帝国防衛軍 復活-1950-

突撃隊長

文字の大きさ
31 / 45
本編(戦争中期)

第20話:対馬海峡掃討作戦1

しおりを挟む
1952年9月2日。駆逐艦「雪風」
この日、雪風は第二臨時掃海総隊の旗艦と第一駆逐戦隊の旗艦を兼任していた。第一駆逐戦隊は、済州島沖海戦の後、「響」及び「潮」が配備された。しかし、1951年7月に輸送船団を護衛中に潜水艦3隻以上の同時襲撃を受け、「雪風」が被雷大破、「潮」は被雷撃沈された。
後、アメリカから貸し出されたシムス級駆逐艦「DL-1」(元USS「ラッセル」)が「潮」の代わりとして編入され、「雪風」は修理中、予備役に編入され、2隻の駆逐隊となった。しかし、「DL-1」は訓練中の事故で大破、ドックに引っ込むこととなった。この事件から、「響」は訓練艦へと種別変更された。
第一駆逐戦隊は「雪風」が復帰するまで解隊扱いとされ、52年4月、「雪風」「DL-1」「葵」(日本防衛海軍初の新造駆逐艦、葵型駆逐艦一番艦)をもって再開隊した。

そして、9月1日を持ってHS作戦が発令され、雪風を旗艦として、日本にいて任務が特にない駆逐艦などの小艦艇を片っ端からかき集めて、臨時掃総隊が編成された。駆逐艦、海防艦クラスのみならず、漁船改造の特設駆潜艇のような艦艇もいた。
編成された昨日も英国の輸送船が1隻、対馬海峡で撃沈されていた。今日は、米国籍の輸送船8隻からなる輸送船団が対馬海峡を通過するため、二日目からいきなり、第二臨時掃海総隊の半数近くはこの護衛に駆り出されることになった。

 船団が徐々に見えてきたところで、雪風以下12隻が転舵し、船団に近づく。
艦橋では艦長が双眼鏡を覗いていた。
「各艦を散開させよ。本艦及び海防艦3隻は船団の先頭に出る。」
「はっ。」
「航海長、代わってくれ。」
「分かりました。」
艦長は舵輪の前から艦長席に戻る。
「雪風」の艦長は、この作戦の前に朝鮮戦争開戦時から艦長を務めてきた戸田大佐は少将に昇進し、陸上勤務に移り、チェジュ島沖海戦以来海軍作戦本部で働いていた、元駆逐艦「桐」の副長・手名大佐が務めていた。
また、「雪風」には改装時に新型レーダー及びヘッジホッグなどが備え付けられていた。
このため、艦隊随一の対空・対潜索敵能力及び対潜攻撃能力を持っていた。
ただ、露払いの為に海防艦3隻を雪風の更に前に出すことにしていた。
「針路そのまま、第1戦速に落とせ。」
「はっ。」
輸送船団と歩みを共にするため、雪風は更に速度を落とした。

2時間後。
対馬海峡東水道を船団より先に(輸送船に比べて)高速で進入していた第8海防隊の海防艦「8号」「14号」「16号」のソナーが多数の影を捉えた。
「敵潜ですっ!」
三隻全てで一斉に警報が鳴り始め、全速で走り始める。各艦が点でんバラバラな方向に向かい始め、艦尾に設置された爆雷投射機から一斉に爆雷が放り投げられる。
一拍起き、海面に水柱が盛り上がる。これと同時に、旗艦の「8号」からは「我敵潜に遭遇、これより交戦する。」との信号が「雪風」に向けて打たれた。
各艦がバラバラとなって爆雷投下を行ったため、海中は反響音で凄まじい状態となり、一時的に探知能力が0となった。
一方、敵潜は潜望鏡でこの3隻の姿を既に捉えいた。
そして、3隻のK型潜水艦「K-52」「K-53」「K-54」から一斉に魚雷が放たれた。
計18発の魚雷が3隻の非力な海防艦に向かっていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

別れし夫婦の御定書(おさだめがき)

佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★ 嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。 離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。 月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。 おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。 されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて—— ※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。

明治かんなぎ少女の冥契 五百年の時を超えて、あなたに愛を

花籠しずく
キャラ文芸
 ――ですが、わたくしは生まれました。あなたに会うために。  月のものが来るようになってから、琥珀は不思議な夢を見る。誰かに探されている夢。きっと大切な人だったことは分かるのに、目が覚めると朧気で何も思い出せない。婚約者である志貴の言いなりの人形になる生活をし、生家とは会うと脅され、心が疲弊していたある日、家からひとり抜け出すと、妖魔のようなものに出会う。呪術師である志貴に、一時祓ってもらいはしたが、不思議と心が痛む。夢に美しい男が現れ、声に導かれるようにして、ある山のふもとの、廃れた神社の中に入ると、そこには苦しそうに蹲るあの妖魔がいた。琥珀はそれが夢に現れた、蘿月という男だと直感する。全身が黒い靄で包まれた彼の、靄を払う方法を、どうしてか琥珀は知っていた。口づけをし、息を吹き込むように、生きて、と願った。  帰ってすぐに志貴に殴られ、月のものがはじまっていたことが志貴にばれる。琥珀を穢そうとする志貴の様子に恐ろしさを覚えて、助けてと叫んだその瞬間、闇を裂くようにして、蘿月が現れた。 「琥珀は、俺が五百年待ち望んだ花嫁だ」  これは、時を超えて紡がれる愛の物語。そして虐げられた少女が、愛を知り、愛のために生きる自由を選ぶ物語。 ※R-15っぽいゆるい性描写があります。

レオナルド先生創世記

ポルネス・フリューゲル
ファンタジー
ビッグバーンを皮切りに宇宙が誕生し、やがて展開された宇宙の背景をユーモアたっぷりにとてもこっけいなジャック・レオナルド氏のサプライズの幕開け、幕開け!

アブナイお殿様-月野家江戸屋敷騒動顛末-(R15版)

三矢由巳
歴史・時代
時は江戸、老中水野忠邦が失脚した頃のこと。 佳穂(かほ)は江戸の望月藩月野家上屋敷の奥方様に仕える中臈。 幼い頃に会った千代という少女に憧れ、奥での一生奉公を望んでいた。 ところが、若殿様が急死し事態は一変、分家から養子に入った慶温(よしはる)こと又四郎に侍ることに。 又四郎はずっと前にも会ったことがあると言うが、佳穂には心当たりがない。 海外の事情や英吉利語を教える又四郎に翻弄されるも、惹かれていく佳穂。 一方、二人の周辺では次々に不可解な事件が起きる。 事件の真相を追うのは又四郎や屋敷の人々、そしてスタンダードプードルのシロ。 果たして、佳穂は又四郎と結ばれるのか。 シロの鼻が真実を追い詰める! 別サイトで発表した作品のR15版です。

雪嶺後宮と、狼王の花嫁

由香
キャラ文芸
後宮に降る雪は、呪いではなく嘆きだった。 巫女として献上された少女セツナは、 封じられた狼王の“花嫁”としての前世を思い出す。 人と妖、政と信仰の狭間で、 彼女が選ぶのは従属ではなく均衡。 雪嶺を舞台に描く、異種婚姻×後宮伝承譚。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

処理中です...