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さくら

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01 王道学園

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僕は今入学式が終わり、クラス分けの紙が張り出されているところにむかっていた。

今日から僕が通う学校は上界と下界、両方の人たちが集まる学園。桜庭学園といって、同性愛者の人が多く通ってる男子校。抱かれたいランキングと抱きたいランキングってのがあるみたいだよ。

腐っている方と同性愛者の方にとっては天国のような場所だね。
僕は腐ってないけど


ここは、許可が出ない限り外出は禁止されているんだ。

まぁ僕は持病のせいで学園から出る時、緊急事態であれば、出た後に報告してもいいって言われてるんだけどね。


そんな事を脳内で誰かに説明していると、クラス分けがされている紙の前に人がたくさん集まっているのが見えた。

凛「なにあれ、あそこ行くの嫌だなぁ」

そんなことを1人で呟いているとこちらに茶髪の爽やかイケメンくんが話しかけてきた。

?「あの、もしよければ僕が見てきましょうか…?」

それはありがたい。あそこに行くには勇気がいるからね


凛「いいんですか?」

?「はい、お名前教えて貰っても大丈夫ですか?あ、僕は間宮 海斗です。」

間宮海斗か、覚えておこう。この様子だとこの人も1年だよね。

凛「間宮さんですね。僕は霜月 凛です。気軽に凛と呼んでください。あと、タメでいいですよ。」

海斗「そっか、ありがとう。僕も海斗でいいよ。じゃあ見てくるね」

そう言って海斗は人が集まっているところの真ん中に入っていった。


急だが、僕は今まで双子の弟や幼馴染達に頼ってばかりだった。

だから正直こうやって1人でこの学園に来たことを後悔しているんだ。

不安だ、何かあれば双子の弟達はこの学園に来ると言っていたし、この学園に通っている兄さんも助けてくれると言ってくれたけど、迷惑をかけたくないから頑張るしかない。





「「「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ」」」


急に男とは思えない甲高い叫び声が聞こえ、人だかりに目をやると何故かさっきまで人がたくさん居たところの真ん中に広い道ができている。

そしてその真ん中には白髪のイケメンが立っていた。
僕は不思議に思いながらも白髪のイケメンを眺めながらチワワの話に耳を傾けた。

チワワ「あれ、噂の田代 樹様じゃない?!」
チワワ「あのセフレがたくさんいるとかなんとかの?!」
チワワ「めちゃイケメン!抱かれたい!」

最後のは気にしないとしてあれは田代樹というのか。まぁ、今後関わることはないか。

そんな事を思いながら、人だかりから海斗を探そうと人だかりに目を向けた。


けれどなかなか海斗は見つからず、諦めて田代樹の方に目線を動かすと、近くに白髪のイケメンが立っていた。

田代樹「ねぇきみ」

凛「はい、なんでしょうか」

田代樹と呼ばれる白髪のイケメンは僕の隣に立っていた。

田代樹「……驚かないんだねぇ」

凛「いえ、驚きましたよ。ただ感情が表に出にくいだけなので。」

嘘だけど。気配で気づいてたんだよね。本人は隠してるつもりらしいから言わないけどね。

田代樹「ふふっ、そっかぁ。はい、これどぉぞ」

そう言い、田代樹は僕に紙袋を手渡した。

凛「……?あ、ありがとうございます…?田代樹先輩」

田代樹「そうだよぉ、名前知ってるんだねぇ」

まぁ、聞こえたからだけどね、心の中で呟いていると

田代樹「じゃぁ、これだけだからぁ。またねぇ」

田代樹はそう言い僕に背を向けた後、思い出したようにくるりと僕の方を向いた。

田代樹「あ、そぉだ。雷と璃斗と関係持ってるらしいけど、あんま生半可な気持ちで関わるのはやめてよね」
  


そう言って田代樹はここを去っていった。


そして僕は田代樹から渡された紙袋の中を見た。


中には手紙と毛布、薬がいくつか入っていた。

まずは手紙を読もうと封筒を手に取ると


海斗「……田代樹とは知り合いなの?」

海斗が帰って来たようで、声をかけてきた。

凛「いや、知らないよ。今日がはじめましてだね。」

海斗はなにやら怒っている様子だった。

海斗「そ、とりあえずチワワ達から睨まれてるし移動しよう。俺らはSクラス」

……睨まれている。僕の心臓が1度大きく鳴った気がした。
僕は動揺を隠すように、海斗に礼を告げ、さっきから謎に思っていた事を聞く。

凛「ありがとう。ところでなんで怒ってるの?」

海斗「生徒会会計で、遊び人である田代樹が話しかけに来たんだ。凛が田代樹のセフレだと思ったんだ。でも誤解だったみたいだね。」

なるほど。確かにチワワ達からはセフレがなんとかかんとかとか聞こえた気がするね。

凛「うん。誤解させてごめんね。でも本当にはじめましてだから。」

海斗「うん。それとその紙袋は?」

そういえば誰からなんだろう。と思い、手に持っていた封筒を見てみると、ご丁寧に「璃斗&雷より」と書いてあった。

凛「あー、知り合いからだよ。きっとその知り合いに渡してくるよう頼まれたんだ。」

すると海斗は納得したように頷いた

海斗「なるほどね。まぁとりあえず教室に行こう。」

そう言い、海斗が歩き出したため、僕も海斗について行くように歩き出した。


……未だチワワ達からは鋭い視線で見られている。少し耳を傾けてみれば


チワワ「なにあいつ、あんな見た目で樹様に話しかけられるとか」
チワワ「しかもあのイケメンにも話しかけられてるし」
チワワ「内心イケメンの心奪えてラッキーとか思ってるんでしょ。樹様達がかわいそー。」

という声が聞こえてきた。

まぁ僕の今の見た目じゃそう思うかな。
今の僕は、前髪が目までかかっておりマスクをしているため、顔がほぼ見えないのだ。

前髪は家族全員にやれと言われてしまい、仕方なくやっているのだが、マスクは本当にしょうがないのだ。体が弱いため、ちょっとした事で体調を崩してしまうのだ。



そんなことを考えていると、海斗との距離がずいぶん離れてしまっていた。僕は早歩きで海斗に追いつくように歩いた。


さっきから僕の心臓は嫌な音を出しながらドクドクと動いている。ただそれに気付かないように、気にしないようにして、僕は逃げるのだ。









『なにも変わってないじゃん』








どこからかそんな声が聞こえた気がした。





けれど僕はその声もなかったことにした。

結局僕は弱いままじゃん
僕はそんな自分を嘲笑うかのようにへらりと笑った。
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