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第1章 無能という未来のない存在
5話 醜小鬼を打ち倒す転移者の剣
しおりを挟むあれから僕とゴブリンの攻防は均衡を保ったまますでに5分が経とうとしていた。もちろん、普通の感覚からすれば短い時間ではあろう。だが、レイにとってはあまりにも長く辛い時間。なにせ、初戦闘なのだ。身体的疲労と精神的疲労がレイの集中をかき乱す。
「っく、こちらは『剣術Lv1』に対してあちらは『剣術Lv2』でさらに『回避術Lv1』を持っている。このままじゃこっちがジリ貧だ。MPが枯渇してしまう…。なにか、なにかいい方法はないのだろうか…。っふ、っはっは!!全く油断も隙もない!」
実際、黒いシリーズがあっての戦いとなっている。身体能力を強化したといっても経験からくる圧倒的な差は覆すことが難しい。それは、ゴブリンも分かっている。だからこそ、無駄に攻めず、相手が自滅するのを待っているのである。
「ウゥゥゥ、キィヤァ!」
一匹のゴブリンがレイに向かって上段切りを放つ。これを『解析』を使用し難なく躱す。隙を突かんとそこへ突っ込んでくるもう一匹。これを強化された身体能力を支えに剣で受け止める。これを『剣術Lv1』
の技術で受け流す。
「っ!体勢が崩れたところに一発!もうっ一発っっ!!」
レイの二連撃が炸裂する。もちろんその動きはお粗末だろう。だが、それでもがむしゃらに振るった剣は見事ゴブリンの急所を撃ち、絶命までもっていく…。
「…よしっ!これで一匹だ!もう一匹、いくぞ!」
「グルグル…ゴギャァァァっっ!!」
仲間を失ったゴブリンは怒りにまかせて剣を振るう。これを僅かに防具で受け止めながら捌く。ただ、レイの剣も決め手に欠ける。どちらも均衡保ち剣を一閃、また一閃。一進一退の攻防。どちらも眼前の敵を倒さんと一心不乱に剣を振るう…。
―パリィン
何かが砕ける音がする。ゴブリンの剣が半ばから折れたのだ。酸化が進み、耐久性が全くなくなってしまっていたのだ。
ゴブリンとてこのことを想定していなかったわけではあるまい。ただ、今は怒りに身を委ねていた状態。急に武器を失ってしまったことで動揺しそこから生まれた僅かな隙をを見逃せるほどレイの集中は甘くなかった。首元へ向け、止めの一閃を放つ。
「う、りゃぁぁぁぁぁぁっっっっっ!!!!!!!!」
「グギョォォォォォ……」
ゴブリンを見事絶命させ、レイの異世界初戦は幕を閉じる。
「勇者っていうのは勇ましいに者って書くんだぜ…。覚えておくといいよ。聞こえていないだろうけど。…………はぁはぁ、もう、動けな、い…」
時間にしてたった10分足らずの攻防。ただ、されど10分。戦闘をしたこともなかったレイの身体の自由を奪うには十分すぎる長さと内容の濃さ、だった。
「でも、ここで流れたの血の匂いに反応して獣が寄ってくるのはテンプレだとな…。本当にここで死んじゃうかもな…。でも、ゴブリンを殺したのに気持ち悪さが全く湧き上がってこないな。命を懸けて戦ったからなのか巻き込まれたときに変わってしまったのかは分からないけど、今は好都合だな。今は吐いている場合じゃぁないからね…」
ゴブリンとの戦いは終わったがレイの異世界生活は始まったばかりだ。これから、どんなことが待ち受けているのか。それは誰にも分からないことだ。
ステータス
・名前 レイ
・種族 人族
・職業 無能勇者
・年齢 17
・レベル 1
・適性属性 雷
HP 50/50
MP 30/50
STR 10×2(+20)
DEF 10(+60)
INT 40
AGI 10×2
DEX 20
スキル
【オリジナルスキル】
・模倣
・解析
【戦闘スキル】
・剣術Lv1
【魔法スキル】
・強化魔法
【生活スキル】
・武具庫
【称号】
・無能な者
・勇者の力を受けし者
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しろくまです。
戦闘はどうだったでしょうか?私は初めて納得のいく戦闘描写になりました(目標が低いとは言わないでください…)
MPの計算が間違っていれば感想にてお知らせくださいませ。
文中には登場しませんが、戦闘中に回避術Lv1をコピーしていないのはLv0が存在していないので一段階下にすることができず、コピーが不可ということです。つまり、Lv1スキルは基本的にはコピー出来ないということです。
これからも精進して参ります。
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