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8章・最終章
洞窟22階 精霊の加護
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22階に入ると、冷鱗石が再生していた。
その様子に久しぶりに迷宮に戻ったリリアスが不思議そうに声をあげる。
「ここは、確か・・・?」
「・・・不思議だね。
以前 エイトにリリアスを助けてもらった時、ここの冷鱗石は光を失ってしまってたのに。
ここからは注意して進もう。敵が強くなる境界線のようだから。」
フラウは、3年前のことを思い出し、持っていた斧を強く握りなおした。
エイトはフラウとリリアスに説明するように自身の見解を話す。
「冷鱗石が再生しているのは、たぶん迷宮自体が常に再生と破壊を繰り返してる証拠だと思うよ。
それにフラウの言う通り、ここから迷宮の魔物も本格的に強くなるみたいだから、よく注意して進もう。」
パーティは注意して進み始める。
冷鱗石が再生しているおかげで、寒さはあるが先の方まで見通すことが比較的容易で、注意して歩きやすい。
ただ、冷鱗石がゴツゴツとしているせいで、石の隙間の窪みなどに注意をする必要もある。
しばらく歩いていると、エイトが何かに気づいたようで、前衛のレヴィアに注意を促す。
「レヴィア、前方に敵がいるようだ。」
「ん?
うちには、何も見えないようだが。」
前衛のフラウとレイザーは、スキル(暗殺者の瞳)を持っているので、この冷鱗石によって明かりを保たれたフロアでは、日中の野外で活動しているような明るさで周囲を見渡すことが出来る。
しかし、そのフラウの目では敵を視認することが出来なかった。
周囲をキョロキョロと見渡し注意するフラウにレイザーが声をかける。
「フラウ、エイトは危険察知スキルがある、危険な敵が物陰に潜みながら近づいているんじゃろう。」
レイザーの説明に頷き、警戒を強めるフラウ。
レヴィアは、メンバーに号令をかける。
「戦闘態勢をとろう。」
レヴィアの号令と ほぼ同時にエイトがアルルに声をかけた。
「アルル、さっそく挟み撃ちのようだ。僕たちは後ろの敵を排除しよう。」
「はい!」
前方に魔界の触手竜の触手の影が見え始める。
エイトは 前衛、中衛の5人に声をかけた。
「みんな!
前方の敵は、任せるよ!」
フラウはエイトの声を後ろで聞きながら頷くと、先制攻撃をかけるため、魔装具(魔法の手投げ斧)を投げつける!
魔界の触手竜は、とっさに投げられた斧を尻尾の触手を使い弾く。
この攻撃が開戦の合図となった。
尻尾の触手で攻撃を弾いている隙に、前衛の3人は一気に距離を詰める。
魔界の触手竜は、尻尾の触手と、瀕死の時に放つ竜の息吹が強力な攻撃だ。
逆に言えば、そこに注意さえしていれば、いまのパーティの敵ではないだろう。
レヴィアは 魔装具(タンタンハンマー)で、魔界の触手竜の頭を狙う。
レイザーは 魔法剣(風)を発動し、魔界の触手竜の触手を回避し、腹部に裂傷の傷をつける。
フラウは、手元に引き戻した斧を装備しなおし、両手の斧で敵の攻撃をけん制し触手へ反撃をする。
魔界の触手竜が、前衛の3人に気を取られている間に、リリアスが魔法の詠唱を終える。
「フラウ、レイザー、少し下がって!
冥界の猛吹雪(LV8)」
リリアスの手から放たれた魔法石が、魔界の触手竜の触手に巻き付き、リリアスの魔法に反応する。
冥界の猛吹雪の冷気が、魔界の触手竜の触手を一瞬で凍り付かせる。
魔界の触手竜は、触手が使えなくなり危機を察知したのか、大きく息を吸い喉元を膨らませる。
そのまま喉元に溜めた息で竜の息吹を放とうと、狙いを定める・・・。
しかし、竜の息吹を放つ前に、その目は光を失い狙いを定めることが出来なくなった。
それはミザリの投げたナイフが、ドラゴンの瞳を潰したおかげだ。
目を潰された その一瞬をつき、レヴィアの渾身の一撃が魔界の触手竜の頭蓋骨を砕き、息の根を止める。
メンバーは大幅に戦闘力が上がっていたのだろう。
昔とは違い、全員で協力して戦えば、比較的楽に勝利することができるようになっていた。
レヴィアが、エイトたち後衛の援護に向かおうと振り返ったとき・・・。
「「「パーーン!」」」
後衛のエイトたちの方向から、何かはじけるような強烈な炸裂音がした。
エイトたちの戦闘は、一撃で勝負がついたようだ。
援護した後、いち早く後衛の方を向いていたミザリが驚いた表情でアルルを見ている。
「ねえ、アルルいったい何が起きたの?
いまの技は何・・・?」
「エイトさんに協力してもらって、いつも通り攻撃したんですけど・・・。」
一斉に、エイトに注目が集まる。
エイトは、いつも通りの反応で答える。
「今回は、敵の足元に砂音の王国と、豊穣神の雨を唱えて、沼地に変えたんだ。
そのあとに、アルルに精霊魔法をかけたんだよ。思ったよりアルルの攻撃が強力で、空気の壁を切り裂いた衝撃音が響いたんだよ。
驚かせちゃって ごめんね。」
リリアスがエイトの説明に対し質問する。
「こんな短時間で、3つも詠唱したの!?」
「あれ?
詠唱は2つでしたよね。」
リリアスの質問に、アルルも不思議そうな表情でエイトに確認する。
エイトは普段通りに答える。
「うん。精霊魔法は浮遊する魂の憑依・・・まあ、魂にお願いするだけだから詠唱は必要ないよ。」
レヴィアは、何か気になるワードでもあったのだろうか、エイトの元に駆け寄り肘でエイトの腰をつつきながらエイトに頼む。
「魂の憑依・・・それ、私にもやってみてよ。」
「うーん。アルルには、もともと精霊の加護がなくって、僕の精霊を受け入れることができたから共有できたんだよ。
レヴィアは、水の精霊の加護が強いみたいだから、僕の精霊を与えることはできないよ。」
困った表情で答えるエイトに、ミザリが質問する。
「精霊の加護か、僕の精霊は?」
「何だか楽しそうなイベントだね。
エイト、よかったら全員の精霊の加護を教えてよ。」
レヴィアに頼まれて、エイトは自分の小物入れから漆黒のマスクを取り出し、順番にメンバーを見ている。
レヴィアは見覚えのあるマスクが何なのか気になったようで、再び質問する。
「最初に会った時も装備してたみたいだけど、それは新しい魔装具か何か?」
「そうだったっけ?
・・・まあ、これは魔装具ではないんだけど、似たような物だね。
えっと、全員分の精霊の加護を調べたよ・・・。
水の精霊は、レヴィア。
風の精霊は、レイザー、ミザリと僕だね。
土の精霊は、リリアス。
火の精霊は、フラウ。
アルルには、4精霊の加護がないね。」
それぞれの精霊の加護を確認したレヴィアが、ニコニコしながらエイトに聞く。
「早速だけどエイトくん。
その精霊の加護があれば、何かいいことがあるのかな?」
「ああ、もちろんあるよ!」
「レヴィア姉さん、気になるね。
ねえエイト、教えてよ!」
エイトは、レヴィアとミザリに催促されるように精霊の加護の特典を伝える。
「そうだね。
水の精霊は、胃腸が強い。
風の精霊は、ストレスに強い。
土の精霊は、風邪をひきにくい。
火の精霊は、心臓が強い。
こういった感じだね。」
「胃腸が強い・・・ああ、たいした特典じゃなさそうだね。」
「私も風邪をひきにくいって、ざっくりしすぎてるわね。」
「うちの心臓が強いのは、何か嬉しいな!」
「たしかに、僕もレイザーもストレスに強そうだけど・・・。」
自信満々で説明するエイトと、なんとも言えない空気のメンバー。
アルルも苦笑いしている。
「え、ええ、わたしも別に加護がなくっても大丈夫な気がしてきました。」
その様子に久しぶりに迷宮に戻ったリリアスが不思議そうに声をあげる。
「ここは、確か・・・?」
「・・・不思議だね。
以前 エイトにリリアスを助けてもらった時、ここの冷鱗石は光を失ってしまってたのに。
ここからは注意して進もう。敵が強くなる境界線のようだから。」
フラウは、3年前のことを思い出し、持っていた斧を強く握りなおした。
エイトはフラウとリリアスに説明するように自身の見解を話す。
「冷鱗石が再生しているのは、たぶん迷宮自体が常に再生と破壊を繰り返してる証拠だと思うよ。
それにフラウの言う通り、ここから迷宮の魔物も本格的に強くなるみたいだから、よく注意して進もう。」
パーティは注意して進み始める。
冷鱗石が再生しているおかげで、寒さはあるが先の方まで見通すことが比較的容易で、注意して歩きやすい。
ただ、冷鱗石がゴツゴツとしているせいで、石の隙間の窪みなどに注意をする必要もある。
しばらく歩いていると、エイトが何かに気づいたようで、前衛のレヴィアに注意を促す。
「レヴィア、前方に敵がいるようだ。」
「ん?
うちには、何も見えないようだが。」
前衛のフラウとレイザーは、スキル(暗殺者の瞳)を持っているので、この冷鱗石によって明かりを保たれたフロアでは、日中の野外で活動しているような明るさで周囲を見渡すことが出来る。
しかし、そのフラウの目では敵を視認することが出来なかった。
周囲をキョロキョロと見渡し注意するフラウにレイザーが声をかける。
「フラウ、エイトは危険察知スキルがある、危険な敵が物陰に潜みながら近づいているんじゃろう。」
レイザーの説明に頷き、警戒を強めるフラウ。
レヴィアは、メンバーに号令をかける。
「戦闘態勢をとろう。」
レヴィアの号令と ほぼ同時にエイトがアルルに声をかけた。
「アルル、さっそく挟み撃ちのようだ。僕たちは後ろの敵を排除しよう。」
「はい!」
前方に魔界の触手竜の触手の影が見え始める。
エイトは 前衛、中衛の5人に声をかけた。
「みんな!
前方の敵は、任せるよ!」
フラウはエイトの声を後ろで聞きながら頷くと、先制攻撃をかけるため、魔装具(魔法の手投げ斧)を投げつける!
魔界の触手竜は、とっさに投げられた斧を尻尾の触手を使い弾く。
この攻撃が開戦の合図となった。
尻尾の触手で攻撃を弾いている隙に、前衛の3人は一気に距離を詰める。
魔界の触手竜は、尻尾の触手と、瀕死の時に放つ竜の息吹が強力な攻撃だ。
逆に言えば、そこに注意さえしていれば、いまのパーティの敵ではないだろう。
レヴィアは 魔装具(タンタンハンマー)で、魔界の触手竜の頭を狙う。
レイザーは 魔法剣(風)を発動し、魔界の触手竜の触手を回避し、腹部に裂傷の傷をつける。
フラウは、手元に引き戻した斧を装備しなおし、両手の斧で敵の攻撃をけん制し触手へ反撃をする。
魔界の触手竜が、前衛の3人に気を取られている間に、リリアスが魔法の詠唱を終える。
「フラウ、レイザー、少し下がって!
冥界の猛吹雪(LV8)」
リリアスの手から放たれた魔法石が、魔界の触手竜の触手に巻き付き、リリアスの魔法に反応する。
冥界の猛吹雪の冷気が、魔界の触手竜の触手を一瞬で凍り付かせる。
魔界の触手竜は、触手が使えなくなり危機を察知したのか、大きく息を吸い喉元を膨らませる。
そのまま喉元に溜めた息で竜の息吹を放とうと、狙いを定める・・・。
しかし、竜の息吹を放つ前に、その目は光を失い狙いを定めることが出来なくなった。
それはミザリの投げたナイフが、ドラゴンの瞳を潰したおかげだ。
目を潰された その一瞬をつき、レヴィアの渾身の一撃が魔界の触手竜の頭蓋骨を砕き、息の根を止める。
メンバーは大幅に戦闘力が上がっていたのだろう。
昔とは違い、全員で協力して戦えば、比較的楽に勝利することができるようになっていた。
レヴィアが、エイトたち後衛の援護に向かおうと振り返ったとき・・・。
「「「パーーン!」」」
後衛のエイトたちの方向から、何かはじけるような強烈な炸裂音がした。
エイトたちの戦闘は、一撃で勝負がついたようだ。
援護した後、いち早く後衛の方を向いていたミザリが驚いた表情でアルルを見ている。
「ねえ、アルルいったい何が起きたの?
いまの技は何・・・?」
「エイトさんに協力してもらって、いつも通り攻撃したんですけど・・・。」
一斉に、エイトに注目が集まる。
エイトは、いつも通りの反応で答える。
「今回は、敵の足元に砂音の王国と、豊穣神の雨を唱えて、沼地に変えたんだ。
そのあとに、アルルに精霊魔法をかけたんだよ。思ったよりアルルの攻撃が強力で、空気の壁を切り裂いた衝撃音が響いたんだよ。
驚かせちゃって ごめんね。」
リリアスがエイトの説明に対し質問する。
「こんな短時間で、3つも詠唱したの!?」
「あれ?
詠唱は2つでしたよね。」
リリアスの質問に、アルルも不思議そうな表情でエイトに確認する。
エイトは普段通りに答える。
「うん。精霊魔法は浮遊する魂の憑依・・・まあ、魂にお願いするだけだから詠唱は必要ないよ。」
レヴィアは、何か気になるワードでもあったのだろうか、エイトの元に駆け寄り肘でエイトの腰をつつきながらエイトに頼む。
「魂の憑依・・・それ、私にもやってみてよ。」
「うーん。アルルには、もともと精霊の加護がなくって、僕の精霊を受け入れることができたから共有できたんだよ。
レヴィアは、水の精霊の加護が強いみたいだから、僕の精霊を与えることはできないよ。」
困った表情で答えるエイトに、ミザリが質問する。
「精霊の加護か、僕の精霊は?」
「何だか楽しそうなイベントだね。
エイト、よかったら全員の精霊の加護を教えてよ。」
レヴィアに頼まれて、エイトは自分の小物入れから漆黒のマスクを取り出し、順番にメンバーを見ている。
レヴィアは見覚えのあるマスクが何なのか気になったようで、再び質問する。
「最初に会った時も装備してたみたいだけど、それは新しい魔装具か何か?」
「そうだったっけ?
・・・まあ、これは魔装具ではないんだけど、似たような物だね。
えっと、全員分の精霊の加護を調べたよ・・・。
水の精霊は、レヴィア。
風の精霊は、レイザー、ミザリと僕だね。
土の精霊は、リリアス。
火の精霊は、フラウ。
アルルには、4精霊の加護がないね。」
それぞれの精霊の加護を確認したレヴィアが、ニコニコしながらエイトに聞く。
「早速だけどエイトくん。
その精霊の加護があれば、何かいいことがあるのかな?」
「ああ、もちろんあるよ!」
「レヴィア姉さん、気になるね。
ねえエイト、教えてよ!」
エイトは、レヴィアとミザリに催促されるように精霊の加護の特典を伝える。
「そうだね。
水の精霊は、胃腸が強い。
風の精霊は、ストレスに強い。
土の精霊は、風邪をひきにくい。
火の精霊は、心臓が強い。
こういった感じだね。」
「胃腸が強い・・・ああ、たいした特典じゃなさそうだね。」
「私も風邪をひきにくいって、ざっくりしすぎてるわね。」
「うちの心臓が強いのは、何か嬉しいな!」
「たしかに、僕もレイザーもストレスに強そうだけど・・・。」
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