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第18話 邪眼を見るたび思い出せ。滅びのドラゴンストリーム
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学校の教室――HR前。
俺は、怯えていた。
陽キャたちが、元気に二人に声をかけている。
「おお、美琴、風華! ブラックシッヴァルツすげえな!」
「ありがと、まあ、私たちってよりはブラックさんだけどね」
「そうだね。ブラック様は本当に凄いよね」
「くぅー! 正体はわかんねえのか?」
「さあ?」
「なあ、教えてくれよ!」
ブラックシュヴァルツが発足してから、俺――黒羽黒斗ことブラックは美琴と風華さんと共に行動することが多くなっている。
それはいい。それは楽しいからいい。
だが問題は――。
「黒斗、おはよう。どうしたの? 顔色悪くない?」
「おはよう黒羽くん、確かに元気なさそう」
「そ、そうか? 普通だよ。朝からイカ墨ご飯を一合も食べたし、チョコレートも食べてきた。後、黒豆もいっぱい」
「ふうん? あ、ほんとだ。口に黒豆ついてるわよ。ぱくっ」
「左ほっぺにもついてるよ。あ、こっちはチョコレートだった。ぱくっ」
なぜか、なぜか知らないが比例して二人が俺によく構うようになった。
朝、昼、夕方、なんだったらギリギリダンジョン討伐までマコドナルドにいることもある。
……いや、ブラック本体の魅力が、俺みたいなモブに影響しているということだろうか?
そう考えると辻妻が合う。
ブラック、さすがブラック。
「あ、風華さんプリントとりにいかなきゃ」
「ほんとだ。いってくるね」
冷静に考えると、カワイイ二人に迫られているのだ。
これは、黒が白に変わっていると言っても過言ではない。ちなみに何を言っているのかはわからない。
「黒羽、お前最近調子乗ってんじゃねえか」
するとそのとき、2メートルはあるかのような(ない)ガタイのいい男が近づいてきた。
逆毛の黒髪がよく似合っている。
名前は、ごんぞう。最近にしては古風な名前だ。
隣には、男子生徒がいつも二人立っている。
珍しい名前で確か金魚、もう一人はあだ名しか知らないが、フーンと呼ばれていたはず。
「調子?」
「ああ、その、なんだおい、おいゴラァ。か、かわいい女子に囲まれてんじゃねえか」
俺は慌てて周囲に視線を向ける。
だが美琴と風華はいなかった。そういえばさっき考えごとしている途中で離れていた気がする。
ちなみに俺のクラスでの立ち位置は、いつもどんより黒くてよくわからないって感じだと思う。
俺は物静かだ。
ブラックとして活動し始めたもの、こんな性格を変えたいというもの一つだった。
そして話しかけられているのにもかかわらず、こうやって長い間考え事してしまうのも、俺の悪い癖だ。
この間、ごんぞうは律儀に俺の返事を待ってくれている。
意外といい奴かもしれない。
「オイ、答えろよ黒羽」
「そうだ、しゃべりやがれ。黙ってねえでよお」
「ごんぞうさんが聞いてるだろ!」
「二人はただ友達だから」
これは事実だ。美琴も、幼馴染だから俺に話しかけてくれている。
風華さんは、美琴と仲が良いからだ。
するとごんぞうは激昂――ではなくなぜか頬を赤らめた。
「と、友達だとォ!? テメェ……あんなにカワイイ女子を友達呼ばわりできるタイプかよ!」
「え? そうだけど」
「ク、くうぅ!」
「オマエ、ごんぞうさんを虐めたな!」
「ごんぞうさんは、とってもシャイなんだぞ!」
よくわからないが、とにかくそうっぽい。
よく考えたら、高校生にもなって女子と呼んでいる時点で気づくべきだった。
「まあいい。ちょっとお仕置きしなきゃなァ。黒羽ェ」
シャイなごんぞうは、右手に黒い魔力を漲らせた。
これは、魔力だ。
世界各地でダンジョンが出現してから多くの人が能力を得た。
それに応じて学校側もダンジョンや能力のカリキュラムが増え、この学校も例外ではない。
で、俺がなぜこの学校にいるのかというと、間違えたからだ。
名前が四文字違いの学校の願書を取って受かってしまった。
入学テストに能力は使っていないのだが、身体強化系だと判断されたらしく、合格通知にそう書かれていた。
「黒羽ェ!」
ごんぞうは、怒りに任せて俺にぶんっと右腕を振ってくる。
だがそれは、大きく空振りをする。
「……ん? 当たらなかいだと?」
「やっちゃいましょうごんぞうさん!」
「ほら、いきましょ!」
ぶんっ。ぶんっ、ぶんっ。
当然、俺には当たらない。
「な、なんだお前、幻術魔法か!?」
「え?」
とぼけた顔で答える。
ちなみに俺は超高速ブラック残像しているのだ。
これは能力ではなく、ただの身体能力。
「な、なんで当たらねえ! クソ、お前、攻撃を回避する能力か!?」
ちなみに能力についてはクラスメイトでも正式な公表をする必要はない。
誰がどんな能力か見極めるのも、授業の一環でもある。
ちなみに噂ではこのクラスは入学テストが良かった人たちが集められているらしい。
そう思うと、ごんぞうも強いのかもしれない。
「おい、金魚、フーン、お前らもやっちまえ!」
ごんぞうの指示に従い、二人とも同じように魔力を漲らせて殴ってくるが、もちろん当たらない。
俺の呪力は5400レベル。そして10秒あたりの残像速度による瞬間秒速風圧が1秒間で0.035フレーム。
何時間攻撃しても俺は倒せない(言ってみたかった)
「ク、クソ。なら、本気で――」
すると、それに怒ったごんぞうが、固有能力を発動させた。
確か、怪力系のパワータイプで、美琴に似ている。
黒くてカッコイイ。ズルい、俺もそれ欲しい。
俺はブラックとして活動したい一方で、普段は物静かに生きたい。というか、緊張しがちな性格なので事を荒立てたくない。
流石にこれを回避すると、色々とあとが面倒だ。
つまりこの攻撃を食らわなきゃいけない。
……めんどいな。
「おらよォ!」
「――くっ」
それっぽい声を出しながら、頬に拳を少しだけ触れらせる。ちなみにヒットの瞬間に呪力を漲らせたのでダメージはない。
ごんぞうは嬉しそうに歯をニカっと見せる。
後は倒れるだけで終わりだ。
だがそのとき、声が聞こえた。
女の子の声だ。美琴でも、風華でもない。どこか、幼い感じの。
「我が右手よ。世界の理を解放し――弾けろ!」
すると小さな竜のようなものが現れ、ごんぞうの右頬に思い切り突っ込んだ。
そのままごんぞうは吹き飛ばされてごろごろと転がる。
残った竜は天に昇って消えていく。
これは――能力だ。
ふと視線を向けると、そこには小さな小さな女の子が立っていた。
髪の毛がピンク色で、制服を着ているが、今まで見たことがない。
眼帯をしているが、目が悪いのだろうか。
しかしとてもかわいい顔だ。
身長は低いが、どこかハーフのようだ。
まるでお嬢様のような――。
「ふ、つい力が抑えきれず、さっそく人助けをしてしまった」
いや、変なやつだ。だいぶ。
香ばしい感じがする。
するとその後ろから、美琴と風華が現れる。
どうやら誰かから話を聞いてきたらしい。
「黒斗、大丈夫!?」
「黒羽くん!」
「ああ、大丈夫だ」
駆け寄ってくれた後、凄い剣幕で怒っていた。
二人は俺を大切に思ってくれているのだろう。
ありがたい。
だが俺は、ゆっくりとごんぞうに歩み寄り――手を伸ばす。
「――大丈夫?」
罪を憎んでごんぞうを憎まず。こいつも反省しただろう。
「黒羽……こんな俺を、許してくれるのか」
「ああ、俺こそごめん。言い方が悪かったよ。もうこれからは、女子を友達呼ばわりしない」
「……勘違いしてた。お前、いい奴なんだな」
しゅんとするごんぞう。
なんだ。意外といい奴じゃないか。
ごんぞうも思春期だし、色々と葛藤があるのだろう。
そしてごんぞうは俺の手を握り――。
「我が左手よ。神の雷と共に世界を破壊し、ドラゴンストリーム!」
しかしふたたび竜が飛んでくると、ごんぞうにトドメをさした。そのまま気絶し、金魚とフーンが叫ぶ。
ふたたび視線を向けると、先ほどの女の子が、手から煙を出し、ふうと吐いてまるで銃のようにかっこつけていた。
「情けは人の為ならず、悪にお仕置きは必要なのだ」
ごんぞうをキンギョとフーンに任せ、俺は前に出た。
さすがにやりすぎた。確かに殴りかかってきたが、あいつの攻撃は俺に当たっていない。
それに反省もしていた。
「勝負はついてたぞ」
「悪は反省などせぬ。それはそなたがよく知っているだろう。――チョールヌイ」
「……カンチョール? どういう意味――」
「HRの時間だぞ。お前ら座れー」
そのとき、先生が入ってきた。
しかしなぜかさっきの眼帯女子も気づけば前に出ている。
「今日からこのクラスに電撃加入する。水面川ローザだ! よろしくな!」
俺は、怯えていた。
陽キャたちが、元気に二人に声をかけている。
「おお、美琴、風華! ブラックシッヴァルツすげえな!」
「ありがと、まあ、私たちってよりはブラックさんだけどね」
「そうだね。ブラック様は本当に凄いよね」
「くぅー! 正体はわかんねえのか?」
「さあ?」
「なあ、教えてくれよ!」
ブラックシュヴァルツが発足してから、俺――黒羽黒斗ことブラックは美琴と風華さんと共に行動することが多くなっている。
それはいい。それは楽しいからいい。
だが問題は――。
「黒斗、おはよう。どうしたの? 顔色悪くない?」
「おはよう黒羽くん、確かに元気なさそう」
「そ、そうか? 普通だよ。朝からイカ墨ご飯を一合も食べたし、チョコレートも食べてきた。後、黒豆もいっぱい」
「ふうん? あ、ほんとだ。口に黒豆ついてるわよ。ぱくっ」
「左ほっぺにもついてるよ。あ、こっちはチョコレートだった。ぱくっ」
なぜか、なぜか知らないが比例して二人が俺によく構うようになった。
朝、昼、夕方、なんだったらギリギリダンジョン討伐までマコドナルドにいることもある。
……いや、ブラック本体の魅力が、俺みたいなモブに影響しているということだろうか?
そう考えると辻妻が合う。
ブラック、さすがブラック。
「あ、風華さんプリントとりにいかなきゃ」
「ほんとだ。いってくるね」
冷静に考えると、カワイイ二人に迫られているのだ。
これは、黒が白に変わっていると言っても過言ではない。ちなみに何を言っているのかはわからない。
「黒羽、お前最近調子乗ってんじゃねえか」
するとそのとき、2メートルはあるかのような(ない)ガタイのいい男が近づいてきた。
逆毛の黒髪がよく似合っている。
名前は、ごんぞう。最近にしては古風な名前だ。
隣には、男子生徒がいつも二人立っている。
珍しい名前で確か金魚、もう一人はあだ名しか知らないが、フーンと呼ばれていたはず。
「調子?」
「ああ、その、なんだおい、おいゴラァ。か、かわいい女子に囲まれてんじゃねえか」
俺は慌てて周囲に視線を向ける。
だが美琴と風華はいなかった。そういえばさっき考えごとしている途中で離れていた気がする。
ちなみに俺のクラスでの立ち位置は、いつもどんより黒くてよくわからないって感じだと思う。
俺は物静かだ。
ブラックとして活動し始めたもの、こんな性格を変えたいというもの一つだった。
そして話しかけられているのにもかかわらず、こうやって長い間考え事してしまうのも、俺の悪い癖だ。
この間、ごんぞうは律儀に俺の返事を待ってくれている。
意外といい奴かもしれない。
「オイ、答えろよ黒羽」
「そうだ、しゃべりやがれ。黙ってねえでよお」
「ごんぞうさんが聞いてるだろ!」
「二人はただ友達だから」
これは事実だ。美琴も、幼馴染だから俺に話しかけてくれている。
風華さんは、美琴と仲が良いからだ。
するとごんぞうは激昂――ではなくなぜか頬を赤らめた。
「と、友達だとォ!? テメェ……あんなにカワイイ女子を友達呼ばわりできるタイプかよ!」
「え? そうだけど」
「ク、くうぅ!」
「オマエ、ごんぞうさんを虐めたな!」
「ごんぞうさんは、とってもシャイなんだぞ!」
よくわからないが、とにかくそうっぽい。
よく考えたら、高校生にもなって女子と呼んでいる時点で気づくべきだった。
「まあいい。ちょっとお仕置きしなきゃなァ。黒羽ェ」
シャイなごんぞうは、右手に黒い魔力を漲らせた。
これは、魔力だ。
世界各地でダンジョンが出現してから多くの人が能力を得た。
それに応じて学校側もダンジョンや能力のカリキュラムが増え、この学校も例外ではない。
で、俺がなぜこの学校にいるのかというと、間違えたからだ。
名前が四文字違いの学校の願書を取って受かってしまった。
入学テストに能力は使っていないのだが、身体強化系だと判断されたらしく、合格通知にそう書かれていた。
「黒羽ェ!」
ごんぞうは、怒りに任せて俺にぶんっと右腕を振ってくる。
だがそれは、大きく空振りをする。
「……ん? 当たらなかいだと?」
「やっちゃいましょうごんぞうさん!」
「ほら、いきましょ!」
ぶんっ。ぶんっ、ぶんっ。
当然、俺には当たらない。
「な、なんだお前、幻術魔法か!?」
「え?」
とぼけた顔で答える。
ちなみに俺は超高速ブラック残像しているのだ。
これは能力ではなく、ただの身体能力。
「な、なんで当たらねえ! クソ、お前、攻撃を回避する能力か!?」
ちなみに能力についてはクラスメイトでも正式な公表をする必要はない。
誰がどんな能力か見極めるのも、授業の一環でもある。
ちなみに噂ではこのクラスは入学テストが良かった人たちが集められているらしい。
そう思うと、ごんぞうも強いのかもしれない。
「おい、金魚、フーン、お前らもやっちまえ!」
ごんぞうの指示に従い、二人とも同じように魔力を漲らせて殴ってくるが、もちろん当たらない。
俺の呪力は5400レベル。そして10秒あたりの残像速度による瞬間秒速風圧が1秒間で0.035フレーム。
何時間攻撃しても俺は倒せない(言ってみたかった)
「ク、クソ。なら、本気で――」
すると、それに怒ったごんぞうが、固有能力を発動させた。
確か、怪力系のパワータイプで、美琴に似ている。
黒くてカッコイイ。ズルい、俺もそれ欲しい。
俺はブラックとして活動したい一方で、普段は物静かに生きたい。というか、緊張しがちな性格なので事を荒立てたくない。
流石にこれを回避すると、色々とあとが面倒だ。
つまりこの攻撃を食らわなきゃいけない。
……めんどいな。
「おらよォ!」
「――くっ」
それっぽい声を出しながら、頬に拳を少しだけ触れらせる。ちなみにヒットの瞬間に呪力を漲らせたのでダメージはない。
ごんぞうは嬉しそうに歯をニカっと見せる。
後は倒れるだけで終わりだ。
だがそのとき、声が聞こえた。
女の子の声だ。美琴でも、風華でもない。どこか、幼い感じの。
「我が右手よ。世界の理を解放し――弾けろ!」
すると小さな竜のようなものが現れ、ごんぞうの右頬に思い切り突っ込んだ。
そのままごんぞうは吹き飛ばされてごろごろと転がる。
残った竜は天に昇って消えていく。
これは――能力だ。
ふと視線を向けると、そこには小さな小さな女の子が立っていた。
髪の毛がピンク色で、制服を着ているが、今まで見たことがない。
眼帯をしているが、目が悪いのだろうか。
しかしとてもかわいい顔だ。
身長は低いが、どこかハーフのようだ。
まるでお嬢様のような――。
「ふ、つい力が抑えきれず、さっそく人助けをしてしまった」
いや、変なやつだ。だいぶ。
香ばしい感じがする。
するとその後ろから、美琴と風華が現れる。
どうやら誰かから話を聞いてきたらしい。
「黒斗、大丈夫!?」
「黒羽くん!」
「ああ、大丈夫だ」
駆け寄ってくれた後、凄い剣幕で怒っていた。
二人は俺を大切に思ってくれているのだろう。
ありがたい。
だが俺は、ゆっくりとごんぞうに歩み寄り――手を伸ばす。
「――大丈夫?」
罪を憎んでごんぞうを憎まず。こいつも反省しただろう。
「黒羽……こんな俺を、許してくれるのか」
「ああ、俺こそごめん。言い方が悪かったよ。もうこれからは、女子を友達呼ばわりしない」
「……勘違いしてた。お前、いい奴なんだな」
しゅんとするごんぞう。
なんだ。意外といい奴じゃないか。
ごんぞうも思春期だし、色々と葛藤があるのだろう。
そしてごんぞうは俺の手を握り――。
「我が左手よ。神の雷と共に世界を破壊し、ドラゴンストリーム!」
しかしふたたび竜が飛んでくると、ごんぞうにトドメをさした。そのまま気絶し、金魚とフーンが叫ぶ。
ふたたび視線を向けると、先ほどの女の子が、手から煙を出し、ふうと吐いてまるで銃のようにかっこつけていた。
「情けは人の為ならず、悪にお仕置きは必要なのだ」
ごんぞうをキンギョとフーンに任せ、俺は前に出た。
さすがにやりすぎた。確かに殴りかかってきたが、あいつの攻撃は俺に当たっていない。
それに反省もしていた。
「勝負はついてたぞ」
「悪は反省などせぬ。それはそなたがよく知っているだろう。――チョールヌイ」
「……カンチョール? どういう意味――」
「HRの時間だぞ。お前ら座れー」
そのとき、先生が入ってきた。
しかしなぜかさっきの眼帯女子も気づけば前に出ている。
「今日からこのクラスに電撃加入する。水面川ローザだ! よろしくな!」
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気になった方は是非読んでみてください。
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