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6章・変革の時
第7話 レイザー=フォックス
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~秘密の決起、翌日~
決起の翌日、朝からレイザーはエイトの元を訪ねていた。
どうやら、師事していた魔法をもっと磨くために、エイトの元を訪れているようだ。
「エイト、もっと魔法を効率よく使うには どうすればいいんだ?」
「魔法の効率化?」
「そう、私の武器は、細剣の2刀流だから、なかなか魔法との両立が難しいんだ。」
「そうだな。例えば、魔法石を武器に錬金して、その武器に魔法をかけて攻撃する方法なんてどうかな?」
「武器に魔法をかける?」
「そう、僕も思いつきだから成功するかも分からないけど、もし魔法を付与して維持できれば、両手が塞がっていたとしても 戦闘に支障なく魔法の恩恵を得られると思うんだよね。
魔法石は、魔法玉の原料だし、鉄に近い硬度もあるから、うまくいけば必殺の武器になると思うけど。」
エイトの思いつきは、根拠に基づいての思いつきである。レイザーは、そのことを冒険中に十分に理解していた。
そこに、風呂上がりのレヴィアが、頭を拭きながら口を挟む。
「面白い発想だね。魔装具で属性が付与されている武器もあるけれど、敵に対策をたてられては マイナス効果でしかなかったからね。
その点、詠唱魔法と連動すれば、敵の虚をつくこともできるね。」
「たしかに、2人の言う通りかもしれないな。
しかも、連続で攻撃を加える細剣と魔法効果の相性は良さそうだな。」
レイザーも納得しているようすだ。
その反応をみて、レヴィアがレイザーに向かって両手を出す。
「必ず成功させるから、武器を貸してよ。」
レイザーは、細剣(愛しのエリー、愛しのマリー)をレヴィアに預ける。
細剣(愛しのエリー、愛しのマリー)を預かったレヴィアは、魔法石と武器をそれぞれ錬金する。
錬金は 柄や鞘の彫刻は見た目を変えず錬金したようだ。
レヴィアは、満面の笑みで出来上がった細剣に命名する
「出来た!この剣は、愛しのエリー、愛しのマリーだ!」
「見た目は変わらない気がするが・・・。」
「レイザー、見た目が変わらないように頑張ったんだよ!
あとは命名もしておいたから、レイザーが使い込むしかないけどね。」
レイザーは、愛しのエリーに魔法をかけてみる。
レイザー「炎の矢(LV1)」
愛しのエリーは、炎を纏い 炎の魔法剣となる!
エイトは、燃え盛る細剣を見て、興奮している。
「凄い!大成功だ!・・・かな?」
しかし、炎は剣を振るうと消えてしまう。
「ちょっと私の魔力では、剣に魔力を注ぎながら攻撃するのは 難しそうだ。」
レイザーの困った表情をみながら、自信満々のレヴィアが声をかける。
「なるほど・・・。
しかし、そう言うと思って、持ち手の部分にも魔法石を含ませてるんだ。次は武器を構えながら発動してみたらどうかな。」
「わかった。やってみよう。」
レイザーは集中して、魔法を詠唱する。
「炎の矢(LV1)」
剣の柄を通り、刀身に魔法が反映される。
先ほどより、長持ちしたとはいえ実用には至らないレベルだ。
「ごめん。レイザー。」
エイトが気まずそうに、軽く頭を下げる。
「いや、謝ることはない。私の魔力が足りないのだろう。
次に会う時までには、魔法の剣を確立させるから。」
レイザーは、二人に礼をいい、部屋を後にした。
その後、レイザーは 墓参りをした後、迷宮の入り口に立つ。
迷宮の入り口には、見慣れた人影が見えた。
「やあ、誰か一緒に修行をする冒険者を探してたんだ。」
「アレン隊長!」
「ああ、固くなる必要はないよ。
いまは、ウィンター商会のパーティから抜けてフリーの冒険者をしてるんだ。」
「そうなのか、でもなぜ?」
「ああ、うちの姉の受けた恩を返すために、遺志を継いで会長の下で傭兵をやっていたんだけど、会長から恩を返してもらったと言ってもらえたからね。
正式にレヴィア団の一員になる為に修行をし直そうと思ってね。」
アレンは、すこし照れながらレイザーに説明する。
「では、一緒に修行をしよう。私も魔法剣を習得するために、実践を兼ねて修業をしようと思っていたんだ。
よろしく、アレン。」
そう言って、レイザーは握手を求め右手を差し出す。
アレンは、照れながらレイザーの手を握り返しながら言った。
「・・・その、すまない。
本名は、フラウ=ロンリアス。アレンは、姉の名前なんだ。」
「・・・そうか、わかった。冒険者にも色々事情があるからな、宜しく、フラウ。」
「よろしく、レイザー」
~3年後~
迷宮近くの酒場にて・・・。
武者修行の最中だろうか、体格の良い男が酒場で飲んでいる冒険者に声をかけている。
「おい、この付近で一番強い冒険者は誰だ?」
「そりゃ、レヴィア団のエイトだろ。」
「だろうな、もう何年も活動してないけど、最強の冒険者だぜ。」
酒場で飲んでいる冒険者たちは、レヴィア団のエイトと口々に話している。
それを一通り聞くと、体格の良い武者修行の男が口を開く。
「じゃあ、俺が そいつを殺せば一番になるんだな。」
酒場の入り口に、店に入ってきたばかりの2人組の冒険者が立つ。
2人組の冒険者は、外が雨だったからだろうか、フードをかぶっており、顔を確認することはできない。
その2人組の冒険者のうち一人が、フードをあげ、武者修行の冒険者に声をかける。
「辞めておけ。行くだけ無駄だぞ。」
「なんだと!
おい、女だからって舐めた口きいてると、殺すぞ!」
「おい!誰が誰を殺すって!」
フードをあげた冒険者はフラウのようだ。
フラウは、怒りに身を任せ、筋肉を膨張させる。
フラウの姿をみた冒険者たちが、口々に話し始める。
「狂戦士フラウじゃねーか・・・。」
「てことは、後ろの冒険者は・・・。」
「本物かよ!こいつ死んだな・・・。」
武者修行の男にも冒険者たちが話をする声が聞こえてきたのだろう、あきらかに動揺している様子を感じる。
「や、や、やんのか!」
後ろの男もフードをあげる。
そこには、髪を少し伸ばし 後ろで結んでいるので雰囲気は違うようだが、レイザーで間違いないだろう。
レイザーは 腰の細剣に手を当てながら、ゆっくりと近づき、武者修行の男の肩に手を置く。
「やめとけ。わしが、なだめてやるから。」
「あ、あ、あなた様は、魔法剣の開祖、月夜のレイザー様ですね。」
武者修行の男は、崩れるように その場に座り込む。
フラウは、筋肉の膨張を解除し、レイザーに質問する。
「レイザー、この男も レヴィア団の仲間なのか?」
「いや、わしも知らない男だが、戦う必要はないだろう。・・・な。」
決起の翌日、朝からレイザーはエイトの元を訪ねていた。
どうやら、師事していた魔法をもっと磨くために、エイトの元を訪れているようだ。
「エイト、もっと魔法を効率よく使うには どうすればいいんだ?」
「魔法の効率化?」
「そう、私の武器は、細剣の2刀流だから、なかなか魔法との両立が難しいんだ。」
「そうだな。例えば、魔法石を武器に錬金して、その武器に魔法をかけて攻撃する方法なんてどうかな?」
「武器に魔法をかける?」
「そう、僕も思いつきだから成功するかも分からないけど、もし魔法を付与して維持できれば、両手が塞がっていたとしても 戦闘に支障なく魔法の恩恵を得られると思うんだよね。
魔法石は、魔法玉の原料だし、鉄に近い硬度もあるから、うまくいけば必殺の武器になると思うけど。」
エイトの思いつきは、根拠に基づいての思いつきである。レイザーは、そのことを冒険中に十分に理解していた。
そこに、風呂上がりのレヴィアが、頭を拭きながら口を挟む。
「面白い発想だね。魔装具で属性が付与されている武器もあるけれど、敵に対策をたてられては マイナス効果でしかなかったからね。
その点、詠唱魔法と連動すれば、敵の虚をつくこともできるね。」
「たしかに、2人の言う通りかもしれないな。
しかも、連続で攻撃を加える細剣と魔法効果の相性は良さそうだな。」
レイザーも納得しているようすだ。
その反応をみて、レヴィアがレイザーに向かって両手を出す。
「必ず成功させるから、武器を貸してよ。」
レイザーは、細剣(愛しのエリー、愛しのマリー)をレヴィアに預ける。
細剣(愛しのエリー、愛しのマリー)を預かったレヴィアは、魔法石と武器をそれぞれ錬金する。
錬金は 柄や鞘の彫刻は見た目を変えず錬金したようだ。
レヴィアは、満面の笑みで出来上がった細剣に命名する
「出来た!この剣は、愛しのエリー、愛しのマリーだ!」
「見た目は変わらない気がするが・・・。」
「レイザー、見た目が変わらないように頑張ったんだよ!
あとは命名もしておいたから、レイザーが使い込むしかないけどね。」
レイザーは、愛しのエリーに魔法をかけてみる。
レイザー「炎の矢(LV1)」
愛しのエリーは、炎を纏い 炎の魔法剣となる!
エイトは、燃え盛る細剣を見て、興奮している。
「凄い!大成功だ!・・・かな?」
しかし、炎は剣を振るうと消えてしまう。
「ちょっと私の魔力では、剣に魔力を注ぎながら攻撃するのは 難しそうだ。」
レイザーの困った表情をみながら、自信満々のレヴィアが声をかける。
「なるほど・・・。
しかし、そう言うと思って、持ち手の部分にも魔法石を含ませてるんだ。次は武器を構えながら発動してみたらどうかな。」
「わかった。やってみよう。」
レイザーは集中して、魔法を詠唱する。
「炎の矢(LV1)」
剣の柄を通り、刀身に魔法が反映される。
先ほどより、長持ちしたとはいえ実用には至らないレベルだ。
「ごめん。レイザー。」
エイトが気まずそうに、軽く頭を下げる。
「いや、謝ることはない。私の魔力が足りないのだろう。
次に会う時までには、魔法の剣を確立させるから。」
レイザーは、二人に礼をいい、部屋を後にした。
その後、レイザーは 墓参りをした後、迷宮の入り口に立つ。
迷宮の入り口には、見慣れた人影が見えた。
「やあ、誰か一緒に修行をする冒険者を探してたんだ。」
「アレン隊長!」
「ああ、固くなる必要はないよ。
いまは、ウィンター商会のパーティから抜けてフリーの冒険者をしてるんだ。」
「そうなのか、でもなぜ?」
「ああ、うちの姉の受けた恩を返すために、遺志を継いで会長の下で傭兵をやっていたんだけど、会長から恩を返してもらったと言ってもらえたからね。
正式にレヴィア団の一員になる為に修行をし直そうと思ってね。」
アレンは、すこし照れながらレイザーに説明する。
「では、一緒に修行をしよう。私も魔法剣を習得するために、実践を兼ねて修業をしようと思っていたんだ。
よろしく、アレン。」
そう言って、レイザーは握手を求め右手を差し出す。
アレンは、照れながらレイザーの手を握り返しながら言った。
「・・・その、すまない。
本名は、フラウ=ロンリアス。アレンは、姉の名前なんだ。」
「・・・そうか、わかった。冒険者にも色々事情があるからな、宜しく、フラウ。」
「よろしく、レイザー」
~3年後~
迷宮近くの酒場にて・・・。
武者修行の最中だろうか、体格の良い男が酒場で飲んでいる冒険者に声をかけている。
「おい、この付近で一番強い冒険者は誰だ?」
「そりゃ、レヴィア団のエイトだろ。」
「だろうな、もう何年も活動してないけど、最強の冒険者だぜ。」
酒場で飲んでいる冒険者たちは、レヴィア団のエイトと口々に話している。
それを一通り聞くと、体格の良い武者修行の男が口を開く。
「じゃあ、俺が そいつを殺せば一番になるんだな。」
酒場の入り口に、店に入ってきたばかりの2人組の冒険者が立つ。
2人組の冒険者は、外が雨だったからだろうか、フードをかぶっており、顔を確認することはできない。
その2人組の冒険者のうち一人が、フードをあげ、武者修行の冒険者に声をかける。
「辞めておけ。行くだけ無駄だぞ。」
「なんだと!
おい、女だからって舐めた口きいてると、殺すぞ!」
「おい!誰が誰を殺すって!」
フードをあげた冒険者はフラウのようだ。
フラウは、怒りに身を任せ、筋肉を膨張させる。
フラウの姿をみた冒険者たちが、口々に話し始める。
「狂戦士フラウじゃねーか・・・。」
「てことは、後ろの冒険者は・・・。」
「本物かよ!こいつ死んだな・・・。」
武者修行の男にも冒険者たちが話をする声が聞こえてきたのだろう、あきらかに動揺している様子を感じる。
「や、や、やんのか!」
後ろの男もフードをあげる。
そこには、髪を少し伸ばし 後ろで結んでいるので雰囲気は違うようだが、レイザーで間違いないだろう。
レイザーは 腰の細剣に手を当てながら、ゆっくりと近づき、武者修行の男の肩に手を置く。
「やめとけ。わしが、なだめてやるから。」
「あ、あ、あなた様は、魔法剣の開祖、月夜のレイザー様ですね。」
武者修行の男は、崩れるように その場に座り込む。
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