は亮を見つめ、決意を込めて囁いた。
「りょうくん」
「はい、由紀さん」
「……亮君の、入れて?」
「……え?」
そう囁かれ、亮は一瞬耳を疑った。彼女の瞳には、怯えを乗り越えた強い意志が宿っていた。
「でも嫌なんじゃ」
「……今なら。亮君なら、怖くない、と思うの」
由紀の声は震えていたが、その瞳はまっすぐだった。亮は吸い込まれるように、彼女の額にキスを落とす。
その唇は小さく震えた。
***
浴室から出て、互いの体をタオルで拭き合い、髪を乾かす。その間も、触れ合うたびに甘い余韻が漂った。
生まれたままの姿でベッドに横たわると、由紀は一瞬、恥ずかしさに目を逸らした。だが、亮のまっすぐな眼差しに映る自分は、まるで世界で最も愛されている存在のようで。胸が熱く高鳴った。
「由紀さん、愛してる」
「私も。愛してる」
亮の言葉は、優しくも燃えるような情熱を帯びていた。胸元に伸びた手が、そっと乳房を包む。唇が首筋、鎖骨、胸元へと降り、乳首を舌で愛撫されると、由紀の声は甘く崩れた。
亮の愛撫が、彼女の心を解きほぐしていく。
茂みをかき分け、蜜の出所を指で探ると、由紀の腰がぴくんと跳ねた。
「とろとろで、あったかい」
「ん、あ」
1本の指をゆっくりと差し込めば、中は柔らかくて温かくて、きゅっと吸い付いてくる。
「……本当に、入れてもいいですか?」
亮の声は震えていた。彼の瞳には、絶対に由紀を傷つけたくないという強い決意が宿っていた。
「……うん、来て。大丈夫だから」
由紀は柔らかく微笑み、亮の不安を溶かすように頷いた。彼は胸に迫る感情を飲み込み、チェストから避妊具を取り出す。装着し由紀に覆い被さると、彼女がそっと股を開いた。
亮の喉が小さく鳴る。
情熱的なキスを交わし、慎重に、ゆっくりと、彼は自身を彼女の中に沈めた。
「ん……っ、あ……ん」
「ゆ、ゆきさ……っ」
深く繋がった瞬間、全身が歓喜に震える。亮は由紀を抱きしめ、感嘆の息を漏らす。だが、彼女の頬に涙が光るのを見て、血の気が引いた。
「……由紀さん、痛い?嫌だ?」
「ううん、……違うの」
由紀の手が、亮の頬に優しく触れる。その瞳は、涙に濡れながらも晴れやかだった。
「……なんかね、ちゃんと愛されて繋がってるって思ったら。嬉しくて。なんか泣いちゃった」
その笑顔に、亮の心は激しく揺さぶられた。目の裏が熱くなり、涙が止めどなく溢れる。
「亮君?」
由紀の頬を雫がかすめる。彼女が名を呼ぶと、亮は切なげな顔を向けた。
──ゆきねえちゃん。
それは小さな声だった。
けれども、由紀の心に鮮やかに響いた。
忘れかけていたモノクロの記憶が、色づいて蘇る。
幼い日のリョウ君──。教室の窓から顔を覗かせ、はにかみながら手を振る少年の姿が、目の前の亮と重なった。
「え……リョウ、くんなの?」
にわかには信じられなかった。だが、髪の色、瞳の輝き、あの日の少年と変わらない。亮は心から安堵したように微笑んだ。
「僕のこと、思い出してくれた?ゆき姉ちゃん」
由紀の胸に、懐かしさと愛しさが溢れる。
「本当に、そうなの?でも名字変わって……」
「母親がその後再婚したんだ。お姉ちゃんが引っ越した後も、僕ずっと。ずっと好きで。偶然また出会えて、嬉しくてたまらなかった」
「リョウくん」
「でも。僕のことなんて覚えていないだろうから、って。ずっと言えずにいたんだ。“あの時のリョウだよ”って」
寂しげな微笑みに、由紀の心は締め付けられた。彼女は彼を強く抱きしめ、自分の鈍さを詫びた。
「……ごめんなさい。私、ずっと気づかないままでいた」
「ううん、もう気づいてくれたから。すごく嬉しい」
亮の涙を、由紀はそっと唇で吸い取った。
見つめ合うだけで、心が通い合う。
深いキスを交わし、亮はゆっくりとリズムを刻み始めた。肌と肌が触れ合い、濡れた音が静かな部屋に響く。
互いの名前を呼び合い、吐息が荒くなる。
「亮君、あ……んっ、もっと……」
「……ゆきさん、好き。ずっと、好き……っ」
体を重ねるたびに、心はさらに深く繋がっていく。これは快楽を超えた、2人だけの魂の交歓だった。
ほどなくして、亮が限界を迎える。
「ッ……出す、よ、ゆきさん」
「ん、あ、うん……来て、りょうくんッ、あ、んん!」
由紀の体が跳ね、指先がシーツを掴む。ゴム越しに感じる熱と勢いに、腰がガクガクと震えた。陰核を同時に擦られ、快感の波が彼女を宙に浮かせた。
すべてが終わった後、亮は由紀を抱きしめ、額にキスを落とす。
「大丈夫ですか……?無理、してなかった?」
「うん、大丈夫。……幸せだったよ」
「……由紀さん。俺も、由紀さんと繋がれて嬉しい」
「きゃっ」
鼻先を擦りつけられ、くすぐったさに声が漏れる。2人は笑い合い、由紀は恥ずかしげに目を伏せた。
「……それに、ね」
「はい?」
──とっても気持ちよかった。
上目遣いで見つめられれば、何本も矢が刺さったようで、胸が痛くなる。
「ゆき姉ちゃん、本当反則、それ」
「え?そ、そうかな?」
「無自覚なの?本当、かわいすぎ……っ」
「……ん!」
唇に想いを重ね、再び欲望が熱を持つ。
眠るまで、何度も名前を呼び合い、愛を確かめ合った。
これからは、ずっと一緒だと。
来世もこうしていたいと。確かめるように。
大胆な誘いとは裏腹に、亮の頬にはほのかな照れが浮かんでいた。由紀はくすりと笑い、彼に手を取られてバスルームへと足を踏み入れる。
笑い合いながら、互いの服を脱がせ合う。その指先には愛情が宿り、触れ合うたびに幸福感が足元からじんわりと広がる。プロポーズの甘い余韻が、二人を包み込んでいた。
「由紀さんのこと、洗わせてもらってもいい?」
「……うん、いいよ。きゃっ」
亮の瞳が上から覗き込むように輝き、由紀は少しだけ恥じらいながら頷いた。次の瞬間、彼女を軽々と横抱きにし、湯気立ち上る浴槽へと滑り込んだ。温かなお湯が二人を包む。亮は由紀を膝の上に座らせ、そっと背中から腕を回した。
「寒いから。このまま洗うね」
「うん」
亮の胸の温もりが背中に伝わり、由紀の心は穏やかな波に揺れるようだった。大きな手で丁寧に髪を洗われた。
「あ、これってうちと同じシャンプー?」
「うん、この間使ってとってもいい香りだったから。玄関のフレグランスも同じにしたんです。気づきました?」
「え?そうだったの?」
そんな他愛もない会話が、浴室に柔らかく響く。トリートメンの際、頭皮を優しくマッサージされると、瞼が重くなった。
「……眠い?」
「うん、気持ちよくて少し。……ねぇ亮君」
「なんですか?」
「いつ頃この指輪用意したの?」
由紀は左手の薬指に輝くダイヤモンドを、愛おしそうに撫でながら尋ねた。亮はくすりと笑い、華奢な肩に顔を預けた。
「秘密です」
「えー?いつ指輪のサイズも測ったの?」
「それも秘密」
はぐらかすように、亮の唇が由紀の頬にそっと触れる。彼女はふと、年末に亮の部屋で過ごした夜を思い出した。眠っている間に、指のサイズを測られたのかもしれない。それなら、この指輪は最近用意されたもののようだ。心の底から温かいものが込み上げ、由紀の唇に笑みが広がった。
「本当は、半年とか後にしようと思ってたんですけど。今日しかないって思って……」
亮の真摯な言葉が、プロポーズの瞬間の熱を呼び起こす。
「ちょっと、用意が良すぎだったかな?」
亮の声に一抹の不安が滲む。彼のそんな表情に、由紀は笑顔で首を振った。浴槽の水面に揺れる光が、彼女の瞳を輝かせる。
「そんな事ないよ。今、私、とっても嬉しい」
「……由紀さん」
「……あ」
額を寄せ合えば、言葉を超えた想いが交錯する。亮の唇が、まるで誓いを刻むように由紀に触れた。
最初は温かなキス。徐々に熱を帯びていく。亮の手が胸を柔らかく包み込み、頂きをそっと弾くと、由紀の吐息が甘く漏れた。背中に感じる彼の昂ぶりが、体の奥に疼くような熱を呼び起こす。
「ん、はぁ……由紀さん立って?」
「ん、あ……う、うん」
促され、由紀は浴槽の壁際に手を軽く置いた。期待と羞恥に揺れる瞳で振り返ると、亮の手にボディソープが泡立つのが見えた。湯気の向こうで、彼の瞳が妖しく光る。
──全部、綺麗にするね。
耳元で甘く囁かれ、肩が跳ねた。大きな手が優しくも大胆に、彼女の首筋、脇、背中を滑る。やがてその手が股の間に伸び、由紀は思わず声を上げた。
「あ……そ、そこは自分でするから……あ」
「だーめ」
恥ずかしさに身を縮こまらせると、亮の体が背中に密着する。熱い肌が、まるで彼女を包み込むように寄り添う。
「全部綺麗にするって、言ったでしょ?」
「で、でも……んんっ」
「由紀さん、緊張しなくてもいいから」
鼠径部からひだの間、口では言えない秘所まで、泡にまみれて丁寧に洗われる。シャワーの温かな水流が泡を洗い流すと、由紀はほっと息をついた。だがその瞬間、亮の長い指がそっと中へと滑り込む。
「う……あ、やん!」
「ここは染みちゃうから。お湯で洗いましょうね?」
「う……う、あ!」
シャワーの弱い水流が下から当てられ、壁を撫でるように動く指に、由紀の腰が勝手に揺れた。快感が体の芯を突き抜け、彼女の声は浴室に響いた。
「洗ってるのに、すごい溢れてくる。由紀さんえっち」
「だ、だって、こんなの、……あ!」
突然シャワーが止まり、指が引き抜かれる。刺激が途切れ、体に一抹の切なさが走った。
「はい!これでおしまい」
亮は後ろからぎゅっと彼女を抱きしめ、背中に熱い昂ぶりを押し当てる。彼女の喉が、思わず小さく鳴った。
「どうしたんですか?由紀さん」
亮の指が、濡れた唇をなぞる。彼は彼女の気持ちを分かっていて、わざと焦らすように微笑んだ。由紀は少しむくれたが、体の奥から湧き上がる熱に抗えなかった。
──いっちゃいたいの。
恥ずかしさを振り切って言葉にすると、亮はより強く彼女を抱きしめ、肩に顔を埋めた。くつくつと笑う息が、首筋をくすぐる。
「素直な由紀さん、ほんと、かわいくてきれい」
「ん、あ」
亮の瞳が、炯々と愛おしげに煌めく。
その青い瞳に魅了されていると瞬間、秘所に硬いものが当てがわれ、彼女の体がびくりと跳ねる。
「俺も痛いぐらい反応しちゃってて。入れたりはしないから、一緒に気持ちよくなっても、いいですか?」
その声はまるで子犬のような控えめな期待に揺れていた。由紀は答える代わりに、彼の高い鼻先にそっとキスを落とす。半ば蕩けた瞳で頷くと、亮の舌が鼻をべろりと舐めた。
「う、あ、あぁん」
「……っ、はぁ、きもち」
彼の動きは、感じる場所を的確に刺激し、浴室にだらしない声が反響する。胸の先を責められ、由紀は思わずのけ反った。首筋を甘く噛まれた瞬間、電撃のような快感が全身を貫き、体は震えた。
力が抜け、亮にもたれかかると、彼はそっと囁いた。
「気持ちよかったね、由紀さん」
亮自身は達していないのに、その声は心から満足げだった。由紀の胸には、罪悪感と同時に、これまでにない欲望が芽生えていた。彼女は亮を見つめ、決意を込めて囁いた。
「りょうくん」
「はい、由紀さん」
「……亮君の、入れて?」
「……え?」
そう囁かれ、亮は一瞬耳を疑った。彼女の瞳には、怯えを乗り越えた強い意志が宿っていた。
「でも嫌なんじゃ」
「……今なら。亮君なら、怖くない、と思うの」
由紀の声は震えていたが、その瞳はまっすぐだった。亮は吸い込まれるように、彼女の額にキスを落とす。
その唇は小さく震えた。
***
浴室から出て、互いの体をタオルで拭き合い、髪を乾かす。その間も、触れ合うたびに甘い余韻が漂った。
生まれたままの姿でベッドに横たわると、由紀は一瞬、恥ずかしさに目を逸らした。だが、亮のまっすぐな眼差しに映る自分は、まるで世界で最も愛されている存在のようで。胸が熱く高鳴った。
「由紀さん、愛してる」
「私も。愛してる」
亮の言葉は、優しくも燃えるような情熱を帯びていた。胸元に伸びた手が、そっと乳房を包む。唇が首筋、鎖骨、胸元へと降り、乳首を舌で愛撫されると、由紀の声は甘く崩れた。
亮の愛撫が、彼女の心を解きほぐしていく。
茂みをかき分け、蜜の出所を指で探ると、由紀の腰がぴくんと跳ねた。
「とろとろで、あったかい」
「ん、あ」
1本の指をゆっくりと差し込めば、中は柔らかくて温かくて、きゅっと吸い付いてくる。
「……本当に、入れてもいいですか?」
亮の声は震えていた。彼の瞳には、絶対に由紀を傷つけたくないという強い決意が宿っていた。
「……うん、来て。大丈夫だから」
由紀は柔らかく微笑み、亮の不安を溶かすように頷いた。彼は胸に迫る感情を飲み込み、チェストから避妊具を取り出す。装着し由紀に覆い被さると、彼女がそっと股を開いた。
亮の喉が小さく鳴る。
情熱的なキスを交わし、慎重に、ゆっくりと、彼は自身を彼女の中に沈めた。
「ん……っ、あ……ん」
「ゆ、ゆきさ……っ」
深く繋がった瞬間、全身が歓喜に震える。亮は由紀を抱きしめ、感嘆の息を漏らす。だが、彼女の頬に涙が光るのを見て、血の気が引いた。
「……由紀さん、痛い?嫌だ?」
「ううん、……違うの」
由紀の手が、亮の頬に優しく触れる。その瞳は、涙に濡れながらも晴れやかだった。
「……なんかね、ちゃんと愛されて繋がってるって思ったら。嬉しくて。なんか泣いちゃった」
その笑顔に、亮の心は激しく揺さぶられた。目の裏が熱くなり、涙が止めどなく溢れる。
「亮君?」
由紀の頬を雫がかすめる。彼女が名を呼ぶと、亮は切なげな顔を向けた。
──ゆきねえちゃん。
それは小さな声だった。
けれども、由紀の心に鮮やかに響いた。
忘れかけていたモノクロの記憶が、色づいて蘇る。
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「え……リョウ、くんなの?」
にわかには信じられなかった。だが、髪の色、瞳の輝き、あの日の少年と変わらない。亮は心から安堵したように微笑んだ。
「僕のこと、思い出してくれた?ゆき姉ちゃん」
由紀の胸に、懐かしさと愛しさが溢れる。
「本当に、そうなの?でも名字変わって……」
「母親がその後再婚したんだ。お姉ちゃんが引っ越した後も、僕ずっと。ずっと好きで。偶然また出会えて、嬉しくてたまらなかった」
「リョウくん」
「でも。僕のことなんて覚えていないだろうから、って。ずっと言えずにいたんだ。“あの時のリョウだよ”って」
寂しげな微笑みに、由紀の心は締め付けられた。彼女は彼を強く抱きしめ、自分の鈍さを詫びた。
「……ごめんなさい。私、ずっと気づかないままでいた」
「ううん、もう気づいてくれたから。すごく嬉しい」
亮の涙を、由紀はそっと唇で吸い取った。
見つめ合うだけで、心が通い合う。
深いキスを交わし、亮はゆっくりとリズムを刻み始めた。肌と肌が触れ合い、濡れた音が静かな部屋に響く。
互いの名前を呼び合い、吐息が荒くなる。
「亮君、あ……んっ、もっと……」
「……ゆきさん、好き。ずっと、好き……っ」
体を重ねるたびに、心はさらに深く繋がっていく。これは快楽を超えた、2人だけの魂の交歓だった。
ほどなくして、亮が限界を迎える。
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「ん、あ、うん……来て、りょうくんッ、あ、んん!」
由紀の体が跳ね、指先がシーツを掴む。ゴム越しに感じる熱と勢いに、腰がガクガクと震えた。陰核を同時に擦られ、快感の波が彼女を宙に浮かせた。
すべてが終わった後、亮は由紀を抱きしめ、額にキスを落とす。
「大丈夫ですか……?無理、してなかった?」
「うん、大丈夫。……幸せだったよ」
「……由紀さん。俺も、由紀さんと繋がれて嬉しい」
「きゃっ」
鼻先を擦りつけられ、くすぐったさに声が漏れる。2人は笑い合い、由紀は恥ずかしげに目を伏せた。
「……それに、ね」
「はい?」
──とっても気持ちよかった。
上目遣いで見つめられれば、何本も矢が刺さったようで、胸が痛くなる。
「ゆき姉ちゃん、本当反則、それ」
「え?そ、そうかな?」
「無自覚なの?本当、かわいすぎ……っ」
「……ん!」
唇に想いを重ね、再び欲望が熱を持つ。
眠るまで、何度も名前を呼び合い、愛を確かめ合った。
これからは、ずっと一緒だと。
来世もこうしていたいと。確かめるように。
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福原果穂26歳:OL:人事労務部
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千秋柾哉33歳:産業医(名門外科医家系御曹司出身)
魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて
アマイ
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