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東の最果てアシノ領地へ
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馬車のドア窓から見える空は、どこまでも突き抜け青く、雲はその空をのどかに泳いでいた。
暦の上では、春だが気温で言うなら冬なのだろう。
土の道を見るとまだそこらかしこに雪が残っていた。
見た渡す限りの草原に時折見える木々、のどかを絵に描いた風景を見ながらゼンは、大きなあくびをひとつついた。
「はしたないですよ」
そんなゼンを向かいの席に座る茶色いマントに身を包んだ女性、セレーナが窘めた。
ブロンドの髪を綺麗に後ろにまとめあげ、すっと伸びる姿勢からしっかり者の性格を象徴している、それが故に融通の利かない性格もしているのがゼンとってそれが時折面倒にも感じる。
「また小言か?もういいんじゃないか少しは、肩の力を抜けよ」
「ゼン様が肩の力を抜きすぎなんです」
ゼンの反論にセレーナは、一瞬の隙もなく返してきた。
こうなっては、何を言っても譲らない。
ゼンは、諦めて小さな溜め息を漏らした。
セレーナは、それも見逃さずにキッとゼンを睨みつけゼンは、小さく肩を竦めた。
まだ18歳でこの隙のなさ、未来の旦那さんは、かなり尻に敷かれるだろうな。
ゼンは、そう思いながら揺れる馬車内に目を向けた。
こんなにのんびりと景色を眺めるなんていつぶりだろうか。
どこまでのどかで静かで、のんびりとした空気。
そんな空気が今のゼンにとってとてつもなく安らぎを与えてくれた。
「領主様、間も無く着きますぜ」
ゆったりと走る馬車の振動と音に気づくとゼンは、眠ってしまい、それを起こしたのは、馬車の外から呼びかけてくる男の声だった。
ゼンは、視線だけを動かして声のした方向を確認すると、どこかあどけなさというか少年らしさを残している、精悍な顔立ちの男が馬車の運転席の窓からこちらを覗いていた。
従者の騎士のクリフだ。
「領主様は、やめろと言っただろ」
ゼンは、そう言いながらゆっくりと体を起こしながら少し悪態をつくとクリフは、ゼンをからかう様に笑いながら首横に降った。
「なんだい?王子の方がよかったかい?」
「どっちもやめい!普通にゼンで良いとあれ程言っただろ?」
「それは、俺じゃなくそっちの嬢ちゃんに言った方が良いんじゃないか?」
そう言われゼンは、慌てて目の前に座るセリーナに目を向け、彼女もまたうたた寝をしているのに安堵のため息を漏らした。
「大変だな、侍女の尻に敷かれるなんて、折角の自由の身なのに」
クリフにそう言われたがゼンは、それを否定する様に首を横振った。
「本当に酔狂だよな、お前もセリーナも、それにガルダンもサウラ、ウィンドルもみんな、王国の生活捨ててこんな辺鄙なところの左遷に付き合うなんて」
ゼンがそう言うとクリフは、豪快に笑い。その声にセリーナが目を覚ました。
「すいません!寝てしまいました!」
セリーナは、そう言うと慌てて立ち上がろうとするのでゼンが直ぐにそれを止めた。
「大丈夫だ、気にするな、俺も今クリフに起こされたところだから」
ゼンにそう言われセリーナは、慌ててクリフの方を見るがクリフは、肩を竦ませながら再び視線を前に向けた。
妙な沈黙が走る。それに堪えきれずに口火を切ったのは、セリーナだった。
「クリフ様のあの笑い声、私がうたた寝している間にお2人で私の悪口でも言われてたのかしら?」
そのセリーナの問にクリフは、素早い行動で馬車の窓を閉め、セリーナが直ぐさまそれを開けながらクリフの顔をニッコリとしながら見つめた。
「怒らないから仰ってください。寝てた私が悪いんですから」
いや、絶対普通に怒るよね?そんな言葉を口に出しそうになったが、藪蛇になると思ったゼンは、2人の状態を沈黙しながら見守る事に決め。そんなゼンに対してクリフが助けの視線を送るがスっとその間にセリーナの顔が差し込まれた。
何たる圧…曲がりなりにもジグモ国の上級騎士だった男をここまで追い込むとは…
ゼンがそう思いながら展開を見守っていると伝書鳥の鷹のホルンの鳴き声が聞こえた。
ホルンが鳴く。それは何か起きた時だ。
クリフの顔つきも変わり、視線を前方へ。ゼンもセリーナを席に座らせ窓の方に動いた。
「何が見えるか?」
「遠目に村が見える。ん?あれは人だかりだ…それに様子が変だぞ?」
人だかり?
ゼンは、気になり、馬車のドアを開けると取手に捕まりながら体を乗り出した。
長い草原の道と片側には、境界線の様に敷かれた木々。反対は、逆に見晴らしが良く、遠くの海が見える。その手前に数軒の木造の家が見え、木々側にある小高い丘には、少しだけ場違いな洋館が見えた。
奥に見える小高い丘の上に建っている洋館は、今日からゼンが住む家で人だかりは、丘の下に木造の家の前にあった。
「ホルン」
ゼンは、ホルンを呼ぶとホルンは、旋回をしながらゼンに近づき目と目を合わせた。
「よし、繋がった。次はあの人だかりの所へ」
そう言うとホルンは、再び旋回し人混みの方へ飛んで行った。
ゼンは、席に座ると目を瞑った。
その視界は、真っ暗ではなく。ホルンが見ている俯瞰風景が映し出されていた。
暦の上では、春だが気温で言うなら冬なのだろう。
土の道を見るとまだそこらかしこに雪が残っていた。
見た渡す限りの草原に時折見える木々、のどかを絵に描いた風景を見ながらゼンは、大きなあくびをひとつついた。
「はしたないですよ」
そんなゼンを向かいの席に座る茶色いマントに身を包んだ女性、セレーナが窘めた。
ブロンドの髪を綺麗に後ろにまとめあげ、すっと伸びる姿勢からしっかり者の性格を象徴している、それが故に融通の利かない性格もしているのがゼンとってそれが時折面倒にも感じる。
「また小言か?もういいんじゃないか少しは、肩の力を抜けよ」
「ゼン様が肩の力を抜きすぎなんです」
ゼンの反論にセレーナは、一瞬の隙もなく返してきた。
こうなっては、何を言っても譲らない。
ゼンは、諦めて小さな溜め息を漏らした。
セレーナは、それも見逃さずにキッとゼンを睨みつけゼンは、小さく肩を竦めた。
まだ18歳でこの隙のなさ、未来の旦那さんは、かなり尻に敷かれるだろうな。
ゼンは、そう思いながら揺れる馬車内に目を向けた。
こんなにのんびりと景色を眺めるなんていつぶりだろうか。
どこまでのどかで静かで、のんびりとした空気。
そんな空気が今のゼンにとってとてつもなく安らぎを与えてくれた。
「領主様、間も無く着きますぜ」
ゆったりと走る馬車の振動と音に気づくとゼンは、眠ってしまい、それを起こしたのは、馬車の外から呼びかけてくる男の声だった。
ゼンは、視線だけを動かして声のした方向を確認すると、どこかあどけなさというか少年らしさを残している、精悍な顔立ちの男が馬車の運転席の窓からこちらを覗いていた。
従者の騎士のクリフだ。
「領主様は、やめろと言っただろ」
ゼンは、そう言いながらゆっくりと体を起こしながら少し悪態をつくとクリフは、ゼンをからかう様に笑いながら首横に降った。
「なんだい?王子の方がよかったかい?」
「どっちもやめい!普通にゼンで良いとあれ程言っただろ?」
「それは、俺じゃなくそっちの嬢ちゃんに言った方が良いんじゃないか?」
そう言われゼンは、慌てて目の前に座るセリーナに目を向け、彼女もまたうたた寝をしているのに安堵のため息を漏らした。
「大変だな、侍女の尻に敷かれるなんて、折角の自由の身なのに」
クリフにそう言われたがゼンは、それを否定する様に首を横振った。
「本当に酔狂だよな、お前もセリーナも、それにガルダンもサウラ、ウィンドルもみんな、王国の生活捨ててこんな辺鄙なところの左遷に付き合うなんて」
ゼンがそう言うとクリフは、豪快に笑い。その声にセリーナが目を覚ました。
「すいません!寝てしまいました!」
セリーナは、そう言うと慌てて立ち上がろうとするのでゼンが直ぐにそれを止めた。
「大丈夫だ、気にするな、俺も今クリフに起こされたところだから」
ゼンにそう言われセリーナは、慌ててクリフの方を見るがクリフは、肩を竦ませながら再び視線を前に向けた。
妙な沈黙が走る。それに堪えきれずに口火を切ったのは、セリーナだった。
「クリフ様のあの笑い声、私がうたた寝している間にお2人で私の悪口でも言われてたのかしら?」
そのセリーナの問にクリフは、素早い行動で馬車の窓を閉め、セリーナが直ぐさまそれを開けながらクリフの顔をニッコリとしながら見つめた。
「怒らないから仰ってください。寝てた私が悪いんですから」
いや、絶対普通に怒るよね?そんな言葉を口に出しそうになったが、藪蛇になると思ったゼンは、2人の状態を沈黙しながら見守る事に決め。そんなゼンに対してクリフが助けの視線を送るがスっとその間にセリーナの顔が差し込まれた。
何たる圧…曲がりなりにもジグモ国の上級騎士だった男をここまで追い込むとは…
ゼンがそう思いながら展開を見守っていると伝書鳥の鷹のホルンの鳴き声が聞こえた。
ホルンが鳴く。それは何か起きた時だ。
クリフの顔つきも変わり、視線を前方へ。ゼンもセリーナを席に座らせ窓の方に動いた。
「何が見えるか?」
「遠目に村が見える。ん?あれは人だかりだ…それに様子が変だぞ?」
人だかり?
ゼンは、気になり、馬車のドアを開けると取手に捕まりながら体を乗り出した。
長い草原の道と片側には、境界線の様に敷かれた木々。反対は、逆に見晴らしが良く、遠くの海が見える。その手前に数軒の木造の家が見え、木々側にある小高い丘には、少しだけ場違いな洋館が見えた。
奥に見える小高い丘の上に建っている洋館は、今日からゼンが住む家で人だかりは、丘の下に木造の家の前にあった。
「ホルン」
ゼンは、ホルンを呼ぶとホルンは、旋回をしながらゼンに近づき目と目を合わせた。
「よし、繋がった。次はあの人だかりの所へ」
そう言うとホルンは、再び旋回し人混みの方へ飛んで行った。
ゼンは、席に座ると目を瞑った。
その視界は、真っ暗ではなく。ホルンが見ている俯瞰風景が映し出されていた。
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