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第1章
アルブ・ローザ帝国に宣誓布告
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王宮に転移した2人は、次から次へと出てくる兵を片っ端から気絶させていく。
――ダアァンッ!
ラシュが勢いよくドアを蹴りあげて破壊する。中にいたのはこの国の王と宰相、そして…無造作に横たわるビアンカの姿。
「ビアンカ、助けに来たよ。私のためによく頑張ってくれたね。」
雪那は部屋に入るなり、ビアンカの元へツカツカ歩いていく。当然、斜め後ろにラシュが控えている。
「っ、雪ちゃああん!!ずっと会いたかったのよぉ!!雪ちゃん雪ちゃん雪ちゃん雪ちゃん雪ちゃん雪ちゃん雪ちゃん雪ちゃん雪ちゃん!!!」
囚われの身である筈だったビアンカが、いつの間にか雪那を抱きしめてグリグリと頭を擦り付けている。
「おっおい、逃げるな!!」
従者の男2人がビアンカを追いかけ、捕まえるふりをしながら雪那にソッと耳打ちした。
(俺たちは敵じゃない。何をやらかすか知らないが、こっちに攻撃はしないでくれよ…!)
雪那は目で頷くと、無言で彼らを突き飛ばす様に見せかけて遠くに避難させた。
「「ぐっ…。」」
男たちは気絶したふりをして見えない位置に避難。
一連の流れを見ていた国王は、雪那に対して怒りをあらわにする。
「貴様らァアっ!!我が国を愚弄するとは何事だぁっ、死をもってつg「それはこっちのセリフ何だけど。そっちこそ、何様?」わ、儂の台詞の邪魔までしおってっ!許さんっっ!」
国王は顔を真っ赤にして雪那たちを睨み付けた。
「偉大なる!アルブ・フォン!・ディライド様に!向かって!その口の聞き方!は何ですか!!」
変な所でやたら強調する宰相に、ビアンカは
「言葉のイントネーションが崩壊しちゃってて何言っているか分からないわ、…どう思う雪ちゃん?」
「一から人生やり直せば?」
即座に切った雪那に、ビアンカとラシュが拍手を送る。
「我輩の!口調!を馬鹿にする!など絶対!許せん!ぞ!!」
「許さなくて!結構で!す(笑)
うーん…これ、結構難しいよ?」
ラシュが笑顔で口真似をして返した。それがいい線いっていて、雪那は笑うのを必死に抑えた。
「ムッキーーーーィイ!コロス!コロス!!コロシテヤルッ!!」
とうとう国王と同じ様に真っ赤な顔をして怒りだした。
「許さんっっ、貴様らまとめて死刑送りにしてやる!この儂を怒らせ愚弄した罰じゃ!!あの世で後悔しておれっ下民共がっ!!下民は下民らしく儂に従っておればよいものヒッ!」
「人の魔力を、我が物顔で散々に利用していた奴が罰?死刑??
――笑わせないでよ。」
その瞬間、雪那の魔力は氷に変質し辺りを凍らせていく。氷がキラキラと反射して幻想的な光景にかえって恐ろしさを感じさせる。急に変貌した彼女の姿を前に、国王らが顔色を真っ青にして震え上がるしかなかった。
「私の魔力を勝手に利用した挙げ句、助けに来てくれた大切な同胞まで傷つけた…。
だから、ここで貴様に宣言する。
―アルブ・フォン・ディライド、貴様の領土であるアルブローザ帝国を6日後…この国を滅ぼす。その間、こちらから何もしないでいてあげる。」
「「!!」」
「何?今まで身勝手にやってきた行いが、その身に降りかかっただけの事。それが早いか遅いかの違いだけで、対価を払うことは変わらない。」
雪那の言葉に国王は、
「ま、待ってくれ!!お主は我が領土を侵しておきながら、そんな横暴が許されるものか!」
「だからわざわざ、6日後って猶予をつけたんだけど?人の話ちゃんと聞いてた?」
雪那はやれやれ…と呆れた。本当ならすぐにでも滅ぼしてやると思ったが、正当な形で勝利をしなければ後々面倒になると思って止めた。
「何も分かってないのね、あんたたち。私の雪ちゃんが、慈悲という名の猶予を与えてくれたのよ?6日以内ならどんな手を使って攻めてきても、何も文句を言わないって宣言しているのに…ねぇ?」
「そ…それは本当か!?」
ビアンカの答えに、国王はすがる思いで彼女達を見つめていた。
「ここから北へ遠く離れた忘れられし地で、私達は待つ。精々足掻け、私のいる場所に辿り着けたら貴方の勝ちを認めてあげる。
だけど、出来なかったら…分かるよね?」
雪那の返答に、国王は首を縦に振る。無かったことにさせないためにもその場で制約を交わし、互いの腕には印が浮かび上がった。
震える声で宰相が審判役を務める。
「両者は契約に縛られている以上、それを背く行為は違反と見なし死が下される。
ディライド国王様はこれより6日間、彼女を屈服させられれば勝利とし出来なければ敗北となる。
―両者…っ、ここで誓いの言葉を。」
「我アルブ・フォン・ディライドはこの名に誓い、制約を厳守する…。」
「私、ユキナ・ベラールはこの名に誓って制約を厳守する。」
こうして、雪那はアルブ・ローザ帝国に宣誓布告を果たした。
――ダアァンッ!
ラシュが勢いよくドアを蹴りあげて破壊する。中にいたのはこの国の王と宰相、そして…無造作に横たわるビアンカの姿。
「ビアンカ、助けに来たよ。私のためによく頑張ってくれたね。」
雪那は部屋に入るなり、ビアンカの元へツカツカ歩いていく。当然、斜め後ろにラシュが控えている。
「っ、雪ちゃああん!!ずっと会いたかったのよぉ!!雪ちゃん雪ちゃん雪ちゃん雪ちゃん雪ちゃん雪ちゃん雪ちゃん雪ちゃん雪ちゃん!!!」
囚われの身である筈だったビアンカが、いつの間にか雪那を抱きしめてグリグリと頭を擦り付けている。
「おっおい、逃げるな!!」
従者の男2人がビアンカを追いかけ、捕まえるふりをしながら雪那にソッと耳打ちした。
(俺たちは敵じゃない。何をやらかすか知らないが、こっちに攻撃はしないでくれよ…!)
雪那は目で頷くと、無言で彼らを突き飛ばす様に見せかけて遠くに避難させた。
「「ぐっ…。」」
男たちは気絶したふりをして見えない位置に避難。
一連の流れを見ていた国王は、雪那に対して怒りをあらわにする。
「貴様らァアっ!!我が国を愚弄するとは何事だぁっ、死をもってつg「それはこっちのセリフ何だけど。そっちこそ、何様?」わ、儂の台詞の邪魔までしおってっ!許さんっっ!」
国王は顔を真っ赤にして雪那たちを睨み付けた。
「偉大なる!アルブ・フォン!・ディライド様に!向かって!その口の聞き方!は何ですか!!」
変な所でやたら強調する宰相に、ビアンカは
「言葉のイントネーションが崩壊しちゃってて何言っているか分からないわ、…どう思う雪ちゃん?」
「一から人生やり直せば?」
即座に切った雪那に、ビアンカとラシュが拍手を送る。
「我輩の!口調!を馬鹿にする!など絶対!許せん!ぞ!!」
「許さなくて!結構で!す(笑)
うーん…これ、結構難しいよ?」
ラシュが笑顔で口真似をして返した。それがいい線いっていて、雪那は笑うのを必死に抑えた。
「ムッキーーーーィイ!コロス!コロス!!コロシテヤルッ!!」
とうとう国王と同じ様に真っ赤な顔をして怒りだした。
「許さんっっ、貴様らまとめて死刑送りにしてやる!この儂を怒らせ愚弄した罰じゃ!!あの世で後悔しておれっ下民共がっ!!下民は下民らしく儂に従っておればよいものヒッ!」
「人の魔力を、我が物顔で散々に利用していた奴が罰?死刑??
――笑わせないでよ。」
その瞬間、雪那の魔力は氷に変質し辺りを凍らせていく。氷がキラキラと反射して幻想的な光景にかえって恐ろしさを感じさせる。急に変貌した彼女の姿を前に、国王らが顔色を真っ青にして震え上がるしかなかった。
「私の魔力を勝手に利用した挙げ句、助けに来てくれた大切な同胞まで傷つけた…。
だから、ここで貴様に宣言する。
―アルブ・フォン・ディライド、貴様の領土であるアルブローザ帝国を6日後…この国を滅ぼす。その間、こちらから何もしないでいてあげる。」
「「!!」」
「何?今まで身勝手にやってきた行いが、その身に降りかかっただけの事。それが早いか遅いかの違いだけで、対価を払うことは変わらない。」
雪那の言葉に国王は、
「ま、待ってくれ!!お主は我が領土を侵しておきながら、そんな横暴が許されるものか!」
「だからわざわざ、6日後って猶予をつけたんだけど?人の話ちゃんと聞いてた?」
雪那はやれやれ…と呆れた。本当ならすぐにでも滅ぼしてやると思ったが、正当な形で勝利をしなければ後々面倒になると思って止めた。
「何も分かってないのね、あんたたち。私の雪ちゃんが、慈悲という名の猶予を与えてくれたのよ?6日以内ならどんな手を使って攻めてきても、何も文句を言わないって宣言しているのに…ねぇ?」
「そ…それは本当か!?」
ビアンカの答えに、国王はすがる思いで彼女達を見つめていた。
「ここから北へ遠く離れた忘れられし地で、私達は待つ。精々足掻け、私のいる場所に辿り着けたら貴方の勝ちを認めてあげる。
だけど、出来なかったら…分かるよね?」
雪那の返答に、国王は首を縦に振る。無かったことにさせないためにもその場で制約を交わし、互いの腕には印が浮かび上がった。
震える声で宰相が審判役を務める。
「両者は契約に縛られている以上、それを背く行為は違反と見なし死が下される。
ディライド国王様はこれより6日間、彼女を屈服させられれば勝利とし出来なければ敗北となる。
―両者…っ、ここで誓いの言葉を。」
「我アルブ・フォン・ディライドはこの名に誓い、制約を厳守する…。」
「私、ユキナ・ベラールはこの名に誓って制約を厳守する。」
こうして、雪那はアルブ・ローザ帝国に宣誓布告を果たした。
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