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7・2 ついにランベルト様の本心が
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植物園デートは思いの外、成功だった。
職員の説明を聞きながら、ランベルトさまと並んで見学をする。たぶん、一般的にはデートらしくないはず。だってエマが恋人同士のデートは手をつなぐものだと力説していたもの。
だけどランベルト様とたくさん(植物について)お話できた。視線が交わっていることも多かった。
おかげで距離が一気に縮まったような気がする。
植物園のあとは、とても雰囲気のよいリストランテに連れて行ってもらった。ウルスラ叔母さまおすすめの、『デートに最適なお店』らしい。どれだけ私のことを考えてくれているのだ!
そんな楽しかったデートの帰り道で。ランベルト様は怖い表情で、
「今日は楽しんでくれただろうか」と、私に尋ねた。
以前は恐ろしく感じたのに、今日はものすごく可愛く見える。
彼の顔を見上げて
「ええ。とても!」
と、答えたら、ランベルト様は片手を手綱から離して、白い手袋に包まれた指で私の頬に触れた。
私を見つめる目に熱がこもっているようだ。
対象を凍らせてしまう氷結王子なのに?
指は頬をゆっくりなでるように動くと、そっと唇にふれた。
私は顔に熱が集まりすぎて、うまく息が吸えない。
ランベルト様の指が、唇をなぞる。
と、指は突然離れ、ランベルト様は視線をそらした。
「すまなかった。紳士の行いではなかったな」
「いえ、そんなことは……」
そう答えてから、これは令嬢として良い返答だったのかと心配になる。
ランベルト様は私を見ると髪をひとすくい手に取り、口づけた。
「あ、あのののの……」
そんなのずるいと思う! ランベルト様、色気がっ! あふれすぎてて、私の心臓が止まりそう!
「ミレーナ嬢。ちゃんと伝えていなかったと思う」
「は、はひ……」
いやだ、緊張のあまり、変な声が出てしまった!
それなのにランベルト様は笑うでもなく、まっすぐに私を見つめている。
相手を凍らせるというその視線で、私のうるさい心臓を少し止めてください。
そろそろ大爆発しそうなのです。
「君と一緒に暮らすようになって、確信した」
「な、なにをでしょう」
「私は君を好きなようだ」
「す……!」
そうかもしれないとは思っていたけど……!
い・た・け・ど……!
今、このタイミングで?
そんなに真剣なお顔で?
「……迷惑か?」とランベルト様が表情を曇らせる。
「いいえ、そんなことは!」
「だが」
「ドキドキし過ぎてどうしていいのかわからないだけです!」
ランベルト様の表情がわずかに明るくなる。
「私にときめいてくれるのか」
「ときめきしかありません!」
あ。また余計なことを口走ってしまったような気がする。
ランベルト様はまたも、指で私の頬をなぞる。
「……思う相手に意識してもらえることは、こんなにも嬉しいのだな」
なんですかそれはなんですかそれはなんですかそれは!
どうして、ほのかに嬉しそうな表情をしているのですか!
私の息の根を止めに来ているのですか!
いや、待って。なんですか、その切なそうな眼差しは!
ランベルト様は氷結王子なんですよね?
「ミレーナ嬢」
声がかすかにかすれて、ひどくセクシーに聞こえる。
「キスをしても、いいだろうか」
キ……!?
心臓は爆発寸前。答えることができずに、うなずく。
ゆっくりとランベルト様のお顔が近づいてくる。
ぎゅっと目をつむると、唇にひんやりとした感触があった。すぐに離れる。
ほっと息をついた瞬間、また。
すぐに離れ、三度目の感触。
なんども触れては離れるを繰り返す。合間には熱い息がかかる。唇は冷ややかなのに。
やがてキスは頬に移った。
目を固くつぶりすぎているせいか、くらくらする。
ランベルト様が、私の手を取った。
ようやく終わったみたいだ。目を開けると、ランベルト様が私の手の甲にキスをするところだった。
ばちりと視線が合う。そのまま甲にキスするランベルト様。
――もう、限界だわ。
◇◇
「気絶しているって、どういうことですか! あなたは、なにをしたんです!」
きつく詰問する声に、目を覚ました。
「あ、目覚めました!」
そう叫んだのはエマだった。
「あら? どうしてエマがいるの?」
私はデート中のはずだけど。エマが迎えに来たの?
「ミレーナ様、しっかり! ストラーニ邸に帰っています!」
そうだわ。私、この感触は――
意識がはっきりしてくるにつれ、自分のおかれている状況がわかってきた。今いるのはストラーニ邸の玄関ポーチ。私は誰かにお姫様抱っこをされている。
そう自覚したとたんに、心臓がうるさくなり始めた。爆発寸前に大暴れしている。
そろりと首を巡らせると、私を抱きかかえているランベルト様と目が合った。
「すまない。キスで気を失うとは知らなかった」
「普通はしませんよ!」とアランさんが厳しく責める。
「そうなのか?」
「そうですよ! まったく、どれだけしつこくキスしたんですか!」
「……あまりにミレーナ嬢が愛しくて」
ランベルト様、真顔。
やめてください、また死にそうです。
いや、死んではいなかった。
だけど同じようなものよ。
ランベルト様の威力はすごすぎるもの!
「お幸せそうなところを申し訳ないのですが、あの方がいらっしゃっています」
執事長がそう告げたとたん、ランベルト様の体が強張るのが感じられた。
お顔を見ると、怖さが百倍に増している。鋭い眼差しは世界中を凍らせてしまいそうだ。
あの方とは、いったい誰なのだろう。
「用件を聴いたか」
ランベルト様の声が地を這うようだ。
「『結婚のお祝い』とだけ」
「しらじらしい」
吐き捨てるように言うと、ランベルト様は私をおろした。
「すまないが、部屋に戻っていてくれ」
「お客様はどなたなのですか」
ランベルト様は口を強く引き結んだ。
「結婚祝いに来てくださったのなら、私もご挨拶をするべきではないでしょうか」
「そのほうがよろしいかと」と執事長。「でなければ、あの方はあちこちで悪口をいいふらすでしょう。『挨拶もしない嫁だった』と」
「あいつの世迷言など誰も耳をかさない」
「はい。ですがミレーナ様をよく思わない勢力に、非難の口実を与えることになりかねません」
「……そうだな」
ランベルト様は大きく息を吐くと、私を見た。
「きっと嫌な思いをさせる」
「結婚には良いこともあれば悪いこともあると聞いていますから、問題ありません」
ランベルト様が目を見張る。
かと思いきや、私を抱き寄せた。
心臓がまたしても、バクン!と跳ね上がる。
「君に良いことだけを贈りたい」
そう言うとランベルト様は私の額に口づけた。
なんて嬉しいお言葉!
胸が高鳴りすぎて、また気が遠くなりそうだわ……。
職員の説明を聞きながら、ランベルトさまと並んで見学をする。たぶん、一般的にはデートらしくないはず。だってエマが恋人同士のデートは手をつなぐものだと力説していたもの。
だけどランベルト様とたくさん(植物について)お話できた。視線が交わっていることも多かった。
おかげで距離が一気に縮まったような気がする。
植物園のあとは、とても雰囲気のよいリストランテに連れて行ってもらった。ウルスラ叔母さまおすすめの、『デートに最適なお店』らしい。どれだけ私のことを考えてくれているのだ!
そんな楽しかったデートの帰り道で。ランベルト様は怖い表情で、
「今日は楽しんでくれただろうか」と、私に尋ねた。
以前は恐ろしく感じたのに、今日はものすごく可愛く見える。
彼の顔を見上げて
「ええ。とても!」
と、答えたら、ランベルト様は片手を手綱から離して、白い手袋に包まれた指で私の頬に触れた。
私を見つめる目に熱がこもっているようだ。
対象を凍らせてしまう氷結王子なのに?
指は頬をゆっくりなでるように動くと、そっと唇にふれた。
私は顔に熱が集まりすぎて、うまく息が吸えない。
ランベルト様の指が、唇をなぞる。
と、指は突然離れ、ランベルト様は視線をそらした。
「すまなかった。紳士の行いではなかったな」
「いえ、そんなことは……」
そう答えてから、これは令嬢として良い返答だったのかと心配になる。
ランベルト様は私を見ると髪をひとすくい手に取り、口づけた。
「あ、あのののの……」
そんなのずるいと思う! ランベルト様、色気がっ! あふれすぎてて、私の心臓が止まりそう!
「ミレーナ嬢。ちゃんと伝えていなかったと思う」
「は、はひ……」
いやだ、緊張のあまり、変な声が出てしまった!
それなのにランベルト様は笑うでもなく、まっすぐに私を見つめている。
相手を凍らせるというその視線で、私のうるさい心臓を少し止めてください。
そろそろ大爆発しそうなのです。
「君と一緒に暮らすようになって、確信した」
「な、なにをでしょう」
「私は君を好きなようだ」
「す……!」
そうかもしれないとは思っていたけど……!
い・た・け・ど……!
今、このタイミングで?
そんなに真剣なお顔で?
「……迷惑か?」とランベルト様が表情を曇らせる。
「いいえ、そんなことは!」
「だが」
「ドキドキし過ぎてどうしていいのかわからないだけです!」
ランベルト様の表情がわずかに明るくなる。
「私にときめいてくれるのか」
「ときめきしかありません!」
あ。また余計なことを口走ってしまったような気がする。
ランベルト様はまたも、指で私の頬をなぞる。
「……思う相手に意識してもらえることは、こんなにも嬉しいのだな」
なんですかそれはなんですかそれはなんですかそれは!
どうして、ほのかに嬉しそうな表情をしているのですか!
私の息の根を止めに来ているのですか!
いや、待って。なんですか、その切なそうな眼差しは!
ランベルト様は氷結王子なんですよね?
「ミレーナ嬢」
声がかすかにかすれて、ひどくセクシーに聞こえる。
「キスをしても、いいだろうか」
キ……!?
心臓は爆発寸前。答えることができずに、うなずく。
ゆっくりとランベルト様のお顔が近づいてくる。
ぎゅっと目をつむると、唇にひんやりとした感触があった。すぐに離れる。
ほっと息をついた瞬間、また。
すぐに離れ、三度目の感触。
なんども触れては離れるを繰り返す。合間には熱い息がかかる。唇は冷ややかなのに。
やがてキスは頬に移った。
目を固くつぶりすぎているせいか、くらくらする。
ランベルト様が、私の手を取った。
ようやく終わったみたいだ。目を開けると、ランベルト様が私の手の甲にキスをするところだった。
ばちりと視線が合う。そのまま甲にキスするランベルト様。
――もう、限界だわ。
◇◇
「気絶しているって、どういうことですか! あなたは、なにをしたんです!」
きつく詰問する声に、目を覚ました。
「あ、目覚めました!」
そう叫んだのはエマだった。
「あら? どうしてエマがいるの?」
私はデート中のはずだけど。エマが迎えに来たの?
「ミレーナ様、しっかり! ストラーニ邸に帰っています!」
そうだわ。私、この感触は――
意識がはっきりしてくるにつれ、自分のおかれている状況がわかってきた。今いるのはストラーニ邸の玄関ポーチ。私は誰かにお姫様抱っこをされている。
そう自覚したとたんに、心臓がうるさくなり始めた。爆発寸前に大暴れしている。
そろりと首を巡らせると、私を抱きかかえているランベルト様と目が合った。
「すまない。キスで気を失うとは知らなかった」
「普通はしませんよ!」とアランさんが厳しく責める。
「そうなのか?」
「そうですよ! まったく、どれだけしつこくキスしたんですか!」
「……あまりにミレーナ嬢が愛しくて」
ランベルト様、真顔。
やめてください、また死にそうです。
いや、死んではいなかった。
だけど同じようなものよ。
ランベルト様の威力はすごすぎるもの!
「お幸せそうなところを申し訳ないのですが、あの方がいらっしゃっています」
執事長がそう告げたとたん、ランベルト様の体が強張るのが感じられた。
お顔を見ると、怖さが百倍に増している。鋭い眼差しは世界中を凍らせてしまいそうだ。
あの方とは、いったい誰なのだろう。
「用件を聴いたか」
ランベルト様の声が地を這うようだ。
「『結婚のお祝い』とだけ」
「しらじらしい」
吐き捨てるように言うと、ランベルト様は私をおろした。
「すまないが、部屋に戻っていてくれ」
「お客様はどなたなのですか」
ランベルト様は口を強く引き結んだ。
「結婚祝いに来てくださったのなら、私もご挨拶をするべきではないでしょうか」
「そのほうがよろしいかと」と執事長。「でなければ、あの方はあちこちで悪口をいいふらすでしょう。『挨拶もしない嫁だった』と」
「あいつの世迷言など誰も耳をかさない」
「はい。ですがミレーナ様をよく思わない勢力に、非難の口実を与えることになりかねません」
「……そうだな」
ランベルト様は大きく息を吐くと、私を見た。
「きっと嫌な思いをさせる」
「結婚には良いこともあれば悪いこともあると聞いていますから、問題ありません」
ランベルト様が目を見張る。
かと思いきや、私を抱き寄せた。
心臓がまたしても、バクン!と跳ね上がる。
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