37 / 108
AD202004《生き残り》
焦燥
しおりを挟む
ひでぇ顔だな。
ハルは、目の前の男の顔を見ながらフト思った。
この地下道は、蜘蛛の巣の様に広がっているのだろう、進んだ先に馴染みの顔をみつけ時に少しの安堵と人数を見て嫌な事を察した。
居る筈の顔がそこに無ければ戦場であるここが示す応えは一つだ。
いつもの仏頂面が一段と落ちているからも察する事は、出来たが居ないという事実はより現実的にそれを殴る様に教えてきた。
「小隊長?」
テツが後ろから声をかけて来て、振り返るとその顔もまた沈んでいる、どうやら良い情報では無いと察する事が出来る。
「どうした?」
タバコに火をつけ、ため息混じりに紫煙を吐きながら聞くと、テツは少し俯いた。
「地上部隊、4割壊滅、撤退命令降りました…」
そうか、という気持ちと何出来ない自分に不甲斐無さを感じる。
ゆっくりと天を仰ぐとそこには、無機質な煉瓦の天井と白熱灯が廊下の先へと道標の様に置かれているだけだった。
「他の潜入部隊の様子は?」
「竹橋部隊、連絡無し、壊滅したかと思われるます、半蔵門部隊は、途中交戦との一報がありましたが敵殲滅後にこちらに向かってるとの事です」
「なら、お前らは半蔵門部隊と合流後、撤退しろ」
ハルは、そう言うとタバコを吸いながら白熱灯の先を睨みつけた。
「小隊長は?」
後ろから聞こえるテツの問いにハルは、小さく肩を竦めながらゆっくりと廊下を歩き出した。
「おい」
仏頂面の男が肩を掴みハルを止めた。
ハルは、ゆっくりと振り返り、仏頂面の男を一瞥するとその手をゆっくりと払った。
「お一人で行くつもりですか?それでは何も変わりません!」
テツがハルの前に立ちはだかり尚も止め様とするがハルは、テツの肩を軽く叩くとゆっくりとその場を退かせた。
変わらない、そうかもしれない、だがそれは退却をしても同じだ。
今の現状は戦力がかなり枯渇している。
退却して建て直してもここまで攻め入る能力はもうこの国には残されてはいない。
後は、防衛戦する一方になり壊滅するか、下手したら別何かによって一網打尽にされるのが関の山だ。
それなら、もう一か八か、本丸を叩くしか生き残る道は残っていない。
《後は、頼んだぞ》
アキさんの最後の顔が頭を過ぎる。
自分をかばい、体を吹っ飛ばされ、息絶え絶えになりながらも憎たらしい笑顔だけは忘れなかった。
心残りがあったろう、まだ生きていたかったろう。
それなのに何も無い自分が生き残り、あの人は、死んだ。
戦場なのだから、おかしくは無い話だが、その事実はハルにとって余りにも理不尽な現実でしかなかった。
「本気で1人で行くつもりか?」
仏頂面の男が尚もハルに問い掛けてくる。
何も返す気はなかったが、ふともう1人の顔も過ぎり、ハルは足を止めた。
「なぁ、アイツの最後は、どんなだった?」
ふとした、疑問だった。
しかし、後ろから応えは返ってこない、何故だろうと思い振り返ると、仏頂面の男は眉間により深い皺を刻みながら少し俯いていた。
「縁」
その顔を見て、自分が攻めている様に感じているだろうと思ったハルが仏頂面の男、縁の名を呼ぶと静かにその目がこちらを向いた。
「煌佑は、どんな最後だった?」
改めて聞くと縁は、苦笑いを零した。
「笑いながら吠えていたよ…行けって…」
全くどいつもこいつも…
もう少し、恨んだり、悔やんだり、憎んだり、嫌なものを落としていってくれないものかね。
アンタら、らしいと言えばそうかもしれないが残されたコッチからすればビビるのが情けなくなってくるじゃないか…
きっとアンタら、逃げたて、しゃーないって笑うだろうな、だけどコッチからしたらそんなに清々しく託されたら逃げるのも恥ずかしくなる。
ハルは、溜息混じりに紫煙を吐きながら苦笑いを零すと再び奥へ向かい歩き出した。
向かうのは、蜘蛛の巣の中心、この道の最奥。そこに奴が待ち構えている。
ふと、後ろから足音が聞こえ、少しだけ振り返ると縁がその後を着いて来た。
仏頂面に変わりは無いが心無しか先程より何かが吹っ切れていた様子にハルは首を横に振りながら軽く肩を竦めた。
ハルは、ポケットからタバコを取り出すと縁に対して1本差し出すと縁はそれを受け取り咥え火を灯した。
言葉は、交わさない。
だけど、お互い何をすべきかわかっている。
だからこそ、2人の進む足は、迷う事も止まる事もなく、その先へ向かっていく。
ハルは、目の前の男の顔を見ながらフト思った。
この地下道は、蜘蛛の巣の様に広がっているのだろう、進んだ先に馴染みの顔をみつけ時に少しの安堵と人数を見て嫌な事を察した。
居る筈の顔がそこに無ければ戦場であるここが示す応えは一つだ。
いつもの仏頂面が一段と落ちているからも察する事は、出来たが居ないという事実はより現実的にそれを殴る様に教えてきた。
「小隊長?」
テツが後ろから声をかけて来て、振り返るとその顔もまた沈んでいる、どうやら良い情報では無いと察する事が出来る。
「どうした?」
タバコに火をつけ、ため息混じりに紫煙を吐きながら聞くと、テツは少し俯いた。
「地上部隊、4割壊滅、撤退命令降りました…」
そうか、という気持ちと何出来ない自分に不甲斐無さを感じる。
ゆっくりと天を仰ぐとそこには、無機質な煉瓦の天井と白熱灯が廊下の先へと道標の様に置かれているだけだった。
「他の潜入部隊の様子は?」
「竹橋部隊、連絡無し、壊滅したかと思われるます、半蔵門部隊は、途中交戦との一報がありましたが敵殲滅後にこちらに向かってるとの事です」
「なら、お前らは半蔵門部隊と合流後、撤退しろ」
ハルは、そう言うとタバコを吸いながら白熱灯の先を睨みつけた。
「小隊長は?」
後ろから聞こえるテツの問いにハルは、小さく肩を竦めながらゆっくりと廊下を歩き出した。
「おい」
仏頂面の男が肩を掴みハルを止めた。
ハルは、ゆっくりと振り返り、仏頂面の男を一瞥するとその手をゆっくりと払った。
「お一人で行くつもりですか?それでは何も変わりません!」
テツがハルの前に立ちはだかり尚も止め様とするがハルは、テツの肩を軽く叩くとゆっくりとその場を退かせた。
変わらない、そうかもしれない、だがそれは退却をしても同じだ。
今の現状は戦力がかなり枯渇している。
退却して建て直してもここまで攻め入る能力はもうこの国には残されてはいない。
後は、防衛戦する一方になり壊滅するか、下手したら別何かによって一網打尽にされるのが関の山だ。
それなら、もう一か八か、本丸を叩くしか生き残る道は残っていない。
《後は、頼んだぞ》
アキさんの最後の顔が頭を過ぎる。
自分をかばい、体を吹っ飛ばされ、息絶え絶えになりながらも憎たらしい笑顔だけは忘れなかった。
心残りがあったろう、まだ生きていたかったろう。
それなのに何も無い自分が生き残り、あの人は、死んだ。
戦場なのだから、おかしくは無い話だが、その事実はハルにとって余りにも理不尽な現実でしかなかった。
「本気で1人で行くつもりか?」
仏頂面の男が尚もハルに問い掛けてくる。
何も返す気はなかったが、ふともう1人の顔も過ぎり、ハルは足を止めた。
「なぁ、アイツの最後は、どんなだった?」
ふとした、疑問だった。
しかし、後ろから応えは返ってこない、何故だろうと思い振り返ると、仏頂面の男は眉間により深い皺を刻みながら少し俯いていた。
「縁」
その顔を見て、自分が攻めている様に感じているだろうと思ったハルが仏頂面の男、縁の名を呼ぶと静かにその目がこちらを向いた。
「煌佑は、どんな最後だった?」
改めて聞くと縁は、苦笑いを零した。
「笑いながら吠えていたよ…行けって…」
全くどいつもこいつも…
もう少し、恨んだり、悔やんだり、憎んだり、嫌なものを落としていってくれないものかね。
アンタら、らしいと言えばそうかもしれないが残されたコッチからすればビビるのが情けなくなってくるじゃないか…
きっとアンタら、逃げたて、しゃーないって笑うだろうな、だけどコッチからしたらそんなに清々しく託されたら逃げるのも恥ずかしくなる。
ハルは、溜息混じりに紫煙を吐きながら苦笑いを零すと再び奥へ向かい歩き出した。
向かうのは、蜘蛛の巣の中心、この道の最奥。そこに奴が待ち構えている。
ふと、後ろから足音が聞こえ、少しだけ振り返ると縁がその後を着いて来た。
仏頂面に変わりは無いが心無しか先程より何かが吹っ切れていた様子にハルは首を横に振りながら軽く肩を竦めた。
ハルは、ポケットからタバコを取り出すと縁に対して1本差し出すと縁はそれを受け取り咥え火を灯した。
言葉は、交わさない。
だけど、お互い何をすべきかわかっている。
だからこそ、2人の進む足は、迷う事も止まる事もなく、その先へ向かっていく。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる