魔法使いと皇の剣

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1章 出会い

追想 兄と妹

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 長い黒髪を靡かせながら、一人の少女が森の中を駆けていた。

 美しい顔立ちは疲労に彩られ、背後から迫る追手たちから必死に逃れている。

 まだ大人の女性になりきれていない華奢な身体に差した刀を抜き、応戦することも考えた。しかし追手たちの数は多く、その中には、かつて「皇の剣」と呼ばれた者が変じた異形の姿も混じっている。

 力を振るえば何が起こるかわからない――その不安が少女を前進させていた。

「兄さんと合流すれば、きっと勝機はある」
 そう信じ、少女は足を止めず走り続けた。

 森を抜け、水のせせらぐ浅瀬へと飛び出した瞬間、少女は後悔した。

 川の周囲には遮蔽物となる木々がなく、自分が無防備になることを失念していたのだ。

 それでも川を越えなければ先には進めない。決意を固めた少女が一歩を踏み出した時、背後から飛んでくる物体に気付き、反射的に足を止めた。

 矢だった。

 人の力を超えたその威力は、川向こうの木々を抉り、矢自体も粉々に砕け散った。
 少女は息を呑んだ。

 「もう逃げられない」
 静かに刀を抜くと、追手たちと対峙する覚悟を決めた。

 追手は五人。一人は異常な速度で矢を放ち続けているが、理性が失われつつあるのか、狙いは定まらずただ少女へと歩み寄っている。

 残る四人は完全に人外と化しており、それぞれ刀を抜いて川を渡り始めた。

 一人の追手が刀を投げつけてきた。 

 それは猛烈な勢いで飛んできたが、少女はその刃を自らの刀で受け流した。そしてそのまま流れるような動作で接近し、相手の首を鮮やかに跳ね飛ばした。

 首を失った追手はしばらくの間、糸が切れた人形のように立ち尽くしていたが、やがて崩れ落ちた。
 
 その間も少女は飛んでくる矢を上手く交わし、残る追手達と交戦を続けていた。
 
 既に少女の前には刀を手に持ち異形に変えた追手達が次々と少女に向かって刀を振り回していた。
 
 一人一人なら簡単に捌けるが既に人外となっていた男達の刀は、少女の横を掠める度に剣圧で風を切り、地面に当たれば石を吹き飛ばし、空を切れば衝撃波を発生させていた。

 少女は自身の左側にいる追手に狙いを定めると、追手の懐までいき刀を振り上げた。

 振り上げた刀の狙いは追手の胴体ではなく、追手の刀を持つ右上腕だった。

 ゆったりした流れるような少女の刀は血しぶきと共に追っ手の肩先を切り飛ばした。

 腕を失くした追手は自身の身体から一部が無くなった事によりバランスを崩した、少女はその追手を軽く手で押すと、追手は今にも少女に斬りかかろうとしていた別の追手の前に身体を投げだす羽目となり、そのまま刀の餌食となった。

 少女は、目の前で味方の追手に真っ二つにされた肉片から目を離すと、自身に矢を狙い定めていた追手の対処をしようとしたが、近くに感じた見知った気配に安心して、追手達から離れた。

 少女に矢を向けようしていた追手は、ヒュン、、と風を切る音を聞いたと共に、自身の視界が視えづらくなっていた事に困惑すると共に残った理性から痛みがすぐに伝ってきた。

 視界の違和感は自身の頭部に刺さっていた矢だとすぐに理解したが、その時には同じように飛んだきて矢が再び頭に刺さり追手は崩れ落ちた。
 
 浅い川を走り、手には矢を持ち自身に駆け寄ってくる少年に少女もまた駆け寄った。

 少年は少女と年はそんなに離れてはおらず、少女と同じく大人の男性になる前の年程で、少女と同じく黒髪をしており、精悍な顔つきをしていた
 その目は優しく少女を見つめると直ぐに少女の先にいる二人の追手へと目を向けた。

 少女も同じく少年を見つめた後、追手に背を向けていた身体をまた追手達に向け直すと刀を構えた。

 少女が一人の追手に駆け寄ると、少年はもう一人の追手に自然と向かっていた。

 一対一の状況になった今でも、少女と相対する追手は闘い方を変えることなく、少女に力の限り刀振り回し身体を切り裂こうとした。

 刀を持った左手を振りかぶったと思っていた追っ手は自身の視界にあった自分の手が無くなり、自分の上半身のみバランスを崩して回ってる状況に違和感を感じる暇なく、その場で意識を失った

 少年は少女が切りかかった追っ手の手を逆に切り捨て、そのまま首を切り裂いた姿を確認すると自身も刀を納めて、先程まで少年の前に立ち塞がっていた首のない死体を跨いで、少女に駆け寄った。

 少女は開けよってきた少年に抱きつくと、少年も優しく少女を抱きしめ頭は撫でた

「兄さん⋯ごめんなさい、まさか皇の剣に見つかるとは思わなくて」
そう言い兄と呼ばれた男性に謝罪すると

『いやアマネ、俺こそごめん。まさか皇の剣がジョウランで何かしてるとは考えてなかったし、一人で行かせるべきじゃなかった」
兄はアマネに優しく声をかけてきた

「兄さん、一度ジョウランに戻って報告しよう、何か良くない事が起きてる気がする」

「そうだな⋯一旦戻ろう。」
そう話アマネ達は死体を残しその場を後にした。
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