セレブ嫌いとセレブ ~君の中に俺の居場所ある？~

２４ 聖斗のたくらみ

　聖「オヤジ、ちょっと話があるんだけど…」

　ちょっと弱々しい声になった

　父「なんだ？　あらたまって珍しいな」

　この日聖斗は父である会長の部屋を訪れていた
　不安と期待を交差させながら
　反対されたらどうしようか
　どうやって説得しようか
　でも、聖斗は言うと決めていた

　聖「俺、竜哉と付き合ってる
　　　将来のことも考えて
　　　ずっと一緒にいたい…」

　父はグラスに入った緑茶を一口飲んで
　まっすぐに聖斗の目を見た
　揺らぐことなく見つめる父親の目
　何を思って見ているんだろう

　そしてしばらく言葉を発することなく
　重い沈黙が流れる

　お互い目をそらすことはなかった
　それを見て父がようやく口を開いた

　父「お前が選んだ人だろ
　　　本気なんだったら本気でぶつかってこい
　　　そしてしっかりつかまえておけ

　　　ほんの少しでも迷いがあるんだったらやめとけ
　　　相手を傷つけるだけだぞ」

　もっともなことを面と向かって言われて
　少し動揺してしまった
　でも、気持ちにウソはない
　自分の気持ちはもう決まっている

　聖「もちろん！
　　　俺こんなに本気になったの
　　　初めてだから」

　聖斗の口調は強かった
　迷いなんてないだろう

　聖「だから協力してほしいことがある」

　竜哉には両親がいない
　竜哉が高校生の時に事故で亡くなったと聞いている

　重要なことを決めるのは竜哉自身
　ましてや一生に一度のこととなれば簡単なものではない
　竜哉の家族に俺があいさつに行くこともできない

　だからこそ証を残したい…

　父「なんだ？」

　聖「半年後に２人で生活して
　　　普通の恋人みたいに過ごして
　　　そして結婚がしたい！」

　父「だったらグループ会社のホテルでやるか？
　　　あそこなら立派にできるぞ
　　　あとはお前の本気しだいだな」

　思っていたよりもあっさりな返事だった
　反対とかもっと色々言われるかと思っていた

　聖斗の方は母親を亡くしている
　身内は父親１人だけ
　その父が何も反対せず認めてくれた

　聖「ありがとう
　　　反対されるかもと思った」

　父「お前の親だぞ、見てたらわかる
　　　だから川野くんを秘書にしただろ」

　聖「さすが親だな」
　
　父「バカにするなよ！
　　　半年後は新年度になる
　　　行事とかもあって色々と忙しくなる
　　　やるなら気持ちよく新年度を迎えるように
　　　２月か３月にやったらどうだ？
　　　早いのは問題ないだろ」

　聖「母さんも賛成…　してくれてるよね…？」
　父「あぁ」

　聖斗は竜哉に気づかれないように
　TOP SECRETとしてプロジェクトを開始した

　出会ってからまだそんなに経ってない
　付き合ってからなだまだほんのわずか

　竜哉の気持ちはどうなんだろう
　もしかしたら拒否されるかもしれない
　それでもいい
　自分の気持ちだけは伝えたい