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3話:レアメロンパンと、謎の影

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~3話:レアメロンパンと、謎の影~


「はぁ、はぁ、はぁ」


  里奈は今、全速力で屋上へと続く階段を登っている。


「待ってて…私の大好きなもの…今行くから…!!」


  そう、里奈は屋上で待つ〈大好きなもの〉のために、走ることが嫌いなことも忘れて、夢中になって走っているのだ。
  里奈を待つ〈大好きなもの〉。それは…


バンッ

  里奈は、思いっきりドアを開けた。


「おー、そんなに急いじゃって。そんなに俺に会いたかったの?」


  隼人が、いつも通りにニヤリと笑う。
  里奈が、急いでまで手に入れたかった〈大好きなもの〉は、隼人……ではなく。


「はぁ…はぁ……………ンは?」


  息切れしながら、里奈は言う。


「ん?なに?」


 聞こえないのか、聞こえないふりをしているのか分からないが、隼人が聞き返す。


「レアメロンパンは!?私の、レアメロンパンを早く出して!」
  

  里奈は息を整えて、隼人に向かって叫んだ。


「あはは、あー、そのことかー」


  里奈の反応を見て面白そうに隼人が笑う。


「いいから、早く出しなさいよ。まさか、ないとか言わないでね?そんな事言ったら、本当に許さないんだから」


  里奈は、真剣な顔でそう言った。


「あー、怖い怖い。しっかりありますよ。ここに」


  そう言って、レアメロンパンを右手に取った。


「レアメロンパン!!」


「あー、渡すのは話が終わってから…な?」


  飛びついてきた里奈を、左手で抑えてイタズラに笑う。

こいつ……私の反応見て楽しんでやがる。
でも、レアメロンパンのためだ。


「分かったわよ。早く話を始めましょ」


「おー、珍しく素直」


「うるさい、レアメロンパンのためよ。」


「ふーん、まぁいいや。話を始めよう。聞きたいことは?」


聞きたいこと…?いっぱいあるけど、一番聞きたいのは…


「あのさぁ、何で私なわけ?嘘カノが欲しいなら、私じゃなくても良くない?」


そうだよ、私は隼人が大嫌いなんだから。
隼人のことを、好きな子にやってもらえば良かったのに。


「うん、はっきりいって誰でも良かった」


  隼人は、キッパリそう言った。


「は、はぁ?どうゆうことよ!」


「条件的には、俺のこと嫌いな人が良かったんだよ。だって、めんどくさいだろ?一緒にいるだけでときめかれてたら。嫌われてる方が、気が楽でいい。」


  隼人の、最低すぎる考えに里奈は怒る気力もなくなっていた。

最低すぎる。でも、こんなのでいちいち怒ってたら、この先が辛い。


「はぁ、まぁいいや。次、なんで1年なの?随分、半端だよね」


1年って、高二になったら終わりってことだよね?その方が、私的には良いけど、こういうのって卒業までとかじゃないのかな。


「そのことに関しては、お前が大嫌いな奴と3年間も付き合うことになるのは、流石に可愛そうだと思ってな」


「え……?」


  思ってもいなかった、里奈のことを考えての考えに里奈は驚いた。

え…私のことを考えてくれてたの……?


「まぁ、本音いうと、3年も一緒にいたら俺が飽きるから、一年たったら違うやつ探そうかなーって思っただけだけど」


やっぱり最低。こうやって、いろんな女子を騙してきたんだ。騙されないようにしなきゃ。絶対に!


「あっそ、別に助かるからいいけど。これで最後の質問。なんで、嘘カノが必要なの?」


  そう聞いた時、隼人が一瞬悲しい顔をした気がした。

あれ…今、一瞬……。気のせいかな…?


「お前と…………から。」


  小さい声でそう言った。
  よく聞き取れなかった。


「え?なに?」


「告白されたくないからだよ。告白されるのも結構めんどくさいんだよなー。彼女がいれば、告白の回数も減るだろ?」


  また、ニヤリと笑う。

告白するのに、どれくらい勇気が大事か分かってんのかこいつ。

  もう少し、まともな理由だと思っていた里奈には、隼人が女子の勇気を踏みにじる最低なやつにしか見えなかった。


「もう、アンタの最低さには慣れてきたよ。話は、終わりでしょ?早く、レアメロンパン渡しなさいよ!!」


  どんな話より、やっぱり里奈の一番はレアメロンパンだった。


「はいはい、お前はそればっかだな」


  そう言って、レアメロンパンを里奈に渡した。


「こ、これが学園1有名なメロンパン…!!」


私は、この瞬間のために生まれてきたんだ…!!神様ありがとう!!

  里奈が、感動していると……


「じゃ、教室戻ろっか。ん!」


  と、言い。里奈に手を差し出した。


「なによ、この手は」


  里奈は、一気に警戒する。


「一応、恋人なんだから。手つなごうよ」


「はぁ?そこまでする必要なくない?」


「レアメロンパン、明日も一個」


  隼人が、呟いた。


「繋ぐ繋ぐ!いや、是非繋がせてください!!」


  里奈は、隼人の手を握った。


「違うよ。繋ぎ方はこう!」


  隼人は、里奈の指に指を絡めた。

こ、これって恋人繋ぎって…やつ?

  隼人との体験は初体験ばかりで、いつも驚かされる。でも、相手が隼人なのもあって、そこまでときめくことはない。

  そんな事を、考えているうちに教室についた。


「あ、もう手離してもいいで……」


ガラッ

え……?


「俺と、里奈は付き合ってるから。俺のことを好きなやつは飽きらめろよ?」


「「「ええええええええええええ!?里奈と隼人様が!?」」」


ありえない、ありえない。普通クラスの全員に堂々と話す!?やっぱり、コイツは最低野郎だ!!
                       
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「嘘でしょ?」


誰かが、驚いた顔で言い。
その後こう呟いた。


「私の×××なのに……。」


裏で、謎の影が動き始めた。
だが、そのことは里奈は気づいていない。
どんどん、不幸へ近づいてることなんて気付かず、里奈は隼人との嘘カノを続けてしまう。どうなる…里奈……!!
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