精霊王女になった僕はチートクラスに強い仲間と世界を旅します

カオリグサ

文字の大きさ
391 / 1,022

猿人族の国12

しおりを挟む
 坂を上っていくと頂上付近になにやら広場があって、その中心部に刀を持った猿人が座っているのが見えた
 その人は傍らに長い刀を置いていて瞑想している
「あの」
 声をかけるとゆっくりと目を開いた
「来ましたか。この先がエコ様のおわす場所です。私を倒して進みなさい」
 彼女は静かに立ち上がって僕らに一礼をした
 慌てて僕達も一礼をする
「そう、礼を持って礼を尽くす、武芸とは礼に始まり礼に終わるのです。きちんとわかっているようですね。申し遅れました、私はエコ様が天使の一人、リコリスです。主様の命により、あなた方に試練を与えましょう」
「よろしくお願いします!」
「はい、では構えなさい。かつて剣聖と呼ばれた私の力、超えて見せなさい!」
 リコリスさんは真っ赤な長い髪に非常に引き締まった体、キキさんと同じくらいの控えめな胸に割れた腹筋を見せている
 細マッチョな感じで長くて重そうな刀を軽々と担いで構える
 構えは肩に刀を乗せて体の重心を低く置いて隙が無い
「ここは私が。彼女とは私が戦わなくちゃいけない気がするんです」
「ハクラちゃん大丈夫なの? その、体は」
「はい、ここは幸いそこまで熱くないので、もう精霊様の魔法が無くても大丈夫そうです」
「そっか、でも気を付けてね。あの人、何かこう変な力を感じるんだ」
「は、はい、私も感じてます」
「だいじょぶカ姫、私手伝おカ?」
「いえ、私一人でやらせてください」
 ハクラちゃんが前に出て刀を構える
「あなた、構えにむらが見えますね。それでは相手に軌道が読まれやすくなりますよ」
「え?」
「私はあなたを鍛えるよう言われています。最初からあなたの相手を仰せつかっているのです。私が叩きなおしてあげます。」
「はい、望むところです!」
 ハクラちゃんがいきなり踏み込んで仕掛けた
 刀を振り下ろして牽制、リコリスさんはそれを躱すことなく指で軽くつまんで受け止めた
「え!? 私の全力の一撃が!」
「大振りの力、まるで洗練されていません。これでは力をいなせる者には通じないでしょう。力ではなく、技術で斬るのです。技術があれば刀でなくとも、そう、棒切れだろうと相手を切る刃となります」
 リコリスさんは刀を地面に突き刺すと、傍らに置いてあった簡単に折れそうな木の棒を拾ってハクラちゃんに向ける
「今のあなたならこれで充分ですね。来なさい」
「くぅ、馬鹿にしないで下さい!」
 ハクラちゃんが神力を刀に流すと、周囲が冷気に包まれて肌寒くなる
 刀からは白い靄が出て視界が悪くなった
 当のハクラちゃんはこの中でもはっきりと敵の姿が見えてる
「てりゃぁ!」
 刀を横に一閃、でも攻撃が見えていないはずのリコリスさんは、それをあっさりと棒きれで受け流してハクラちゃんのお尻を棒で叩いた
「いったああああ! いたたた、え? 何でですか!? 私物理攻撃なんて効かないはずなのに!」
「当たる直前に魔力を少しだけ流したんです。それよりもほら、油断していますよ!」
 またしてもハクラちゃんのお尻が棒で叩かれる
「いたたた! 何でお尻ばかり狙うんですか!」
「他の部位を狙えば動きに支障が出ますからね。それは私のあなたを強くするという意図にそぐわないのですよ」
「な、なるほど。痛いけど確かにそこまで動きは阻害されませんね」
「さぁどんどんかかって来なさい。あなたの動きを矯正して洗練させてあげます」
「はい!」
 ハクラちゃんが動きを変えた
 これは今まで見たことがない動きだ
 まるで獣が駆けるかのような激しい動き
「グルルルラァ!!」
 獣のような咆哮をあげながら刀を振り、地面に手を打ち付けて飛び上がったりと、まるでその動きが掴めない
 ていうか彼女四つん這いで動いてるから、その、際どいと言うか見えてる
 今度パンツを履くよう説得しないと
 ああでも鬼仙たちって確か何人か履いてないって聞いたような
 なんか動きがぶれるから何とか
 ああもう今はそんなこと考えてないでしっかりハクラちゃんを応援しよう
 でも目のやり場に困る・・・
「グルルル!」
「その動き、なかなかいいですけどまだまだ戦いで使えるほど昇華はされて、いませんね!」
 パチーンと良い音が響いてハクラちゃんが悶えている
「いたーーーい!」
「動きがまだまだ単調すぎます。もっとあなたらしく戦った方がいいですね」
「私、らしく」
 ハクラちゃんの動きがまた変わった
 今度はスッと心を落ち着かせて静かに深呼吸してる
 刀を鞘に納めると姿勢をゆっくりと低くしていった
 これは居合?
「良い型です。それはあなたのオリジナル?」
「はい、鬼仙剣術から私が独自に考えた、鬼仙剣術にはない静の型です」
 ハクラちゃんが言うには、鬼仙剣術には動、つまり激しく動いて戦うようなものしかなくて、こんな風に居合で相手を待つってことはないみたい
 それもハクラちゃんは相当その練習をしていたらしくて、周りの空気が彼女から漏れ出る神力で冷え切っている
 つまりそれだけ集中しているってことだ
「いいでしょう、あえて乗ってあげます」
 リコリスさんが踏み込み、棒でハクラちゃんに迫る
 その棒を、本当に全く目に見えないほどの速さで斬り抜いて、リコリスさんの喉元に刀を突きつけた
 「あら、これはこれは、何て洗練されているのでしょう。そうですそれですよ。では私も本気でお相手するとしましょうか」
 リコリスさんは地面に刺していた刀を引き抜いて構え直す
 そのとたん威圧感がすごいことに
 ハクラちゃんも気迫に押されそうになってるけど、キリッとリコリスさんを見てまた刀を鞘に納めた
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

転生能無し少女のゆるっとチートな異世界交流

犬社護
ファンタジー
10歳の祝福の儀で、イリア・ランスロット伯爵令嬢は、神様からギフトを貰えなかった。その日以降、家族から【能無し・役立たず】と罵られる日々が続くも、彼女はめげることなく、3年間懸命に努力し続ける。 しかし、13歳の誕生日を迎えても、取得魔法は1個、スキルに至ってはゼロという始末。 遂に我慢の限界を超えた家族から、王都追放処分を受けてしまう。 彼女は悲しみに暮れるも一念発起し、家族から最後の餞別として貰ったお金を使い、隣国行きの列車に乗るも、今度は山間部での落雷による脱線事故が起きてしまい、その衝撃で車外へ放り出され、列車もろとも崖下へと転落していく。 転落中、彼女は前世日本人-七瀬彩奈で、12歳で水難事故に巻き込まれ死んでしまったことを思い出し、現世13歳までの記憶が走馬灯として駆け巡りながら、絶望の淵に達したところで気絶してしまう。 そんな窮地のところをランクS冒険者ベイツに助けられると、神様からギフト《異世界交流》とスキル《アニマルセラピー》を貰っていることに気づかされ、そこから神鳥ルウリと知り合い、日本の家族とも交流できたことで、人生の転機を迎えることとなる。 人は、娯楽で癒されます。 動物や従魔たちには、何もありません。 私が異世界にいる家族と交流して、動物や従魔たちに癒しを与えましょう!

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

処理中です...