【CHANGEL】魔界姫マリーと純粋な見習い天使ジャスの不思議な魔界記

黒山羊

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見習い天使

016・運命の出会い(後編)

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~見知らぬ場所~

(ここは どこだろう。
 なんだか懐かしい感じがする・・・。)


その場所は、空は まぶしく光り輝き、大地には 色とりどりの花が咲き誇る。
色とりどりの花畑の中に、ポツンと一軒家が建っていた。
その一軒家の中に向かって、7~8歳くらいの幼い少女が 可愛らしいツインテールの黒髪を揺らし、薄水色の美しい羽と 宝石のような美しい藍色の瞳をキラキラ輝かせながら走っていく。
(あの女の子、マリーさんみたいな綺麗な黒髪で可愛いな。)


「ジャーちゃん、あーそーぼ!」

「いーいーよ!」


黒髪の少女が声を掛けると、家の中から 金髪の更に幼い少女が顔を出す。
金髪の少女は、5歳くらいだろうか。
(あれ?
 この女の子って・・・。)

女の子が家を出ると、家の中から一人の美しい天使が顔を出す。


「ジャスティス、おやつを忘れてるわよー。」
(やっぱりそうだ、この女の子は私だ!
 ということは、この女の人は・・・?)

「あ、忘れてた!
 ありがと、ママ!
 お姉ちゃん、ちょっと待ってて!」


幼いジャスは、玄関まで引き返し、母親から おやつを受け取り、また黒髪の女の子の元に駆け寄る。


「お姉ちゃん!
 今日はジャーちゃん、おやつを持ってきたよ。」

「えへへ、お姉ちゃんも持ってきたよ。
 今日は半分こして交換しようね。」

「わーい!」


黒髪の少女と幼いジャスは、家の裏手にある手作りのブランコに向かって走っていった。
2人がブランコで遊び始めてすぐだった。
幼いジャスが、黒髪の女の子の おやつの袋を触り始める。


「お姉ちゃん、そろそろ ご飯の時間ですよー!」

「ジャーちゃん、まだ遊び始めたばかりだよ。
 もう食べちゃうの?」

「うん。」
(私、食い意地がはってるな。
 もう食べちゃうんだ・・・。
 しかも、それ自分のじゃないよね。)


幼いジャスは、黒髪の女の子の おやつを半分 分けてもらい、美味しそうに食べ始める。
まだ黒髪の女の子はブランコをしているので、自分の分に手を付けずにいた。
その間に、幼いジャスは 黒髪の女の子の おやつまで食べてしまっていた。
(うわ、ごめんね。
 幼い私、かなりひどいな・・・。)


そのことに気づいた黒髪の女の子が、幼いジャスに走り寄ってくる。


「ジャーちゃん、半分こって約束したじゃない!
 どうして食べちゃったの!?」

「えっ?
 お姉ちゃんが残してたよ。」

「違う!
 私は残してない!」


「・・・ごめんなさい。
 ジャーちゃんの分を半分こしてあげるから、仲直りしようね。」 


「・・・うん。
 それでいいよ。ジャーちゃんの分を半分こね。」
(黒髪のお姉ちゃん、それでいいんだ・・・。)

「はい、半分こ!」


幼いジャスは、8枚入りのチョコレートビスケットの1枚を半分に割って、小さいほうを黒髪の女の子に手渡す。
そして、残りの7枚半を自分の袋にしまい始めた。


「あれ?」
(・・・そうだよね。普通に考えてそういう反応になるよね。)

「どうしたの、お姉ちゃん?」

「ジャーちゃん、8枚あったから、4枚ずつだよ。
 わたし、残りの3枚でいいから もらうね。」

「えっ!」


黒髪の女の子が、幼いジャスの袋からビスケットを3枚取り出し食べ始めた。



「・・・。」



「ジャーちゃん、美味しいね!」


「・・・う、うう。」

「ジャーちゃん、どうしたの?」

「うううう、
 お姉ちゃんが、お姉ちゃんが・・・。」


「大丈夫?
 私、何かしたっけ?」

「お姉ちゃんが、
 お姉ちゃんが・・・。」


「どうしたの ジャーちゃん。
 言ってくれないと分からないよ。」

「うえーん!
 お姉ちゃんが ジャーちゃんの お菓子 食べたー。
 ママー、お姉ちゃんがー・・・。」
(うわ!
 かなりひどい!
 お姉ちゃん、泣きそうな顔してるじゃん!)


幼いジャスは、走って玄関の方に走っていってしまった。
幼いジャスが視界から消えると、周囲が暗闇に閉ざされてしまう。


(あれ?
 いったいどうしたんだろう・・・。)


しばらくすると、再び視界が広がり、周囲の様子が見えてくる。








~先ほどと同じ場所~

この日も、黒髪の女の子が肩で息をきらしながら、ジャスの家に向かって走っていく。


「ジャーちゃん、あーそーぼ!」

「いや!
 お姉ちゃん、意地悪したから遊びたくない!」

「ジャーちゃん、今日は仲直りの印に、私の宝物を持ってきたよ。」


黒髪の女の子の言葉に、家の玄関が 少しだけ開く。


「・・・。
 宝物って?
 おやつ?」

「ううん。
 もっといいもの。」

「・・・いーいーよ。
 あーそーぼ!」


幼いジャスが、母親と出てくる。
ジャスの母親は、黒髪の女の子の前に しゃがみこみ、黒髪の女の子に話しかける。


「マリエルちゃん、ごめんなさいね。
 宝物はマリエルちゃんが持って帰りなさい。」

「ううん。
 これは、ジャーちゃんにあげる分。
 私は、もう使わないからいいの。」

「そう・・・。
 マリエルちゃん、いつも優しく遊んでくれて、ありがとう。
 ジャスティス、マリエルお姉ちゃんを困らせたらダメよ。」

「はーい!
 お姉ちゃん、宝物ってなあに?」

「それなら、いつもの場所に行って見せてあげる!」
 

マリエルと呼ばれた黒髪の女の子は、幼いジャスの手を引き、裏のブランコの方に向かって走っていく。
ブランコの前にたどり着くと、自分のポシェットから、金色のコインを取り出し、幼いジャスに渡す。

「これ、お金だよ。
 お父さんが遠いところに遊びに行ったときに持って帰ってきたんだって。
 金色で綺麗でしょ!」

「うん!
 これがあれば、おやつが買えるの?」

「う、うん。
 買えると思うけど、宝物だから大事に持っててほしいかな。
 私も、この前もらったばかりだし・・・。」

「うん。
 じゃあ、おやつが足りない時まで我慢しようね。」

「えっと・・・。
 その時は、私の おやつを分けてあげるね。」
(マリエルお姉ちゃん、困ってるじゃん!
 コレ本当に私なのかな、どこまでも食い意地がはってるんだけど・・・。)




その日は、2人で日暮れまで仲良く遊んでいた。
その日の夕暮れ時、幼いジャスは、何かに気づき怯えていた。


「お姉ちゃん、その目・・・。」
(ん?
 何があったんだろう。)

「どうしたの?」


幼いジャスを覗き込む、黒髪の女の子。
その目を見て、さらに怯える幼いジャス。


「お姉ちゃんの目・・・。
 真っ赤になってるよ・・・。
 怖い・・・悪魔みたい・・・。」
(真っ赤な瞳!!?)


マリエルは、幼いジャスから顔をそむける。


「たぶん、空の色だよ。
 私、ジャーちゃんと同じだから。」

「違う!
 ジャーちゃんたちとは違う!
 お姉ちゃんの目、血みたいに赤くて怖い、怖いよ・・・。」

「ジャーちゃん・・・。」


マリエルは、逃げるように走り去っていった。
(たぶん、マリエルお姉ちゃんって・・・。)








~先ほどと同じ場所~

また日が変わり、家の前に2組の母子がいた。
1組は、幼いジャスと母親。
もう1組は、美しい女神と黒髪に紅い瞳のマリエル。
ともに、母子で手を繋ぎ、話をしていた。

ジャスの母親が、美しい女神に頭を下げている。

「女神様、申し訳ありません。」

「仕方ないわよ。
 いつかは夫の血が強まることは、知っていたから。」

「しかし・・・。」

「レイナが気にすることじゃないわ。
 でも、このまま天界にとどまることは難しいかもね。
 まだまだ天界では、悪魔に対する偏見や差別が根強く残ってるから。」

「女神様、お2人は神界に移られるのでしょうか・・・。」

ジャスの母親の言葉に、女神は首を横に振る。

「それは出来ないわ。
 この子は純潔の神ではないのだから・・・。
 もういっそのこと、魔界に住もうかと考えてるの。
 魔界では容姿に関する差別なんかもないし、住んでみるといいところよ。
 以外に気さくな悪魔が多くってね。」


「魔界・・・ですか。」

「ええ、魔王城に住む女神って、なんだか特別な感じがしていいんじゃない?」

「ふふふっ、女神さまらしいですね。」


母親同士で話し合っているところに、使い魔が操縦する中型の飛竜が舞い降りる。


「ディーテ様、エイルシッド王が天使兵たちの目を引き付けてる間に逃げるニャン!
 あまり時間がないニャン!」

「ええ、待たせてごめんね。
 じゃあ、レイナ、これからも お互いに頑張ろうね。」

「はい。
 女神さまも お元気で。
 ほら、ジャスティス。マリエルちゃんにバイバイしなさい。」


「・・・。」


幼いジャスは、母親の影に隠れてマリエルを見ようとしない。
そんな幼いジャスに、マリエルは手を振る。


「ジャーちゃん、また遊んでね。」

「・・・いや。」

「こら、ジャスティス!」

母親の後ろに隠れている幼いジャスに、母は注意し、前に押し出すように背中を押す。
泣きながら 必死に母親の後ろに隠れようとする 幼いジャスに同情したようで、女神ディーテは ジャスの母親レイナに声をかける。

「いいのよ、レイナ。
 仕方がない・・・わよね。
 ごめんね、マリエル。」

「う、うん。
 ジャーちゃん、バイバイ・・・。」

「マリエルちゃん、ごめんなさい・・・。」



「ディーテ様、マリー様、早く乗るニャン!
 天使兵が気づいたみたいニャン!」
(やっぱり!
 マリエルは神の名、マリーは悪魔の名なんだ!
 マリーさんは・・・。)


飛竜に またがった使い魔に せかされるように、2人は飛竜に乗る。


「マリエル、翼を収納しようか。」

「いや、ジャーちゃんたちの羽は消えないもん・・・。
 私だけ違うのは、ジャーちゃんに怖がられるのは、もういやなの・・・。」

「マリエル・・・。
 お願い、魔界の風にマリエルの翼は耐えることが出来ないの・・・。」

「う、うん。
 ジャーちゃん・・・。」

マリエルの翼が光の粒となり、マリエルの背中から消えていく。
幼いジャスと目を合わせないように下を向くマリエルは、涙を流しているようだった・・・。

マリエルが翼を収納すると、飛竜は力強く羽ばたき、空へと舞い上がっていく・・・。
その様子を目に涙を浮かべながら、幼いジャスは見つめていた。
飛竜の姿が見えなくなるころ、幼いジャスは泣き出した。

「ジャーちゃん、お姉ちゃんにバイバイしてない!
 ジャーちゃん、もっともっと お姉ちゃんと遊びたかった!
 ママー、ジャーちゃん、ジャーちゃん・・・。
 うぇーん。お姉ちゃーん・・・。」


再び視界が暗くなり、周囲が暗闇に閉ざされてしまう。


(また暗くなった・・・。
 そうか・・・。
 これは走馬燈ってやつかも。
 もっと断片的に流れるものだと思ってたから気づかなかった。
 私、死んじゃったんだったね。)


しばらくすると、また視界が広がり、周囲の様子が見えてくる。








~可愛らしい部屋の子供部屋~

次の場面は、可愛らしいベッドの上で苦しそうにしている幼いジャスが見える。
幼いジャスの手を握るように、両親がベッドの横についている。
ジャスの母、レイナが苦しそうにしている幼いジャスを見つめながら、隣に座る男性と会話を始める。


「ねえ、あなた。
 やっぱり 眠りの秘薬を使いましょう。
 このまま苦しんでいるジャスティスを見続けるのは耐えられないわ。」

「しかし・・・。
 眠りの秘薬を使えば、どんな病気も治る可能性があると言われているけど・・・。」

「眠ることで天使の回復力を高めるだけでしょ。
 病気が治れば、ジャスティスも目を覚ますわよ。」

「僕が聞いた話だと、眠りから目覚めるのに数百年かかるって聞いたんだ。
 それに・・・。」

「でも数百年で目覚めるんだったら、このまま苦しむ姿を見守り続けて、治るかどうか分からない病気に心配し続けるよりいいわ。
 ねえ、あなた、お願いします。
 眠りの秘薬を使うことを許して・・・。」

「・・・。」

「お願い、もうジャスの苦しむ姿を見ていられないの。」

「・・・分かった。
 眠りの秘薬をもらってくる。
 僕たちでジャスが目覚めるまで見守り続けよう。
 それが、ジャスの為になるはずだから。」




父親が家を出てしばらく待っていると、手に薬をもって戻ってきた。
母親のレイナは、その薬を苦しむジャスに呑ませる。
薬を服用して、10分くらいで幼いジャスは、呼吸が落ち着き 深い眠りについた。

「これで良かったのよね。」
「ああ、あとは見守り続けよう・・・。」



それから、まるで早送りのように外の景色が激しく変わっていく。
幼いままのジャスを見守る両親は、しわが増え、髪は白髪になり、どんどんと年老いていく。
年老いた両親は、やがて一人になった。



「私たちの可愛い ジャスティス・・・。
 そろそろ、お目目をあけてくれないかな。
 お母さんも眠くなってきちゃったよ。
 早く起きないと、お母さんも眠っちゃうよ。
 元気になったら魔界に行ってマリエルちゃんに会いに行こうね。
 マリエルちゃんは とっても長生きだから、きっとジャスティスと仲良く遊んでくれるよ。
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・ごめんね、ジャスティス。愛してるわ。
 ごめんね、あなた。私も限界・・み・たい・・・。」


母親のレイナに光が集まり、ジャスティスの横で、一輪の花に変わった。
それでも、幼いままのジャスは目を覚ますことはない。




















母親だった一輪の花が干からびる頃、家の玄関を叩く音が聞こえる。
部屋に入ってきたのは、2人の若い天使だった。


「ここもか・・・。」

「また 眠りの劇薬での被害者か。
 この子も可哀想だな。
 もし目が覚めても眠りすぎによる記憶障害で両親の事なんかも忘れてしまうらしいぜ。
 しかも何千年も目覚めないって話だし・・・。」


「・・・おい、嫌な気持ちにさせるなよ。
 早いとこ 孤児院に連絡して迎えに来てもらおうぜ。」

「それもそうだな、早いところ この家を没収してしまわないと仕事が進まないしな。」

(そうなんだ、私は捨てられて孤児院にいたわけじゃないんだ・・・。
 お父さん、お母さんに愛されていたんだ・・・。
 それが分かっただけでも幸せかな。
 あとは、マリーさんに・・・。)


(マリーさんに、もう一度ちゃんと謝りたいな。
 私の大切な、お姉ちゃん・・・。)




また目の前が暗くなり、視界が奪われる。
(今度は、どんな場面なのかな・・・。)












(冷たい!)

ジャスの額に水が落ちてくる。




仰向けで横たわるジャスが目を開けると、そこには上を向き、涙を流すマリーがいた。
(あれ?
 これって・・・。)

ジャスは、泣いているマリーの頬に、そっと手を添える。


「マリーさん、もう泣かないで下さい。」

「ジャスちゃん!」


マリーは、ジャスに抱き着く。

「ちょ、ちょっとマリーさん、苦しいですよ。
 あ、あの、ごめんなさい。」

「そうよ!
 心配したんだからね。
 もう絶対にいなくならないでよ!」

「はい。
 これからも ずっとずっと よろしくお願いします。」
(私の大好きな お姉ちゃん。)

「ん?
 何か言った?」

「いいえ、何も。」

「いや、絶対に何か言ってた!」

「マリーさん、心でも読めるんですか!?」

「ふふふっ。
 よく聞いてくれたわね!
 私はジャスちゃんの心なら読めるのだよ!」

「凄い!
 凄いですよマリーさん!
 じゃあ、私の考えを探ってくださいね!」




「えっと。
 お腹すいた・・・かな?」

「ふふふっ、さすがですね!
 今日は、そういうことにしておきます。
 じゃあ さっそく魔王城に戻りましょうか。」

「ええ、きっとみんな喜ぶわよ!」



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