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Case02.

4.図書館は出会いの場なの?

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持ち出しはできない王都図書館では、館内で読むしか無い。

私は仕事が終わると、図書館へ行き、『専属侍女ルシアの奮闘記』を読んでいる。

感想か……公爵令嬢は読んだことあるのかな?
あらすじを教えて欲しいってことなのかな?


本の内容よりも、令嬢に感想を教えなければならないことで頭がいっぱいになっちゃう。
っていうか……いつ話せばいいの?

ぼんやりと館内を見回していると、ひとりの少年が近付いてきた。


「こんにちは。その本、面白いですか?」
「まだ、読み始めたばかりなので……」
「『異世界転生したら悪役令嬢でした。ヒロインと親友になって、断罪は絶対回避します♪』を読んでからじゃないと、面白くないかもよ?」

「そうなんですか?」
「そう、そしてその本を読む前に『悪役令嬢マルガリータは死んだ』を読まないと面白くないかも」

「うっ。そのマルガリータの本が、手違いで予約解除されてしまって……クライマックスのところがまだなの」
「そしたら、読み終わってからの方がいいと思うな」

「ありがとう。詳しいのね」
「そうだね。僕の友だちが好きな本だから、よく話を聞かされるんだよ」
「へぇ~あなたはそれらの本は読んだの?」

「まぁね。面白いかと言われたら……よく分からないけどね」
そう言って少年は笑った。

そうか、この本を読む前に読むべき本があるのか……でも……マルガリータは公爵令嬢が……

「じゃあ、マルガリータを読んでから、もう一冊の本も読んで、それからにするわ。ご親切にありがとうございました」
「お節介かな?とも思ったんだけどね」

「いえいえ。でも、マルガリータは今、他の人が借りてるので、その人が返してからになるの。他に何かオススメの本はある?」
「ん~。『悪役令嬢イザベラの願いは叶わない』は?」

それ、司書さんにもすすめられたやつ!!面白いの?


「他には?」
「僕が読んでるわけじゃないからなぁ。僕のオススメは『領地経営の成功と失敗』かな」

「えっ!それは実用書っていうより、専門書に近いんじゃない?それに領地経営って、領主とか、家令とかが読むものじゃないの?」

「そうか……じゃあ『七国創世記』とかは?」
「7カ国の世界史を頭に叩き込むのは、私の脳みそだとちょっと限界が……」

「そうか……本を薦めるのって、難しいね」
「でも、私が読まないジャンルの本だから、どんな内容なのか少しは気になるけどね」

「今度会えたら、あらすじを話してあげるよ」
「ありがとう。私はジェシカ」
「僕はアレク」
「アレクね!分かった。またね」

アレク、また会えるかな?
アクアマリンの目が綺麗だったな~♡
肌が白くてさ、まるでウサギみたい♡


-つづく-


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