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5.セットの場合
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『セット、校舎裏へ向かえ』
「……もしかして、外っすか? この寒いのに?」
『そうだ』
「……はーい」
もう何年もやっていれば、逆らっても仕方がないのは分かる。渋々返事をしながら外へ出る。場所が近いのがまだ救いだ。
そうやって向かっていくと、そこで見えたのは、女生徒たち数人。一人の女生徒を、数人の女生徒が囲っている。
(おいおい、もしかしてこんな日にイジメかよ。これだから女ってのはおっかねぇ)
だが、立ち会い者が来ると分かっていながら、イジメとは。一体誰だと思いながら顔を確認する。
囲まれている一人の女生徒は、男爵家の娘。そして、囲っている三人の女生徒のうち、おそらくリーダーだろう生徒は、侯爵家の娘だ。横柄なわけでもなく、至って善良な生徒であったはずだ。
実は本当は違うのだろうか。だが、何を言っても無礼にはならない今日、男爵家の娘も黙っている必要もない。イジメにはちょっと向かない日だと思うのだが。
様子を見ていたら、その侯爵家の娘が口を開いた。
「ねぇあなた、いつもあなたを見て思っていたの。イライラするなって」
「あたしの何がダメですか?」
男爵家の娘も怯む様子はない。毅然と言い返している。すると、侯爵家の娘が、ビシッと指を指した。
「その格好! その化粧! あなた何を考えてるの!? そんなゴテゴテ、あなたには似合わないわよ! あなたの家に詳しい侍女はいないわけ!?」
「……はい?」
「あなたにそんなゴテゴテ装飾はいらないわよ! もっと清楚な格好にしなさい! そうしたらもっと可愛くなるわ! 二人とも、やっちゃって」
囲っていた残り二人の女生徒が、元気に「はいっ」と返事をして、男爵家の娘に何やらやり出した。
「は? 待って何するの、これはお母様がこうしなさいって……」
男爵家の娘が何やら言うが、お構いなしだ。
そして、二人の女生徒が離れると、そこに現れたのはとっても可憐な美少女だった。その姿を見て、セットの心がドクンと跳ね上がる。
「ああもうやっぱり、わたくしの目は正しかったわ。メチャクチャかわいいー!」
「……ええと?」
侯爵家の娘が男爵家の娘に抱き付くが、抱き付かれた方は何が何だか分かっていない様子だ。だが、そんな彼女を見つめるセットの顔は、どんどん赤くなっていく。
「惚れた……」
『ど阿呆が。次行け』
宰相の呆れた声と指示がきたが、セットはそれどころではない。
「待って下さい、せめてお知り合いになるだけでも」
『駄目だ。次は屋上だ。拒否するなら減給する』
「……うぅ、ひどい」
肩を落として落ち込みながら、トボトボと歩き始める。
男爵家の娘は、卒業してすぐ平民の幼なじみとの結婚が決まっていることを、宰相は知っていた。
「……もしかして、外っすか? この寒いのに?」
『そうだ』
「……はーい」
もう何年もやっていれば、逆らっても仕方がないのは分かる。渋々返事をしながら外へ出る。場所が近いのがまだ救いだ。
そうやって向かっていくと、そこで見えたのは、女生徒たち数人。一人の女生徒を、数人の女生徒が囲っている。
(おいおい、もしかしてこんな日にイジメかよ。これだから女ってのはおっかねぇ)
だが、立ち会い者が来ると分かっていながら、イジメとは。一体誰だと思いながら顔を確認する。
囲まれている一人の女生徒は、男爵家の娘。そして、囲っている三人の女生徒のうち、おそらくリーダーだろう生徒は、侯爵家の娘だ。横柄なわけでもなく、至って善良な生徒であったはずだ。
実は本当は違うのだろうか。だが、何を言っても無礼にはならない今日、男爵家の娘も黙っている必要もない。イジメにはちょっと向かない日だと思うのだが。
様子を見ていたら、その侯爵家の娘が口を開いた。
「ねぇあなた、いつもあなたを見て思っていたの。イライラするなって」
「あたしの何がダメですか?」
男爵家の娘も怯む様子はない。毅然と言い返している。すると、侯爵家の娘が、ビシッと指を指した。
「その格好! その化粧! あなた何を考えてるの!? そんなゴテゴテ、あなたには似合わないわよ! あなたの家に詳しい侍女はいないわけ!?」
「……はい?」
「あなたにそんなゴテゴテ装飾はいらないわよ! もっと清楚な格好にしなさい! そうしたらもっと可愛くなるわ! 二人とも、やっちゃって」
囲っていた残り二人の女生徒が、元気に「はいっ」と返事をして、男爵家の娘に何やらやり出した。
「は? 待って何するの、これはお母様がこうしなさいって……」
男爵家の娘が何やら言うが、お構いなしだ。
そして、二人の女生徒が離れると、そこに現れたのはとっても可憐な美少女だった。その姿を見て、セットの心がドクンと跳ね上がる。
「ああもうやっぱり、わたくしの目は正しかったわ。メチャクチャかわいいー!」
「……ええと?」
侯爵家の娘が男爵家の娘に抱き付くが、抱き付かれた方は何が何だか分かっていない様子だ。だが、そんな彼女を見つめるセットの顔は、どんどん赤くなっていく。
「惚れた……」
『ど阿呆が。次行け』
宰相の呆れた声と指示がきたが、セットはそれどころではない。
「待って下さい、せめてお知り合いになるだけでも」
『駄目だ。次は屋上だ。拒否するなら減給する』
「……うぅ、ひどい」
肩を落として落ち込みながら、トボトボと歩き始める。
男爵家の娘は、卒業してすぐ平民の幼なじみとの結婚が決まっていることを、宰相は知っていた。
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