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「……おーっほっほっほ! さあ、跪きなさい、この下等生物ども!」
翌朝。
私は自室の大きな姿見の前で、腰に手を当てて高笑いの練習をしていました。
昨夜、シグルド様から「悪役令嬢」という身に余る評価をいただいたので、一応その期待に応えられるかどうかを確認してみたのです。
しかし、鏡に映っているのは、寝癖のついたぼんやり顔の少女でした。
迫力という言葉は、私の辞書には載っていないようです。
「……やっぱり無理ですね。喉が痛いですし、そもそも下等生物なんて言葉、日常生活で使いませんもの」
「お嬢様、朝から何をなさっているのですか。不吉な鳴き声が聞こえたかと思いました」
部屋に入ってきた侍女のアンが、冷ややかな視線で私を見ました。
彼女は私が幼い頃から仕えてくれている、数少ない「私を認識できる」人間の一人です。
「アン、見ての通りよ。悪役令嬢の練習をしていたの。私、昨夜婚約破棄されたでしょう? 世間的には、私は今頃、復讐に燃える悪女になっていなきゃいけない気がして」
「お嬢様が復讐ですか? せいぜい、相手の嫌いな食べ物をこっそり食卓に並べるくらいが関の山でしょう。それも『栄養バランスのためです』とか言って、結局感謝されるタイプです」
「……否定できないのが悲しいわ」
私はがっくりと肩を落として、鏡の前を離れました。
悪役令嬢といえば、縦ロールの金髪に、切れ上がった瞳、そして周囲を威圧する圧倒的なオーラが必要です。
対して私は、艶はあるけれど特徴のない茶髪に、少しばかり垂れ気味の瞳。
オーラに至っては、背景の壁紙と同化するレベルのステルス性能を誇っています。
「そもそも、悪役令嬢になるには才能が必要なのよ。誰かをいじめるにしても、相応の情熱と執着心がなきゃ。私、ララ様にそこまでの興味を持てないもの」
「左様でございますか。ところで、その興味のない相手の婚約者候補だった方が、一階でお待ちですよ」
「えっ、シグルド様が!? また何か言いに来たのかしら」
「いえ、ヴォルフラム公爵閣下です。昨夜、宣言された通りに」
私は窓から下を覗き込みました。
そこには、朝の清々しい光を浴びて、不自然なほど輝いている銀髪の騎士団長、カイン様の姿がありました。
彼は庭に咲いている名もなき花を、愛おしげに眺めています。
「……本当に来た。しかも、あんなにキラキラした顔で野草を見てる。昨日、婚約破棄おめでとうって言った人とは思えないわ」
「お嬢様、閣下をあんなところで放置してはいけません。近所の方々が『アズベル伯爵家に死神が降臨した』と勘違いして、避難を始めてしまいます」
「死神って……。あんなに美形なのに」
私は急いで着替えを済ませ、一階の応接室へと向かいました。
モブらしく足音を殺して歩くのはお手の物です。
ドアを開けると、カイン様はすでに用意されていた紅茶を一口も飲まず、背筋を伸ばして座っていました。
「おはようございます、カイン閣下。朝早くから、一体どのようなご用件でしょうか」
私が声をかけると、カイン様は弾かれたように立ち上がりました。
その勢いで椅子がガタリと音を立て、彼はほんの少しだけ耳を赤くしました。
「……おはよう、ミューモ嬢。昨夜は、突然押しかけてすまなかった」
「いえ、ハンカチを届けてくださったこと、感謝しております。でも、今日はもうお帰りいただいて大丈夫ですよ? 私はこれから、婚約破棄されたショックで寝込む予定ですので」
「寝込む? ……具合が悪いのか?」
カイン様が、本気で心配そうな顔をして一歩詰め寄ってきました。
彼の瞳は、獲物を狙う鷹のように鋭いのですが、その奥に妙な必死さが透けて見えます。
「いえ、形式上のものです。世間体がございましょう? 婚約破棄された令嬢が、翌朝から元気に庭をスキップしていたら、それこそ悪女だと思われてしまいます」
「そんなことを気にする必要はない。君を悪女だと言う者がいれば、私がすべて黙らせよう。物理的に」
「物理的に!? やめてください、国際問題になります!」
騎士団長様の発言は、ジョークにしても物騒すぎます。
私は彼を落ち着かせるために、対面の席に座るよう促しました。
「それで、今日は何のお話でしょうか。……もしかして、シグルド様から何か言付かってきましたか?」
カイン様の表情が、一瞬で北極の氷山のように凍りつきました。
「……あの男の話など、どうでもいい。私は、君に提案があって来たんだ」
「提案?」
「アズベル伯爵家とヴォルフラム公爵家で、新たな婚約を結ばないか」
私は持っていた扇子を落としそうになりました。
いえ、正確には手に何も持っていなかったので、膝を叩いてしまいました。
「……すみません、閣下。今、なんておっしゃいましたか?」
「私と、婚約してほしい」
「……ぷっ、ははは! 面白い冗談ですね! 流石は騎士団長様、笑いのセンスも一流です!」
私はお腹を抱えて笑いました。
昨日婚約破棄されたばかりの、影の薄いモブ令嬢に、国一番の英雄がプロポーズ。
そんなの、三流の恋愛小説でもボツになるような展開です。
しかし、カイン様は一切笑っていませんでした。
それどころか、顔を真っ赤にして、震える手でテーブルを握りしめています。
「……冗談では、ない。私は、十年前から君だけを……」
「十年前? ええと、私がまだ鼻水を垂らして走り回っていた頃ですか?」
「……君は、鼻水を垂らしていても可憐だった」
「重症ですね、閣下」
私は真顔で言いました。
この人、もしかして私を誰かと勘違いしているのではないでしょうか。
あるいは、シグルド様と同様に、頭の中に独自のファンタジー世界が広がっているのかもしれません。
「閣下、落ち着いてください。私はミューモですよ? アズベル家の、目立たない方の娘です。華やかな姉様(※従姉妹ですが)たちとは違って、ただの背景の一部です」
「背景などではない。私にとっては、君こそが世界の中心だ」
カイン様の瞳が、あまりにも真っ直ぐに私を射抜きます。
その熱量に、私は思わず気圧されて後ろにのけぞりました。
これはいけません。
このままでは、私の「平穏なモブ生活」が、別の意味で破壊されてしまいます。
王子に婚約破棄されるのはいいですが、騎士団長に求婚されるなんて目立ちすぎます。
「あ、あの! 閣下、私は決めたのです。これからは、誰にも邪魔されずに、ひっそりと目立たず、美味しいものを食べて昼寝をする生活を送るのだと!」
「……それなら、私の屋敷でやればいい。最高の料理人と、最高の寝具を用意しよう。君は、ただそこで息をしているだけでいいんだ」
「それはもはや、公爵夫人ではなくて高級なペットの扱いではありませんか!?」
「……嫌か?」
子犬のような目(※外見は獰猛な狼ですが)で訴えかけられ、私は返答に窮しました。
どうやらカイン・ヴォルフラムという男は、シグルド様とは別のベクトルで「話が通じない」御仁のようです。
「……とにかく、今は無理です! 昨日婚約破棄されたばかりなんですから! せめて一ヶ月、いえ、一年は喪に服させてください!」
「分かった。では、一ヶ月待とう。その間、毎日通わせてもらう」
「毎日!? 閣下、お仕事は!?」
「休暇を溜めておいた。この時のために、十年間一度も休んでいない」
「計画的すぎて怖いんですけど!」
私の叫びも虚しく、カイン様は満足げな表情で立ち上がりました。
彼は帰りがけ、玄関先にいた私の父に「お義父殿、また明日」と挨拶をして去っていきました。
父は父で、「おう、精が出るな」と、なぜか既に受け入れている様子。
「……お父様! なんで止めてくれないんですか!」
「ミューモ、お前な。あんな優良物件、逃したらバチが当たるぞ。それに、あいつはお前が『自分がモブだ』と思い込んでることを、唯一否定してくれる存在かもしれないぞ?」
父は意味深なことを言って、またお茶漬けを啜り始めました。
悪役令嬢にもなれず、モブとして生きたい私の前に現れた、最強のストーカー……いえ、求婚者。
私の第二の人生は、どうやら前途多難なようです。
翌朝。
私は自室の大きな姿見の前で、腰に手を当てて高笑いの練習をしていました。
昨夜、シグルド様から「悪役令嬢」という身に余る評価をいただいたので、一応その期待に応えられるかどうかを確認してみたのです。
しかし、鏡に映っているのは、寝癖のついたぼんやり顔の少女でした。
迫力という言葉は、私の辞書には載っていないようです。
「……やっぱり無理ですね。喉が痛いですし、そもそも下等生物なんて言葉、日常生活で使いませんもの」
「お嬢様、朝から何をなさっているのですか。不吉な鳴き声が聞こえたかと思いました」
部屋に入ってきた侍女のアンが、冷ややかな視線で私を見ました。
彼女は私が幼い頃から仕えてくれている、数少ない「私を認識できる」人間の一人です。
「アン、見ての通りよ。悪役令嬢の練習をしていたの。私、昨夜婚約破棄されたでしょう? 世間的には、私は今頃、復讐に燃える悪女になっていなきゃいけない気がして」
「お嬢様が復讐ですか? せいぜい、相手の嫌いな食べ物をこっそり食卓に並べるくらいが関の山でしょう。それも『栄養バランスのためです』とか言って、結局感謝されるタイプです」
「……否定できないのが悲しいわ」
私はがっくりと肩を落として、鏡の前を離れました。
悪役令嬢といえば、縦ロールの金髪に、切れ上がった瞳、そして周囲を威圧する圧倒的なオーラが必要です。
対して私は、艶はあるけれど特徴のない茶髪に、少しばかり垂れ気味の瞳。
オーラに至っては、背景の壁紙と同化するレベルのステルス性能を誇っています。
「そもそも、悪役令嬢になるには才能が必要なのよ。誰かをいじめるにしても、相応の情熱と執着心がなきゃ。私、ララ様にそこまでの興味を持てないもの」
「左様でございますか。ところで、その興味のない相手の婚約者候補だった方が、一階でお待ちですよ」
「えっ、シグルド様が!? また何か言いに来たのかしら」
「いえ、ヴォルフラム公爵閣下です。昨夜、宣言された通りに」
私は窓から下を覗き込みました。
そこには、朝の清々しい光を浴びて、不自然なほど輝いている銀髪の騎士団長、カイン様の姿がありました。
彼は庭に咲いている名もなき花を、愛おしげに眺めています。
「……本当に来た。しかも、あんなにキラキラした顔で野草を見てる。昨日、婚約破棄おめでとうって言った人とは思えないわ」
「お嬢様、閣下をあんなところで放置してはいけません。近所の方々が『アズベル伯爵家に死神が降臨した』と勘違いして、避難を始めてしまいます」
「死神って……。あんなに美形なのに」
私は急いで着替えを済ませ、一階の応接室へと向かいました。
モブらしく足音を殺して歩くのはお手の物です。
ドアを開けると、カイン様はすでに用意されていた紅茶を一口も飲まず、背筋を伸ばして座っていました。
「おはようございます、カイン閣下。朝早くから、一体どのようなご用件でしょうか」
私が声をかけると、カイン様は弾かれたように立ち上がりました。
その勢いで椅子がガタリと音を立て、彼はほんの少しだけ耳を赤くしました。
「……おはよう、ミューモ嬢。昨夜は、突然押しかけてすまなかった」
「いえ、ハンカチを届けてくださったこと、感謝しております。でも、今日はもうお帰りいただいて大丈夫ですよ? 私はこれから、婚約破棄されたショックで寝込む予定ですので」
「寝込む? ……具合が悪いのか?」
カイン様が、本気で心配そうな顔をして一歩詰め寄ってきました。
彼の瞳は、獲物を狙う鷹のように鋭いのですが、その奥に妙な必死さが透けて見えます。
「いえ、形式上のものです。世間体がございましょう? 婚約破棄された令嬢が、翌朝から元気に庭をスキップしていたら、それこそ悪女だと思われてしまいます」
「そんなことを気にする必要はない。君を悪女だと言う者がいれば、私がすべて黙らせよう。物理的に」
「物理的に!? やめてください、国際問題になります!」
騎士団長様の発言は、ジョークにしても物騒すぎます。
私は彼を落ち着かせるために、対面の席に座るよう促しました。
「それで、今日は何のお話でしょうか。……もしかして、シグルド様から何か言付かってきましたか?」
カイン様の表情が、一瞬で北極の氷山のように凍りつきました。
「……あの男の話など、どうでもいい。私は、君に提案があって来たんだ」
「提案?」
「アズベル伯爵家とヴォルフラム公爵家で、新たな婚約を結ばないか」
私は持っていた扇子を落としそうになりました。
いえ、正確には手に何も持っていなかったので、膝を叩いてしまいました。
「……すみません、閣下。今、なんておっしゃいましたか?」
「私と、婚約してほしい」
「……ぷっ、ははは! 面白い冗談ですね! 流石は騎士団長様、笑いのセンスも一流です!」
私はお腹を抱えて笑いました。
昨日婚約破棄されたばかりの、影の薄いモブ令嬢に、国一番の英雄がプロポーズ。
そんなの、三流の恋愛小説でもボツになるような展開です。
しかし、カイン様は一切笑っていませんでした。
それどころか、顔を真っ赤にして、震える手でテーブルを握りしめています。
「……冗談では、ない。私は、十年前から君だけを……」
「十年前? ええと、私がまだ鼻水を垂らして走り回っていた頃ですか?」
「……君は、鼻水を垂らしていても可憐だった」
「重症ですね、閣下」
私は真顔で言いました。
この人、もしかして私を誰かと勘違いしているのではないでしょうか。
あるいは、シグルド様と同様に、頭の中に独自のファンタジー世界が広がっているのかもしれません。
「閣下、落ち着いてください。私はミューモですよ? アズベル家の、目立たない方の娘です。華やかな姉様(※従姉妹ですが)たちとは違って、ただの背景の一部です」
「背景などではない。私にとっては、君こそが世界の中心だ」
カイン様の瞳が、あまりにも真っ直ぐに私を射抜きます。
その熱量に、私は思わず気圧されて後ろにのけぞりました。
これはいけません。
このままでは、私の「平穏なモブ生活」が、別の意味で破壊されてしまいます。
王子に婚約破棄されるのはいいですが、騎士団長に求婚されるなんて目立ちすぎます。
「あ、あの! 閣下、私は決めたのです。これからは、誰にも邪魔されずに、ひっそりと目立たず、美味しいものを食べて昼寝をする生活を送るのだと!」
「……それなら、私の屋敷でやればいい。最高の料理人と、最高の寝具を用意しよう。君は、ただそこで息をしているだけでいいんだ」
「それはもはや、公爵夫人ではなくて高級なペットの扱いではありませんか!?」
「……嫌か?」
子犬のような目(※外見は獰猛な狼ですが)で訴えかけられ、私は返答に窮しました。
どうやらカイン・ヴォルフラムという男は、シグルド様とは別のベクトルで「話が通じない」御仁のようです。
「……とにかく、今は無理です! 昨日婚約破棄されたばかりなんですから! せめて一ヶ月、いえ、一年は喪に服させてください!」
「分かった。では、一ヶ月待とう。その間、毎日通わせてもらう」
「毎日!? 閣下、お仕事は!?」
「休暇を溜めておいた。この時のために、十年間一度も休んでいない」
「計画的すぎて怖いんですけど!」
私の叫びも虚しく、カイン様は満足げな表情で立ち上がりました。
彼は帰りがけ、玄関先にいた私の父に「お義父殿、また明日」と挨拶をして去っていきました。
父は父で、「おう、精が出るな」と、なぜか既に受け入れている様子。
「……お父様! なんで止めてくれないんですか!」
「ミューモ、お前な。あんな優良物件、逃したらバチが当たるぞ。それに、あいつはお前が『自分がモブだ』と思い込んでることを、唯一否定してくれる存在かもしれないぞ?」
父は意味深なことを言って、またお茶漬けを啜り始めました。
悪役令嬢にもなれず、モブとして生きたい私の前に現れた、最強のストーカー……いえ、求婚者。
私の第二の人生は、どうやら前途多難なようです。
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