ラベンダーに想いを乗せて

光海 流星

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2 仲間…?

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純「真玖くん… あいつって
僕がここにいるの知ってるのかな?」

真「どうだろうな…」

どちらにせよまたすぐ近くにいることに
急に怖くなってしまう

龍「ちょっと様子みてみたらいいんじゃない?」
真「あいつがどう動くかだな」
純「…」

   1週間が経った

真「あいつ毎日駅で待ってんじゃねーか?」
龍「あんな人が多いのにさ
頭下げるって普通にできなくない?」

たしかにいつもあいつはあそこにいる
そして僕が来ると深く頭を下げる
なんだかこっちが恥ずかしくなる
やらせてるみたいで周りの目が…

そんな時課長からまさかの言葉が

「1年後にオープンする予定の
スターランド店について詰めていくから
明日からよろしく頼むぞ
それから1人メンツを追加する
経理課から正式にサポート課に
情口勇介くんが来るから頼んだぞ」

純「えぇっ!!!」

なんでよりによってあいつが来るんだ
どう接していけばいいんだよ…

僕の部署はサポート課
コンビニの出店に関わる全てのサポートをする
開店準備、スタッフの手配も含まれる
スターランド店は大きなテーマパークだ
テーマパーク内に3店同時に出店する
そのためかなり大きなプロジェクトになる

「何をそんなに驚く必要があるんだ?
仮1を川本、仮2を工藤が店長
仮3は拡大店のため陽野が店長で
サブ社員として情口だ」

真「現場仕事が、久しぶりにやるか」

なんでこういうことになるんだよ
しかもあいつと一緒にって
どうやったって一緒に仕事やらなきゃ
逃げ道なんてどこにもないじゃん

龍「大丈夫かー、純?」
純「う、うん…」

ドヨ~ンとしていた時ドアがノックされ
入ってきた男は高身長イケメン
情口が緊張した顔で立っていた

勇「失礼いたします、明日からこちらで
お世話になります情口勇介です
もう上司は決まっていると聞いていますが
どなたでしょうか?」

低姿勢な態度に固まってしまった
昔みたいにはしゃいでいる勇介じゃない
僕を前にしてもいかにも部下としている
やりにくいなぁ…

真「俺は川本真玖よろしく
お前の上司は陽野純だよ」

勇「陽野さんよろしくお願いします」

えっ?
僕のこと知ってるくせに
この言い方は初対面みたいな言い方
どういうつもりなんだ?

純「あ、よろしく」
龍「俺は工藤龍麻よろしく
3人とも仲良いからこれからは
仲良くいこうね~」

めちゃくちゃ気まずい
勇介と自然に接するなんてできるかな
僕そんなに心が広いわけじゃないから
それに許したわけでもないんだし

勇「陽野さん、今後について教えて下さい
コンビニ初めてなのでわかりません
よろしくお願いします」

純「ち… 近い…」

ズンと近づいてくるからドキッとしてしまう
だって短期間は好きだったんだし

勇「そうですか? 迷惑ですか?」
純「いや… 別に」

なんだこの追い詰めてくるみたいな感じ
デジャヴになりそうで怖い

勇「では、問題ありませんね」

3人ともポカンとしてしまった
どう見ても近すぎておかしいよなー

デスクは後で持ってこられるからと
今はまだないから陽野のデスクで一緒に
パソコンやら資料を見て説明している
イコール必然に距離が近い
っていうか肩も膝も触れてるんだけど…

純「体当たってる…」
勇「あー、気にしないでください」

は? その返事おかしくない?
普通は少し離れたりするもんじゃない?
ピッタリくっついてるけど…

真「昼休憩だな、どこに食いに行く?」
龍「情口くん何系が好き?」

えー、4人で行くつもり…?
普通に考えてそうなっちゃうよな

勇「一緒にいいんですか?」
龍「え?嫌だった?」
勇「うれしいです」

うわー、微妙
これがこれから毎日続いていくのか…
なんで僕の意思は汲み取ってくれなくて
勇介を引き込んでくるんだ

龍「なぁ、情口ってなんで駅でいつも
陽野に頭下げんの?」

うわっ、それ聞いちゃうかなぁ
地雷な気がするんだけど
みんな気になってたことだから
ちょっと聞いてくれてよかったけど

勇「一生許されないことをしたからです」

しばらく沈黙が流れた
何より僕は何も言葉が出なかった
フラッシュバックしてしまったし
呼吸が荒くなってきてしまった

勇「陽野さん大丈夫ですか?」

そう言い情口は陽野の背中をさする
かなり焦った顔をしている

勇「今は話すタイミングではありません
陽野さんが苦しむのは
もう見たくありませんので
また改めてしっかりお話します」

そして情口は自分のカバンから
ハンカチを出し何か液体を垂らして
陽野の顔の前でふわふわと揺らした

純「これ…」
勇「ラベンダーは心を落ち着かせるし
この香り好きって言ってたし」

陽野はアロマのラベンダーの香りが好き
あんな昔のこと覚えていたっていうのか
しばらくしたら少し落ち着いてきた
一瞬だけあの頃のぬくもりを感じた
高1の5ヶ月は幸せだった…
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