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しおりを挟む「お帰り」
宿に着くとリカルド兄上が先に帰っていた。眠ったままのフィを大事に抱いたまま部屋に入る。
「お疲れ様。フィは寝てるね」
覗きこみ寝顔を見て頭を撫でる兄上に今日の報告をしないといけない。でもフィーリィーがいつ目を覚ますか分からない。
「何かあった?」
自然と眉間にシワが寄ってしまう。フィを一人に出来ないと伝えた。
「なら寝室で話そうか。夕食までまだ時間がある」
頷くとフィーリィーを連れて寝室に向かう。弟をベッドに寝かすと窓辺のテーブルに移動して椅子に腰をおろした。
「何があった?」
孤児院であった流れを簡略に話す。避難所、調査、お菓子、子供の遊び、それと――
「申し訳ありません。僕がついていながらフィーリィーに怖い思いをさせました」
側にいればあんな悲痛な叫びをあげさせる事はなかった。少しの隙が招いた結果に後悔して歯をくいしばる。
「今回の事は悪い偶然が重なってしまっただけで、誰かを責めることではないよ。アレクの後悔も分かる。けどそんな風に己を責めていたらフィが悲しむ」
「……はい」
「アレク、ありがとう、寝顔を見ていたら分かるよ。フィはもう恐怖に震えていない」
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