幻冬のルナパーク

彼女の実家

私たちは玄関ではなく縁側から家の中に入った。中は畳の敷かれた８畳の部屋になっていて、小さな布団に赤ん坊が横になっていた。


「わー、渉、元気そうね。会いたかったわ」絵海が喜びの声をあげた。


「ちっちゃいね。可愛いなあ」私も赤ん坊の顔をのぞき込んで言った。


「今、生後半年で、首がすわって、自分でうつ伏せになったりするよ。おかげであんまり目が離せないの」早苗が言った。


「じゃあ次はお座りね。楽しみ」絵海が言った。


「もう、お姉ちゃんはいつも気が早いよ。そうだ、シャボン玉吹いてくれない？　そろそろ渉も反応するかなと思って、こないだ買って来たんだ。そこに置いてあるから」


早苗が縁側の隅の方を指さして言った。


「ええ、いいわよ」


　早苗が渉を膝の上に抱き、私たちは縁側に腰かけた。

絵海がそばに置いてあった小さな袋を持ってきて、私と早苗の間に座った。