【本編完結】異世界再建に召喚されたはずなのになぜか溺愛ルートに入りそうです⁉︎【コミカライズ化決定】

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第十四章 手のひらを太陽に

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「しっ・・・信じられないですっ・・・‼︎」

集まった人達の前をリオン様にお姫様抱っこされた
まま運ばれて、リオン様がお世話になっている王宮の
本殿内の部屋へとそのまま連れて行かれた。

ぽすんとベッドに降ろされたので、大の字で寝転び
あまりの恥ずかしさに両手で顔を覆う。

「あんなにたくさんの人達の前で口付けて、しかも
お姫様抱っこで運ぶ⁉︎あり得ないですよ!」

おかげで周りに微笑むどころじゃなかった。

ウワァァ‼︎と赤くなった顔を両手で隠していれば

「でもおかげで僕とユーリがどれだけ仲が良いか
分かってもらえて良かったんじゃない?あの中にもし
バロイ国の者が紛れていたとしたら、今頃あちらの
国にはどんな報告がいっているのかも楽しみだね。」

リオン様は上機嫌でベッドに寝転ぶ私の傍に腰掛けて
頭を撫でてきた。

「それから癒し子として滞在するならユーリの寝起き
する部屋はここだから。今シンシア達にユーリの物を
運ばせているからね。それが届いたら今夜の宴席で
着るドレスを選ぼう。」

あれ?今聞き捨てならないことを言っていたような。

「え?私、ここで一晩過ごすんですか?」

びっくりした私に当然のようにそれはそうでしょ?と
リオン様もきょとんとしている。

「僕を追いかけて来たはずの癒し子が別の部屋に寝る
なんてケンカでもしたのかと思われるよ?」

「サ、サークルベッド・・・!」

「今のサイズのユーリはあの大きさのベッドには
収まりきれないでしょ?」

何を言ってるんだと言わんばかりの顔をしているけど
リオン様こそ何を言っているんだろうか。

「奥の院でもアドニスの町への道中でも一緒のベッド
で眠ったのに、何も今さら恥ずかしがることはない
と思うんだけど。」

「大きさが違いますよ⁉︎この大きさで一緒に寝たら
狭くて大変じゃないですか!」

あとなんか色々されそうな気がする。

そう思って声を上げたら

「その分真ん中に寄って、くっ付いて眠れば大丈夫。
ユーリが落ちないようにしっかり抱きしめてあげるし。」

物凄く良い笑顔でそんなことを言われてしまった。
ヤブヘビだった。

そうと決めたらリオン様は絶対に実行する。

こうなったら今夜はリオン様よりも早く宴席を退出して
先に眠ってしまうしかない。そうしよう。

さすがに意識のない人におかしなことはしないだろうと
考えて、そのためには今のうちになるべくたくさん力を
使って疲れておこうと密かに心に決めた。

「ところで!こうして癒し子としてみんなの前に私は
姿を現しましたけど、薬花やフィー殿下に加護を付ける
ふりはいつしましょう?」

「・・・急に話を変えたね、そんなに照れなくても
いいのに。」

私が話を誤魔化したのが分かりつつ、ベッドの上に
起き上がった私の髪を整えながらリオン様は続ける。

「それは宴席でお願いしようかと思っているんだ。
急な訪問も快く歓迎してくれたお礼をしたいそうだと
僕から話すから、その時に王宮の周りに何か加護を付けて
欲しいんだけど、どうだろう?」

こんな形でイリューディア神様の力を利用するみたい
になるのは申し訳ないけれど。

そんな風に言って頬にかかる髪の毛を整えられながら
ついでに頬も撫でられる。

「まだ力に余裕があるので、この宮殿や宴席に集まる人達
だけでなくその周りにも力は使えそうです。どんな風に
力を使うかちょっと考えておきますね。」

「頼んだよ。」

そう言ったリオン様が微笑んだ時、扉がノックされた。

シンシアさん達ですね、と言うエル君が扉を開ければ
シェラさんが買い揃えたあの大量の私の服や靴、小物を
騎士さん達にも持たせてシンシアさんとマリーさんが
入って来る。

その後、リオン様はまたエーリク様やミオ宰相さん達と
会談をしに出掛けてしまった。

予定外にバロイ国での滞在が長引き、ルーシャ国をあける
日数が長くなってしまったのでせっかく着いたばかりだと
いうのに明日にはもう帰国するのだ。

そのためにもエーリク様始めモリー公国の重臣さん達と
慌ただしく会談の予定をこなす事になってしまった。

その間に私はシンシアさん達にああでもないこうでもない
と宴席に向けて飾り立てられる。

その最中にシェラさんのことを思い出し、エル君にお願い
して呼んで来てもらった。

「お呼びですか?まだ今夜の準備の最中だというのに
失礼をしてもよろしかったので?」

邪魔をしたのではと口では言いながらも呼ばれたのが
嬉しいのか、いつもの色気ダダ漏れのあの眩しい笑顔を
見せる。

宴席に向けて着替え終えていた私を褒めるのも忘れない。

「まるでモリー公国の深い森林の間から覗く夜空の星の
ように美しい輝きを放っておりますね。その麗しい光で
俺の心の醜い闇も祓われるかのようです。」

その時の私は深緑色のドレスに金のレースの縁取りや刺繍
の入ったドレスだった。

シェラさんにかかればそんな普通のドレスさえもとても
素敵な物に思えるから不思議だ。

きっとこの口のうまさで道中も商売の利益を出したに
違いない。感心しながら

「シェラさん、せっかくなのであのダーヴィゼルドでの
お花の髪型を作ってもらってもいいですか?」

そうお願いすれば、更に輝くような笑顔を見せてくれた。

シェラさんが髪結いまで出来ると知らなかったマリーさん
やシンシアさんは驚いている。

「シェラザード様は髪まで整えられるんですか?」

「シェラさんの作るお花が並んだみたいな髪型はとても
素敵なんですよ!マリーさんもぜひ作り方を覚えて
もらえませんか?」

「ユーリ様がそんなにお気に入りの髪型なんですか?
それはぜひ覚えたいです!」

さっそくマリーさんは髪を結うシェラさんの側でその
手付きを食い入るように見ている。

私の髪飾りや小物を用意しているシンシアさんも、
シェラさんの器用な手つきに思わず準備の手が止まって
いるようだった。

ダーヴィゼルドの時と同じように、複雑な編み込みを
入れながら私の頭の後ろにあっという間に四輪の薔薇の
花のようなものが並ぶと、マリーさんから感嘆の声が
漏れた。

「なんて綺麗でこまやかな編み込みなんでしょう。複雑な
結い方なのにしっかりとした作りで、これは覚えるのが
難しそうです。でもとっても素敵でやりがいがありそう
なので頑張って覚えますね!」

全体の形を見ながらシェラさんはふむ、と思案顔を
している。

「髪飾りは白い物・・・真珠か白い小花を散らした物
がやはりこの美しい黒髪には映えそうですね。そんな
小物はありますか?」

ではこちらを、とシンシアさんは白くて小さな花を
数輪籠に入ったままシェラさんに渡す。

それも髪に散らして髪型は完成だ。

そして満足げなシェラさんにこっそり頼み事もする。
髪を作って欲しかったのもあるが、頼み事をするためにも
シェラさんには宴席に出る前に会いたかったのだ。

「かしこまりました。ちょうど今夜の宴席はオレは帰国の
準備のために出席しませんので、そのついでにユーリ様の
お願いごとも手配します。」

シェラさんは快く私の頼み事を聞いてくれたので、これで
安心して宴席に出られる。

シェラさんにはリオン様と眠る時に備えて私が両手で
抱えられるくらい大きなぬいぐるみの手配をお願いした。

奥の院での陛下の羊さん代わりだ。

これでよし、と一安心した私をちょうどそのタイミングで
エル君が促した。

「ではユーリ様、参りましょう。宴席の会場までは僕が
お連れします。リオン殿下はすでにそちらでお待ちのはず
ですので。」

「エル君、まだ女装なんですか?」

ふと見ればエル君はまだベールを被ったあの黒いドレス姿
での女装だ。

「こちらではまだ一応、『癒し子が自分の代わりに同行
させた侍女』ということになっていますので。さきほど
ユーリ様のお部屋やフィリオサ殿下のお部屋でもこの姿で
話していましまけど、ミリアム殿下達は僕が男だとは
気付いていませんでしたね。ですので宴席もこのまま出席
して、ユーリ様とリオン殿下のお側に付きます。」

エル君、ミリアム殿下達にはボクっだとでも思われて
しまっているんだろうか。

女装したまま宴席に出すなんて申し訳ないなと思いながら
エル君の手を取って、モリー公国の騎士さん達に護衛され
ながら宴席の会場へ向かう。

そこではこの国最後の私の仕事が待っている。

私の名前と臨席の旨が高らかに宴席の会場へと告げられて
扉が開かれる。

気を引き締めて、なるべく癒し子っぽい優しげな、それで
いて優雅に見えるような微笑みを頑張って顔に浮かべて
私は会場を見渡した。

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