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61 休日
しおりを挟む「それで……」
帰って早々、みんなに囲まれる。
ミアに全身丸ごと清潔になる魔法をバンバンかけられている気がするのは気のせいか……
いや……気のせいじゃない……なんで!? そんなに!?
毎日お風呂にも入っているのに……思わず袖を鼻に近づける私の後ろから
シュッ シュッ シュシュシュシュシュシュ
って……レトさん、なんでなんかいい香りのする水を霧状にしてかけてくるのかな……
「ハル、仕事で無理はしていない?」
そんな二人に構わず聞いてくるルウ……
嫌ならすぐに辞めてもいいのだよって……
「私は大丈夫だよ、エイダンの家にも魔道具がたくさんあるから家にいるときとあまり変わりはないかな」
寝るときも……ルウが抱き締めてくれているときと同じくらいよく眠れている……とは恥ずかしくて言えないけれど。
「でも二人の世話は大変じゃないのか?」
ライオス、なんでエリオットがいることを知っているのかな?
「大丈夫だよ、二人とも大人だし」
エイダンもエリオットも日中は仕事をしているし。
正直そんなにやることもない……改めて考えるとこれでお金をもらうのはやっぱり申し訳なくなってくる。
そんなことを思いながら家のことをしようと動き始めると……
「一緒に本を読もうよ」
これ、面白いらしいよと片手に本を持つアレス。
「あ、新しい茶葉のは、配合をか、考えたんだ」
レトの茶葉にハズレはないからね。
「でっかい鳥籠を作ってみようかな」
なぜこっちを見ながらそんなことを……ちょっと、身長を測らないでくれるかな、ライオス。
「新しいランプを作ったからあげる」
グレンの作るものはセンスがいい。
「お茶の時間に出すお菓子も一緒につくるわよ」
珍しくロゼッタからのお誘い、嬉しい。
「一緒にいる」
うん、今日はみんなが揃っているね、ミア。
こんな感じでなんだかみんなが私に付いてくる。
子供の頃みたいに可愛いくくっついてくるけれどもみんなは大人で……まぁ……やっぱり可愛いのだけれど……
ただルウが……ルウはみんなの目も気にせずに手を握ってきたり抱きついてきたり……
いつもより激しめなスキンシップ……
お風呂もいつものように一緒に入っていると……
「ひゃぁあっ」
変な声が出た……だってルウがいきなり首筋に噛みついてくるから。
「ハル、可愛いね」
そう言ってチュッチュッと何度も首筋にキスをする。
どうしちゃったの!? ルウ……
私が逃げようとするとお腹に腕を回してガッチリと捕まえ、またキスをする。
いけない…………変な気分になってしまう…………
このままでは流れでしてしまいそうな気がする。
のぼせる前にお風呂から出てルウとお茶を飲みながら話をする。
「ルウ、あのね、しばらくお風呂は別々に入らない?」
私がルウを襲ってしまいそう……
「どうして……しばらくってどれくらい?」
どれくらいだろう? うーん、と考えていると
「ごめん、ハル。困らせちゃったかな……わかったよ。ハルの言う通りにする」
と、少し寂しそうに微笑むルウをみて胸が痛む。
「ただ……僕からもお願い。ベッドだけは別々にしないで」
ね? と寂しげに言われると……
う…………
「……うん」
断れない。
「ありがとう」
と、嬉しそうに笑うルウを見るとこれでよかったような気がする。
それじゃぁ寝ようか、とベッドに入りルウに抱き締められるといつも通り……
あっという間に眠りに落ちていった……
-- ルウ --
ハルをエイダンの家に送り届けた日からも毎晩……ハルを抱き締めて寝ている。
そしてハルが目覚める前に元に戻しておく。
僕の腕の中で安心しきって眠るハルが可愛くて愛おしくて……
僕もハルがいると安心する。
エイダンは毎晩ハルの部屋に入ることもできず、気配を感じることもできずに不安で眠れていないようだが……
彼の家で働き始めて最初の休日、ハルは僕が付けた腕輪の魔道具を使って帰ってきてくれた。
途中で森の中にすごい濃い霧が発生していた、と少し興奮気味に話すハルが可愛い。
ハルがいない日が続いたからかみんながハルに纏わり付く。
僕もつい……いろいろとやってしまった。
お風呂はしばらくの間別々に入ることになってしまったが……
ハルが……ハルと僕が安心して過ごせる場所が確かなものになるまでは……と我慢をしているのにハルに触れずにはいられない。
ハルに触れれば触れるほどもっと欲しくなり自分を抑えきれなくなりそうだったから……よかったのかもしれない。
この日は一日一緒にいたけれどハルはエリオットにも魔力があることを話してはくれなかった。
まぁ……強めに口止めをされていたようだし、エリオットは何となくハルの近くに魔族がいると感じているようだったからこちらのことを聞かれても困ると思ったのだろう。
僕達はパーティー会場にいる彼の魔力を感じていたから魔族だということはすでに知っている。
ただ、エイダンと同じように状況によって魔力量と瞳の色が変わるようだ。
エイダンよりも多い魔力量と魔族の性質を持ちながら、人間の……貴族のなかで上手く生きていくずる賢さのある彼はエイダンよりも気を付けなければない。
今のところエリオットの興味は兄であるエイダンにしか向いていないようだから……エイダンを生かしておいてよかったのかもしれない。
ハルがあの家にいる間はエリオットも一緒に住むようだが……ハルに興味をもつエイダンの邪魔をしてくれそうだ。
エリオットがいなくも、僕達が付いているからハルが気にすることではないが。
ハルがいつも気にかけてくれているのは僕達のことだ。
僕達が人前に出ることを嫌っていると思っている……
ハルと出会ったときの状況と、僕達の話しに何となく違和感を感じているのだろう。
確かに……ハルと出会った当時の僕は酷い有り様だった。
みんなの様子も……
少し無理があると思いながらもこの世界のことをよく知らないハルには僕達のされてきたことを隠した……
それでもハルは国王や王妃と話したときに何かを感じ取ったのだろう……あの二人に嘘を付いてまで僕達のことを隠しておいてくれた。
ハルは何となく彼らを信用できないと思ったのか……
警戒心が薄かったり勘が鋭かったり……本当に面白い。
ハルが誰に何を話そうと僕達が修正していくから大丈夫。
ただ、あの王妃が……魔王の情報が少ないことにイライラしている。
貴族の茶会だけでは情報が得られないからパーティーで魔族と踊った娘達を集めて茶会を開こうとしているらしい。
探りを入れようと森の中にも何度も人を送っているようだが……ハルが見た霧はそういうことで僕達が発生させている。
ここまではなかなかたどり着かないだろうが魔道具を使われたらエイダンのように近くまで来るものが出てくるかもしれないし……どちらにしろ時間をかければたどり着く者が出てくるかもしれない。
森の中のもので生計を立てている人間はこれまで通り森に入ってもいいと言っているがそれは森の奥までは入ってこないからだ。
コソコソと探りを入れにここまで来ることは許さない。
だからあの霧だ。あの霧で引き返すも、森に迷い込むも、魔獣に襲われるも本人次第だ。
森に入るときは自己責任だと言ったはずだからな、森の中でどうなろうと僕達には関係ない。
ハルが出会ってしまったらまた拾ってくるかもしれないがあの霧の先にはなかなか進めないから大丈夫だろう。
僕の腕の中でスヤスヤと眠るハルの額に口付けをする。
ハルは僕達のことを誰にも言うつもりはないのだろう。
僕達のことを一番に考えてくれるハルも大好きだけれど……僕達のことであまり悩まないで欲しい……
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