セレブ嫌いとセレブ ~君の中に俺の居場所ある？~

３ 深く関わる（りたい…）

　ー金曜日ー

　主「よし、完璧じゃないか」
　竜「みんなを前にしたら緊張しちゃいます」
　主「俺達がフォローするから、行くぞ」

　あ、行きたくない
　朝から緊張で胃が痛いなんて最悪
　任されたはいいけど、ちょっと重い役目じゃない？
　はぁ…

　タクシーで着いた先は
　まるで公園のような所を抜け、
　エントランスは高級ホテルかのような
　
　そしてエレベーターで３７階へ
　ドアが開くとさわやかなイケメンが待っていた

　「お待ちしていました、こちらへどうぞ」

　３人は案内され
　先の見えない長い廊下を歩いて行く

　主「この人な。社長の息子さんだぞ」

　主任が小声で竜哉にささやいた

　（ひえぇ～）

　飛び上がるほどびっくりと緊張が高鳴る
　もう、ここから試されてるのかな
　社長の息子さんが迎えにってそうだよな

　始めるまでが竜哉の人見知り
　やってしまえば自分のペースで進めていくことができる
　ややこしい性格をしている

　気づくと３時間もの時間が経っていた

　「川野さん、とてもすばらしい内容だと感じました
　　早速今スグに取り掛かりたいと思います
　　今後ともよろしくお願いしますね」

　竜「ありがとうございます
　　　よろしくお願いいたします」

　よかったー
　こんな大企業との商談やったことないしな
　ちょっと自信ついたな

　完璧にできたなと思い立ち上がって帰ろうとした時
　気が抜けて油断した

　ガッシャーン！！ギィィー！
　ドンッ！！

　課長、主任が目を見開いて
　焦った顔をして固まっている

　竜哉はイスの脚につまづいてしまって
　イスやら机を倒してしまって
　その上、社長の息子にぶつかってしまっていた

　無言
　そんな嫌な空気になったのを変えてくれたのは
　社長の息子だった

　「ハハハ、素が見れたようで」

　竜「はっ！す、す、すみませんっ、あっ、あのっ…」

　「これから良い取引になりそうだ」

　社長が笑っていた

　息子が声をかける

　「華崎 聖斗はなさき せいと183-75-22です、よろしくお願いします
　　これから深く関わらせていただきますので」

　竜「こちらこそ」

　この意味をしっかり理解していない竜哉
　新しく何かが変わった瞬間だった