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16.取り留めのない思考

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今日は婚約者との定例お茶会の日だ。
彼女と婚約してもう何年になるのか。


彼女はあまり口数の多い方ではない。
王子妃教育のせいなのか、感情を表に出すこともあまりない。

人形のような婚約者に、俺はあまり興味を持てなかった。
嫌いではないが、好きでもない。
政治的な結婚はそんなものだ。


俺は第二王子だし、公務もそれほど大事なものは無いし、兄がいずれ王となれば、俺は王弟として公爵を賜る。

それまでの王子妃なのに、彼女も可哀想だな。公爵夫人になれば、少しは彼女も楽になるのだろうか。


けれど、最近彼女が学校で楽しそうにしている姿を見かける。
以前彼女が助けたという伯爵令嬢とその他の令嬢たちとよく一緒にいる。
令嬢たちは、彼女の髪型を真似したり、同じブローチをつけたりしている。

あの小鳥のブローチを気に入っていた様子だったものな。
自分で買ったのか……?

彼女たちのグループはアクアマリンの小鳥のブローチだが、他にはピンクトルマリンのブローチだったり、ペリドットのブローチだったりを襟元につけているようだ。


侯爵令嬢の真似をするのが、今の学校の流行りらしい。
今までは、控えめに過ごしていた彼女が、どんどん輝いていくようだ。

輝く星は人々に愛される。
今まで夜空の隅で、ひっそりと光っていた星が輝き出したら?
それを愛する人が、現れるかもしれない。


-ツヅク-



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