加虐心

わんこう

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迷路1

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 次の日学校に行くと佐伯はもう登校していた。


 恐る恐る近づき、
 「金...持ってきた。」

 というと佐伯は立ち上がり

 「ついてこい。」

 とだけ言って教室を出て行った。


 急いで後を追うと、人気のない体育館の裏に着いた。


 「あ、あの..なんでこんなところに来たの?」


 早く用事を済ませて帰ってしまいたい。
 そもそもなぜ佐伯は俺をここまで連れてきたのだろう。


 「お前、その金どうやって用意した?」

 急な質問に驚き、すぐ質問に答えられなかった。

 「....っあ、あ、貯金から出してきた....」


 「男と寝て貯めた金か?」


 (え..なんで佐伯が俺が援交をしていることを知ってるんだ?どこかで見られた?どうしよう。とにかく嘘をつかないと。)

 「....っそんなことあるわけ、ないじゃん!何言ってんだよ急に。びっくりしちゃったじゃないか!冗談もほどほどにしてくれよ...」


 佐伯がじっと見てくる。
 

 「じゃあこれはなんだ?」

 佐伯が携帯の画面を見せる。



 画面には昨日の夜男の人たちとホテルに入っていくところを撮った写真があった。

 「.....」

 「何も言わないってことはこれはやっぱりお前なんだな。」


 このことを言いふらされたら俺は学校での立場が無くなってしまう。最悪退学だ。


 「......誰にも言わないで...お願い....なんでもするから.....」



 一瞬佐伯の口角が上がったのを俺は気付かなかった。

 「なんでも..じゃあ今日俺の家に来い。」


 え、そんな簡単なことでいいのか!?もしかして佐伯っていいやつ?


 「....わかった。」



  




 この時の俺は勘違いをしていた。



 佐伯が優しいわけなんてなかった。





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