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4章・冒険者の休息
第2泊 最新型機械
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~ハロルド商会~
「お客様が減ったな。」
先日の人気が嘘のように、お客が一人もいなくなっている。
店の中には、レヴィア、ミザリ、ハロルド商会会長のハロルドの3人だけだ。
ミザリとレヴィアは、コソコソと話し合っている。
「レヴィア姉さん。さっさと迷宮に行こうよ。ちょっと息苦しい感じなんだよね。」
「仕方ないだろ。エイトが昨日の夜から、命名した樽を持って遊びに行ってしまったんだから。」
「樽って何するの?」
「いや、まったく聞いてないよ。すぐ戻るって言ってたけど。」
「えー。なにそれ。」
コソコソと話をする2人に、ハロルドが話しかける。
「あの、静かな店内だから、よく二人の会話が聞こえてくるよ。」
「「・・・。」」
「なら隠す必要もないな。」
「そうだね。」
開き直ったレヴィアとミザリ、しかし、いざ話をしようにも話題になるような話もない。
ため息交じりの深い呼吸をして、ハロルドが話しかけてくる。
「はあ、・・・ミザリ、何か儲け話はないかな?」
「そんなこと、急に言われても・・・。レヴィア姉さんは?」
「いや、まったくないね。」
3人だけの静寂の時が続く。
すると、静寂の時を切り裂くように、勢いよく 店のドアが開く。
ドアの方を見ると、小ぶりな酒樽を抱えたエイトが笑顔で立っていた。
「おまたせ!」
「ああ、エイトくんか、いらっしゃい。」
「ハロルドさんにプレゼント持ってきましたよ!」
エイトの抱えている、酒樽を見ながら、ため息をつくハロルド。
「ああ、ちょうど飲みたい気分だったんだ。」
エイトは 笑いながら、店のカウンターに 小ぶりな酒樽を設置する。
レジの置いてあるカウンターに置かれた酒樽に嫌な顔をするミザリ。
「エイト、そこに置くと邪魔だよ。もうちょっと、端に置いてほしいな。」
ミザリの話を無視して、どんどんと準備を進めるエイト。
準備中も ずっとニヤニヤしていて気持ち悪い。
酒樽の設置が終わったのか、エイトはミザリに声を掛ける。
「何かいい香りのするものを貸してよ。」
ミザリは、奥からイチゴを持ってきた。
「銀貨8枚です。」
エイトは、無視して樽の蓋をずらし、イチゴをいれ、20秒ほど待ち、下の蛇口をひねる。
蛇口からは、透明な液体が落ちてきた。
「エイトくん、無色のイチゴ酒でもできるのかな?」
ハロルドは、すこし興味が沸いてきた。
「いいえ、これは自分で香水を作る装置、≪アロマスライム香水機≫です!」
エイトの答えを聞くと、ハロルドが目をキラキラと輝かせる!
「おおおお!いい!いいよ!いくらで買い取ればいいかな!?」
「みんなに迷惑をかけたみたいだし、無料でいいですよ。」
「いやいや、無料は怖い。この装置の権利を、銅貨1枚で買い取ろう!」
ミザリは、父ハロルドのケチケチした価格設定に呆れている。
「やめてよ、そんな汚いまね。
エイト、この機械の出した売り上げの10%で契約したらどう?」
ミザリの意見に、なぜかレヴィアが同意する。
「よし!そうしよう!
ハロルド、その内容で契約書を作ってくれ。ミザリは、王国に特別販売許可証を申請にいってくれ。」
「面白そうだね。設計図を書いて、明日の朝一番には、申請が通るようにするよ!」
「ああ、私は15分で仕上げるから!さっそく稼働開始だ!」
盛り上がる商人3人組、エイトは 完全に蚊帳の外だ。
「あの、好意だったんだけど・・・。」
簡単な看板を作り上げ、ハロルドは さっそく呼び込みを始める。
ウィンター商会に流れていた客や、通りを歩く人まで、面白さに集まって来る。
利用料は、素材1つにつき銀貨50枚、素材は各自持ち込みでブレンドしたオリジナル香水が作れる。口コミで広がり、昼過ぎには 店の外にまで並ぶ超満員状態になった。
「奥様は何を持ってきたの?」
「ええ、私は王国バラの花束を持ってきたのよ。奥様は?」
「まあ、素晴らしいわね。私は、南国水晶の花束よ。」
そんな会話をしながら、店の中も外も大賑わいだ。
騒ぎを聞きつけて、ウィンター商会のウィンター会長が駆け込むようにやってくる。
「やあ、ハロルド、いい商品を仕入れたようですな。」
「ええ、旅の行商人から1台購入したんですよ。」
ウィンターは、エイトを見つける。
「なるほど。」
ウィンターは、エイトに近づくと小声でエイトに 話しかける。
「ハロルドは、いくらで契約したのかな?
この装置、うちの管理する国内の小売店すべてに導入してあげてもいいんだけれど。」
ウィンターとエイトの間に ミザリが割って入る。
「エイト、うちの購入価格の1台、金貨1000枚より安くしてあげなよ。
ウィンター商会さんは、大きな商会で30台近く見込めるよ。」
ウィンター会長は、瞬時に計算し間を空けることなくエイトに提案してくる。
「ほうほう、1000枚か、・・・それなら、30台で、25000枚で購入しよう。」
レヴィアも 交渉の場に参戦する。
「いいんじゃないか。
でもその売り方では、メンテナンス料として 売り上げに対して10%の売り上げ手数料がかかるだろ。
王国内に30台も設置するなら、私たちだけで管理するのも時間がかかるし、売り切りで30台、32000枚の方が喜ぶんじゃないかな。」
ウィンターは、足元をみられ、少し嫌な顔をする。
しかし、聡明な判断の結果、合意することになった。
「よ、よろしい。その価格で契約しよう。」
レヴィアは、笑顔でウィンター会長と握手を交わす。
「まいど、ありがとうございました。
明後日の夕方にはお持ちできると思いますが、陸路での搬送なので、道路状況によっては、若干の誤差がでます。」
「明後日の朝までに頼む。16:00より早く着けば、1時間0.4%の手間賃を上乗せしよう。」
ウィンターは、その場で契約書を作成し、準備のためだろうか、急ぎ足で店を出て行った。
エイトには、不安な点が2つほどあった。
不安そうな顔をしているエイトが ハロルドに質問する。
「ライバルの店に機械を売ってもいいの?」
「いや、これでいいんだよ。
最大手のウィンター商会が手を付ければ、模造品は作れなくなるから、逆に安心なんだ。
明日の夕方までに、稼げるだけ稼ごう。」
ミザリも奥の倉庫から香水を持ってくる。
「香水の価格が暴落するだろうね。今のうちにセットで売り捌こうよ。」
レヴィアは、エイトの腕を引き店を出ようとする。
「さあ、エイト、私たちも≪アロマスライム香水機≫を作りに行こう!」
「でも、どうやって運ぶの?」
エイトが2つ目の不安な点を質問する。
はっ!とした表情になり、気が付くレヴィア。
ミザリは、2人の会話を聞きながら助言する。
「四次元ポシェットがあるじゃない!」
ミザリが笑顔で四次元ポシェットを指さすが、レヴィアは まったく笑っていなかった。
エイトがミザリに簡単に説明する。
「四次元ポシェットに、生き物は入れれないんだよ。」
~ to be continued
【補足】
・アロマスライム香水機
液体を保存する樽。樽は小ぶりだが、中身が入ると かなりの重量になる。
樽の中には、アロマスライムが入っており、樽の上部から入れた物を、香水に変える。
アロマスライムは、物を香水に変える際に、少しずつ縮んでしまうので、メンテナンスとして定期的に緑光苔を入れる必要がある。
・特別販売許可証
この販売証を保有することで、アロマスライム香水機を他の人が真似をすることができなくなる。もし類似品を作ったことが認められれば、王国からの罰金として、金貨5000枚、売り上げの全て、許可証の所有者から購入した場合の金額の5倍が課せられ、類似品は全て回収後に破棄される。
許可証の所有者は、王国特別販売局に申請すれば、罰金の10%を受け取ることができる。
・王国バラ
香りが良く、見た目にも美しい植物。
王宮内での栽培のみで、一般人が手にすることはできない。
・南国水晶
爽やかな香りで、花弁は水晶のように透明で美しい植物。
南からの行商人が鉢ごと運び込み、販売している。
南国水晶の花は、1本、金貨1枚の値段がつくほど人気がある。
・四次元ポシェット
四次元ポシェットの定義が、「物を収めることができる。」なので、生き物(アロマスライム)や、者(命名した樽)は、運べない。
物(命名前の樽)を運ぶことはできる。
「お客様が減ったな。」
先日の人気が嘘のように、お客が一人もいなくなっている。
店の中には、レヴィア、ミザリ、ハロルド商会会長のハロルドの3人だけだ。
ミザリとレヴィアは、コソコソと話し合っている。
「レヴィア姉さん。さっさと迷宮に行こうよ。ちょっと息苦しい感じなんだよね。」
「仕方ないだろ。エイトが昨日の夜から、命名した樽を持って遊びに行ってしまったんだから。」
「樽って何するの?」
「いや、まったく聞いてないよ。すぐ戻るって言ってたけど。」
「えー。なにそれ。」
コソコソと話をする2人に、ハロルドが話しかける。
「あの、静かな店内だから、よく二人の会話が聞こえてくるよ。」
「「・・・。」」
「なら隠す必要もないな。」
「そうだね。」
開き直ったレヴィアとミザリ、しかし、いざ話をしようにも話題になるような話もない。
ため息交じりの深い呼吸をして、ハロルドが話しかけてくる。
「はあ、・・・ミザリ、何か儲け話はないかな?」
「そんなこと、急に言われても・・・。レヴィア姉さんは?」
「いや、まったくないね。」
3人だけの静寂の時が続く。
すると、静寂の時を切り裂くように、勢いよく 店のドアが開く。
ドアの方を見ると、小ぶりな酒樽を抱えたエイトが笑顔で立っていた。
「おまたせ!」
「ああ、エイトくんか、いらっしゃい。」
「ハロルドさんにプレゼント持ってきましたよ!」
エイトの抱えている、酒樽を見ながら、ため息をつくハロルド。
「ああ、ちょうど飲みたい気分だったんだ。」
エイトは 笑いながら、店のカウンターに 小ぶりな酒樽を設置する。
レジの置いてあるカウンターに置かれた酒樽に嫌な顔をするミザリ。
「エイト、そこに置くと邪魔だよ。もうちょっと、端に置いてほしいな。」
ミザリの話を無視して、どんどんと準備を進めるエイト。
準備中も ずっとニヤニヤしていて気持ち悪い。
酒樽の設置が終わったのか、エイトはミザリに声を掛ける。
「何かいい香りのするものを貸してよ。」
ミザリは、奥からイチゴを持ってきた。
「銀貨8枚です。」
エイトは、無視して樽の蓋をずらし、イチゴをいれ、20秒ほど待ち、下の蛇口をひねる。
蛇口からは、透明な液体が落ちてきた。
「エイトくん、無色のイチゴ酒でもできるのかな?」
ハロルドは、すこし興味が沸いてきた。
「いいえ、これは自分で香水を作る装置、≪アロマスライム香水機≫です!」
エイトの答えを聞くと、ハロルドが目をキラキラと輝かせる!
「おおおお!いい!いいよ!いくらで買い取ればいいかな!?」
「みんなに迷惑をかけたみたいだし、無料でいいですよ。」
「いやいや、無料は怖い。この装置の権利を、銅貨1枚で買い取ろう!」
ミザリは、父ハロルドのケチケチした価格設定に呆れている。
「やめてよ、そんな汚いまね。
エイト、この機械の出した売り上げの10%で契約したらどう?」
ミザリの意見に、なぜかレヴィアが同意する。
「よし!そうしよう!
ハロルド、その内容で契約書を作ってくれ。ミザリは、王国に特別販売許可証を申請にいってくれ。」
「面白そうだね。設計図を書いて、明日の朝一番には、申請が通るようにするよ!」
「ああ、私は15分で仕上げるから!さっそく稼働開始だ!」
盛り上がる商人3人組、エイトは 完全に蚊帳の外だ。
「あの、好意だったんだけど・・・。」
簡単な看板を作り上げ、ハロルドは さっそく呼び込みを始める。
ウィンター商会に流れていた客や、通りを歩く人まで、面白さに集まって来る。
利用料は、素材1つにつき銀貨50枚、素材は各自持ち込みでブレンドしたオリジナル香水が作れる。口コミで広がり、昼過ぎには 店の外にまで並ぶ超満員状態になった。
「奥様は何を持ってきたの?」
「ええ、私は王国バラの花束を持ってきたのよ。奥様は?」
「まあ、素晴らしいわね。私は、南国水晶の花束よ。」
そんな会話をしながら、店の中も外も大賑わいだ。
騒ぎを聞きつけて、ウィンター商会のウィンター会長が駆け込むようにやってくる。
「やあ、ハロルド、いい商品を仕入れたようですな。」
「ええ、旅の行商人から1台購入したんですよ。」
ウィンターは、エイトを見つける。
「なるほど。」
ウィンターは、エイトに近づくと小声でエイトに 話しかける。
「ハロルドは、いくらで契約したのかな?
この装置、うちの管理する国内の小売店すべてに導入してあげてもいいんだけれど。」
ウィンターとエイトの間に ミザリが割って入る。
「エイト、うちの購入価格の1台、金貨1000枚より安くしてあげなよ。
ウィンター商会さんは、大きな商会で30台近く見込めるよ。」
ウィンター会長は、瞬時に計算し間を空けることなくエイトに提案してくる。
「ほうほう、1000枚か、・・・それなら、30台で、25000枚で購入しよう。」
レヴィアも 交渉の場に参戦する。
「いいんじゃないか。
でもその売り方では、メンテナンス料として 売り上げに対して10%の売り上げ手数料がかかるだろ。
王国内に30台も設置するなら、私たちだけで管理するのも時間がかかるし、売り切りで30台、32000枚の方が喜ぶんじゃないかな。」
ウィンターは、足元をみられ、少し嫌な顔をする。
しかし、聡明な判断の結果、合意することになった。
「よ、よろしい。その価格で契約しよう。」
レヴィアは、笑顔でウィンター会長と握手を交わす。
「まいど、ありがとうございました。
明後日の夕方にはお持ちできると思いますが、陸路での搬送なので、道路状況によっては、若干の誤差がでます。」
「明後日の朝までに頼む。16:00より早く着けば、1時間0.4%の手間賃を上乗せしよう。」
ウィンターは、その場で契約書を作成し、準備のためだろうか、急ぎ足で店を出て行った。
エイトには、不安な点が2つほどあった。
不安そうな顔をしているエイトが ハロルドに質問する。
「ライバルの店に機械を売ってもいいの?」
「いや、これでいいんだよ。
最大手のウィンター商会が手を付ければ、模造品は作れなくなるから、逆に安心なんだ。
明日の夕方までに、稼げるだけ稼ごう。」
ミザリも奥の倉庫から香水を持ってくる。
「香水の価格が暴落するだろうね。今のうちにセットで売り捌こうよ。」
レヴィアは、エイトの腕を引き店を出ようとする。
「さあ、エイト、私たちも≪アロマスライム香水機≫を作りに行こう!」
「でも、どうやって運ぶの?」
エイトが2つ目の不安な点を質問する。
はっ!とした表情になり、気が付くレヴィア。
ミザリは、2人の会話を聞きながら助言する。
「四次元ポシェットがあるじゃない!」
ミザリが笑顔で四次元ポシェットを指さすが、レヴィアは まったく笑っていなかった。
エイトがミザリに簡単に説明する。
「四次元ポシェットに、生き物は入れれないんだよ。」
~ to be continued
【補足】
・アロマスライム香水機
液体を保存する樽。樽は小ぶりだが、中身が入ると かなりの重量になる。
樽の中には、アロマスライムが入っており、樽の上部から入れた物を、香水に変える。
アロマスライムは、物を香水に変える際に、少しずつ縮んでしまうので、メンテナンスとして定期的に緑光苔を入れる必要がある。
・特別販売許可証
この販売証を保有することで、アロマスライム香水機を他の人が真似をすることができなくなる。もし類似品を作ったことが認められれば、王国からの罰金として、金貨5000枚、売り上げの全て、許可証の所有者から購入した場合の金額の5倍が課せられ、類似品は全て回収後に破棄される。
許可証の所有者は、王国特別販売局に申請すれば、罰金の10%を受け取ることができる。
・王国バラ
香りが良く、見た目にも美しい植物。
王宮内での栽培のみで、一般人が手にすることはできない。
・南国水晶
爽やかな香りで、花弁は水晶のように透明で美しい植物。
南からの行商人が鉢ごと運び込み、販売している。
南国水晶の花は、1本、金貨1枚の値段がつくほど人気がある。
・四次元ポシェット
四次元ポシェットの定義が、「物を収めることができる。」なので、生き物(アロマスライム)や、者(命名した樽)は、運べない。
物(命名前の樽)を運ぶことはできる。
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