タイムリーパーの妹は全力で俺の恋路の邪魔をする。

チャコペン

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タイムリーパーの妹は全力で俺の恋路の邪魔をする。

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 俺には一つ下の妹がいる。
 名前はひらがな三文字でひまり。

 ハイスペックで可愛い妹だが体の方は発展途上。
 最近こっそりバストアップトレーニングに励んでいるのは見なかったことにしてあげている。

 そんな妹は俺に秘密にしていることがあったらしい。
 あ、もちろんバストアップの方じゃないよ。
 高一にもなってクマさんのパンツをはいていることでもない。

 どっちも可愛いけどそうじゃなくて──



** 一回目 **



「兄さん。いつまで寝てるんですか? ほんとにだらしない人ですね」

 目が覚めると制服の上にエプロンを着たひまりがいた。
 正確には覚まさせてくれた、か。
 妹は俺を毎朝起こしてくれるのだ。

「んぅー。あと五分許して」
「ダメです。高校二年生にもなって妹に起こされるなんて兄さんは恥ずかしくないんですか?」
「いやー起こしてくれるのは嬉しいけどさ、まだ時間あるし」

 男子高校生は本気を出せば五分で支度して家を出ることだってできる。まだデッドラインより一時間も余裕があるから早く起き過ぎだ。

「朝ごはんが冷めちゃうので早くお布団から出てください。それとも私のご飯が食べられないとでも言うんですか?」
「はいはい、わかったよ。ひまりのご飯は美味しいから楽しみだ」

 せっかく作ってくれたのだから出来立てを頂きたい。
 俺が眠い目を擦りながらあくびをすると、ひまりはクスっと笑った。

「兄さんは料理もできないし朝も起きてくれないしダメな人です。私がいないとなんにもできないクズ人間なんですから大人しく言う事聞いてくださいね」

 え、言い過ぎじゃね?
 まあいい。少し棘があるが、俺のために毎日頑張ってくれる勿体ないくらいの妹だ。

 ひまりは換気をしてくれようとしたのか窓を開ける。
 すると突風が入ってスカートがめくれてしまった。

「きゃっ。み、見ました?」
「別にクマさんのパンツなんて恥ずかしくないぞ」
「ぅぅぅ~~~~~!!!」

 こんな風に少し抜けてるところもあって可愛い妹だ。
 兄妹としていい関係を築けていると思う。



 二人で朝食を摂ると一緒に学校へ行く。
 両親は仕事柄あまり家にいないため、家事全般はほとんどひまりがやってくれるのだ。

 毎日お世話になっていて本当に頭が上がらない。

「では兄さん。今日も早く帰ってきてくださいね。寄り道しちゃダメですよ?」

 学校に着くとひまりが念を押すように言ってきた。

「お前は俺の母さんか。まあ、することないし帰るけど」
「ふふっ、ちゃんと授業も聞いてくださいね」
「わかってるよ。じゃあな」

 昇降口で別れてそれぞれ靴箱に向かう。
 上靴を取り出すと、二枚の紙が入っていた。

「なんだこれ」

 それは手紙だった。しかもただの手紙じゃない。
 ララララララ、ラブレターってやつだ!

 俺は咄嗟にポケットにしまい、周囲を確認。
 決して悟られないように急いでトイレに駆け込む。

「っしゃあああああああああ!」

 思わず叫んでシャドーボクシングをした。

 両方とも宛名はしっかり俺の名前。
 内容もずっと前から好きでした~的な事が書かれている。
 差出人の名前は無いが、放課後待ってますの一言と場所の指定が書いてあった。

 人生初のラブレター。しかも二枚抜き。
 いたずらか? ドッキリか?
 いやいや俺に時代が追い付いたんだろ!

 俺はそんな感じで完全に浮かれていた。
 実際、浮かれてよかったと思う。
 だが事件は起きた。


 放課後。

 二枚貰ったはいいがどちらから先に行くか決めないといけない。

 すまんな。モテる男はつらいんだ。
 片方は屋上でもう一方は体育館裏。
 定番の告白スポットだろう。

「まずは書類選考をしてやりますか」

 しっかり吟味しよう。
 うーん、こっちだ。
 こっちの方が文字が可愛い。絶対清楚な子だ!

 俺はそんなこんなで屋上に向かった。
 扉を開けると、

「あ、来てくれたんだ!」

 美少女がいた。
 俺の姿を見るなりぱっと笑顔になって駆け寄ってきた。
 半信半疑だったが本物のラブレターだったらしい。
 おいおいまじか。俺の時代きた!

「え、ええ、えっと、蓮見はすみさん。お、おお、俺に用があるの!?」

 どもるな俺!!!
 でもしょうがないだろ。
 このお方は同級生一の人気を誇る蓮見様だ。
 黒髪ロングの可憐なお方で俺も付き合えたらと夢見ていた!
 それで、え? なんだって?
 蓮見様が俺にラブレターを? まじ?

「はい! 実はワタシ、ずっとあなたのことが大好きだったんです! 付き合ってください!」
「よろこんで!!!!!」

 俺は即答した。
 もう学校中に聞こえるんじゃないかってぐらい叫んだ。
 それを見て蓮見さんは嬉しそうに笑ってくれた。
 ああ、最高。これから毎日蓮見さんを独り占め……


「兄さん!」


 ガチャン、と屋上の扉が開く音と共に聞き馴染んだ声が響いた。
 振り返ると、ひまりが血相を変えてこちらに走っている。

「お、お前邪魔すんじゃねえよ! なんでここにいるんだ!」

 血縁者に見られるなんて恥ずかしいし萎える。
 まだ母さんに見られるよりはマシだが。

「こっちのセリフですよ! 真っ直ぐ家に帰るって約束したじゃないですか!」

 何故かひまりが怒っている。

 全然意味が分からない。
 兄の俺がどこで何してようが自由じゃないか?

 でももっと意味が分からないことが起きた。
 それは、

「もぉ、兄さんは仕方ない人ですね」
「んんんんんんん!?」

 ちゅってされちゃった。
 キスされちゃった。接吻されちゃった。
 ひまりの唇ってこんな柔らかいんだ……。
 そう思っていたら、俺の意識はぷつんと切れた。



** 二回目 **



「兄さん。いつまで寝てるんですか? ほんとにだらしない人ですね」

 目が覚めると制服の上にエプロンを着たひまりがいた。
 正確には覚まさせてくれた、か。
 妹は俺を毎朝起こしてくれるのだ。

「んぅー。あと五分許して」
「ダメです。高校二年生にもなって妹に起こされるなんて兄さんは恥ずかしくないんですか?」
「いやー起こしてくれるのは嬉しい、けど……」

 ん? 妙だな。デジャヴを感じる。
 前にもこんなことなかったっけ?

「どうしたんですか兄さん。打ち上げられた深海魚みたいな顔してますよ」
「そ、そんな顔してねえわ。お前は兄をなんだと思ってるんだ」
「ふふっ、ダメダメでクズ人間だと思ってますよ」
「うぅ、酷いよひまり。兄ちゃん泣いちゃうからな?」
「そしたら私がよしよししてあげます」

 夢でも見ていたのだろうか。

 はっきりとは思い出せないがひまりの唇を見ると変な気分になりそうだ……っていかんいかん。何考えてんだ俺は。ひまりは妹じゃないか。

「なあ、ひまり」
「なんですか?」
「今日はクマさんのパンツか?」
「はぅぅぅぅ!?」

 ひまりは真っ赤になると後ろを向いてスカートを確認した。

「なな、なんで知ってるんですか! 兄さんのエッチ! 変態! ゴミクズ人間!」
「ちょ、そこまで言う? でもごめん。デリカシーなかったな」

 兄妹とはいえひまりも思春期だしな。
 恥ずかしいだろう。

「ほら、早くひまりのご飯食べたい。行くぞ」
「もぉ……調子いいことばっかり言うんですから」

 ほっぺを膨らませてタコみたいになってしまった。

 そんな妹をなだめて俺はやけに見覚えのある朝食を頂く。まあ、毎日作ってもらってるんだから当然……か?


 学校に着くとひまりが忠告してきた。

「いいですか、兄さん。今日は真っ直ぐ帰ってきてくださいよ。寄り道したら晩御飯抜きですからね」
「なんでそこまで言われなきゃいけないんだ。お前は俺の母さんか?」
「ふふっ、ちゃんと授業も聞いてくださいね」
「わかってるよ。じゃあな」

 昇降口で別れてそれぞれ靴箱に向かう。
 上靴を取り出すと、二枚の紙が入っていた。

「なんだこれ」

 それは手紙だった。しかもただの手紙じゃない。
 ララララララ、ラブレターってやつだ!

 って待て待て待て待て待て。

 おかしいぞ?
 俺はラブレターを貰うのは初めてじゃない気がする。

 いや、別におかしくなったわけじゃないぞ。
 そういう妄想をしちゃった痛い子では断じてない!

 多分この中身は……。
 やっぱりそうだ。
 差出人不明で屋上と体育館裏の二枚だ。
 よくわからんが俺の時代きた!!!



 俺は一日悶々としたまま放課後を迎えた。
 どっちに行くか決めねばならん。

 屋上か、体育館か。
 俺は屋上に行こうと思って、なんとなく体育館に決めた。
 びくびくしながら体育館裏に行くと、

「んっ、来た来た。待ってたよぉ~」

 美女がいた。
 俺の姿を見るなりぱっと笑顔になって駆け寄ってきた。
 半信半疑だったが本物のラブレターだったらしい。
 おいおいまじか。俺の時代きた!

「え、ええ、えっと、桃瀬ももせ先輩。お、おお、俺に用ですか!?」

 どもるな俺!!!
 でもしょうがないだろ。
 このお方は学校一の人気を誇る桃瀬様だ。
 茶髪のショートカットでバレー部のエース。

 俺も付き合えたらと夢見ていた!
 それで、え? なんだって?
 桃瀬様が俺にラブレターを? まじ?

「そ! 実はウチ、ずっと君のことが大好きだったんだ! 付き合ってみない?」
「よろこんで!!!!!」

 俺は即答した。
 もう学校中に聞こえるんじゃないかってぐらい叫んだ。
 それを見て桃瀬先輩は嬉しそうに笑ってくれた。
 ああ、最高。これから毎日桃瀬先輩の太ももを独り占めでき……


「兄さん!」


 ドタドタ、と地面を蹴る音と共に聞き馴染んだ声が響いた。
 振り返ると、ひまりが血相を変えてこちらに走っている。

「お、お前邪魔すんじゃねえよ! なんでここにいるんだ!」

 血縁者に見られるなんて恥ずかしいし萎える。
 まだ母さんに見られるよりはマシだが。

「こっちのセリフですよ! 絶対に真っ直ぐ家に帰るって約束したじゃないですか!」

 何故かひまりが怒っている。

 全然意味が分からない。
 兄の俺がどこで何してようが自由じゃないか?

 でももっと意味が分からないことが起きた。
 さっきからそんな予感がしてた。
 それは、

「もぉ、兄さんは仕方ない人ですね」
「んんんんんんん!?」

 ちゅってされちゃった。
 キスされちゃった。接吻されちゃった。
 ひまりの唇ってやっぱ柔らかいんだ……。
 そう思っていたら、俺の意識はぷつんと切れた。



** 三回目 **



「兄さん。いつまで寝てるんですか? ほんとにだらしない人ですね」

 目が覚めると制服の上にエプロンを着たひまりがいた。
 正確には覚まさせてくれた、か。
 妹は俺を毎朝起こしてくれるのだ。

「なあ、ひまり」

 俺は五分の延長を要求せずに起き上がった。
 なんとなく今日の朝が初めてではない予感がした。

「どうしたんですか、そんな……」
「深海魚みたいな顔か?」

 無意識に口が喋っていた。
 自分でもよく分からないがそう言われる気がした。

「いえ、トドみたいな顔です。兄さんの寝顔は可愛いですよ。なんにもできない子どもみたいです」
「褒めてんのか? まあいいや、今日もクマのパンツだよな?」
「なななな、何言ってるんですかっ! ”も”って……そんなはずは……ごほんっ、兄さん最低です!」

 何か言い淀んでいたが兄ちゃんを騙そうったって五年早いぞ。

「俺に隠してることある?」

 問い詰めるとひまりはモジモジしてボソッと呟いた。

「ぉ、おむねの運動を……少々」
「それは知ってるって」
「いやああああああああああ!」
「大丈夫だって。まだこれからだ」
「兄さんのバカ! ボケ! アホ!」
「あ、ちょっと待てって……もお」

 ひまりは俺を罵ると部屋を出て行ってしまった。
 何か誤魔化した……のか?

 パズルのピースは揃っている。
 あとは組むだけだが、どうもまだ全体像がつかめない。



「兄さん、今日は私先に学校行きますね」
「ん? ああ、行ってらっしゃい」

 ひまりの作った朝食を頂くとひまりは鞄を持った。
 いつも一緒に行っているのに珍しい。

「いいですか。今日は寄り道して帰ってもいいですからね」
「まー予定があればな」

 ひまりは行ってきますと手を振って、俺も返す。
 そんな可愛い背中を見送って準備を済ませると俺も学校へ向かった。


 靴箱に着くと、俺はデジャヴを感じる。
 この中にラブレターが入っている予感だ。
 予感はずばり的中した。

「……あれ? 一枚だけ?」

 ラブレターを貰って一枚だけ? とか抜かす野郎は死んだ方がいいと思っているが、俺はそう口にしていた。

 不思議に思いながらその場で開けると、差出人は無しで場所の指定は公園だった。

「公園?」

 これも疑問に思った。
 屋上か体育館裏の気がしていたのだ。

「まあいっか」

 ラブレターを貰って喜ばないわけがない。
 今日も一日ルンルンした気分で授業を受け、気づけば放課後を迎えた。



「行くか」

 場所は公園だ。
 今日は寄り道をして帰ることにする。

 もしかしたらウハウハなことが俺を待ってるかもしれないし? 今日は寄り道してもいいってひまりが言ってたから思う存分ウハウハするぜ!

 ってな感じで到着。
 まだ誰もいなかったからひとまずベンチに腰かけた。

 五分経っても十分経っても誰も来ない。
 公園を間違えたか? それともいたずらか?
 その答えは──

「だーれだ」

 突然視界が真っ暗になった。
 後ろから目隠しをされたのだ。

「その声は……ひまり、なのか?」

 耳を疑ったがそうだ。
 どうしてひまりがここに?
 ひまりが手紙の主なのか?
 俺の事好きなのか……?

「えへへ、正解です」

 ひまりは目隠しをやめると俺の前に出た。
 悪戯な笑みを浮かべて……いや、悪魔の笑みを浮かべて。

「これなんだと思います?」

 笑顔を保ったまま二枚の手紙をひらひら持つ。
 どこか見覚えのあるラブレターだ。

「もお、兄さんにちょっかいだす虫が多すぎて困っちゃいますよね。兄さんは私だけのものなのに」

 ビリ、ビリビリと手紙を破いた。
 ぱっと投げて紙吹雪が舞う。
 ……全然綺麗じゃない。怖い。

「ひ、ひまりさん? なんか怒ってる?」
「怒ってますよー。兄さんがちゃんとしてくれないから」

 ひまりが俺の顎に手を添えた。
 くいっと持ち上げられてしまう。
 ひまりの宝石みたいな瞳が俺を射抜いた。

「私が、駆除することになるんです。もうかれこれ99回はやり直してます」
「何の話だ?」
「兄さん意外とモテるんですよ。小さい頃から99回も告白されるから99回も私が兄さんにキスしてタイムリープしてるんですよ」

 99回!?
 俺ってそんなモテるの?
 じゃなくて、本当か?
 なんでそんなこと……。

「ふふっ、慌てちゃって兄さんは本当に可愛いですね。そんな兄さんが私は大好きですよ」
「ちょ、ひまり!?」

 ひまりがぎゅーっと抱き着いてきた。
 いい匂いだしぺったんこだと思ってたのに意外と柔らかいし!

「兄さんは私みたいに小さい子お嫌いですか? 私はこーんなに愛してるのに。ちっとも気づいてくれないじゃないですか」

 何が起きてるんだ?
 これは現実なのか!?

「はぁーーーー! 兄さんしゅきぃ。私の兄さんっ。食べちゃいたいです」
「お、落ち着け? お前急にこんなこと……どうしたんだよ」

 今までそんな素振りは無かったと思う。
 ここまで大胆なことをしてくるなんて。
 妹なのに! 妹なのにいいいいいいい!

「あれ、兄さんびくびくってしてますよ?」
「し、質問に答えろよ。こんなことして父さんと母さんに何て言うんだ」
「平気ですよ。私はタイムリープできるんですから、今シてることもぜーんぶなかったことに出来ます。なので、兄さんを堪能しても問題ありません」

 あばばばばばば!
 俺は思考が停止した。
 ひまりの唇が近づいてくる。
 そして、濃厚なくらい深く深く、

「ちゅっ。じゃあまた次のループで会いましょうね。大好きな兄さんっ」

 俺の意識はぷつんと途切れた。



** 四回目(ひまり視点) **



「兄さん。いつまで寝てるんですか? ほんとにだらしない人ですね」

 私はループして兄さんを起こしに来ました。
 ループする条件は兄さんとキスすることです。
 キスするとその日をやり直せます。

 最初は兄さんが幼馴染の子と良い感じになっててモヤモヤしたのでしちゃいました。

 そしたらこの力に気づきました。
 幾度となくフラグをへし折ってやりましたよええ。

 もう100回もキスしちゃってます。
 全然飽きないです!

 私だけが記憶を持ったままやり直せるのでやりたい放題です。
 さっきも凄く良かったですね。兄さん可愛すぎです。
 えへへ。

 さてさて、兄さんがお目覚めみたいです。
 金魚みたいにぱちぱちさせてて抱きしめたくなっちゃいます。

「どうしたんですか、そんな深海魚みたいな顔して」

 ごめんなさい、兄さん。
 兄さんにはつい強く当たってしまいますが許してくださいね。

「なあ、ひまり」

 きゃああああ!
 名前呼ばれちゃいました!
 嬉しいいいいいいいいい!

 あ、いけません。にやけちゃダメですよ私。

「なんですか。ご飯冷めちゃうので早くお布団から出てください」

 丹精込めて作りましたとも。
 私が一生兄さんのお世話をしてあげます。

「あのさ、ひまり。お前ってタイムリーパーなの?」
「ほへ?」

 いいいいいい今何て言いました?
 聞き間違いですか????

 前のループの時も隠してることないかって聞かれて咄嗟にお胸の運動ですとか答えちゃいましたけど、もしかしてもしかして兄さんは覚えてるの!?

「ななな、何バカなこと言ってるんですか。アニメの見過ぎですよ。そういう冗談はいっぺん兄さんが死んでタイムリープの存在を証明してから──んんぅううううう!?」

 あばばばばばば!
 きききき、キッス!
 キッスされちゃった!
 ええええええええ!?
 どうしてですかあああ!
 何してるんですかああ!?

「あれ、タイムリープできない。やっぱ夢だったのか?」

 ここここ、この人実験感覚で私にキスしました!

「まあいいや、俺覚えてるからな」
「なーんのことですかぁ? そそ、そんなの知らないですね。ていうかまず私にキスしておいてなんでそんな冷静なんですか!」

 あれ、どうしてタイムリープしないの?
 兄さんの方からしたから?
 どうせこのままだと言い逃れできないですしね。
 ええええええい!

「んっ……んむ……むちゅ」

 できない!?
 タイムリープできません!
 やばいですやばいですやばいです!

 え、どうして?
 100回とか回数制限あるんですか?
 それとも兄さんがキスしてくれてたから?
 王子様がお姫様にするみたいに呪いが解けて……ってそんなこと考えてる場合じゃなあい!

「ひまり」
「はっ、はい!」

 あ、あれりぇ?
 兄さんが男の子の顔してます。
 へ? ほえ? みゃみゃみゃ?

「そんなに俺の邪魔したいの?」
「あ、えっと……違、くて」
「はっきり言わなきゃわかんないだろ」

 なんでだろ。
 いつもダメダメでだらしないのに。
 そんな見つめられたら…………私。

「兄さんが、好きです。大好きです!」
「兄としてじゃなくてか?」
「男の子として好きです! 私変態なんです!」

 いっちゃった。

「ひまり、こっちおいで」
「はぃ。うぅぅ…………」

 兄さんの横に座るとなでなでしてくれました。
 にやけ顔が止まりません。

「だらしないのはどっちだ」
「うええんごめんなさい。ずるしてごめんなしゃい」
「いいよ。それよりさ」
「な、なんですか?」

「……俺死ぬほど気まずいんだけどどうしたらいい?」
「私もおおおおおおおおおおおおおおお!」

 キスしまくったのも私の気持ちも全部バレてしまいました。兄さんの恋路を邪魔してた罰ですね。

 もう元には戻れません。

 ですが! やり直す必要はありません!

 ちゃんとこの手で兄さんを手に入れますっ。
 これからは私が本気を出します。
 嫌って言ってもしちゃいます。

 覚悟してくださいね、兄さん。
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