【R18】転生?した先は、リアルよりもHな世界でした。

N.M.V

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交易都市を後にして?

メイドでお尻なH?

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結局討伐に半分強制的に駆り出された。

衛士隊曰く

この街のかなめだったとある冒険者チームを、私達が戦闘不能にしてしまったので、その責任を取れとの話。

この街の要?、誰が?、責任ってなんやねん。

要とは、『熊スケと下衆で愉快な仲間達』のこと。

熊スケはなんと冒険者ランクAA、その徒党連中もAやBと言った凄腕エースチーム。

「いやいやいやいや嘘でしょ?」、と思わずツッコミ入れたのは言うまでもなく、冒険者組合で確認したら、熊スケは本当にAAでその徒党もAだった。

しかし責任取れって、それは奴らの自業自得だし、熊スケらをコントロールできなかった冒険者ギルドの監督不行き届きと、衛士隊の職務怠慢見て見ぬふりが原因だと思う。

正直ゴネた。

でも、衛士隊からは正式に冒険者組合に討伐依頼が申請・発布され、多額の報酬もちゃんと出すと言うので、参加で同意しました。

……

昼過ぎに街の外周をグルリと取り囲む高い擁壁の上に集合。

この街に現在滞在中の冒険者、常駐衛士隊、駐在騎士団員、総勢200余名が集まってる。

擁壁上には、大型投石機が設置され、迎撃準備態勢は整ってる。

因みに冒険者の半分は逃げました。

街の住民は地下壕に退避、なんでそんな物があるかと言うと……

この街と擁壁は、200年前『北の大帝国』との大戦時に後方支援物資備蓄基地として急遽造成され、今に至るそうで、その時の戦争遺構は今も整備されて機能してる。街と言えども頑強さは要塞並み。

衛士隊上級長エドガー氏が、集まった混合迎撃部隊を前に、壇上に上がった。

「概要は討伐依頼書の通りなので割愛する」

え?、そんな物読んでないし

「時間は余りない、現状と作戦を伝える」

エドガーが皆を睥睨してから口を開いた。

「現在目標は、真っ直ぐにこの街に向かって来ている、間もなく目視できるだろう。奴は非常に興奮状態にあり、衝突は避けられない。相手は地竜の中でも、攻撃力を誇る『イシユミ竜』だ、街の防御能力だけで耐え切れるものではない。だが、奴の『光の息吹』を3回凌げば、我らの勝ちだ」

「光の息吹ってなに?」

ワタシは隣のルナリアに囁き聞いた。

「エム、黙って聞いてて」

「へいへい」

「奴にまず投石により息吹ブレスを撃たせる、後衛の魔法士は魔法障壁を出来るだけ重ねて展開、コレを防御せよ、防御の後、前衛は馬車により突出、接敵し一斉攻撃だ、2回目、3回目は、適宜ここから発光による指示を出す、2回発光は散開防御、3回発光は攻撃だ、以上」

え?、それだけ?

事前に段取りが組まれていたようで、誰からも質問はなく、迎撃のために各位が散り、アレよアレよと準備が整って行く。

『光の息吹』がなんなのか、誰も教えてくれない。

名前からするとブレスっぽいけど…光というのがどんなものなのか、それに3回凌げは勝ちって、何?

ルナリアはさっさと遊撃隊の方へいっちゃうし、スノウはニクを連れて、逃げ遅れがいないか街中の確認に駆り出されてる。

ハブられた。

マティとケティ、それからサンは、ワタシのそばに居るけど、イシユミ竜がどんな地竜なのか名前しか知らないそうで、ワタシと同じレベル。

話からするとおっかない系なんだろうなぁ。

……

そしてついに来た。

「おおー」

ワタシは思わず感嘆の声を上げてしまった。

全容はわからないけど、地響きをたて木々を薙ぎ倒しながら街に近づいて来る巨獣、扇状の大きなせびれが確認できる。

『地竜』

スゲー、アキラ・イフクベの曲がきこえてきそうだわ。

って、誰?

「スノウはアレを知ってるの?」

スノウは既に戻って来ていた。ニクは地下壕に置いて来たそうな。

「ええ……でも人里近くに現れる地竜ではないので、ワタシも見るのは初めてですね」

スノウ達魔族はワイバーンを使役している、竜種なら詳しいと思ったけど……

「意外と歩みは遅いわね、寄ってたかってタコ殴りすればなんとかなるんじゃない?」

「エムさん、アレは地竜の中でも『要塞殺し』と言われてる竜です」

要塞殺し?、壊しじゃなくて殺し?、なんて物騒な通り名。

それと、って、確か『クロスボウ』の事よね?

ワタシが元いた世界#__・__#の『漢字』という文字で表すと『いしゆみ』と書く、ちなみに『ど』とも読む。とても大きなものを表す時に『弩級』とか『超弩級』なんて呼び方をする時の『当て字』に使う。

語源は『ドレッドノート』の、とある国の戦闘艦の名前で、意味は…

『恐れ知らず』

「名前は能力そのものに由来します」

「え?、能力?」

「投石準備!」

エドガーが腕を垂直に掲げ、そして振り下ろした。

「始めっ!!」

遠心式投石機が唸りを上げて、推定500キロ程の岩石をすっ飛ばした。

次々と発射される。

方物線を描き、地竜に向かって飛んで行く。

中々に正確。

ドっドドドドんっと

地竜の背中に落下したが、まるで怯まない、毛程にも効いてなさそう。

でもそれは、単なる威嚇射撃、目的は…

「ほら来ますよ」

スノウがそう宣うと、地竜のせびれが青緑色に発光し始めた。

「ふぉっ」変な声出ちゃった。

顔を持ち上げるイシユミ竜、全体が見えた。前足は短く、後ろ足が太く、重心を取るための長い尻尾。ワニのような顔、体表はカラフルで、いわゆる警戒色、それでもエメラルド色に輝く背中の大きな扇状のせびれが一際目立つ。

「スピノサウルスに似てるわね」

「すぴのさる…?」

「サウルス」

スピノと違うのは前方に向かって伸びる2本の凶悪そうな角。

それよりも背中の発光現象って……

「来るぞ!、射線に入るなよ!、魔法士!防御結界!!、全員衝撃に備えろ!!」

エドガーが叫んだ。

高位の魔法士達が大型の魔法障壁を何枚も重ねて行く

イシユミ竜が、その顎を開いた、口奥が光ってる。すると、角の両先端に放電がほとばしった。

そして、それは起きた。

キラっと、イシユミ竜の眼前が強く輝いた瞬間、眩い光線が一直線に走り、魔法士達が重ねがけした障壁を貫き、街の擁壁の一部を溶かした。そのあまりの熱量に物質が蒸発、大爆発した。

ドっガーーーーーンっ!!!!!

爆風と、熱風が襲い来る。

冗談じゃないわ!、ゴ○ラかよ!!

ワタシの小さい頃の記憶にある、災害級の巨大カイジュウ。街を火の海にし、歩くだけで放射能という毒を撒き散らす、凄く怖かったのを覚えてる。

それが現実なのか、虚実なのか、はたまたの記憶なのか……

「今のがイシユミ竜の『光の息吹』ですか、中々に凄まじいですね」

そう宣ったスノウは何故か興奮気味、
あんなの見たら普通は怖気づく。

ほら、周囲の冒険者達はビビリまくってる。何人かは逃げ出した。

要塞殺し、言い得て妙だわ。

「臆するな!!、前衛!!、突撃!」

ドロドロドロドロっと、銅鑼が鳴らされた。

木々にカモフラージュして隠れていた馬車が一斉にイシユミ竜に向かって発進した。近接戦闘職の冒険者達を乗せている。

ルナリアも乗り込んでる。

衛士隊達は、大きな破城槌を乗せた台車を馬6騎で牽引してる。

突入部隊編成は、冒険者ランクB以上、衛士隊と、駐在騎士団員は全員参加。

死地へと突入する戦士達の目はハイ状態、全員『魔薬』を使って、戦意をアゲアゲ。

そんな使い方もあるのね。

ルナリアはそんなもの使わなくても、ワタシがガチガチに強化魔法をかけておいたし、彼女は魔族領で『魔改造』された強化人間なので大丈夫だとは…思う。

「ねぇ、マティ達は行かないの?」

「私とケティは、冒険者ではありませんし、エム姉の直衛です。ルナさんにも目を離すなと言われてます」

そんなマティとケティは、フル装備でワタシの両隣に立ってる。

彼女達の出立ちに、周りの者達は気づき始めてる。戦乙女であると知れるのも時間の問題よね。

マティ達が行けばちゃちゃっと終わりそうなんだけどなぁ…

「歯痒いです」

一方で、そう言ったのはスノウ

「突入部隊の参加資格がランクB以上なんて、差別です」

めっちゃ悔しそう。何度も言うけど、君は魔法士よね?

「投石を続けろ!、当たらなくてもいい!、魔法士も魔法で牽制しろ!!」

そう指示を出すエドガー氏の采配は、どうにも不自然。

投石が次々と放たれる。魔法士達も、主に火炎系で射掛ける。

規模はもはや戦争、攻城戦の様を呈してる。

だけど、コチラの攻撃力がイマイチ。

イシユミ竜の歩みは止まらないし、前衛達も足元には取り憑いたものの、デカ過ぎて、足にしか攻撃が入ってない、それも刃が通っているようにも見えない。

外皮が硬すぎる?……いえ、あれは身体強化なんだわ。

これでは決定打に欠ける。でも、指揮官のエドガー氏に焦りがない。何か隠し球でも持ってるのかしら?

「ねぇスノウ、ここから竜の直ぐそばに、土壁か岩壁を出せる?」

「土であれば出来ます、でも地形が変わってしまいますが?」

変わるんかい。

「構わないわ、特攻部隊の足場を作ってあげて、足下チマチマ攻撃してたってしょうがない」

「ヨロコンデ」

そのセリフ、ワタシが言うようになって皆が使い始めた。

スノウが無詠唱で魔法を発動させた。すると…

イシユミ竜の侵攻方向に周囲の土を抉り取りながら巨大な土の壁が迫り上がる、それが階段状に次々と…

周囲の後衛組は、何が起きてる?と唖然としていたが。それを行っているのが銀髪の美しい少女と知るや、うおおおっ!!と感嘆の声を上げた。

凄いのよ?うちのスノウは。

なーんて、土壁の動きを見ていたら

「あ」

段々と迫り出すその勢いで、土壁がイシユミ竜の喉元を捉え、突き上げてしまった。

ズドーンっ!!

グギィヤアアアアアアっっ!!!

イシユミ竜が咆哮を上げのけ反り、そのまま横転した。

「あ、距離感を間違えました」

間違えたんかーい、足場を作れと言ったのに。結果オーライだけど。

前衛組がここぞとばかりに倒れた竜に取りつき、攻撃する、

遠目に見てるけど凄い凄い、獲物に群がるアリの様、でもやっぱり外皮が硬いのか、刃物が弾かれているようにも見える。

続いて衛士隊の破城槌パイルバンカーが、横転したイシユミ竜の土手っ腹に突貫して行く

しかし……

イシユミ竜が動き出す、それも信じられない動きを見せた。突然何かに弾かれるように飛び起きる。その起き上がるいきおいで、取り憑いていた冒険者達が宙に跳ね飛ばされ、突進してきた破城槌を馬ごと踏みぬき粉砕、衝撃で衛士隊は吹き飛んだ。

歩みの遅さから、てっきり鈍重かと思っていた。

「何今の地竜の動き、ルナは?」

「無事のようですね、流石ルナさん」

ホッとした、今のを回避するとかルナもルナよね。

「今のは風魔法かと、大気を圧縮開放させて自分の身体を起こしたんですね」

とスノウが、淡々と説明した。

「あいつやっぱり魔法が使えるのね」

「体内に魔石が有れば可能です、さっきの『光の息吹』も魔法だと思いますよ?」

はぁ?、あのブレスは何属性の魔法よ?

そんな事を言ってる内に、再びイシユミ竜の背中が光り出した。

「馬鹿なっ!?、早すぎる!!」

エドガーがそう叫び、スノウの方を向いた。

「そこの冒険者!、さっきの土魔法はお前か!!」

「そうですが、何か?」

「何か?、ではない!、早く魔法を展開し、擁壁を補強しろ!!、光の息吹が来るぞ!!」

「私に指示を出せるのは、こちらにいるエムさんだけです」

いやいやいや、スノウさん?

エドガーがワタシを睨んできた。

「だったら早くお前が指示を出せ!!」

ムカっ、細かい説明をしてなくれなっかったクセに。でも、ワタシは大人ですから?、仕事はしますよ。

「スノウ、土壁展開して」

「ヨロコンデ」

今のやり取りは、ただ単にエドガーに対するスノウの嫌がらせ。

イシユミ竜を見ると、再チャージ中なのか、さっきより溜めが長い。その間に、スノウが魔法により一瞬で融解した擁壁部を補強させた。薄くはなってしまったけど。

現場は極めて混乱してる。前衛は合図が来ないので独自判断で散開し、退避し始めた。

光の息吹の発射時は、どうやら周囲に過大な熱量が発生するみたい。

魔法士達が再び障壁を展開。

衛士隊の指示なしでも、練度の高い冒険者達。普段は下衆でスケベな連中なのに。

納得できん!、プンプンっ

……でも、あー、こりゃダメだわ。

「コレはいけませんね」

スノウも気づいた。障壁の枚数がさっきよりグンと少ない。ガス欠の魔法士に、逃げ出した魔法士、スノウが擁壁を補強したけど、さっきの威力で発射されれば、今度は完全に擁壁を撃ち抜かれ、街に被害が及ぶ。

「マティ、息吹を大盾で防げる?」

「死にますね」

ですよねー、仕方ない。

「ねえ、エドガーさん確認なんだけど?」

「な、なんだ!」

ワタシは焦りの色のエドガー氏に声を掛けた。

「光の息吹って発射回数に制限があるの?」

「そんな事も知らないのか!?」

「知ってたら聞いたりしないわよ、すいませんねぇ無知で」

「3回撃てば奴の魔力は枯渇する、それ以上は撃てないはずだ」

『はず』って言うのが気になるけど、まあいいわ。

「はいありがと、じゃあ逃げて良いわよ」

ワタシはエドガー氏にシッシッと手を振った。

「ばっ、馬鹿にするな!、この作戦の指揮は私だ、衛士隊たるもの…」

なんか口上をたれてるけど、既に現場は混乱してるし、邪魔なだけ。

ワタシはイシユミ竜に向かって、手をかざす、巨大な水球をイシユミ竜の鼻面前に出現させた。

更に保険のため、魔法士達が掛けた障壁にひと回り大きな障壁を並列思考を駆使して、5枚一気に重ねがけし、さらに土壁を戻す。

「んなっ!?」

エドガー氏や、魔法士達が絶句してる。

「マティ、ケティ、ワタシはいいからアレの角をへし折って来て、こんな戦いズルズルしたくないわ」

「……ご褒美が欲しいな」

そう言ったのはケティ、マティもうんうんと頷いてる。

「何よご褒美って」

「そりゃ勿論、夜伽のお相手」

「今回は、エム姉が受け手って事で」

「バカ言ってんじゃないわよ」

すると2人はソッポ向いた。

コイツら……

「わ、わかったわよ、夜の相手でもなんでもするから行ってきて」

「やった!」

「御意っ!」

2人はニッと笑うと、間髪いれずに、もの凄く高い擁壁から街外へと飛び降りた。

ワタシはマティ達に言った事を、後々後悔する羽目になると、この時は思ってもいなかった……。

……

イシユミ竜は、目の前の水球ごと射抜こうと、第二射目の光の息吹を撃とうとしてる。

でもソレ、ただの水球じゃないのよね

オッペケペイ侯爵邸を半壊させた水球と同じヤツで、拡大版ですのよ。

イシユミ竜が息吹を放とうとした瞬間、水球が爆散した。

ドーーーーーーーーンっっ!!!!

苛烈な水蒸気爆発が発生、衝撃波が周囲に撒き散らされた。前衛の衛士隊や、冒険者が巻き込まれ、吹き飛ばされたのが見えた。

ごめんなさい。

発射の瞬間に爆発を食らったイシユミ竜は、顎を上に向けてしまい、光の息吹は上向きに放たれ、障壁を何枚か壊して街を掠める。

カウンターを食らったイシユミ竜は目を回していた。

「い、今のはなんだ!!、誰がやった!!」

エドガー氏が叫んでる。

「上級長!、あの女冒険者です!!」

「クソっ!、余計な真似を……」

余計な真似とはなんやねん。

「何かやる時は先に言え!、みろ!、前衛が巻き添えを食らったぞ!!」

「そんな余裕なかったわよ、それより丁度いいわ、前衛をさっさと下がらせて、後衛も邪魔、後はワタシ達でやるから」

「お前何を言っている!、相手はイシユミ竜だぞ!!」

そんなエドガー氏を無視して、ワタシはマティ達の動きを追う。

彼女達の戦闘ダンスが始まった。



「ルナっちー、生きてる?」

死屍累々の冒険者の中から立ち上がるルナリア

「ええなんとか、エムってば相変わらず無茶苦茶するわね、やるならひと言いってほしいわ」

「擁壁の上からじゃ聞こえないから無理だよ」

ケティが苦笑する。

「貴方達が来たのは、エムの指示?」

「角を破壊しろとのご用命です」

マティがルナリアにそう伝えた。

「角ね、了解」

イシユミ竜は首を振って、意識を取り戻す。その仕草だけでも、風が唸る程の巨体。

「あの爆発を至近で受けて無傷なんて、とんだ化け物ね、でも邪魔な冒険者連中もいなくなって、コレで存分にやれるわ」

そんな竜を前にして、ルナリアは不敵に笑う、

マティはロングソードを抜剣し、大盾を前に出し掲げる、ケティもそれに続く、各々が武器を構えた。

3人お互いに頷く。

するとマティが、剣の柄で大楯をガンガン!っと激しく叩き挑発する。

「コッチ見なさい!」

イシユミ竜の視線がマティに向いた。

しかしその目には、マティ達など取るに足らない存在としか映らなかった。直ぐに街の方に視線を戻し歩み始めようとした。

次の瞬間

ピシャーンっ!!!!

イシユミ竜の鼻面に紫電の雷が2本落ちた。

ギアアアアアアアアアアっ!!

頭を下げて、後ずさるイシユミ竜

それはルナリアと、ケティの神聖術『雷霆』だった。

「普通なら、どんな大型魔獣でも痺れて動けなくなるのに、雷耐性まで高いのね」

ヴォオオオオオっ!!!

イシユミ竜が咆哮する。

空気が震え、殺意の念が撒き散らされる。

ルナリア達を敵と見定めた。

イシユミ竜が鋭い牙が並ぶ顎部を広げ、地面ごと抉らんとばかりに3人を襲う。

ガギーンっ!!

だが、その凶悪な牙の刃を、マティが真正面から大楯で受け止めた。

ギギギっと、大楯が軋む。

すかさずルナリアとケティが、細剣と、大槍で両側からイシユミ竜の目を刺突せんと手を伸ばした。

しかし、イシユミ竜はその巨体に似合わない俊敏さのバックステップで飛び退き、攻撃を避けた。

「!、でかいクセに速い!?」

そのまま体を捻り、太く長い尾をムチのように振り回して、逆に攻撃、周りの木々を凪倒し、ルナリアのいる側から尾が迫る。

ルナリアは高くジャンプして、ギリギリ避け、避けた尾はそのままマティへと迫るが、マティは大楯で滑らすように掬い上げた。

尾の遠心攻撃をいなされ、バランスを崩すイシユミ竜、そこに紫電を纏ったケティの大槍が振り下ろされた。

ずばんっ!

グギぁアアアアアアッ!!

絶叫を上げるイシユミ竜、尾が半ばからケティによって切断された。

イシユミ竜は転倒しかけたが、直ぐに翻り、両足を踏ん張り体勢を立て直す、しかし身体のバランスを保っていた尾を無くし、立ち姿が不安定な状態に……切断面からは、青い血が流れ出ていた。

……

擁壁上から、今の一連の動きを見ていたエドガーや、衛士隊、それから冒険者達が愕然としている。

「な、なんなのだあの者達は……」

「だから周りの連中は邪魔だって言ったでしょ?、有象無象で特攻したって、時間の無駄なのよ」

「有象無象だと…」

エドガーがワタシを睨んで来た。

……

イシユミ竜が後退り始めた。

「逃げるのかな?」

それでも3人は警戒を緩めない。

突然、イシユミ竜の全身が赤く光り出した、特に胸元は一段と明るく光っている。

「光の息吹じゃない!?、ケティ!!、ルナさん!!、コッチに来て!!」

すかさずケティとルナリアは、マティの背後に入った。

イシユミ竜は、アギトを開き、間髪いれずに、その口から紅蓮の焔を広範囲に撒き散らした。

豪炎の息吹の直撃、炎に巻かれる3人。

……

擁壁の上で、それを見ていた者達の間で、わぁっと、悲鳴のような声が上がった。

…でも大丈夫

逆巻く炎の中から、2つの人影が飛び出した。

ケティとルナリア、2人の剣と槍がイシユミ竜の左右の角それぞれを捉えた。

ガギーンっ!!

火花を散らし、2人の刃が弾かれた

外皮が硬いのだから、角は更に硬い、まるで金属だわ。

弾かれて、宙で無防備になったルナリアをイシユミ竜のアギトが狙った、大きなワニのような口が襲いかかる。

だけど、ルナリアは笑ってる?

「残念ながら私は囮よ」

ブファオっ!!

突然、炎の中から大楯が回転しながら飛び出し、まっすぐイシユミ竜の頭へ向かって飛んで行く。

イシユミ竜は顎を引き戻し、咄嗟に頭を振り、自慢の頑強な角で大楯を叩き落とそうとする。

歩みは鈍重な癖に、瞬発力がある。恐らく瞬間的に身体強化による加速をしていると見た、判断力も的確、頭もいい。

大楯とイシユミ竜の右角が激しく激突した。

バキーーーーーンっ!!!

しかし、弾かれたのはイシユミ竜の右角だった、根本に近い所から、角は折れて弾け飛んだ。

ギャアアアアオオオっ!!

ルナリアの入れた角への一撃は、既にダメージを与えていたのだ。

炎が掻き消えると、そこにマティが立っていた。

3人とも全くの無傷。

マティの盾は『耐性無効』に『物理攻撃無効』=『破壊不能』と言う、とんでもチート装備品

その盾で炎を防ぎ切った。

歴代の戦乙女から引き継いでいるという、マティの『大楯』は、竜人族が造ったと言い伝えられているそうな。

…実は、ワタシの『禁断の大剣』も同じ代物。でも破壊不能ってどうやって加工したのかしら?

そんな事はさておき、角を片方折った。ワタシの推測が正しければ、これで『光の息吹』は使えない……はず。

仮に使えたとしても、威力は下がる……はず。

根拠は、『光の息吹』が魔法ではなく、物理攻撃だとワタシは推測したから。

「エムさん」

「あれニク?、避難してたんじゃないの?」

「スノウちゃんに言われて、ある事を調べてました」

そう言ってワタシの耳元で彼女は耳打ちして来た。

「……それ本当?」

「はい確認しました、間違いないです」

「……やってくれるわ、クソ野郎共」

「エムさん……イシユミ竜の魔力量が急激に上がっています」

険しい顔をするスノウ

「わかってるわ」

ニクの話を聞く限り、、だけど、憎悪によって怒りMAXのイシユミ竜は、追い払うことも、なだめることも最早できない、何故ならば、竜は『自爆シークエンス』に入ってる。

街ごと心中するつもりなのだと、スノウが言っている

故に、ここで討伐するしかない。

「かわいそうだけど、仕方がないわね」

ワタシは声が遠くまで聞こえるように、風属性魔法を用い、あえてゆっくりと魔法を詠唱した。

『我が意に従い素は光となりてやじりとなせ』

……

ルナリアは声のする方、擁壁の上を見た。

「これってエムの声?」

……

『素は熱き炎となりて……』

……

「ちょっと、何をする気なのエム!」

「ルナさん!、コレはエム姉の必滅魔法です!!」

「!?、皆!、身を隠せるなら隠して!、ダメなら出来るだけここから離れて伏せなさい!」

ルナリアは、離れていた見ていた前衛組の冒険者達に向かって叫んだ。

……

よしよし、3人とも上手く防御姿勢を取ってくれたわ、さて…

これにて終いといたしましょう。

光と火の合体魔法『マジカルパンツァーファウスト』……

「二式改」

両手を掲げたワタシの頭上に、光輝く紅蓮の炎を纏った握り拳大の光球が、顕現する。

西の街で冒険者ギルド庁舎を破壊した魔法の威力増し増しのアッパーバージョン。

流石にここで、究極魔法『アトミックブレイク』は使えない。

ジリジリとした熱量を周囲に撒き散らす光球。

「ま、待てっ!!、なんだその魔法はぁっ!!」

エドガー氏が叫んでる。

「爆ぜるべし」

パーンっ!!

手を叩く、すると光球は放物線を描きゆっくりとした速度でイシユミ竜へ向かって飛んで行く。

「や、止めよ!!」



光球はイシユミ竜に接触、そして…

爆ぜる。

閃光、爆風

イシユミ竜の放つ『光の息吹』を超える熱量が、かの者の両足だけを地上に残し、胴体部を蒸発せしめた。

……

周りは静まりかえっている。

「……凄い」

誰かがそう言った。すると…突然歓声が沸き起こる。

ウォーっ!と、雄叫びをあげ、冒険者同士が抱き合ったりしてる。

一方で、エドガー氏は両膝を地面に突き、ガックリと項垂れている、そんな彼にワタシは声をかけた。

「エドガーさん」

「な、なんて事をしてくれたんだ……あ、アレでは…」

「魔石は採取出来ませんね」

「!?……」

「身体強化、耐性強化、風魔法に、謎の属性魔法、アレだけの能力を持つ竜の魔石がどれだけの代物か、実に惜しい事をしましたよね?」

「き、貴様!、まさかわかっていてやったのか!?」

「何をですか?、あのままイシユミ竜が進めば、沢山の人死にが出たわ、それこそこの街が地図上から消えてたかもしれない」

「バカなっ!、あり得ない」

「現に、イシユミ竜は自爆しようとしてたのよ、街もろともね」

「そ、そんなまさかっ!」

「イシユミ竜の侵攻を止めるには、消し去るしか無いと思っただけ、感謝してほしいぐらいだわ」

「くっ……」

エドガー氏は、奥歯をギリッと噛み締めた。

……

結局、ワタシ達はその日の内に街を出ることは叶わなかった。

冒険者組合が、防衛成功の祝勝会を開くといい、1番の功労者だと強引に引き止められてしまった。

仕方がなかったとは言え、公衆の面前で、アレだけ目立ってしまったのは不味かったわ。

やらかした感ハンパねー

でも、そちらはルナリアとスノウに任せた。

……

街の広場には人がごった返し、屋台まで出て祭りの様相を呈してる。

冒険者組合の幹部達がざわついていた

「すまないが、もう一度言ってくれ」

「エムさんは逃げました」

とルナリアが説明する。

「はぁ?」

「討伐証明も、二つ名も要らない、それに等級も今のままでいいと、だから全てを辞退すると言ってました」

「おいおい等級が上がれば、今後の依頼報酬も上がるんだぞ?」

「そうは言ったのですが……食って生きて行ける分だけで良いと」

「……まぁ助けてもらった手前、無理強いはしないがな……それにしても大変そうだな、お前さん達の長は」

「まったくです」

ルナリアは深くため息をついた。

……

そう、ワタシは今回の件は放棄して逃げたのです。理由はそれだけじゃないけどね?

ワタシには、マティとケティとの先約があったからに他ならない。

街の廃屋民家

そこは、ワタシが熊スケ達に連れ込まれた、彼らの元アジト、今は引き払われ、ワタシ達以外誰もいない。

「あ、んな、あっ」

「フフ、エム姉、カワイイ」

「たまにはこういう行為もいいわね」

「ヒアッ、あっひっ……」

ワタシは、ベッドの上で法具を身につけた、マティとケティに抱かれていた。

そしてなぜかそこにはサンもいた。黙って、私達のHをジーっと眺めてる。

「だってエム姉は、女を抱くより、男に抱かれる方が好きでしょ?」

って、アンタら女じゃん!

と、ツッコミたくても、ケティにバックから法具を秘穴に突っ込まれ、激しくファッキングされてる。

「あっひっいっひっ!」

キモチ良すぎて、絶頂に苛まれる。

「ケティ、ワタシも」

「ほーい」

ケティは、一度法具を引き抜くと、今度はワタシの尻穴に法具を差し込んできた。

「ヒアッ!!、あ、おし、り、は」

「コレはお仕置きなのです」

ワタシの耳元でそう囁き、ガン突きしてくる。

「お、お尻ダメぇ!」

そのままワタシの身体を起こし、ケティは自ら下になり、ワタシを仰向けに…

すると、マティがワタシの前に来た。

ケティ、は腰を突き上げながら、ワタシの内股に手を入れられ、股を開かされた。

「あ、いや、あ」

「フフフ」

マティが不敵に笑いながら、腰を入れてくる、濡れに濡れたワタシの秘穴に法具の先端をヌルンと入れ……挿入。

「んなぁっ!!」

ずにゅずちゅっと音を立てて、マティの法具が根元まで差し込まれた。

ワタシの中で、直腸と秘穴の壁を通して2本の法具が擦れ合ってる。

「あ、ダメっ、こんなの!、あ、ああ!!」

今まで何度もこうやってレイプされたことがある。

でも、双子ならではの息の合った責めが、極上的に気持ちがいい。クセになりそう。

それだけに、ハマりそうで逆に嫌だ。

「エム姉は、こう言うのに弱いんだね、マティ、後で、ルナさんとスノウにも教えちゃおっか?」

「皆でお仕置きもいいですね」

「ダメぇっ!、やめてぇ!、い、言わないで!!」

そんなことバレたら、毎晩皆の慰み者にされかねない。

でも、でも…!!

「あ、イクっ、いっちゃう!、ああっ!!」

「エム姉ったら、お尻でイクなんて、ヘンタイ」

ふざけんな

……
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