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憧れの先輩
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オレは、仕事帰りで駅へ向かっていた。
駅から出てくる人混みに、冨岡先輩を見つけた。
オレは驚いた。
冨岡先輩とは、10年ぶりの再会だ。
オレは、嬉しくなり大きな声で「冨岡先輩っお久しぶりです」と声をかけた。
冨岡先輩は驚いた様子で、オレ見て「おお、藍原。びっくりさせんなよ。かなり久しぶりだな」と笑った。
冨岡先輩は高校のサッカー部の先輩でオレの憧れの人だ。
オレはテンションが上がり「冨岡先輩、これから飲みに行きましょう」と言った。
冨岡先輩は笑顔で「わかったよ。奥さんに聞いてみる」とオレから少し離れてスマホを操作した。
「いいってさ」と冨岡先輩は笑顔で言い、オレ達は近くの居酒屋に行くことにした。
冨岡先輩は、会社を経営していて、結婚して八年目の奥さんと七歳の子供と暮らしているそうだ。
オレが「オレなんて彼女はいない。うだつの上がらないサラリーマンですよ」と言うと、冨岡先輩は「藍原なら大丈夫だ。いい人と出会えるし、仕事もこれから上手くいく」と笑顔で言ってくれた。
冨岡先輩はサッカー部時代、いつもオレを励ましてくれた。
イケメンでエースストライカーで、女子にモテて、男子からも人気者だった。
その上、みんなに優しくて、勉強もできる完璧な人だ。
今も変わらないなと、オレは感動していた。
冨岡先輩すげーみたいな話をしているうちにオレは、冨岡先輩の家族に会いたくなって「家に行っていいですか」と聞いた。
冨岡先輩は、少し戸惑いながらも、今日は無理だから、また日を置いてと言った。
そして、オレの連絡先を聞いて、後日、いい日を連絡すると言った。
数日後、冨岡先輩から連絡が来て、オレは冨岡先輩の家に行った。
奥さんの里美さんは綺麗で愛想がよく、料理が上手で素敵だった。
息子の宗介くんは、可愛い顔で、話した感じが頭も良さそうで、七歳ながらボールさばきが上手かった。
オレはさすが冨岡先輩だ。成功者だ。感動し、いい気分で家をあとにした。
それから、数週間後。
たまたま、高校のサッカー部の先輩。橋原に会った。橋原は、同期の冨岡先輩とは違い、嫌なヤツだった。向こうから声をかけられ、飲みに行くぞと言われ、渋々オレは付き合った。
オレは橋原から、仕事や家族の愚痴を聞きながら、コイツは相変わらずだなと呆れながら、ビールを飲んでいた。
そして「そういえば、三週間くらい前に冨岡先輩の家に行ったんですよ」と言った。
橋原は「おー冨岡、元気だったか」と聞いた。
オレは「はい。久しぶりに会った後、家にも招待してくれて、奥さん、綺麗な人で息子さんも可愛いかったです」と言った。
橋原は「え。ちょっと待て。冨岡の奥さんと息子。亡くなったはずだぞ」と言った。
オレは「え。そんな。オレ、確かに会いましたよ」と言った。
橋原はスマホを出して、検索した記事を見せた。
そこには、死亡事故の記事が載っていた。
二年前の日付で冨岡先輩が運転していた車の左側に、車が突っ込み、妻と息子が亡くなったとあった。
オレは言葉を失った。
橋原は少し間を置いて「もしかしたら、冨岡。レンタルしたのかもな」と言った。
オレは「レンタル」と呟いた。
橋原は「そう、奥さん役と息子役をレンタルしたんだよ。なんか、役者志望のヤツが登録している、人材派遣会社があるみたいだぞ」
オレは「でも、なんで」と戸惑いながら言った。
橋原は「ほら、お前、冨岡に憧れてるって言うか。崇拝してたじゃん。そんな、お前には、変わらない憧れの対象でいられる姿を、見せたかったんだよ」と言った。
オレはどんな顔をしていいか、わからなくなった。
橋原は「おい、そんな顔するな。子持ちの奥さんと再婚したって、こともあるし。まあ気にすんな」と言った。
再婚。それはない。何故なら冨岡先輩は、大学を卒業して、すぐに奥さんと結婚したと言っていたからだ。
そして、息子のことはオレに似てサッカーが上手いんだと話していたからだ。
知らなくていいことがある。
2人の先輩に再会しなければ。
オレは、その偶然を憎んだ。
駅から出てくる人混みに、冨岡先輩を見つけた。
オレは驚いた。
冨岡先輩とは、10年ぶりの再会だ。
オレは、嬉しくなり大きな声で「冨岡先輩っお久しぶりです」と声をかけた。
冨岡先輩は驚いた様子で、オレ見て「おお、藍原。びっくりさせんなよ。かなり久しぶりだな」と笑った。
冨岡先輩は高校のサッカー部の先輩でオレの憧れの人だ。
オレはテンションが上がり「冨岡先輩、これから飲みに行きましょう」と言った。
冨岡先輩は笑顔で「わかったよ。奥さんに聞いてみる」とオレから少し離れてスマホを操作した。
「いいってさ」と冨岡先輩は笑顔で言い、オレ達は近くの居酒屋に行くことにした。
冨岡先輩は、会社を経営していて、結婚して八年目の奥さんと七歳の子供と暮らしているそうだ。
オレが「オレなんて彼女はいない。うだつの上がらないサラリーマンですよ」と言うと、冨岡先輩は「藍原なら大丈夫だ。いい人と出会えるし、仕事もこれから上手くいく」と笑顔で言ってくれた。
冨岡先輩はサッカー部時代、いつもオレを励ましてくれた。
イケメンでエースストライカーで、女子にモテて、男子からも人気者だった。
その上、みんなに優しくて、勉強もできる完璧な人だ。
今も変わらないなと、オレは感動していた。
冨岡先輩すげーみたいな話をしているうちにオレは、冨岡先輩の家族に会いたくなって「家に行っていいですか」と聞いた。
冨岡先輩は、少し戸惑いながらも、今日は無理だから、また日を置いてと言った。
そして、オレの連絡先を聞いて、後日、いい日を連絡すると言った。
数日後、冨岡先輩から連絡が来て、オレは冨岡先輩の家に行った。
奥さんの里美さんは綺麗で愛想がよく、料理が上手で素敵だった。
息子の宗介くんは、可愛い顔で、話した感じが頭も良さそうで、七歳ながらボールさばきが上手かった。
オレはさすが冨岡先輩だ。成功者だ。感動し、いい気分で家をあとにした。
それから、数週間後。
たまたま、高校のサッカー部の先輩。橋原に会った。橋原は、同期の冨岡先輩とは違い、嫌なヤツだった。向こうから声をかけられ、飲みに行くぞと言われ、渋々オレは付き合った。
オレは橋原から、仕事や家族の愚痴を聞きながら、コイツは相変わらずだなと呆れながら、ビールを飲んでいた。
そして「そういえば、三週間くらい前に冨岡先輩の家に行ったんですよ」と言った。
橋原は「おー冨岡、元気だったか」と聞いた。
オレは「はい。久しぶりに会った後、家にも招待してくれて、奥さん、綺麗な人で息子さんも可愛いかったです」と言った。
橋原は「え。ちょっと待て。冨岡の奥さんと息子。亡くなったはずだぞ」と言った。
オレは「え。そんな。オレ、確かに会いましたよ」と言った。
橋原はスマホを出して、検索した記事を見せた。
そこには、死亡事故の記事が載っていた。
二年前の日付で冨岡先輩が運転していた車の左側に、車が突っ込み、妻と息子が亡くなったとあった。
オレは言葉を失った。
橋原は少し間を置いて「もしかしたら、冨岡。レンタルしたのかもな」と言った。
オレは「レンタル」と呟いた。
橋原は「そう、奥さん役と息子役をレンタルしたんだよ。なんか、役者志望のヤツが登録している、人材派遣会社があるみたいだぞ」
オレは「でも、なんで」と戸惑いながら言った。
橋原は「ほら、お前、冨岡に憧れてるって言うか。崇拝してたじゃん。そんな、お前には、変わらない憧れの対象でいられる姿を、見せたかったんだよ」と言った。
オレはどんな顔をしていいか、わからなくなった。
橋原は「おい、そんな顔するな。子持ちの奥さんと再婚したって、こともあるし。まあ気にすんな」と言った。
再婚。それはない。何故なら冨岡先輩は、大学を卒業して、すぐに奥さんと結婚したと言っていたからだ。
そして、息子のことはオレに似てサッカーが上手いんだと話していたからだ。
知らなくていいことがある。
2人の先輩に再会しなければ。
オレは、その偶然を憎んだ。
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