騎士王マルス ～始まりの歌～

序章 目指せ！夢の楽園

７年目 ようこそ、共有（後編）

前回の進化から半年後、失敗に終わった進化を、魂の共有まで高めてみようと考えていた。
たぶん他の兄弟からは大幅に遅れを取っただろう。



しかし、ミッドは そこまで気にしていなかった。


前回の失敗は、今回の成功に繋がってくれるはずだから。
それに、ナインと意思を共有できれば、楽しいに違いない。なぜなら、ナインは、よく笑っているし、いつ、どこにいても、ミッドを見つけてくれる。







そんなある日、周囲を湿った空気が多い尽くす。

今回ほど、待ちに待った進化は、初めてだろう。




ミッドは、ナインとの魂の共有の能力を手に入れることにした。


（これで、ナインにゆっくり説明していけば、きっと理解してもらえる。）



ミッドは、ナインが目を覚ますのを待った。



暗闇の中、ナインが目を覚ます。



「マママ、ぱい、ぱーい。」


（・・・ナインの考えていることが分からない。またも失敗かな？）


しかし、ミッドは自身に起きている事態に気づいた。






そこで、やっとミッドは、理解した。

今回の進化は、大好きなナインを傷つける進化だったかもしれないと。



ナインと魂を共有したことで、ナインが生まれ持った性質や、特殊技能スキルを理解できた。

しかし、それと同時に、力の強いミッドが、生まれたばかりのナインの特殊技能スキルを奪ってしまったことも分かった。
逆に、ナインに残された特殊技能スキルは、ミッドが生まれつき持っていた能力である、封印術と隠蔽術だけである。

ナインは、この過酷な環境の中で、周囲の能力を無効化するだけの力と、触れる者の存在を隠すだけの力しか使えない。


・・・おそらく、ナインは、進化の風の恩恵も受けれない、ミッドの知る、世界最弱の生物となってしまっただろう。



しかし、魂の共有を解除することも、難しいかもしれない。
もし、魂の共有を解除すれば、ナインの特殊技能スキルを奪ったように、力の強いミッドが、ナインの命を奪ってしまうかもしれない。




ミッドは激しく後悔した。

ミッドは、次の進化の風で、ナインを助ける為に、全知の知識を得ることに決めた。