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第1章
雪那救出大作戦!!②
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地下は行くにつれて、湿った空気と魔力が濃くなっていく。
(結構深いわ。それだけ秘密にしたい何かが隠されているという訳ね…。)
「サーシャ」は回りに敵がいないのを確認し、<念話>で彼らを呼ぶ。
(これ以上、下に進むと影が薄くなるから今のうちに来て。敵はいないけど、注意してね。)
(分かった!)
(OK、任せとけ!)
(そうだ、チャシャ?彼をこちらに連れてきている間にやる事は済んだのね?)
(おう!バッチリだし♪ビアンカが向こうへ帰ったら後の事、頼むぜ!)
<念話>でやり取りしながら「サーシャ」は待つこと数秒、影から2人は音もなく出てきた。そして2人は「サーシャ」に目配せした後、闇に溶け込んで消えた。
(ねえ、クロード。クレイたちの状況はどうなっているのかしら? )
(クレイさんたちにはまだ待機してもらっています。見張りの交代時に隙をつくそうです。)
(了~解。こっちは2人共、上手く潜入して先に地下へ行ってもらっているわ。何かあったらそっちにも報告がいくからよろしくね。)
(分かりました。お気をつけて…。)
クロードとの<念話>をやめ、地上に戻った。
そろそろ上に戻らなければ他の奴等に怪しまれるからだ。
アジトの入り口まで戻り、馬車で裏ルートから商会へ戻る。
★★
―「サーシャ」が商会へ戻った頃、クレイたちに動きがあった。
見張り役の男たちが交代の時間となり、仕事を終えた男たちが帰路につこうとしていた。
「中腹まで来たら奴等を仕留める。ラシュ、俺とハルのとりこぼしを叩いてくれ。さっさと終わらせるぞ。」
「「 了解(した)。 」」
そして馬車が中腹にさしかかったその時。
「うわっ!なゴフッッ!!」
馬車を操縦していた若い男は何が起きたか分からないままクレイに殺られ、ハルは馬車を止めた。
「てめぇらっ!何をしやがる!!!」
突然の事態に怒りを隠せないまま、リーダー格の男がクレイとハルに向かって吠える。
「「 …。 」」
2人は男の問いかけを無視して<影移動>を使い、男たちの背後に立つ。
「!!消えたッ!?おい探………」
周りが気づいたときには、この男、既に息をしていなかった。
「ギィアアアアアアアアァ――ッ!!」
「や、やめッッゴハァァアッ」
「ふ、ひぎぃっっ!!!!来るな来るなくるなくるなくるブブ……」
なす術もなく次々と男たちは刈られる。ものの5分で全て片付いた。
茂みからラシュが顔を覗かせる。
「鮮やかな手捌きだったね、見惚れてしまったよ。」
「人が死んだのに余裕だな。」
「彼らは人の命を粗末に扱ったんだから、殺されて当然だと僕は思うよ?むしろ楽に死ねたんだ、もっと苦しむべきだったのに。」
ラシュは嫌悪感を露にしていい放つ。
ふと、彼が手にしている物が気になったハルは彼に聞いてみた。
「ラシュ兄の持ってるそれは何?」
ハルに尋ねられて、
「ん?コレは商会の副補佐役だったヤツだよ。君たちが無双していた時にコソコソ逃げ隠れしていたからね…。あ、今は首しか持ってないよ、全部は重いから捨ててきたんだ。
どうする?燃やしておいた方が良いかな?」
「あぁ、痕跡を残さないのが望ましいからな。ラシュがいなければ、危うく作戦が台無しになるところだった、礼を言う。」
「面と向かって誉められると照れるね。」
クレイの感謝に照れるラシュ。
3人は、馬車が崖から落ちて死んだ様に隠ぺい工作を施した。底の見えない場所に落としてしまえば確認のしようがない。
副補佐役の男は跡形もなく燃やして終了。
その後、アジトの周辺に戻り待機する。
チャシャとアキの合図で、いつでも動けるようにクレイは見張り役の男たちの影を分からない程度に縛る。
(後は頼むぞ…皆。)
クレイは1人、静かに呟く。
★★
クレイたちが見張り役の男たちの駆除をしている間…、チャシャとアキはアジトの最下層にいた。「サーシャ」のいう通り、下に行くにつれて魔力が濃くなっていき冷気が2人の肌をさす。
(チャシャ兄っ!あれを見てくれよ!!)
アキが指す方向を見ると、そこにいたのはバケツを持って並んでいる子供たちだった。
チャシャは忍び足で近づき、祠から出てきた子供が持っているバケツの中を<鑑定>で覗く。
中に入っていたのは、やはり聖水である。
(今すぐにでもやめさせねぇーと、アキっ!天井にぶら下がってる魔導具を<操作>してくれ!)
(はーい、<操作>!…OK、これで暫く騙されてくれるはず。)
2人は<隠密>を解き、姿を現した。
子供たちは、突然現れた2人の前で逃げることも出来ずに怯える。
「オマエら、今持ってるバケツを捨てろ。そんでここから逃げるぞ。」
しかし、子供たちは動かなかった。
(コイツらの状態を見ればムリもねぇーか…。)
(なら、僕が説得する。)
「僕たちは、悪い大人たちを懲らしめるためにやってきたんだ!!もう怖いことは無いから、ここを脱出しよっ!」
「…ほ…とうに?助けて…くれる??」
1人の少女がアキに聞いてきた。
「うん、お兄ちゃんが、まとめて安全な場所に連れていってくれる。だからもう少しだけ頑張って!」
チャシャとアキは子供たちを1ヶ所に集め、ラシュが指定した場所にチャシャが<転移>する。
「オマエら、目をちゃんとツブっておけよ!<転移>!!」
無事、指定された場所に<転移>すると店主と従業員たちが立っていた。
「良かったっっ!おい!今すぐ風呂を沸かせ、いや…先にありったけの食事と毛布を持ってこい!!!」
店主が大声で従業員に指示する中、子供たちはポカーン…とした表情を浮かべる。やがて子供たちは、自分たちが助かったことに気付き、盛大に泣きじゃくった。
後のことは店主に任せ、2人はもう一度アジトの最下層に<転移>する。
誰も居なくなった最下層は一層不気味。
「よし、子供たちの救出は成功だな!次はユキを探すぞっ!!!」
「おう!」
気合い入れ直して再び、探索する。
子供たちが出入りしていた祠を覗く。どうやら道があるらしい…。
2人は祠に入り歩いていくと、泉を発見した。
(聖水はここで調達してたのか…。魔力をものすげぇ感じる。)
(チャシャ兄、あの先って見える?)
(ん?あの先か、ちょっと待てよ<千里眼>っと)
チャシャは泉の向こうに目を凝らす。しかし、薄暗いこの場所ではぼやけて見える。
(氷の…塊?なんだアレ??一応、ビアンカとクロードに報告するか。)
チャシャはよく見ようと足を前に出す。
「うわっ!足が凍った!!」
足が泉の聖水に触れた瞬間、チャシャの足が凍った。幸い、状態異常無効だったため問題ない。
(あっぶね、これも報告だぜ。)
チャシャはビアンカとクロードに報告する。
(子供たちの件、お疲れ様でした。それで、中はどうなっていましたか?)
(最下層で子供たちが出入りしていた場所を探索したら、泉を発見したぜ。んで、泉の先は氷で覆われてたんだけどさ、ぼやけて見えねぇーわ足は凍るわで…これ以上ムリ。)
(泉の先は氷で構成されているのですね。足が凍る程とは…。これは興味深いですね。)
(聖水の魔力は確かに雪ちゃんのだったのに、どうなっているの…?ありがとう、2人は調査が終わり次第クレイたちに合図を送って。)
((了ー解。))
辺りをくまなく探索し終えて、最下層を出た2人は目的地に急ぐ。
目的地である1階のロビーらしき場所で、チャシャは<重力操作>を使って天井を破壊する。
―チャシャの合図が今、轟音と共に打ち上げられた。
(結構深いわ。それだけ秘密にしたい何かが隠されているという訳ね…。)
「サーシャ」は回りに敵がいないのを確認し、<念話>で彼らを呼ぶ。
(これ以上、下に進むと影が薄くなるから今のうちに来て。敵はいないけど、注意してね。)
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(そうだ、チャシャ?彼をこちらに連れてきている間にやる事は済んだのね?)
(おう!バッチリだし♪ビアンカが向こうへ帰ったら後の事、頼むぜ!)
<念話>でやり取りしながら「サーシャ」は待つこと数秒、影から2人は音もなく出てきた。そして2人は「サーシャ」に目配せした後、闇に溶け込んで消えた。
(ねえ、クロード。クレイたちの状況はどうなっているのかしら? )
(クレイさんたちにはまだ待機してもらっています。見張りの交代時に隙をつくそうです。)
(了~解。こっちは2人共、上手く潜入して先に地下へ行ってもらっているわ。何かあったらそっちにも報告がいくからよろしくね。)
(分かりました。お気をつけて…。)
クロードとの<念話>をやめ、地上に戻った。
そろそろ上に戻らなければ他の奴等に怪しまれるからだ。
アジトの入り口まで戻り、馬車で裏ルートから商会へ戻る。
★★
―「サーシャ」が商会へ戻った頃、クレイたちに動きがあった。
見張り役の男たちが交代の時間となり、仕事を終えた男たちが帰路につこうとしていた。
「中腹まで来たら奴等を仕留める。ラシュ、俺とハルのとりこぼしを叩いてくれ。さっさと終わらせるぞ。」
「「 了解(した)。 」」
そして馬車が中腹にさしかかったその時。
「うわっ!なゴフッッ!!」
馬車を操縦していた若い男は何が起きたか分からないままクレイに殺られ、ハルは馬車を止めた。
「てめぇらっ!何をしやがる!!!」
突然の事態に怒りを隠せないまま、リーダー格の男がクレイとハルに向かって吠える。
「「 …。 」」
2人は男の問いかけを無視して<影移動>を使い、男たちの背後に立つ。
「!!消えたッ!?おい探………」
周りが気づいたときには、この男、既に息をしていなかった。
「ギィアアアアアアアアァ――ッ!!」
「や、やめッッゴハァァアッ」
「ふ、ひぎぃっっ!!!!来るな来るなくるなくるなくるブブ……」
なす術もなく次々と男たちは刈られる。ものの5分で全て片付いた。
茂みからラシュが顔を覗かせる。
「鮮やかな手捌きだったね、見惚れてしまったよ。」
「人が死んだのに余裕だな。」
「彼らは人の命を粗末に扱ったんだから、殺されて当然だと僕は思うよ?むしろ楽に死ねたんだ、もっと苦しむべきだったのに。」
ラシュは嫌悪感を露にしていい放つ。
ふと、彼が手にしている物が気になったハルは彼に聞いてみた。
「ラシュ兄の持ってるそれは何?」
ハルに尋ねられて、
「ん?コレは商会の副補佐役だったヤツだよ。君たちが無双していた時にコソコソ逃げ隠れしていたからね…。あ、今は首しか持ってないよ、全部は重いから捨ててきたんだ。
どうする?燃やしておいた方が良いかな?」
「あぁ、痕跡を残さないのが望ましいからな。ラシュがいなければ、危うく作戦が台無しになるところだった、礼を言う。」
「面と向かって誉められると照れるね。」
クレイの感謝に照れるラシュ。
3人は、馬車が崖から落ちて死んだ様に隠ぺい工作を施した。底の見えない場所に落としてしまえば確認のしようがない。
副補佐役の男は跡形もなく燃やして終了。
その後、アジトの周辺に戻り待機する。
チャシャとアキの合図で、いつでも動けるようにクレイは見張り役の男たちの影を分からない程度に縛る。
(後は頼むぞ…皆。)
クレイは1人、静かに呟く。
★★
クレイたちが見張り役の男たちの駆除をしている間…、チャシャとアキはアジトの最下層にいた。「サーシャ」のいう通り、下に行くにつれて魔力が濃くなっていき冷気が2人の肌をさす。
(チャシャ兄っ!あれを見てくれよ!!)
アキが指す方向を見ると、そこにいたのはバケツを持って並んでいる子供たちだった。
チャシャは忍び足で近づき、祠から出てきた子供が持っているバケツの中を<鑑定>で覗く。
中に入っていたのは、やはり聖水である。
(今すぐにでもやめさせねぇーと、アキっ!天井にぶら下がってる魔導具を<操作>してくれ!)
(はーい、<操作>!…OK、これで暫く騙されてくれるはず。)
2人は<隠密>を解き、姿を現した。
子供たちは、突然現れた2人の前で逃げることも出来ずに怯える。
「オマエら、今持ってるバケツを捨てろ。そんでここから逃げるぞ。」
しかし、子供たちは動かなかった。
(コイツらの状態を見ればムリもねぇーか…。)
(なら、僕が説得する。)
「僕たちは、悪い大人たちを懲らしめるためにやってきたんだ!!もう怖いことは無いから、ここを脱出しよっ!」
「…ほ…とうに?助けて…くれる??」
1人の少女がアキに聞いてきた。
「うん、お兄ちゃんが、まとめて安全な場所に連れていってくれる。だからもう少しだけ頑張って!」
チャシャとアキは子供たちを1ヶ所に集め、ラシュが指定した場所にチャシャが<転移>する。
「オマエら、目をちゃんとツブっておけよ!<転移>!!」
無事、指定された場所に<転移>すると店主と従業員たちが立っていた。
「良かったっっ!おい!今すぐ風呂を沸かせ、いや…先にありったけの食事と毛布を持ってこい!!!」
店主が大声で従業員に指示する中、子供たちはポカーン…とした表情を浮かべる。やがて子供たちは、自分たちが助かったことに気付き、盛大に泣きじゃくった。
後のことは店主に任せ、2人はもう一度アジトの最下層に<転移>する。
誰も居なくなった最下層は一層不気味。
「よし、子供たちの救出は成功だな!次はユキを探すぞっ!!!」
「おう!」
気合い入れ直して再び、探索する。
子供たちが出入りしていた祠を覗く。どうやら道があるらしい…。
2人は祠に入り歩いていくと、泉を発見した。
(聖水はここで調達してたのか…。魔力をものすげぇ感じる。)
(チャシャ兄、あの先って見える?)
(ん?あの先か、ちょっと待てよ<千里眼>っと)
チャシャは泉の向こうに目を凝らす。しかし、薄暗いこの場所ではぼやけて見える。
(氷の…塊?なんだアレ??一応、ビアンカとクロードに報告するか。)
チャシャはよく見ようと足を前に出す。
「うわっ!足が凍った!!」
足が泉の聖水に触れた瞬間、チャシャの足が凍った。幸い、状態異常無効だったため問題ない。
(あっぶね、これも報告だぜ。)
チャシャはビアンカとクロードに報告する。
(子供たちの件、お疲れ様でした。それで、中はどうなっていましたか?)
(最下層で子供たちが出入りしていた場所を探索したら、泉を発見したぜ。んで、泉の先は氷で覆われてたんだけどさ、ぼやけて見えねぇーわ足は凍るわで…これ以上ムリ。)
(泉の先は氷で構成されているのですね。足が凍る程とは…。これは興味深いですね。)
(聖水の魔力は確かに雪ちゃんのだったのに、どうなっているの…?ありがとう、2人は調査が終わり次第クレイたちに合図を送って。)
((了ー解。))
辺りをくまなく探索し終えて、最下層を出た2人は目的地に急ぐ。
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