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プロローグ
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しおりを挟むキーンコーンカーンコーン…
こんな学生にとっては天国へ誘う鐘の音がもう一時間も前に過ぎ去ったときのある日、僕、橋本 零は家に向かって公共交通機関と徒歩を駆使して帰っていた。もちろん今日も平の凡な日だった。特に美少女に話しかけられることや、ワルや不良につるまれることもなく…。こんな日々は生まれたときから高校2年になる今になっても変わることはなかった。別に退屈しているわけでもなく、逆に、満足しているくらいだった。これはこんな毎日しか送ってこなかったからかもともとこんな感じなのを好んでいたのかは分からないが、まぁ、そういうことだ。
「それにしても、高校生活って『普通』だよなぁ。いや、僕が特別…違うな、異常なのかもしれないんだけど…。でも、こんな毎日を変えようなんて考えたこともないし別にいっか」
とまぁ、こんな感じの男である。人生で一度も恋愛なんてしたこともないし、もちろんそんな淡くて浮いた感情なんて抱いたこともないし。別に頭が悪いわけでもなく、逆に少しいい方だ。それに友達だって普通にいるし。…いや、本当だからな?
そして、別に変わったこともなく今住むマンションに着く。
「ただいまー」
無情にもその声は家に響くのみで返ってくる声はない。高校に入ってから唯一変わったと言っていいことは、帰宅時の挨拶がないことだろうか。家族がすでに天にいる、ということではなく、1人暮らしを始めたからだ。零には1人の妹がいる。名前を優良。零のような平凡の極みとは正反対な輝いている女の子だ。だからといって仲が悪いわけではない。逆に、零が「ブラコンじゃないよな?」と心配になるくらい仲がいい。いや、優良のほうは『仲がいい』で終わっているのかは分からないが、女の子のプライベートな話だ。知ってはいけないだろう。
あぁ、輝いてる女の子だからとても可愛い。男子からも女子からもたくさん話しかけられ、告白もされた、と言っていたと記憶している。
おっと、優良のことを久しぶりに考えてしまった。なんでだろう?まぁ、いっか。今日も課題をやって夕食を食べてお風呂に入って寝よう、うん。
こうして、零の平凡な一日は何事もなく今日も終わった。
「う、うーーん。今何時だろう?」
開いたばかりの瞼を擦りながらベットの横にある時計に目をやる。時計の針が示す時間は8時07分。
「8時07分か…。ん?8時?…っは!!まずい、人生初の遅刻をしてしまう!」
昨日のうちに買っておいたクリームパンを口に入れてテレビでやっていた早着替え術を使用する。昔から『真似』は得意なのだ。約27秒で制服に着替えてマンションの扉を開け、もちろん鍵をかけて駅へ急ぐ。
「まさかアニメのようにパンをくわえながら走ることになるなんて想像もしてなかったよ!」
こうして、8分後。駅前のスクランブル交差点に今いる。信号は青に変わり、その瞬間に走り出す。そして交差点を渡りきり、下向いて息を整えながら歩いて顔を上げるとそこには、
白い世界が広がっていた。ついでに目の前にこの世のモノとは思えないほどの美貌をもつ、女の人がいた。
「ふぅ、さすがに10人も異世界から召喚しようとされて力を与えるために干渉すると疲れますね。もう、休みたいです…」
「あ、あの、すみません。ここはどこですか?」
「あぁ、幻聴がきこえてくるほど疲れてしまったのですね。自分でいうのもなんですが少し可哀そうです…」
「いや、あの…」
「はぁ、いるわけないですが、そこに誰かいるので……すか………?」
「はい、いますよ」
「………貴方は誰ですか?」
「こっちが聞きたいですよっ!!!」
こうして、零の平凡な日々は文字通り音もたてずに崩れ去ったのだった…。
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しろくまです。
これからこの作品をよろしくお願いいたします。
二作品同時更新中ですので、二日に一回の更新ペースになるかと思います。
「異世界召喚 ~俺は目立ちたくないのに~」
ぜひ、こちらの作品もお読み下さいませ。
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