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第1章 無能という未来のない存在
1話 特典と異世界
しおりを挟む「……というわけで貴方様はもとの世界に帰ることができないのですが…」
「えぇ、分かりました。なら、異世界へ行きます。ちょっと今までとは違う毎日が待っていそうなので」
女神と名乗る目の前の超絶美人お姉さんが言ったことをまとめるとこういうことだ。
1、異世界にあるとある大きめの国が世界最大国に抵抗するために地球から勇者という存在を召喚しようとした
2、僕は対象外だったが召喚の際にできた時空の歪に飲み込まれたらしい。いわゆる、召喚巻き込まれたよ系主人公だ(主人公かどうかはわからないけどね…)
3、地球に戻ることがほぼ不可能ということ。「ほぼ」と言ったのは完全に不可能ではないからだ。ただ、無数にある世界から地球にちゃんと送り返すのは、まぁ、無理だろうっということだ。
とまぁ、この3つかな?ちょっと聞き逃してしまったところもあるかもしれないけれど、特に重要というわけではないだろう、多分…。
「決断が早いのですね。そういう殿方は私、結構好きですよ?ってこういうことを言っている場合じゃないんでした。貴方様は『勇者』として召喚されたわけですが、その力…こちらの世界ではスキルという言い方をしていますが、はどうなるか分かりません」
この超絶美人お姉さんに結構好きって言われたよ、僕。男として少しは嬉しいよね、やっぱり。でも、恋とかしたことないし別に特別な感情が生まれてくるわけじゃないんだけどね。
「力、いえスキルが分からないというのはどういうことですか?」
「今から説明いたします。…この残り79枚のカードの中から2枚選んでいただき、そのカードに書かれたスキルが貴方様のスキルとなります。分からないところはございますか?」
「いえ、大丈夫です。もう、引いてもいいですか?」
「フフ、もうお引きになるのですか?他の皆様はかなりの時間迷っていらっしゃったというのに」
「迷ったり考えたところで自分の運命は変えられませんからね。あ、他の皆様というのは何人いるのですか?」
「10人ですね。皆様、お強くなっていかれましたよ」
「へぇ、僕も強いといいな。……じゃぁ、これとこれで」
そういって女神様(自称)に引いたカードを手渡す。これは引いたカードのスキルを付与してもらうためだ。
「フムフム…、貴方様のスキルは「強化魔法」と「武具庫」ですね。「強化魔法」は自分や他者の身体能力や魔力を底上げするスキルですね。色々な方に重宝されるスキルです」
おぉ、結構強いのではないだろうか。それに『魔力』。これは聞き捨てならない単語だ。魔力があるということは魔法があるのだろう。魔法、覚えるの楽しみだなぁ。あ、僕のスキル「強化魔法」も魔法じゃん…。
「武具庫というのはその名の通り、あらゆる武具を収納できる便利スキルです。一瞬で収納と取り出しが可能です。ただ、欠点が2つ。それは武具のみしか収納することができないということと、戦闘向きではないということです。勇者として召喚されてしまうのにも関わらず戦闘以外で役に立つスキルがでてしまうとは…。で、でも、そんなスキルは3枚ぐらいしか入っていないので運がいいとお考え下さい!」
慰められているのか上手く言いくるめられているのかはいまいち分からないけど、まぁ、なんとかなるよね、きっと。
「あ、あの、大丈夫ですよ。僕は地球とかでラノベとかアニメとか結構好きだったので。その知識があれば生き残れないということは多分、ないと思うので」
「ですが、魔物など人間の敵もたくさんいるのです。お気をつけください」
「忠告ありがとうございます。他に注意するべきことはありますか?」
「他に、ですか…。あ、巻き込まれての転移となりますので、恐らくですが、本来召喚される場所とは異なるところに転移するかもしれません。例えば、森のなかとか…」
「テンプレですね。そのことは予想していたので大丈夫ですよ。死んでしまったのならそこまでだったということですし」
「ずいぶんとご自身について軽く考えておられるようですね。けれど、死ぬというのはとてもつらいことなのですよ?」
この女神様は僕のことを慈愛の色に染まった目で見つめてきた。僕だって、死ぬのは怖いと思う。けど、家族とかはいないし、もちろん葬式を開いてくれるような人もいないわけで。なら…
「僕も死ぬのは怖いですよ。だから、出来るだけ老衰で死にたいですね。異世界を存分に満喫したあとに」
「きっとそうおっしゃると思っていましたよ。では、この『ルーディア』を存分にお楽しみください」
女神様がそういうのと同時に僕の視界は白くなり、意識も朦朧としてきた。あぁ、『ルーディア』という異世界に転移するんだな。存分に楽しんでやろう…。
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しろくまです。
まだ二作目ということで矛盾している点やおかしなところがたくさんでてくると思います。ぜひ、感想にてお知らせください。
これからも精進して参ります。
こちらの作品もぜひ、お読みください
「異世界召喚 ~俺は目立ちたくないのに~」
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