目指せ地獄の門 ~改訂版~

一章・成長日記

５歳

「初めまして。僕の名前はエイト。エイト＝アテラティッツ＝タイタン。君の名前は？」


少年は、ふわふわと浮かぶ、君の魂に話しかける。

君の返事が伝わらないのか、エイト少年は、君に一方的に語り掛ける。




「僕は、主父あるじ様の元で地獄の門を目指す修行をしているんだよ。
　なぜ修行をしているかは、僕と主父あるじ様の二人だけの秘密なんだ。」


「主父あるじ様は、僕の修行に、女神様や天使様を呼んでくれるんだけど、たまに試験として、低級悪魔まで呼んでくれることがあって、そのたびに、女神様に怒られているんだ。」



「ちなみに僕の修行の内容は、主父あるじ様は、簡単な魔法と変身術を教えてくれる。
　お母さんみたいに綺麗な女神様は、剣の技や戦い方を教えてくれて、天使様は、悪魔に対する知識や その防御魔法。他には 礼儀作法まで、いろいろ教えてくれるんだよ。
　・・・天使様は、おみやげで変な薬の試飲を進めてくるんだけど、そのおかげで、ほぼ全ての毒を感知できるようになったんだ。」



エイト少年は、友達がいないのだろうか、飽きることなく一方的に話を進めている。




「僕のお気に入りは、女神様に教えてもらう剣の技だよ。お母さんみたいに綺麗で優しいから、とかじゃないよ。・・・たぶん。
　女神様と剣の修行は、いっつも手さぐりな状況での修行になるんだけど、それが楽しいのかな？」



「なぜって？それは、主父あるじ様が僕にくれた、主父あるじ様が特別に鍛えたカタナという片刃の剣なんだけど、女神様の使っている剣の技とは違うようで、いつも研究をしながら学んでいるからだよ。
　ちなみに、僕の生まれた国の武器だそうだよ。君は知ってる？」

エイト少年は、日本刀を取り出し、君に見せてくれた。
その刃は、鈍く輝き美しい波紋がある。立派な代物であると、直感的に感じさせる日本刀だ。



「だけど、・・・主父あるじ様は、きまぐれで、試験は、棍棒や槍を渡される事が多いんだよね。






部屋の外から、低い男の声が聞こえる。


「エイト、いま帰ったよ！こっちへおいで。今日は女神も来ないから、どれぐらい強くなったか、低級悪魔と戦ってみよう。お父さんが捕まえてきた、レヴィアタンという可愛い蛇だよ。」





あっ！、主父あるじ様だ！

「はい、お父さん！いますぐ行きまーす！」




「へへへっ、二人だけの時は、お父さんって呼んでるんだ。
　それに蛇は、この前、戦ってみて負けたんだけど、女神様に特訓してもらったから、今度は倒せるかもしれない！」

「なんだか楽しみだな♪」





エイトは、鼻歌交じりで、嬉しそうに部屋を出ていく。









「ギャーーーーー！」





どうやら、勝てそうにない相手だったようだ・・・。