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アシノ領主のお仕事
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クリフは、シグモ国騎士団の上級魔術騎士である。
騎士団の中でも腕と知力があるものが上級の地位に上がるのだがクリフの場合は、その地位に18歳という最年少で登り詰めた逸材である。
しかし、粗暴な性格と貧困街の出と言うのが貴族騎士達には、気に食わないらしくよく陰口を叩かれていた。
ゼンの兄で第3王子だったマゼルには入団当初からかなりの嫌がらせを受けていた。
ある日、マゼルの態度に堪忍袋の緒が切れた新任のクリフが彼を罵倒し、騎士としての資質を疑うとされ問題視された時にクリフを庇い、そしてそれを証明する為にマゼルと試合をしたのがゼンであった。
ゼンがまだ9歳の時の話である。
それ以降、ゼンの護衛騎士兼剣術師範としてゼンに使えている。
最後にセリーナだ。
ゼンの侍女だ。
家事全般、裁縫、マナー、そして多少の護身術と暗殺術を嗜んでいる。
ゼンの中でここまでバラエティ豊富な侍女は、ジグモ国でセリーナだけだと自信もって言えた。
彼女がもっともゼンとの付き合いが長い。
出会いは、ゼンが8歳。そしてセリーナは11歳の頃だった。
突然、彼女を侍女にすると今は無き長兄、ケンジン・ヤマダルが国へ連れ帰った時からだった。
前王は、息子のその行動を抑え様と説得したがケンジンはそれを頑なに拒否し、彼専属の侍女として迎え入れた。
あの時の王国内の従者達は、ヒソヒソと陰口ばかりを言っていた。前王も息子のその行動に疑問をもっていたのだがセリーナの侍女としての成長がその陰口を払拭していった。
ゼンのお付の侍女になったのは、それから2年後、彼がショグリン国と同盟国の中央大陸ジャンバルのあるテンブ国へ留学する時だった。
突然ケンジンから彼女を連れて行けと言われ、それから約3年間の共同生活をした間柄だ。
フト、そんな事を思い出しながらセリーナの紹介をしているとゼンは、喉の奥がキュッと締まるのを感じて、少しだけ口を閉ざして頭を切りかえた。
やはり、ケンジンを思い出すのはゼンの中で楽しく思う反面、切なくそして悲しくなってしまうのだ。
「それで、これからの事だが、今日から少しづつ村の復興をしていこうと思う」
全員の紹介を終えてゼンは切り替えてそう言うと村人全員の空気感が少しだけ期待と不安の入り交じるモノへと変わった。
「先の襲撃で住める家は、ココとウズロの家だけとなっている。だからウズロには申し訳ないが暫くはこのふたつの家で村人全員で寝食を共にする事となるが何か意見はあるか?」
ゼンがそう言うとウズロがそっと手を挙げた。
「私の家は構いません。ですが領主様…ゼン様は、それでよろしいのですか?」
「別になんの問題も無いが?あえて言うならイワンの隣で寝るのは、嫌だ。鼾が凄すぎるんだよ」
ゼンのその一言にイワンの「そんな~」っと言う一言ともに村人達からドッと笑いが起こった。
そんな雰囲気を見ながらゼンは住む場所の件は問題ないのを確認するとゼンは次の話へと移行した。
「次に食料問題と村の安全の問題だが、これをこの2、3ヶ月の間にある程度どうにかしたいと思っている」
「具体的には何をする気か決まってんのかい?」
ゼンの言葉に返したのは腕を組んでこちらを見ているガルダンだった。
「あるっちゃあるけど、ここが肝になる」
「どう意味だ?」
「まずこの村の近くの森には色んな食べ物や薬草がある。それはホルンで確認済み、だけど、姿は見てないけど猛獣達の気配もあるのも事実なんだ」
ゼンがそう言うとガルダンはゆったりと村人達を見渡した。
「戦えるのが少ないってことか?」
そう問われ、ゼンはゆっくりと頷いた。
「武器は?」
「ない、そこも問題の一つだ」
ゼンがそう言うとガルダンは、肩をグリグリと回した始めた。
「俺は何だ?坊主?」
「待ってくれ親方、武器よりも親方には農具や石工道具を先に作ってもらいたいんだ」
ゼンのその一言、グリグリと回していたガルダンの肩は止まった。
「農具はまだしも何で石工道具なんですか?」
ウズロもまたゼンの言葉に疑問を持ったのか聞いてきた。
「今回の襲撃でわかったのは、この村は防衛がなってない。まずはこの村にある程度の広さで壁を建築してから村の復興を目指そうと思っている」
ゼンは、そう言いながらお椀を一つ持つと床に置いた。
「これがこの洋館だとするとこう」
そう言うと置いたお椀を中心に半円を描いた。
「この背後は、どうなんだよ?」
ガルダンがそう指摘するとゼンは、親指で背後を指した。
「昨日見たんだけど、そこにあるの森のすぐ後ろに崖になってるだけなんだ」
「なるほどね、天然の壁ってことか」
ゼンは、そう言われて頷くがガルダンはまだ納得出来ないという表情をしていた。
ゼンがその表情に反応を示すとガルダンは、言いずらそうに頭を掻きながら渋々口を開いた。
「崖なら人間だと無理だろうが、怪物や猛獣だとどうなるんだい?余りにも無防備だろ?」
騎士団の中でも腕と知力があるものが上級の地位に上がるのだがクリフの場合は、その地位に18歳という最年少で登り詰めた逸材である。
しかし、粗暴な性格と貧困街の出と言うのが貴族騎士達には、気に食わないらしくよく陰口を叩かれていた。
ゼンの兄で第3王子だったマゼルには入団当初からかなりの嫌がらせを受けていた。
ある日、マゼルの態度に堪忍袋の緒が切れた新任のクリフが彼を罵倒し、騎士としての資質を疑うとされ問題視された時にクリフを庇い、そしてそれを証明する為にマゼルと試合をしたのがゼンであった。
ゼンがまだ9歳の時の話である。
それ以降、ゼンの護衛騎士兼剣術師範としてゼンに使えている。
最後にセリーナだ。
ゼンの侍女だ。
家事全般、裁縫、マナー、そして多少の護身術と暗殺術を嗜んでいる。
ゼンの中でここまでバラエティ豊富な侍女は、ジグモ国でセリーナだけだと自信もって言えた。
彼女がもっともゼンとの付き合いが長い。
出会いは、ゼンが8歳。そしてセリーナは11歳の頃だった。
突然、彼女を侍女にすると今は無き長兄、ケンジン・ヤマダルが国へ連れ帰った時からだった。
前王は、息子のその行動を抑え様と説得したがケンジンはそれを頑なに拒否し、彼専属の侍女として迎え入れた。
あの時の王国内の従者達は、ヒソヒソと陰口ばかりを言っていた。前王も息子のその行動に疑問をもっていたのだがセリーナの侍女としての成長がその陰口を払拭していった。
ゼンのお付の侍女になったのは、それから2年後、彼がショグリン国と同盟国の中央大陸ジャンバルのあるテンブ国へ留学する時だった。
突然ケンジンから彼女を連れて行けと言われ、それから約3年間の共同生活をした間柄だ。
フト、そんな事を思い出しながらセリーナの紹介をしているとゼンは、喉の奥がキュッと締まるのを感じて、少しだけ口を閉ざして頭を切りかえた。
やはり、ケンジンを思い出すのはゼンの中で楽しく思う反面、切なくそして悲しくなってしまうのだ。
「それで、これからの事だが、今日から少しづつ村の復興をしていこうと思う」
全員の紹介を終えてゼンは切り替えてそう言うと村人全員の空気感が少しだけ期待と不安の入り交じるモノへと変わった。
「先の襲撃で住める家は、ココとウズロの家だけとなっている。だからウズロには申し訳ないが暫くはこのふたつの家で村人全員で寝食を共にする事となるが何か意見はあるか?」
ゼンがそう言うとウズロがそっと手を挙げた。
「私の家は構いません。ですが領主様…ゼン様は、それでよろしいのですか?」
「別になんの問題も無いが?あえて言うならイワンの隣で寝るのは、嫌だ。鼾が凄すぎるんだよ」
ゼンのその一言にイワンの「そんな~」っと言う一言ともに村人達からドッと笑いが起こった。
そんな雰囲気を見ながらゼンは住む場所の件は問題ないのを確認するとゼンは次の話へと移行した。
「次に食料問題と村の安全の問題だが、これをこの2、3ヶ月の間にある程度どうにかしたいと思っている」
「具体的には何をする気か決まってんのかい?」
ゼンの言葉に返したのは腕を組んでこちらを見ているガルダンだった。
「あるっちゃあるけど、ここが肝になる」
「どう意味だ?」
「まずこの村の近くの森には色んな食べ物や薬草がある。それはホルンで確認済み、だけど、姿は見てないけど猛獣達の気配もあるのも事実なんだ」
ゼンがそう言うとガルダンはゆったりと村人達を見渡した。
「戦えるのが少ないってことか?」
そう問われ、ゼンはゆっくりと頷いた。
「武器は?」
「ない、そこも問題の一つだ」
ゼンがそう言うとガルダンは、肩をグリグリと回した始めた。
「俺は何だ?坊主?」
「待ってくれ親方、武器よりも親方には農具や石工道具を先に作ってもらいたいんだ」
ゼンのその一言、グリグリと回していたガルダンの肩は止まった。
「農具はまだしも何で石工道具なんですか?」
ウズロもまたゼンの言葉に疑問を持ったのか聞いてきた。
「今回の襲撃でわかったのは、この村は防衛がなってない。まずはこの村にある程度の広さで壁を建築してから村の復興を目指そうと思っている」
ゼンは、そう言いながらお椀を一つ持つと床に置いた。
「これがこの洋館だとするとこう」
そう言うと置いたお椀を中心に半円を描いた。
「この背後は、どうなんだよ?」
ガルダンがそう指摘するとゼンは、親指で背後を指した。
「昨日見たんだけど、そこにあるの森のすぐ後ろに崖になってるだけなんだ」
「なるほどね、天然の壁ってことか」
ゼンは、そう言われて頷くがガルダンはまだ納得出来ないという表情をしていた。
ゼンがその表情に反応を示すとガルダンは、言いずらそうに頭を掻きながら渋々口を開いた。
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