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しおりを挟む美男美女の親から生まれた醜い子供。父と母はそんな事は思わないし言わなかったけど周りには散々と蔑まれた。
まぁ自分でも鏡を見たらそう思うから仕方ないんだけど、だから嫌な気分にはならないって訳じゃない。
尊敬する兄がいるからグレずにすんでいる。可愛い弟が生まれた時に、正直、嫌われるかなと思った。
でも逆だった。世界一可愛い弟は醜いと嘲笑われる僕達にしか心を開かない。
「フィ。おいで~」
呼ぶと嬉しそうに尻尾をパタパタさせて小さな手足で駆け寄って来る。
可愛い。可愛くて仕方ない。
「クーにぃ」
戸惑うことなく抱きついてくるのはフィーリィーだけだろうな。
「大好き、にぃ」
毎日、好意を伝えられる。それだけで周りの反応なんて気にならなくなる。
「僕も大好きだよ~」
ギュッと抱き締め、好きだと言うと安心したように笑む。このままずっと一緒にいたい。
「クーにぃ、尻尾さわっていい?」
サラサラしてなくフワフワしている耳と尻尾も嘲笑われるのに、触りたいと言うのはフィーリィーだけ。
「いいよ~」
抱っこして椅子に座って尻尾をフィーリィーの頬にあてると喜ぶ。弟はとっても可愛い。
ルーにぃはカスタードクリーム色の耳と尻尾。クーにぃは生クリーム色の耳と尻尾。兄達と同じなのは青い瞳だけ。
見掛けは全く似てない。自分の地味な黒い耳と尻尾を鏡の前でツンツンしていた。
「フィ、どうかした?」
相変わらずの美少年のルーにぃ。耳と尻尾をへにょと垂れさせ、抱き付いて兄の顔を見上げる。
「色がにぃたちと違うの」
ルーにぃが困ったように笑い頭を撫でて宥めてくれた。
「フィーリィーの色は綺麗だよ。黒は一番美しいとされている」
「や、にぃ達と一緒がいいの」
グリグリ頭を押し付け、いやいやと我儘を言う。
「寂しいの」
だから兄達と一緒がいいと涙目で言うと、ルーにぃが黒耳に触れた。
「寂しくないよ。フィの色が同じじゃなくても一生ずっと一緒」
「ほんとう?」
「勿論、私とアレクの大切な弟」
毎日不安でたまらない。この世界で怖いことはまだ一度もない。でも兄二人以外は信じられない。
殴らないで、もう止めて、痛いよ。大人を見るとあの時の事を思い出す。
「ルーにぃ、大好きって言って」
「フィ、大好きだよ。私達の大切な弟。フィーリィー愛してる」
兄達がいるから大丈夫。
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