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出発
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翌日、俺たちは準備を整え、クロノスへの道を歩み始めた。
ジジイと俺達は軽い挨拶だけして、錆びついた空の下、ネオアーマーを輸送ロボットに乗せ、荒廃した街並みを抜けようとしていた。
「クズ、この子と一緒になって向かわないの?」
イヴがネオアーマーを差して申し出るが、俺は首を横に振った。
「このさびれた街でネオアーマーなんて使ったら目立つ。ただでさえ治安部隊に目をつけられてんだ、クロノスでエントリーするまでは面倒はごめんだ」
イヴは少し不満そうだったが、それ以上言い返さなかった。
ただ、俺の後ろを輸送ロボットに乗せられたネオアーマーと一生懸命についてくる。
クロノスへの道のりは簡単ではなかった。
街を抜けた俺たちは、治安維持部隊のパトロールを避け、荒野を横断しなければならなかった。途中、ネオヒューマンの偵察機や略奪者との遭遇を何とか切り抜けた。
「クズ、あっちに隠れて!」
イヴの声で崖陰に身を潜めると、ドローンが頭上を飛び去っていく。俺たちは息をひそめながらその場をやり過ごした。
「…お前、役に立つな。」
俺は少し感心しながらイヴに言った。
「だって、クズを助けたいから。」
イヴの真っ直ぐな言葉に、俺は思わず目をそらした。
「…おう」
ようやくクロノスの外周地帯が見えてきた頃、俺たちはまた新たな壁にぶつかった。
クロノスの入り口は、アーマーリングの競技者しか通過できない高度なセキュリティで守られていた。
「さて、どうするか⋯」
俺はネオアーマーを見つめながら呟いた。
新たにエントリーするにはネオアーマーに乗った人間が操作を行う必要がある⋯だが俺にはそのすべがない、そもそもコイツが正式なネオアーマーかも疑問だった。
試しにイヴを乗せて操作するかと考えていたら
『クロノス認証キーを確認。準備完了。』
突然、ネオアーマーが再び機械音声で告げた。
「おい、まさか……」
イヴが俺を見上げる。
「クズ、行けるよ!」
「……どういうことだ?」
『アーマーリング登録済み競技者としての資格を確認。スターダスト、認証完了。』
その言葉に俺は凍りついた。
「何だと……?」
かつての俺の名――「スターダスト」が再び呼ばれたことに、混乱と不安が胸に押し寄せてきた。
「クズ……すごい!」
イヴは目を輝かせて言ったが、俺はイヴとネオアーマーを見ながら驚いていた。
(俺の資格がまだ登録されてるわけねぇ⋯こいつ本当にやべぇもんかも知れねぇ)
だが、そうも言ってられない。クロノスへの道が開かれた今、後戻りはできない。
俺は深呼吸をして、ネオアーマーに向き直った。
「行くぞ、イヴ。」
「うん!」
そうして俺たちは、クロノスの門をくぐり抜けた。
ジジイと俺達は軽い挨拶だけして、錆びついた空の下、ネオアーマーを輸送ロボットに乗せ、荒廃した街並みを抜けようとしていた。
「クズ、この子と一緒になって向かわないの?」
イヴがネオアーマーを差して申し出るが、俺は首を横に振った。
「このさびれた街でネオアーマーなんて使ったら目立つ。ただでさえ治安部隊に目をつけられてんだ、クロノスでエントリーするまでは面倒はごめんだ」
イヴは少し不満そうだったが、それ以上言い返さなかった。
ただ、俺の後ろを輸送ロボットに乗せられたネオアーマーと一生懸命についてくる。
クロノスへの道のりは簡単ではなかった。
街を抜けた俺たちは、治安維持部隊のパトロールを避け、荒野を横断しなければならなかった。途中、ネオヒューマンの偵察機や略奪者との遭遇を何とか切り抜けた。
「クズ、あっちに隠れて!」
イヴの声で崖陰に身を潜めると、ドローンが頭上を飛び去っていく。俺たちは息をひそめながらその場をやり過ごした。
「…お前、役に立つな。」
俺は少し感心しながらイヴに言った。
「だって、クズを助けたいから。」
イヴの真っ直ぐな言葉に、俺は思わず目をそらした。
「…おう」
ようやくクロノスの外周地帯が見えてきた頃、俺たちはまた新たな壁にぶつかった。
クロノスの入り口は、アーマーリングの競技者しか通過できない高度なセキュリティで守られていた。
「さて、どうするか⋯」
俺はネオアーマーを見つめながら呟いた。
新たにエントリーするにはネオアーマーに乗った人間が操作を行う必要がある⋯だが俺にはそのすべがない、そもそもコイツが正式なネオアーマーかも疑問だった。
試しにイヴを乗せて操作するかと考えていたら
『クロノス認証キーを確認。準備完了。』
突然、ネオアーマーが再び機械音声で告げた。
「おい、まさか……」
イヴが俺を見上げる。
「クズ、行けるよ!」
「……どういうことだ?」
『アーマーリング登録済み競技者としての資格を確認。スターダスト、認証完了。』
その言葉に俺は凍りついた。
「何だと……?」
かつての俺の名――「スターダスト」が再び呼ばれたことに、混乱と不安が胸に押し寄せてきた。
「クズ……すごい!」
イヴは目を輝かせて言ったが、俺はイヴとネオアーマーを見ながら驚いていた。
(俺の資格がまだ登録されてるわけねぇ⋯こいつ本当にやべぇもんかも知れねぇ)
だが、そうも言ってられない。クロノスへの道が開かれた今、後戻りはできない。
俺は深呼吸をして、ネオアーマーに向き直った。
「行くぞ、イヴ。」
「うん!」
そうして俺たちは、クロノスの門をくぐり抜けた。
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