【完結 一気読み推奨】聖女召喚に巻き込まれた聖女(仮)の婚約者ですが……え? 俺の方が聖女ってどういうこと!?

はぴねこ

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 その時、再び扉がノックされ、今度は護衛が確認するまでもなく扉は開いて、第一王子が入ってきた。
 そして、彼は少年の姿を見て驚いていた。

「ジェラルド!? どうしてここに!?」
「兄さん、父上に聖女様のことを話して来たんだよね? 僕も父上のところに行って、僕も聖女様と結婚したいって言ってくるね!」
「!? それはダメだ!」
「なんで? 兄さんはもう婚約の許可をもらって来たんでしょ? チャンスは平等じゃなくちゃ!」

 少年はくるりと俺の方を振り返ると、「またね!」と手を振って部屋を出ていった。
 俺はそんな少年の去った扉を見ながら呆然としていた。

 ……兄さん? あの子、第一王子のことを兄さんって言った!?
 つまり、彼は従者じゃなくて王子様だったっていうことか!?

 通りで、お茶を淹れるのが下手くそなはずだ!! 普段、自分でお茶を淹れることなんてないんだから当然だ!

「レン! ジェラルドに何か言われませんでしたか?」
「いや、特には……加護について、色々と教えてくれました。病気や怪我から守ってくれるんですよね?」
「ああ、そうですね。そうしたこともお教えしましょう」

 第一王子はにこりと微笑んだが、その表情はなんだか先ほどよりも元気がないように思えた。

「なんだか元気がないようですが、何かありましたか?」
「それが……父上が……王様が、私とレンの婚姻を認めてくださらなくて」
「……そうですか……」

 王様としては、自分たちが召喚したとはいえ、異世界から来たばかりの人間と大事な王子を婚約させることには不安があるだろう。

「私としては明日にでも婚姻許可証を用意して欲しかったのですが、婚約許可証までしか出してくれなかったのです」

 王子はそう悲しそうに言ったが、俺は王様に物申したい。
 ぽっと出の異世界聖女(?)と大事な王子を婚約させてもいいのか?

 ……いや、神様が実在し、神様に統治されていると考えている国だ。
 純潔の神の加護を得た聖女と王子を婚姻させるという決まりがいつからあるのかは知らないけれど、王様が婚約を認めたのはその決まりに逆らえないからなのだろう。

「あ、あの、そのことなのですが、王子は十八歳だと聞きました」
「そうですが?」
「俺はもう二十八なので、結婚は考え直した方がいいと思うんです」

 俺の言葉に王子はその目を丸くして、俺を凝視した。

「二十八歳!? まだ十代のように見えますが!?」
「えっとですね……これは人種の特色みたいなもので……」

 前の世界でも、日本人は若く見られたから、人種の特色だと考えて間違いないだろう。
 とりあえず、これで俺との結婚は考え直してくれるだろうと思ったのだが、王子は俺の手を再びしっかりと握ってきた。

「しかし、レンの年齢は問題ではありません!」

 王子との距離がきゅっと縮まる。
 そもそも、四人がけのテーブルと椅子なんだから、普通、向かい合って座らないか?
 どうして、王子は俺の隣に座ったんだろう?

「私はあなたとの結婚を強く望んでいます」

 神の加護を持つ聖女との婚姻は、王族という立場ならば誰もが望むことなのだと、先ほどの少年……ジェラルド王子が言っていた。
 やはり、第一王子もそうなのだろうか?
 第一王子が王太子なのかは知らないけれど、王位を望んでいるのならば絶対に欲しいものなのかもしれない。

「レンは、私との結婚を望んでいないかもしれませんが、好きになってもらえるように頑張りますので……」

 そんな殊勝な姿を見せられるとなんとも言えなくなってしまう。

「わ、わかりましたから……手を離してもらってもいいですか?」
「レンと手を握っていると心地よいのですが、離さなければいけませんか?」

 王子が少し落ち込んでいる。
 聖女の手を握っていると落ち着くということは、神様の加護を持っていると癒し効果のようなものがあるのだろうか?

「俺は落ち着かないから……」
「そうですか……」

 王子は残念そうに俺の手から手を離した。
 まるで俺を本心から大切に思っている様子に俺は居た堪れなくなる。
 演技が上手いな……

「それでは、神々と加護について説明しますね」
「お願いします」

 王子は加護について色々と説明をしてくれたけれど、純潔の加護を持っている聖女が結婚する相手が王族だという話を改めて話すことも、自分以外の王族もその対象に含まれると前回の話を訂正することもなかった。

 王子曰く、加護は……病気にならない、意図しないちょっとしたものならば怪我もしない。毒も効かない。攻撃からは守られるが、限界はあるっぽい。自傷行為からは守られるどころか加護が消える可能性もある。
 祈ることで加護は強化される。

 神様が人間たちに何か伝えたい場合には、祈っている間に伝えられることがある。話好きの神もいればそうではない神もいる。
 神々は大神様が七神おり、その眷属の神が多数いる。
 聖女が祈りを捧げて対話をするのは主に大神が多い。眷属神も聖女が助けを求めれば顕現化して相談に乗ってくれることもある。

 神々との対話で種まきの時期や収穫のタイミング、台風や大雨、旱魃などの天災、魔物の出現や、流行り病などの情報を得ることができるそうだ。

「神々との他愛もない会話まで我々に報告する必要はありませんが、国や民の生活にとって大切な情報は教えていただきたいです」

 神々との対話というものが実際にどのように行われるのかは知らないけれど、何か大切なことを聞いた時には必ず教えると王子に約束した。
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