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見習い天使
021・暗黒を纏いし封印された・・・
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~魔王城~
「マリー様、何処ッスか!」
「マリー様、何処にいるッスか!」
使い魔のハンが魔王城を走り回ってマリーを探している。
「ハン、どうしたのかニャン?
マリー様を探しているのかニャン?」
「そうッス。
ノブナガ、ちょうどよかったッス。
マリー様を知らないッスか?」
「マリー様は、ジャスさんやノーサさんと一緒に迷いの森に迷い人がいないか監視しに行ったニャン。
その後に、レヴィア商会のウィンターに呼ばれて接待を受けるらしいニャン。
たぶん、戻りは今夜か明日の朝になるニャン。」
「それは、まずいッス。」
「何がまずいのかニャン?」
「テンペスト火山に瘴気だまりが発生してるッス。」
【※瘴気だまり。
天然の魔力が集まる場所に 悪意が流れ込み、病気や厄災を引き起こす原因となる場所。
ここに知能の低い魔獣が迷い込むと、凶暴性が増すだけでなく、倒した魔獣の魂を喰らい強力な超魔獣となる。超魔獣となれば魔王にも匹敵する戦闘力となる。
天然の蠱毒のようなものである。
ちなみに蠱毒とは、呪いの儀式に用いられる、毒を持った生物を互いに争わせ、勝ち残った最後の1匹を呪いの材料にするというもの。
「それは 早めに手を打たないと まずいニャン。
マリー様たちの帰りを待つ時間はないニャン。」
「仕方がないッス。
ネロ、ポチ、ケーン、エンマに声をかけてほしいッス。
俺は先にテンペスト火山に向かって状況を把握しておくッス。」
「分かったニャン。
4人への声掛けは任せるニャン。」
使い魔のハンは、一足先にテンペスト火山へと向かった。
~テンペスト火山~
魔王城から北に8Kmほどの距離にある、常に噴煙が立ち上る火山で、たえず激しい上昇気流が吹き上げ火山の噴煙を雲のある高さまで押し上げることから、雲のできる場所と言われ、魔界でも名の知れた観光名所にもなっている。
そんなテンペスト火山についたハンは、先に来ていたベッチと合流し状況把握をする。
「ベッチ、どんな様子ッスか?」
「とりあえず、いま確認が取れている瘴気だまりは、3個所だぜ!
アニキの指示どおり、近寄る魔獣は退治してるけど、1個所は すでに魔獣が入っている状態だったんで保留になってるぜ!」
「分かったッス。
その1個所に入ってる魔獣は、俺が殺るッス。
ベッチは他に瘴気だまりがないか確認してほしいのと、いま瘴気だまりになってる場所に魔獣が近寄らないようにすることと合わせて そこに土を入れて埋め立ててほしいッス。」
「埋め立てるのかだぜ?」
「そうッス。
土で埋め立てれば、瘴気が外に流れ、濃度が下がり無害になるッス。
これは、エイルシッド王から聞いていた方法ッスから間違いないッス。」
「わかったぜ!
アニキ、確認と埋め立ての件は任せてほしいぜ!
野郎ども、仕事の時間だぜ!」
「「「オオオオォォ!!!」」」
ハンは、ベッチたち魔王城の悪魔が作業に入るのを確認すると、魔界の風が運んできた暗黒を纏い、大きな青い狼 ジョチへと姿を変えた。
ジョチ(ハン)は 吹き荒れる魔界の風のような速度で、魔獣が入り込んでいる瘴気だまりへと移動していった。
ジョチが瘴気だまりにつくと、そこには2匹の対峙する魔獣と7~8匹の魔獣の死骸が横たわっていた。
(遅かったか・・・?)
ジョチは攻撃手段などを見極めるために、最後の1匹になるのを瘴気だまりの外から注視していた。
残った2匹の戦闘は一方的であった。
おそらく、一方は既に瘴気だまりの中で強くなった超魔獣。もう一方は後から迷い込んだ魔獣なのだろう。
強くなった超魔獣が考えもなしに突進し 襲い掛かり、巨大な顎で一方的に攻撃し戦闘は終了したのである。
強くなりすぎた超魔獣の外見は、四足歩行で足が長く全身が固そうな鱗で覆われた まるでワニのような外見で、ジョチよりも一回り程小さい体つきだがその軽さ故に突進の瞬発力はあるだろう。
(突進力と噛みつきの速度が尋常じゃないな。
ネロやエンマなら楽に戦えただろうが、俺じゃ相性が悪い。)
ジョチは ワニのような超魔獣との戦闘をイメージする。
たとえ、ワニのような超魔獣の能力が高くとも、ジョチには考える力や長年の経験がある。
ジョチは ワニのような超魔獣との戦いがイメージ出来たのか、頭をブルブルっと振ると、口を開けたり閉じたりして準備をする。
「ワオォーン」
ジョチの遠吠えが合図となり、ワニのような超魔獣との戦闘が始まった。
ワニのような超魔獣は瘴気だまりから飛び出し、大きな顎を開き 一直線にジョチに突進してくる。
ジョチは 待っていたと言わんばかりに、タイミングを見計らい後方に飛びよける。
ワニのような超魔獣の顎は空を切り、後方に飛び去ったジョチを噛み砕こうと突進を続け、再び顎を開けようとした。
「ガゥ!」
しかしその閉じられた顎が再び開くことはなかった。
凶暴な顎が閉じられた その一瞬にジョチは間合いを詰めなおし、ワニのような超魔獣の閉じた口先に噛みつく。
ジョチに噛みつかれ、口を開くことができないワニのような超魔獣は、ジョチを振りほどこうとして体を左右に激しく降り逃げようとする。
しかし、ジョチはワニのような超魔獣よりも一回り体が大きいため、左右に激しく降られても それに合わせて首を動かし、決して噛みついた牙を抜こうとはしない。
ジョチの牙がワニのような超魔獣の口先に深く刺さっていることもあり、ワニのような超魔獣は呼吸ができず、時間にして10分ほど激しく抵抗したあと、急に痙攣をはじめ 糸を切られた操り人形のように その場に崩れ落ちた。
ジョチは、ワニのような超魔獣の最後を見届けると、近くにいた悪魔に穴を埋めるように仕草で伝える。
瘴気だまりの中にあった遺体は埋葬されるかのように、徐々に土に埋もれていく。
念の為、周囲を確認し瘴気だまりがないか見て回った後、ジョチは再び魔界の風が運んできた暗黒を纏い 使い魔(ハン)の姿へと戻った。
使い魔の姿に戻ったハンに、待っていたベッチが声をかけてくる。
ベッチと共に、ネロ、ポチ、ケーン、エンマも駆けつけて来ていたようだ。
「アニキ、兄さん方も終結したぜ!
それと指示通り瘴気だまりが薄まる程度に 埋め終わったぜ!
念のため、また瘴気だまりができないように ならしておくぜ!」
「了解ッス。
だけど、どこから瘴気が沸いてきたんスかね。」
「さあ、皆目見当がつかないぜ!
ところで、瘴気ってどうやって発生するのか、その原因が分かれば沸いてきた場所も特定しやすいと思うぜ!」
「そうッスね。
たとえば、風通しの悪い場所に放置された悪魔や 大量の魔獣の死骸なんかから発生するって言われてるッス。
でも悪魔の死骸は 祝福が施され火葬するのが通例になってきたから、瘴気だまりも この5000年くらいは聞かなかった話ッスけどね。」
「なんだか嫌な予感がするニャン。
ここ最近、人間から転生し始めた頃の最悪な魔界に戻りつつある気がするニャン。」
「そうッスね。
不可侵条約を破っての天使の魔界進行、瘴気だまり、眠りの呪いから目を覚ましたのだって、偶然じゃなさそうッス。」
「せっかくマリー様が解放されたと思ったら、次から次へと事件が起きてるニャン。」
「よく考えれば、あのタイミングでジャスさんが来たのも変な話ニャン。」
「俺も 深く考えずに、目を覚ましてもらえたことに喜んでいたッスけど、何か良くないことの前触れだったのかもしれないッス。
とにかく、マリー様やジャスさんを守らないといけないッス。
俺らの正体をマリー様に伝える日も近いかもしれないッスね。」
「その時は、その時ニャン。」
「まあ、マリー様なら気にせずに優しく迎えれくれそうだニャン。」
ハンたちが魔王城に帰還しようとしたとき、火口付近で激しい爆発音が聞こえてきた。
ズドーーン!
「なんなんだニャン?」
「火山の噴火ッスかね。」
「・・・いや、濃密な瘴気が噴出しているニャン。」
「ハン、まずいニャン。あの吹き出す瘴気の中に巨大な超魔獣らしき姿が見えるニャン。」
ケーンの言葉に、ハンたちも食い入るように吹き上げる瘴気の中を見つめる。
「・・・かなり巨大な影ッス。」
「さすがにヤバイ感じニャン。」
「かなり危険な雰囲気ニャン。」
「でも マリー様が居なくてよかったニャン。」
「おかげで安心して本気で戦えるニャン。」
吹き出す瘴気が止むと、巨大な超魔獣は、凄まじい雄たけびをあげた!
「「「グゴアァァァ!」」」
近隣の村に住む悪魔たちだけでなく、魔王たちでさえも、その殺意のこもった雄たけびに身震いをし、泣いていた赤子さえも恐怖で泣き止んでしまうほどであった。
それほどまでに、凶悪な雄たけびであり、感じたこともないほどの殺意が込められていた。
武者震いなのか、それとも怯えてしまっているのか、悪魔リーダーのベッチも全身が震えていた。
「たぶん、並みの魔王よりも断然に強いぜ!
俺も恐怖で全身の毛が逆立ってるぜ!」
「ベッチ、仲間を連れて巻き込まれないように逃げるッス。
次は 俺ら5人全員で戦うッス。俺ら5人で戦えば楽勝ッス!」
「絶対に勝てるニャン。だって俺らには、
疾風の早さで敵を翻弄し、その牙で敵の魂を刈り取る。青い狼 ジョチがついてるニャン。」
「俺らは無敵ッス。だって俺らには、
鉄壁の守りと回復能力で、全ての攻撃を受けきる。黒の巨人 ゴリアテがついてるッス。」
「どんな相手でもかかってくるニャン。だって俺らには、
研ぎ澄まされた爪と牙で、激しい連撃を繰り出す。白狛犬の獣人 イヌがついてるニャン。」
「負けるはずがないニャン。だって俺らには、
激しく燃え盛る極炎の一撃で、溶岩すら灰にする。炎を纏った鳥 キジがついてるニャン。」
「今日は活躍するニャン。だって俺らには、
立体的に縦横無尽に飛び回り、その剛拳剛打で敵を打つ。赤夜叉 サルがついてるニャン。」
5匹の使い魔がそれぞれの左肩に手をかけ、円陣を組む。
円陣を組む使い魔たちは、魔界の風が運んできた暗黒を纏い 姿を変えていく。
「殺っちゃえ 兄ッサン!
さあ、狩りの時間だぜぇ!」
→022へ
「マリー様、何処ッスか!」
「マリー様、何処にいるッスか!」
使い魔のハンが魔王城を走り回ってマリーを探している。
「ハン、どうしたのかニャン?
マリー様を探しているのかニャン?」
「そうッス。
ノブナガ、ちょうどよかったッス。
マリー様を知らないッスか?」
「マリー様は、ジャスさんやノーサさんと一緒に迷いの森に迷い人がいないか監視しに行ったニャン。
その後に、レヴィア商会のウィンターに呼ばれて接待を受けるらしいニャン。
たぶん、戻りは今夜か明日の朝になるニャン。」
「それは、まずいッス。」
「何がまずいのかニャン?」
「テンペスト火山に瘴気だまりが発生してるッス。」
【※瘴気だまり。
天然の魔力が集まる場所に 悪意が流れ込み、病気や厄災を引き起こす原因となる場所。
ここに知能の低い魔獣が迷い込むと、凶暴性が増すだけでなく、倒した魔獣の魂を喰らい強力な超魔獣となる。超魔獣となれば魔王にも匹敵する戦闘力となる。
天然の蠱毒のようなものである。
ちなみに蠱毒とは、呪いの儀式に用いられる、毒を持った生物を互いに争わせ、勝ち残った最後の1匹を呪いの材料にするというもの。
「それは 早めに手を打たないと まずいニャン。
マリー様たちの帰りを待つ時間はないニャン。」
「仕方がないッス。
ネロ、ポチ、ケーン、エンマに声をかけてほしいッス。
俺は先にテンペスト火山に向かって状況を把握しておくッス。」
「分かったニャン。
4人への声掛けは任せるニャン。」
使い魔のハンは、一足先にテンペスト火山へと向かった。
~テンペスト火山~
魔王城から北に8Kmほどの距離にある、常に噴煙が立ち上る火山で、たえず激しい上昇気流が吹き上げ火山の噴煙を雲のある高さまで押し上げることから、雲のできる場所と言われ、魔界でも名の知れた観光名所にもなっている。
そんなテンペスト火山についたハンは、先に来ていたベッチと合流し状況把握をする。
「ベッチ、どんな様子ッスか?」
「とりあえず、いま確認が取れている瘴気だまりは、3個所だぜ!
アニキの指示どおり、近寄る魔獣は退治してるけど、1個所は すでに魔獣が入っている状態だったんで保留になってるぜ!」
「分かったッス。
その1個所に入ってる魔獣は、俺が殺るッス。
ベッチは他に瘴気だまりがないか確認してほしいのと、いま瘴気だまりになってる場所に魔獣が近寄らないようにすることと合わせて そこに土を入れて埋め立ててほしいッス。」
「埋め立てるのかだぜ?」
「そうッス。
土で埋め立てれば、瘴気が外に流れ、濃度が下がり無害になるッス。
これは、エイルシッド王から聞いていた方法ッスから間違いないッス。」
「わかったぜ!
アニキ、確認と埋め立ての件は任せてほしいぜ!
野郎ども、仕事の時間だぜ!」
「「「オオオオォォ!!!」」」
ハンは、ベッチたち魔王城の悪魔が作業に入るのを確認すると、魔界の風が運んできた暗黒を纏い、大きな青い狼 ジョチへと姿を変えた。
ジョチ(ハン)は 吹き荒れる魔界の風のような速度で、魔獣が入り込んでいる瘴気だまりへと移動していった。
ジョチが瘴気だまりにつくと、そこには2匹の対峙する魔獣と7~8匹の魔獣の死骸が横たわっていた。
(遅かったか・・・?)
ジョチは攻撃手段などを見極めるために、最後の1匹になるのを瘴気だまりの外から注視していた。
残った2匹の戦闘は一方的であった。
おそらく、一方は既に瘴気だまりの中で強くなった超魔獣。もう一方は後から迷い込んだ魔獣なのだろう。
強くなった超魔獣が考えもなしに突進し 襲い掛かり、巨大な顎で一方的に攻撃し戦闘は終了したのである。
強くなりすぎた超魔獣の外見は、四足歩行で足が長く全身が固そうな鱗で覆われた まるでワニのような外見で、ジョチよりも一回り程小さい体つきだがその軽さ故に突進の瞬発力はあるだろう。
(突進力と噛みつきの速度が尋常じゃないな。
ネロやエンマなら楽に戦えただろうが、俺じゃ相性が悪い。)
ジョチは ワニのような超魔獣との戦闘をイメージする。
たとえ、ワニのような超魔獣の能力が高くとも、ジョチには考える力や長年の経験がある。
ジョチは ワニのような超魔獣との戦いがイメージ出来たのか、頭をブルブルっと振ると、口を開けたり閉じたりして準備をする。
「ワオォーン」
ジョチの遠吠えが合図となり、ワニのような超魔獣との戦闘が始まった。
ワニのような超魔獣は瘴気だまりから飛び出し、大きな顎を開き 一直線にジョチに突進してくる。
ジョチは 待っていたと言わんばかりに、タイミングを見計らい後方に飛びよける。
ワニのような超魔獣の顎は空を切り、後方に飛び去ったジョチを噛み砕こうと突進を続け、再び顎を開けようとした。
「ガゥ!」
しかしその閉じられた顎が再び開くことはなかった。
凶暴な顎が閉じられた その一瞬にジョチは間合いを詰めなおし、ワニのような超魔獣の閉じた口先に噛みつく。
ジョチに噛みつかれ、口を開くことができないワニのような超魔獣は、ジョチを振りほどこうとして体を左右に激しく降り逃げようとする。
しかし、ジョチはワニのような超魔獣よりも一回り体が大きいため、左右に激しく降られても それに合わせて首を動かし、決して噛みついた牙を抜こうとはしない。
ジョチの牙がワニのような超魔獣の口先に深く刺さっていることもあり、ワニのような超魔獣は呼吸ができず、時間にして10分ほど激しく抵抗したあと、急に痙攣をはじめ 糸を切られた操り人形のように その場に崩れ落ちた。
ジョチは、ワニのような超魔獣の最後を見届けると、近くにいた悪魔に穴を埋めるように仕草で伝える。
瘴気だまりの中にあった遺体は埋葬されるかのように、徐々に土に埋もれていく。
念の為、周囲を確認し瘴気だまりがないか見て回った後、ジョチは再び魔界の風が運んできた暗黒を纏い 使い魔(ハン)の姿へと戻った。
使い魔の姿に戻ったハンに、待っていたベッチが声をかけてくる。
ベッチと共に、ネロ、ポチ、ケーン、エンマも駆けつけて来ていたようだ。
「アニキ、兄さん方も終結したぜ!
それと指示通り瘴気だまりが薄まる程度に 埋め終わったぜ!
念のため、また瘴気だまりができないように ならしておくぜ!」
「了解ッス。
だけど、どこから瘴気が沸いてきたんスかね。」
「さあ、皆目見当がつかないぜ!
ところで、瘴気ってどうやって発生するのか、その原因が分かれば沸いてきた場所も特定しやすいと思うぜ!」
「そうッスね。
たとえば、風通しの悪い場所に放置された悪魔や 大量の魔獣の死骸なんかから発生するって言われてるッス。
でも悪魔の死骸は 祝福が施され火葬するのが通例になってきたから、瘴気だまりも この5000年くらいは聞かなかった話ッスけどね。」
「なんだか嫌な予感がするニャン。
ここ最近、人間から転生し始めた頃の最悪な魔界に戻りつつある気がするニャン。」
「そうッスね。
不可侵条約を破っての天使の魔界進行、瘴気だまり、眠りの呪いから目を覚ましたのだって、偶然じゃなさそうッス。」
「せっかくマリー様が解放されたと思ったら、次から次へと事件が起きてるニャン。」
「よく考えれば、あのタイミングでジャスさんが来たのも変な話ニャン。」
「俺も 深く考えずに、目を覚ましてもらえたことに喜んでいたッスけど、何か良くないことの前触れだったのかもしれないッス。
とにかく、マリー様やジャスさんを守らないといけないッス。
俺らの正体をマリー様に伝える日も近いかもしれないッスね。」
「その時は、その時ニャン。」
「まあ、マリー様なら気にせずに優しく迎えれくれそうだニャン。」
ハンたちが魔王城に帰還しようとしたとき、火口付近で激しい爆発音が聞こえてきた。
ズドーーン!
「なんなんだニャン?」
「火山の噴火ッスかね。」
「・・・いや、濃密な瘴気が噴出しているニャン。」
「ハン、まずいニャン。あの吹き出す瘴気の中に巨大な超魔獣らしき姿が見えるニャン。」
ケーンの言葉に、ハンたちも食い入るように吹き上げる瘴気の中を見つめる。
「・・・かなり巨大な影ッス。」
「さすがにヤバイ感じニャン。」
「かなり危険な雰囲気ニャン。」
「でも マリー様が居なくてよかったニャン。」
「おかげで安心して本気で戦えるニャン。」
吹き出す瘴気が止むと、巨大な超魔獣は、凄まじい雄たけびをあげた!
「「「グゴアァァァ!」」」
近隣の村に住む悪魔たちだけでなく、魔王たちでさえも、その殺意のこもった雄たけびに身震いをし、泣いていた赤子さえも恐怖で泣き止んでしまうほどであった。
それほどまでに、凶悪な雄たけびであり、感じたこともないほどの殺意が込められていた。
武者震いなのか、それとも怯えてしまっているのか、悪魔リーダーのベッチも全身が震えていた。
「たぶん、並みの魔王よりも断然に強いぜ!
俺も恐怖で全身の毛が逆立ってるぜ!」
「ベッチ、仲間を連れて巻き込まれないように逃げるッス。
次は 俺ら5人全員で戦うッス。俺ら5人で戦えば楽勝ッス!」
「絶対に勝てるニャン。だって俺らには、
疾風の早さで敵を翻弄し、その牙で敵の魂を刈り取る。青い狼 ジョチがついてるニャン。」
「俺らは無敵ッス。だって俺らには、
鉄壁の守りと回復能力で、全ての攻撃を受けきる。黒の巨人 ゴリアテがついてるッス。」
「どんな相手でもかかってくるニャン。だって俺らには、
研ぎ澄まされた爪と牙で、激しい連撃を繰り出す。白狛犬の獣人 イヌがついてるニャン。」
「負けるはずがないニャン。だって俺らには、
激しく燃え盛る極炎の一撃で、溶岩すら灰にする。炎を纏った鳥 キジがついてるニャン。」
「今日は活躍するニャン。だって俺らには、
立体的に縦横無尽に飛び回り、その剛拳剛打で敵を打つ。赤夜叉 サルがついてるニャン。」
5匹の使い魔がそれぞれの左肩に手をかけ、円陣を組む。
円陣を組む使い魔たちは、魔界の風が運んできた暗黒を纏い 姿を変えていく。
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