王立学園食堂部にて〜没落令嬢は観察中〜

yanako

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Case04.

4.グリズリーによる聴取はつづく

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「その……男性調理員たちは、既婚者なのだろうか?」
マイケル=グリズリーが訊いてくる。 

「既婚者もいますが、独身者もいます」
「何!」

何!って何?
作業進まないんだけど!

「独身者は、何歳だ?」
「40歳と……26歳……だったかな?」
「範囲じゃないか!!」

マイケル=グリズリーは落ち着きなくウロウロし始めた。

まるで、春のクマ。

「範囲って、年齢ですか?」
「どんな性格なんだ?」

「40歳の方は、普段はもの静かな人なのですが、お酒が入ると人が変わるそうです」
「人が変わる?酒乱か?」

「甘えん坊の赤ちゃんになっちゃうみたいです」
「赤ちゃん……」
「見たことはないんですけど」

黙り込むマイケル=グリズリー

私は黙々と芋を洗う。

「26歳の方は?どうだ?」
「男爵家の方ですよ?」
「貴族か!!」
「はい。でも三男なので、手に職が必要だって言ってました」

「性格は?」
「性格??優しいですよ」
「婚約者は?」
「結婚はしたくないそうですよ」
「そ、そうか」

少し表情がやわらいだマイケル=グリズリー

「もう……いいですか?遅くなると、主任に怒られるので」
もう仕方ない。これ以上、無駄話に付き合っていられない。
芋は沢山あるのだ。


「その……ステラは結婚の話はしたりはしないのか?」
「しませんねぇ。私は下っ端だし。主任は常に忙しそうだし」

「誰か、そういう話をする間柄の人はいないか?」
「ん~。私は分からないです。マーガレット様にプリンを教えてくれたマリアさんなら知ってるかもですけど」

「そ、そうか」
「でも、口硬いですよ?マリアさん」

もういい?いいよね?

「彼女の食堂は、夜は何時までだ?」
「マリアさんのお店ですか?11時までですけど。夜はお酒出すので」

マリアさん、ごめん!
マイケル=グリズリーが襲来するかもです……


「もういいですか?」
洗い終えた芋を、厨房に運ばなければならないのだ。

「俺が運ぼう」
マイケル様が言った。



「ダメです!ダメです!部外者の方に運んでもらうわけにはいきません」
「だが、重いだろう?」

「数回に分けて運びますから、大丈夫です。本当に」
「だが」

マイケル様は引かない。
なんでよ?

すると、私を呼ぶ声がした。

「ジェシカ!芋はまだかって、主任が。あと、王子が来るって、毒見役が来てるぞ。お前、王子に呼ばれるんじゃないか?」

呼びに来たのは、先程話題に登場した、トーマス・パトリック男爵令息26歳ではないですか!


トーマスさんは、マイケル様を見て、それから私を見て、もう一度マイケル様を見て、会釈をした。

「ジェシカが何か失礼を致しましたでしょうか」
「いや。話を聞いていた」
「そうでしたか」

トーマスさんはマイケル様に言うと

「ジェシカ!早く戻れ!王子来たらどうすんだ?」
と私に言った。

「分かりました。も、戻ります」
私は慌てて芋を桶に入れた。

「お前、多すぎじゃねえか?運べないだろ」
トーマスさんは呆れた顔をして、桶を持ってくれた。

「では、失礼致します」
私はマイケル様に挨拶をすると、厨房へと急いだ。

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