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16・ついにお仲間と密談です②
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私の質問にギヨームはうなずいて
「ここって乙女ゲームの世界かな?」
と、それまでとは違う軽い口調で尋ねた。
「そうよ。ということは、このゲームはプレイしていなかったのね」
「ああ。そっか、やっぱりファンタジー系じゃなかったのか。俺、トラックに轢かれて死んだんだよね。前世の記憶がよみがえって『異世界転生じゃね?』って気づいたのはいいけど、魔法もチート能力もないからおかしいと思っていたんだよ」
ギヨームの話によると、彼は数ヶ月前に指をケガしたことをきっかけに、前世を思い出したそうだ。前世での彼はチェロを学ぶ大学生で、世界的コンクールのファイナリストに残りこれから本選というときに、亡くなったという。
「またチェロが弾けているから、チートもハーレムもいらないけどな」
「あなたのチェロは大好きよ」
「ありがとな。俺、それしか出来ないから」ギヨームははにかんだ。「で、君は乙女ゲームのヒロインなんだな」
「違うわ。私は悪役令嬢。ヒロインはロザリーよ」
「どういうことだ?」
ギヨームは悪役令嬢への転生ものを知らなかったので、詳しく説明をした。そして私がバルコニーにぶら下がったばかりにヒロインポジションを横取りしてしまい、逆ハーになりかかっていることも。
「なるほど。そういうジャンルがあるのか」とギヨームは理解してくれたようだ。「バルコニーのツッコミはあとにとって置くとして、」
「とって置かなくていいわ。忘れて!」
「逆ハーになりかかり、じゃないよな。形成されている」
「うっ!」
思わず両手で自分を抱き締める。
なんて恐ろしい展開なんだ。私はただ、悪役令嬢になりたくなかっただけなのに。
「昨夜君が帰ってからもディディエ殿下たちがケンカを始めてね」
王子のくせにアホなの!? あんな公式の舞踏会の最中になにをやっているのよ!
「リュシアン殿下がすぐやめさせたし、周りにも、アニエス嬢へのイタズラだって説明で場を収めたんだ」
「周囲は信じていた?」
「信じないさ。だけど、大公令息がそう言ったのだから、そうしておこう、という空気ではある」
「リュシアン殿下って結構役に立つのね」
「結構もなにも」ギヨームは苦笑した。「彼は何においても傑物だよ。陰では、大公家の生まれなのが惜しい、なんて言われている」
「……彼の誕生会では令嬢への態度が悪かったのよ」
「聞いている。一説によると、意中の伯爵令嬢以外を自分から遠ざけるため、だとか」
「どういうこと?」
「結婚相手を好きに選べるなんて建前にすぎないってこと。公爵家なんかが本気で縁談を迫ったら、殿下も断れない。だから令嬢たちに嫌われるよう振る舞っている。誕生会も、それ以外も」
「そうなんだ……」
「ま、あくまで一説だけどな」
一説だとしても、そこまでして気に入った令嬢にリュシアンは逃げられたのだ。可哀想な気もするし、逆に、それほどまで彼に問題があるのかという気もする。
「で」とギヨームは話を続けた。「舞踏会後に話し合いをしたようだ」
「話し合い?」
「そう。ディディエ殿下、公爵家のマルセル、節操なしの神官、騎士のエルネスト、それからクレール」
ギヨームは昼間、楽団事務所でクレールに会ったのだそうだ。
それでクレールによると、リュシアンが仕切り役になり、五人は抜け駆けをしない協定を結んだという。
「……そこに、諦めるとか気の迷いだったという結論はなかったのかしら」
「なかったみたいだな」
「私はそんなに素敵な令嬢ではないのに。悪役だから顔はキツメだし、性格だっていたってふつう。センスはかなり悪いみたいだし。どうしたら彼らは、恋に落ちる相手を間違えたと気づくかしら」
「……」
「あなたは何かいい案がある?」
「それ、気づかせないとダメなのか? うまくしたら王子と結婚できるんだぞ?」
「イヤよ、好みじゃないもの!」
なるほど、とギヨームは笑った。
「ま、俺としてもクレールとエルネストの目は覚めてほしい」
なんと、ギヨームの妹マノンと悪役騎士のクロヴィスは恋人未満友達以上の関係だそうだ。マノンは、従妹の恋の心配をしているクロヴィスの心配をしている(ああ、ややこしい)という。
そしてなんとなんと。ギヨームは悪役上司のセブリーヌに片思い中だそうだ。
「やっぱりセブリーヌさんはクレールを心配しているのね。彼女、クレールの悪役上司なの。悪役といっても、楽団員を守りたいという理由だからライトなんだけれどね」
と、なぜかギヨームは鼻で笑った。
「そんな正義感なんて、彼女にはない。セブリーヌは少年好きの正真正銘の変態だ」
へんたい……?
編隊。変体。やっぱりこの『変態』かな?
「え、だってゲームではそんな設定ではなかったわよ」
「世間様にはうまく隠しているからな。クレールがあんな格好しているのだって、セブリーヌの趣味だからだぞ」
「本人の意思じゃないの!?」
「十四歳の男があんな半ズボンを履きたがると思うか? セブリーヌは、クレール人気を高めるための衣装と言って、クレールも信じているけどな。単純に彼女が少年の華奢な足と膝小僧を見たいだけ」
ジーザス!!
気持ちは分かる!!
けれどそれを他人に強制したら、ただの変態、もしくは犯罪者じゃないか。セブリーヌ、恐るべし。
「……というか、そんな変態をあなたは好きなの?」
ギヨームはまたはにかんだ。
「音楽の知識に関しては尊敬できるんだ。ちょっとドジっ子属性もあって、可愛いし」
「……蓼食う虫……」
「分かってるよ! マノンやクロヴィスにもよく言われる」
ふう、とギヨームは息をついた。
「まあ、そんな訳だから彼女、昨日からちょいと荒れ気味だ。クレールが恋するのなんて初めてだからな。可愛い恋人を盗られた気分らしい」
「盗ってない!」
「『気分』だって。君がクレールに興味がないのは分かっているから」
今度は私がため息をついた。
なんだかかなり、ややこしい。
「ゲームが終わるのが一年後、と言ったっけ?」とギヨーム。
うなずく。
「そんなのを待たなくていいから、サクッとふってやってくれ」
「……なるほど」
ノーマルエンドなんて考えないで、普通にふればいいのだ。
幸いなことに、どんなバッドエンドでもヒロインが死んだり、酷い状況に追い込まれることはない。
まずは対象全員をサクサクッとお断り。ロザリーに気になる対象がいるなら、その人物と恋仲になれるよう、全力を尽くす。
それでいいんじゃないの?
「そうするわ。ゲームの展開なんて気にしなくていいのよね。ああ、気が楽になった」
いや、待てよ。そうするとロザリーが選ぶ相手によっては、失恋する女の子が出てしまう。セブリーヌならばいいけれど (だって社会的に少年×大人はマズイもんね)、他の人は可哀想だ。
うぅむ。むずかしいな。
と、扉をノックする音がして、執事が現れた。
「アニー様。お客様がいらっしゃいました」
アダルベルトめ。メイドのアニーに敬語を使っちゃっているよ。どう接していいのか分からないに違いない。可愛い執事め。
だけど。
「お見舞いは一律にお断りよ」
「はい」とうなずく執事。「いらっしゃったのはリュシアン殿下です。寝込んでいると伝えたのですが、『アニエス嬢が気にかかっていることを話しに来た』と伝えてほしい、と。いかがなさいますか?」
気にかかっていること?
「協定の話じゃないかな」ギヨームが言う。「聞いたほうがいいと思う」
昨晩、リュシアンにからかわれたことが脳裏をよぎった。
だけど協定の話は詳しく知りたい。
「そうね。アダルベルト。殿下にお会いするわ」
「ここって乙女ゲームの世界かな?」
と、それまでとは違う軽い口調で尋ねた。
「そうよ。ということは、このゲームはプレイしていなかったのね」
「ああ。そっか、やっぱりファンタジー系じゃなかったのか。俺、トラックに轢かれて死んだんだよね。前世の記憶がよみがえって『異世界転生じゃね?』って気づいたのはいいけど、魔法もチート能力もないからおかしいと思っていたんだよ」
ギヨームの話によると、彼は数ヶ月前に指をケガしたことをきっかけに、前世を思い出したそうだ。前世での彼はチェロを学ぶ大学生で、世界的コンクールのファイナリストに残りこれから本選というときに、亡くなったという。
「またチェロが弾けているから、チートもハーレムもいらないけどな」
「あなたのチェロは大好きよ」
「ありがとな。俺、それしか出来ないから」ギヨームははにかんだ。「で、君は乙女ゲームのヒロインなんだな」
「違うわ。私は悪役令嬢。ヒロインはロザリーよ」
「どういうことだ?」
ギヨームは悪役令嬢への転生ものを知らなかったので、詳しく説明をした。そして私がバルコニーにぶら下がったばかりにヒロインポジションを横取りしてしまい、逆ハーになりかかっていることも。
「なるほど。そういうジャンルがあるのか」とギヨームは理解してくれたようだ。「バルコニーのツッコミはあとにとって置くとして、」
「とって置かなくていいわ。忘れて!」
「逆ハーになりかかり、じゃないよな。形成されている」
「うっ!」
思わず両手で自分を抱き締める。
なんて恐ろしい展開なんだ。私はただ、悪役令嬢になりたくなかっただけなのに。
「昨夜君が帰ってからもディディエ殿下たちがケンカを始めてね」
王子のくせにアホなの!? あんな公式の舞踏会の最中になにをやっているのよ!
「リュシアン殿下がすぐやめさせたし、周りにも、アニエス嬢へのイタズラだって説明で場を収めたんだ」
「周囲は信じていた?」
「信じないさ。だけど、大公令息がそう言ったのだから、そうしておこう、という空気ではある」
「リュシアン殿下って結構役に立つのね」
「結構もなにも」ギヨームは苦笑した。「彼は何においても傑物だよ。陰では、大公家の生まれなのが惜しい、なんて言われている」
「……彼の誕生会では令嬢への態度が悪かったのよ」
「聞いている。一説によると、意中の伯爵令嬢以外を自分から遠ざけるため、だとか」
「どういうこと?」
「結婚相手を好きに選べるなんて建前にすぎないってこと。公爵家なんかが本気で縁談を迫ったら、殿下も断れない。だから令嬢たちに嫌われるよう振る舞っている。誕生会も、それ以外も」
「そうなんだ……」
「ま、あくまで一説だけどな」
一説だとしても、そこまでして気に入った令嬢にリュシアンは逃げられたのだ。可哀想な気もするし、逆に、それほどまで彼に問題があるのかという気もする。
「で」とギヨームは話を続けた。「舞踏会後に話し合いをしたようだ」
「話し合い?」
「そう。ディディエ殿下、公爵家のマルセル、節操なしの神官、騎士のエルネスト、それからクレール」
ギヨームは昼間、楽団事務所でクレールに会ったのだそうだ。
それでクレールによると、リュシアンが仕切り役になり、五人は抜け駆けをしない協定を結んだという。
「……そこに、諦めるとか気の迷いだったという結論はなかったのかしら」
「なかったみたいだな」
「私はそんなに素敵な令嬢ではないのに。悪役だから顔はキツメだし、性格だっていたってふつう。センスはかなり悪いみたいだし。どうしたら彼らは、恋に落ちる相手を間違えたと気づくかしら」
「……」
「あなたは何かいい案がある?」
「それ、気づかせないとダメなのか? うまくしたら王子と結婚できるんだぞ?」
「イヤよ、好みじゃないもの!」
なるほど、とギヨームは笑った。
「ま、俺としてもクレールとエルネストの目は覚めてほしい」
なんと、ギヨームの妹マノンと悪役騎士のクロヴィスは恋人未満友達以上の関係だそうだ。マノンは、従妹の恋の心配をしているクロヴィスの心配をしている(ああ、ややこしい)という。
そしてなんとなんと。ギヨームは悪役上司のセブリーヌに片思い中だそうだ。
「やっぱりセブリーヌさんはクレールを心配しているのね。彼女、クレールの悪役上司なの。悪役といっても、楽団員を守りたいという理由だからライトなんだけれどね」
と、なぜかギヨームは鼻で笑った。
「そんな正義感なんて、彼女にはない。セブリーヌは少年好きの正真正銘の変態だ」
へんたい……?
編隊。変体。やっぱりこの『変態』かな?
「え、だってゲームではそんな設定ではなかったわよ」
「世間様にはうまく隠しているからな。クレールがあんな格好しているのだって、セブリーヌの趣味だからだぞ」
「本人の意思じゃないの!?」
「十四歳の男があんな半ズボンを履きたがると思うか? セブリーヌは、クレール人気を高めるための衣装と言って、クレールも信じているけどな。単純に彼女が少年の華奢な足と膝小僧を見たいだけ」
ジーザス!!
気持ちは分かる!!
けれどそれを他人に強制したら、ただの変態、もしくは犯罪者じゃないか。セブリーヌ、恐るべし。
「……というか、そんな変態をあなたは好きなの?」
ギヨームはまたはにかんだ。
「音楽の知識に関しては尊敬できるんだ。ちょっとドジっ子属性もあって、可愛いし」
「……蓼食う虫……」
「分かってるよ! マノンやクロヴィスにもよく言われる」
ふう、とギヨームは息をついた。
「まあ、そんな訳だから彼女、昨日からちょいと荒れ気味だ。クレールが恋するのなんて初めてだからな。可愛い恋人を盗られた気分らしい」
「盗ってない!」
「『気分』だって。君がクレールに興味がないのは分かっているから」
今度は私がため息をついた。
なんだかかなり、ややこしい。
「ゲームが終わるのが一年後、と言ったっけ?」とギヨーム。
うなずく。
「そんなのを待たなくていいから、サクッとふってやってくれ」
「……なるほど」
ノーマルエンドなんて考えないで、普通にふればいいのだ。
幸いなことに、どんなバッドエンドでもヒロインが死んだり、酷い状況に追い込まれることはない。
まずは対象全員をサクサクッとお断り。ロザリーに気になる対象がいるなら、その人物と恋仲になれるよう、全力を尽くす。
それでいいんじゃないの?
「そうするわ。ゲームの展開なんて気にしなくていいのよね。ああ、気が楽になった」
いや、待てよ。そうするとロザリーが選ぶ相手によっては、失恋する女の子が出てしまう。セブリーヌならばいいけれど (だって社会的に少年×大人はマズイもんね)、他の人は可哀想だ。
うぅむ。むずかしいな。
と、扉をノックする音がして、執事が現れた。
「アニー様。お客様がいらっしゃいました」
アダルベルトめ。メイドのアニーに敬語を使っちゃっているよ。どう接していいのか分からないに違いない。可愛い執事め。
だけど。
「お見舞いは一律にお断りよ」
「はい」とうなずく執事。「いらっしゃったのはリュシアン殿下です。寝込んでいると伝えたのですが、『アニエス嬢が気にかかっていることを話しに来た』と伝えてほしい、と。いかがなさいますか?」
気にかかっていること?
「協定の話じゃないかな」ギヨームが言う。「聞いたほうがいいと思う」
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