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第十九章 聖女が街にやって来た
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「ユーリ様、今お菓子はつままない方がいいと思いますけど」
エル君が呆れたように言う。だけどこっちは朝早くに起こされたかと思えばそれからずっとやれ香油だマッサージだ、ドレスの下にはこれを着ろだ、化粧をするから動くなだと忙しかった。
おかげで今日は朝からまともな食事は取れていない。
「ちょ、ちょっとだけ・・・‼︎」
近くにおいてあったクッキーに手を伸ばしたら、目ざとくそれを見つけたマリーさんにあっ!とその容れ物を遠ざけられた。
「⁉︎」
「ダメですよユーリ様!せっかくのドレスが汚れちゃいます、お化粧も終わったのに。それに今食べたらお腹が出ちゃいますよ、そんな花嫁さんは嫌でしょう?」
そう説教されて、お腹が空いたならこれをどうぞと口の中に一口サイズよりもさらに小さく切ったドライフルーツを放り込まれた。
「こんなの食べた気がしません・・・!」
「クッキーよりも腹持ちは良くて体型にも響きませんから」
「そういうことじゃないんですよね・・・‼︎」
お腹が満たされればいいというわけじゃない。
私はドライフルーツよりもクッキーが食べたかったのにマリーさんは頑として受け付けなかった。
「ダメですよ、リオン様達にもお祝いで集まってくれた皆様にもユーリ様の完璧に美しい花嫁姿を見てもらうんですから!」
「うう・・・」
恨めしげにクッキーを見る私にエル君は、だから言ったじゃないですかと呆れている。
・・・今日は私とリオン様達四人の結婚式だ。
あの目覚めた日から半年が経ち、すっかり元気になった。
イリューディアさんから授かったあの力だけはまだ完全回復とはいかなくて、軽い豊穣の力や癒しの加護程度しかまだ付けれないけどそれも段々と元に戻るだろうから焦るなとシグウェルさんには言われている。
そして目が覚めたあの日に突然言われた結婚式の話。
元陛下にもアドバイスされたそのすぐ後にそれについて了承することをリオン様に伝えたら
「さっそく準備に入ろうね!」
と本当に嬉しそうに抱きしめられてみんなが動き出した。
リオン様とレジナスさんは招待客の選定や席次を、シグウェルさんはユリウスさんと一緒に式とその後の披露宴を兼ねた晩餐会で上げる花火の改良を、シェラさんは私やリオン様達の衣装を。
侍従さんや侍女さん達だけでなく四人も率先して自分達の役割をこなしていた。
ていうかその役割の割り振りといい動きといい、あまりにも段取りが良過ぎて用意周到過ぎる。
やっぱり私が眠っているうちからあれこれと考えていたらしい。
・・・新婚休暇というのが何なのかも聞いた。
リオン様達とそれぞれ三週間ずつ二人きりで過ごせる休暇のことらしく、四人の中ではその順番も私の伴侶になった順でとすでに決めてあるらしい。
だから一番最後に一緒に過ごすことになるシェラさんとの休暇は結婚式が終わってからほぼ三ヶ月後と随分先になる。
「待ち遠しいですがそれまでの間はリオネルの無人島にある屋敷を整えておくのに十分な時間が出来たと思うことにします」
シェラさんは少し残念そうに言っていたから、シェラさんとの休暇ではリオネルの港町を訪れることになるんだろう。
「さあユーリ様、お支度が整いましたよ!本当に、こんなに綺麗な花嫁さんは見たことがありません!」
そう言ってルルーさんが繊細な極細の金細工を蔦のツルのように編みこんで作った金色の冠をベールの上からそっと乗せてくれた。
二、三メートルはありそうな長いトレーンが後ろに伸びているその薄いベールの向こう側で
「これからもリオン様をお願いいたしますね」
とルルーさんがうっすらと涙ぐんでいるのが見える。リオン様の乳母として感極まってしまったらしい。
「まだ泣くのは早いですよ!」
わざと明るく声を掛けて控え室を出る。
そして神官さんに案内された先にある大きな扉を見上げた。
真っ白な木製の扉にはイリューディアさんの象徴の鹿や百合の花が綺麗に飾り彫りがされている。
式を挙げるために私が立っているこの場所は大神殿だ。
王宮での挙式も検討されたけど、ここなら滅多に神殿の外へ出ることの出来ないカティヤ様も式に参列できるから、ここにしてもらった。
私のトレーンを持ってくれるのはリース君とアンリ君だけど、今は私の両側に立って扉を開けるタイミングを待っている。
大人数を集めての豪華な晩餐会はここでの挙式後にパレードをしながら(‼︎)移動する王宮だ。
・・・ちなみに王都の中をパレードするとか恥ずかしいから嫌だと言ったけど、みんな癒し子様の晴れ姿を楽しみにしているしお祝いしたいと思っているから、と言われれば断れなかった。
式を挙げるここは祝宴をあげる王宮とは違い国内の主だった貴族が全員集合しているわけでもないし、それほどたくさんの人達はいないはず。
緊張しなくても大丈夫。モリー公国から贈られた淡いピンクや白の花々をまとめたブーケを握る手に力を込める。
「ユーリ様、ドレスは重くないですか?」
扉を開ける前にリース君が気遣ってくれた。
シェラさんの準備してくれたドレスは、色だけは私の希望で白にしたけどあとは全部シェラさんへのおまかせだ。
結果、上半身はレースが幾重にも重なって私の体にピッタリと沿う肩やデコルテの出たビスチェタイプで、腰から下は後ろに向かって長くふんわりと広がり裾を引くものになった。
そしてそこには白い色に合わせてそれを邪魔しないように真珠やソル貝、オパール、ダイヤモンドに水晶など白や透明の貴石が丁寧にいくつも縫い付けられて刺繍されている。
動くたびにその貴石を縫い付けたドレスはキラキラと光を反射して、まるで小さな天の川がドレスの中に広がっているような美しさだけど着ている私は結構重さを感じていた。
試着の時には予想外の重さに思わずよろけてしまったくらいだから、リース君はそれを覚えていて気遣ってくれたんだろう。
「大丈夫ですよ、行きましょう!」
頷いて扉を開けてくれるようにお願いする。
ギィ、と重々しい音を立てて両開きの扉が大きく開かれれば、それまで流れていた音楽の調子が変わり高らかにラッパの音が鳴った。
そして開いた扉のすぐそばにはナジムート元陛下が待っていてくれてその腕をさっと出してくれたので、そっとそこに手を添える。
私の介添人代わりだ。
「おー、今日はまた女神様みたいに綺麗にしてもらったなあユーリちゃん!」
元陛下は荘厳な雰囲気に似合わないいつものくだけた口調でそう言ってウインクした。
まっすぐ見つめる先にはリオン様達四人が立っていて、扉の開いた音に全員が振り向き微笑む。
四人とも白を基調に襟や袖先にアクセントに青い生地と金糸の刺繍が入った揃いの正装姿で、その背にも白い裏地に金色で刺繍を入れた足元まである長く青いマントを羽織っている。
招待されている賓客も、ラッパの音に立ち上がり一斉にこちらを見ていた。
リオン様の前の祭壇には式の主催として大神官のおじいちゃんと微笑んでその隣に立つカティヤ様が。
リオン様達が待っている壇上の下には大声殿下にヴィルマ様、レニ様、レジナスさんの両親を始めとしたシグウェルさんやシェラさん達のご両親もいる。
ダーヴィゼルドのヒルダ様はカイゼル様と一緒に出席してくれているし、モリー公国からは大公代理として少し大人びたフィー殿下が。
フィー殿下の隣には、モリー公国の隣国・バロイ国の新国王代行としてミリアム殿下も並んでいる。
・・・ちなみにコーンウェル領の領主のオーウェン様が何故かもう涙ぐんでいたけど、それを見たエル君がこっそりと
「あれは自分の孫とくっつけられなかったっていう悔し泣きですよ」
と教えてくれた。その他、居並ぶたくさんの参列者の中には騎士団長さんを始めユリウスさんを含むバイラル家の面々やシグウェルさんのお屋敷のセディさんの姿も見える。
たくさんの人達に一斉に見られて、もっと緊張するかと思っていたけど見知った人達の姿が多いからか思ったよりも平気だった。
なにより、ゆっくりと歩く先で待っていてくれるリオン様達を見つめていれば何も怖いことはない。
そう思ってリオン様達を見て微笑んだ時、色鮮やかなステンドグラスが嵌まった大広間の天井高くから柔らかく暖かな金色の光が満ちた。
と同時に淡いピンク色の小さな花びらも雪のようにいくつもいくつも天井から降り注いできた。
広間いっぱいにどよめきと感嘆の声が広がり、みんなが頭上を見る。
私も突然の出来事に驚いてちょっと歩みを止めて思わず上を見上げてしまった。
元陛下も、
「・・・ユーリちゃん、なんかしたか?」
と聞いて来たけど私は何もしていない。だけど降り注ぐ花びらと暖かい光には確実にイリューディアさんの力を感じる。
もしかしてこれは・・・と思っていたら、嬉しそうなカティヤ様の声がした。
「イリューディア神様の恵みと祝福の力ですね。その姿はわたくし達が目にすることは出来なくとも、召喚者のこれから先の幸福を願い祝福するために慈悲深い癒しの女神がその力を顕現なさったのでしょう。・・・今日、この場に立ちあわれた皆様は幸いです。」
そう言って祈るように両手を組んだ。
イリューディアさんからの祝福。その姿は目に見えないけど、私もそう思う。
ありがとう、イリューディアさん。これからも頑張って、この国に生きる限り私に出来ることはなんでもするよ。
一人じゃなく、リオン様達も一緒にいるから。みんなと一緒に幸せになるために頑張ろう。
改めてそう誓う。
天上に住むイリューディアさんやグノーデルさんに、綺麗にしてもらった私は見えているかな?
あの二人にも見えるように頭上に向かって微笑めば、そんな私の思いに応えるように、舞い落ちてくる花びらはその輝きをより一層増して淡く発光しながらいつまでも降り注いでは雪のように消えていくのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ここまで読んでいただきありがとうございます。
本編は次回エピソードの一話を持って完結になりますので、明日もどうぞよろしくお願い致します。
また、本編完結後はのんびり二、三日に一話ペースでリクエストいただいているお話など番外編を更新させていただきますので、この先ももし良ければお付き合いください!
エル君が呆れたように言う。だけどこっちは朝早くに起こされたかと思えばそれからずっとやれ香油だマッサージだ、ドレスの下にはこれを着ろだ、化粧をするから動くなだと忙しかった。
おかげで今日は朝からまともな食事は取れていない。
「ちょ、ちょっとだけ・・・‼︎」
近くにおいてあったクッキーに手を伸ばしたら、目ざとくそれを見つけたマリーさんにあっ!とその容れ物を遠ざけられた。
「⁉︎」
「ダメですよユーリ様!せっかくのドレスが汚れちゃいます、お化粧も終わったのに。それに今食べたらお腹が出ちゃいますよ、そんな花嫁さんは嫌でしょう?」
そう説教されて、お腹が空いたならこれをどうぞと口の中に一口サイズよりもさらに小さく切ったドライフルーツを放り込まれた。
「こんなの食べた気がしません・・・!」
「クッキーよりも腹持ちは良くて体型にも響きませんから」
「そういうことじゃないんですよね・・・‼︎」
お腹が満たされればいいというわけじゃない。
私はドライフルーツよりもクッキーが食べたかったのにマリーさんは頑として受け付けなかった。
「ダメですよ、リオン様達にもお祝いで集まってくれた皆様にもユーリ様の完璧に美しい花嫁姿を見てもらうんですから!」
「うう・・・」
恨めしげにクッキーを見る私にエル君は、だから言ったじゃないですかと呆れている。
・・・今日は私とリオン様達四人の結婚式だ。
あの目覚めた日から半年が経ち、すっかり元気になった。
イリューディアさんから授かったあの力だけはまだ完全回復とはいかなくて、軽い豊穣の力や癒しの加護程度しかまだ付けれないけどそれも段々と元に戻るだろうから焦るなとシグウェルさんには言われている。
そして目が覚めたあの日に突然言われた結婚式の話。
元陛下にもアドバイスされたそのすぐ後にそれについて了承することをリオン様に伝えたら
「さっそく準備に入ろうね!」
と本当に嬉しそうに抱きしめられてみんなが動き出した。
リオン様とレジナスさんは招待客の選定や席次を、シグウェルさんはユリウスさんと一緒に式とその後の披露宴を兼ねた晩餐会で上げる花火の改良を、シェラさんは私やリオン様達の衣装を。
侍従さんや侍女さん達だけでなく四人も率先して自分達の役割をこなしていた。
ていうかその役割の割り振りといい動きといい、あまりにも段取りが良過ぎて用意周到過ぎる。
やっぱり私が眠っているうちからあれこれと考えていたらしい。
・・・新婚休暇というのが何なのかも聞いた。
リオン様達とそれぞれ三週間ずつ二人きりで過ごせる休暇のことらしく、四人の中ではその順番も私の伴侶になった順でとすでに決めてあるらしい。
だから一番最後に一緒に過ごすことになるシェラさんとの休暇は結婚式が終わってからほぼ三ヶ月後と随分先になる。
「待ち遠しいですがそれまでの間はリオネルの無人島にある屋敷を整えておくのに十分な時間が出来たと思うことにします」
シェラさんは少し残念そうに言っていたから、シェラさんとの休暇ではリオネルの港町を訪れることになるんだろう。
「さあユーリ様、お支度が整いましたよ!本当に、こんなに綺麗な花嫁さんは見たことがありません!」
そう言ってルルーさんが繊細な極細の金細工を蔦のツルのように編みこんで作った金色の冠をベールの上からそっと乗せてくれた。
二、三メートルはありそうな長いトレーンが後ろに伸びているその薄いベールの向こう側で
「これからもリオン様をお願いいたしますね」
とルルーさんがうっすらと涙ぐんでいるのが見える。リオン様の乳母として感極まってしまったらしい。
「まだ泣くのは早いですよ!」
わざと明るく声を掛けて控え室を出る。
そして神官さんに案内された先にある大きな扉を見上げた。
真っ白な木製の扉にはイリューディアさんの象徴の鹿や百合の花が綺麗に飾り彫りがされている。
式を挙げるために私が立っているこの場所は大神殿だ。
王宮での挙式も検討されたけど、ここなら滅多に神殿の外へ出ることの出来ないカティヤ様も式に参列できるから、ここにしてもらった。
私のトレーンを持ってくれるのはリース君とアンリ君だけど、今は私の両側に立って扉を開けるタイミングを待っている。
大人数を集めての豪華な晩餐会はここでの挙式後にパレードをしながら(‼︎)移動する王宮だ。
・・・ちなみに王都の中をパレードするとか恥ずかしいから嫌だと言ったけど、みんな癒し子様の晴れ姿を楽しみにしているしお祝いしたいと思っているから、と言われれば断れなかった。
式を挙げるここは祝宴をあげる王宮とは違い国内の主だった貴族が全員集合しているわけでもないし、それほどたくさんの人達はいないはず。
緊張しなくても大丈夫。モリー公国から贈られた淡いピンクや白の花々をまとめたブーケを握る手に力を込める。
「ユーリ様、ドレスは重くないですか?」
扉を開ける前にリース君が気遣ってくれた。
シェラさんの準備してくれたドレスは、色だけは私の希望で白にしたけどあとは全部シェラさんへのおまかせだ。
結果、上半身はレースが幾重にも重なって私の体にピッタリと沿う肩やデコルテの出たビスチェタイプで、腰から下は後ろに向かって長くふんわりと広がり裾を引くものになった。
そしてそこには白い色に合わせてそれを邪魔しないように真珠やソル貝、オパール、ダイヤモンドに水晶など白や透明の貴石が丁寧にいくつも縫い付けられて刺繍されている。
動くたびにその貴石を縫い付けたドレスはキラキラと光を反射して、まるで小さな天の川がドレスの中に広がっているような美しさだけど着ている私は結構重さを感じていた。
試着の時には予想外の重さに思わずよろけてしまったくらいだから、リース君はそれを覚えていて気遣ってくれたんだろう。
「大丈夫ですよ、行きましょう!」
頷いて扉を開けてくれるようにお願いする。
ギィ、と重々しい音を立てて両開きの扉が大きく開かれれば、それまで流れていた音楽の調子が変わり高らかにラッパの音が鳴った。
そして開いた扉のすぐそばにはナジムート元陛下が待っていてくれてその腕をさっと出してくれたので、そっとそこに手を添える。
私の介添人代わりだ。
「おー、今日はまた女神様みたいに綺麗にしてもらったなあユーリちゃん!」
元陛下は荘厳な雰囲気に似合わないいつものくだけた口調でそう言ってウインクした。
まっすぐ見つめる先にはリオン様達四人が立っていて、扉の開いた音に全員が振り向き微笑む。
四人とも白を基調に襟や袖先にアクセントに青い生地と金糸の刺繍が入った揃いの正装姿で、その背にも白い裏地に金色で刺繍を入れた足元まである長く青いマントを羽織っている。
招待されている賓客も、ラッパの音に立ち上がり一斉にこちらを見ていた。
リオン様の前の祭壇には式の主催として大神官のおじいちゃんと微笑んでその隣に立つカティヤ様が。
リオン様達が待っている壇上の下には大声殿下にヴィルマ様、レニ様、レジナスさんの両親を始めとしたシグウェルさんやシェラさん達のご両親もいる。
ダーヴィゼルドのヒルダ様はカイゼル様と一緒に出席してくれているし、モリー公国からは大公代理として少し大人びたフィー殿下が。
フィー殿下の隣には、モリー公国の隣国・バロイ国の新国王代行としてミリアム殿下も並んでいる。
・・・ちなみにコーンウェル領の領主のオーウェン様が何故かもう涙ぐんでいたけど、それを見たエル君がこっそりと
「あれは自分の孫とくっつけられなかったっていう悔し泣きですよ」
と教えてくれた。その他、居並ぶたくさんの参列者の中には騎士団長さんを始めユリウスさんを含むバイラル家の面々やシグウェルさんのお屋敷のセディさんの姿も見える。
たくさんの人達に一斉に見られて、もっと緊張するかと思っていたけど見知った人達の姿が多いからか思ったよりも平気だった。
なにより、ゆっくりと歩く先で待っていてくれるリオン様達を見つめていれば何も怖いことはない。
そう思ってリオン様達を見て微笑んだ時、色鮮やかなステンドグラスが嵌まった大広間の天井高くから柔らかく暖かな金色の光が満ちた。
と同時に淡いピンク色の小さな花びらも雪のようにいくつもいくつも天井から降り注いできた。
広間いっぱいにどよめきと感嘆の声が広がり、みんなが頭上を見る。
私も突然の出来事に驚いてちょっと歩みを止めて思わず上を見上げてしまった。
元陛下も、
「・・・ユーリちゃん、なんかしたか?」
と聞いて来たけど私は何もしていない。だけど降り注ぐ花びらと暖かい光には確実にイリューディアさんの力を感じる。
もしかしてこれは・・・と思っていたら、嬉しそうなカティヤ様の声がした。
「イリューディア神様の恵みと祝福の力ですね。その姿はわたくし達が目にすることは出来なくとも、召喚者のこれから先の幸福を願い祝福するために慈悲深い癒しの女神がその力を顕現なさったのでしょう。・・・今日、この場に立ちあわれた皆様は幸いです。」
そう言って祈るように両手を組んだ。
イリューディアさんからの祝福。その姿は目に見えないけど、私もそう思う。
ありがとう、イリューディアさん。これからも頑張って、この国に生きる限り私に出来ることはなんでもするよ。
一人じゃなく、リオン様達も一緒にいるから。みんなと一緒に幸せになるために頑張ろう。
改めてそう誓う。
天上に住むイリューディアさんやグノーデルさんに、綺麗にしてもらった私は見えているかな?
あの二人にも見えるように頭上に向かって微笑めば、そんな私の思いに応えるように、舞い落ちてくる花びらはその輝きをより一層増して淡く発光しながらいつまでも降り注いでは雪のように消えていくのだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ここまで読んでいただきありがとうございます。
本編は次回エピソードの一話を持って完結になりますので、明日もどうぞよろしくお願い致します。
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