不死戦争~immortality war ~

おたく

文字の大きさ
2 / 10

不死戦争2

しおりを挟む



永魔はまるで鉛の様に思い瞼を
ゆっくり開き、辺りを見渡した。


あれ?「生きてんのか…?俺」


先程の焼けつく様な痛みも
まだ体に残っている。節々が痛い。
それにしても変わった場所だ。
見慣れない物で溢れている。


「気がついた?」


どこからか澄んだ高い声が聞こえた。
思わず永魔はそちらを向き、拳を構えた。


「そこにいるのは誰だ‼俺を殺しに来たか‼」


その声を聞いて相手は物陰から出てきた。



「いやいやいや、殺すとかそんな物騒な…
んなことするわけないじゃん。」

苦笑いしながら出てきたのは、
容姿の整った若い女性だった。
恐らく永魔と同じ年の頃だろう。


その優しそうな穏やかな
瞳に、永魔は拳を下ろした。


「何で俺はこんな所にいるんだ?」


「あなたが河原に裸同然の
格好で倒れてたから助けてあげたのよ‼
すっごく骨が折れたんだから」

その後どうやって俺を運んだのか
彼女に尋ねた。
彼女は特殊体質で
力が強いらしい。


胸を張り誉めよ称えよと言わんばかりに
彼女は言った。


「おお…スッゲエありがてえんだが…
よく河原に倒れてる裸の男を助けたな…」


自分で言って虚しくなった。


「あんただって河原に傷だらけの猫がいたら
拾って来るでしょう?」


永魔はさらに虚しくなった。
自分は猫並みらしい。


それにしてもどこを見ても
何に使うかも分からない物ばかりだ。
「ここはどこなんだ?俺のいた所とは大違いだ。」


「何?あんた国外逃亡でもしてきたの?
ここは日本…東の島国よ―…
ってあんた…日本語喋ってるじゃん。」


日本だと?
と言うことはここは下界なのか?
いやいや、ここが仮に下界だとしても、
こっちに来る技術が地獄にはない。
どうやって俺はこっちに来たんだろう。
皆目見当つかない。
色々考えている永魔の横から、彼女が口を挟んだ。


「事情は知らないけど、困ってそうね。
もし記憶喪失とかなら一緒に
手がかりを探すくらいならしてあげられるわよ」


いや…記憶自体はきっちり鮮明に残っているが…


「いや記憶はあるから良いよ。…
ただ意味不明な事が沢山あって
脳味噌が理解出来てないだけだから。…」


「それなら良いけど…あんたボロボロの 
ズボンとパンツしか持って無かったし
住む場所もお金も無いでしょ?行くあても無いのに
これからどうするつもりなの?」


たしかに彼女の言う通りだ。
体はボロボロで定住地もないのに
下界では生きていけない。
自給自足の手も有るが、時間がかかる。


「…どうも出来ない…」

そう言うと彼女は予想どうりの
返答が返ってきて嬉しいのか、
また胸を張って鼻息を荒げた。
調子に乗りやすい性格のようだ。


「どうも出来ないなら家に住んで良いわよ‼
あんたにぴったりの部屋が有るから
きっと家の誰も反対しないと思うわ。」


「良いのか?…」


永魔は目の前の自分とほとんど
変わらない年齢であろう彼女を
女神と見間違った。


「良い良い‼むしろ格好いい
男が増えるのは嬉しい位よ!
きっと母さんも喜ぶわ!ほら、
あんたもついてきて」


そう言いながら彼女は
母の居るリビングに向かった。
永魔はその背中をボロボロの体で必死に
追っていった。

             



     【2話終わり】














しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

ある辺境伯の後悔

だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。 父親似だが目元が妻によく似た長女と 目元は自分譲りだが母親似の長男。 愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。 愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。

処理中です...