地味でさえない会社の先輩にうっかりはまってしまった話

狩野

文字の大きさ
5 / 8

誘惑

しおりを挟む
 ――――つまりは、僕は先輩の好みということではなかったのだろう

 ――――性感が高まっている間は多少の好み違いも許容できたが、冷静になるといやになったってことなんだろう

 まったくもって不愉快なことだが、そう結論づけざるをえなかった。

 先輩がゲイだった場合は僕が好みのタイプに入っている、ということをこれまで全く疑わなかったのだが、あそこまであからさまに逃げたということはつまりはそういうことだったのだろう。

 なあんだ。

 あまり振られた経験がない僕は、少しショックを受けていた。振られたといってもホテルに行く前に逃げられただけだが。誘われて逃げたことはあっても逃げられたのははじめてだ。

 それに、その晩のことについて、先輩からなにかフォローや口止め、あるいはそれらしい言い訳やらなにやらがあるかと思ったが、何も言ってこない。なるほど。あんなに乱れていたくせに、あれはなかったことにしたいわけか。僕に求めているのは職場の後輩、という立場だけということなんですね。あんなに、あんなに感じて乱れていたくせに。

 そのことで自信をなくしたというわけではないが、その頃から僕はあまり男にも手を出さないようになった。あの晩逃した先輩の体が目の前にちらついて、しかもその当人ときたら目の前を相変わらず無防備に僕の前をふらふら歩いているのである。

 しかし、拒否された以上は手を出すわけにもいかない。

 生殺しだった。

 時勢からリモートワークが推進され、先輩と直接会うことがほとんどなくなったら少しは落ち着くかと思ったが、人と会うことが少ない分、あの晩の先輩のことをますます思い出す機会が多くなった。属性が多少守備範囲から外れていても、楽しませる自信はあるのに。あの晩、首輪とリードつけて、逃げられないようにして、無理やりにでもやっておけばよかった、と何度も後悔した。先輩に首輪をつけホテルまで散歩させる夢まで見たのだから重症だ。

 ある時、その先輩と、リモート越しとはいえ久しぶりにふたりきりで話せる機会が来た。

 そのことに僕は少しドキドキしていたのだが、先輩ときたらそういう日に限って寝坊している。

 しかも、わざわざカメラの前で着替えをはじめた。

 堂々と見せられる胸のライン、お腹のライン、それに乳首。あの晩の感触を思い出す。ただの不注意なのか、そう見せかけて誘っているのか。着替える必要もないのにわざわざ裸を見せているのは、僕へのサインなのか、ただの無防備なのか。探り合うような会話のなかで、先輩がふとなんとも艶かしい表情になった。

 やっぱり、誘ってる。

 僕がわざとらしくいやらしいことを言うと、先輩の顔はバターみたいにみるみる蕩けていった。仕事の時間中にやばい、と思ったが、もう僕も止まらなかった。性器を見せて、と言うと、先輩は一度拒否するふりをしながら結局応じて来た。僕は念のため、リモート会議の入室設定を許可制にする。案の定、ほどなく家庭の事情で欠席と言っていた韮沢さんがやってきて、僕らの不謹慎なプレイは間一髪表沙汰にならずに済んだ。言ったのは僕だが、応じる先輩も無防備すぎる。さらに、その後も先輩の顔はとろけっぱなしだ。韮沢さんが慌てていたので気づかなかったのが幸いだが、こんな顔を外でしていたら、犯してくれ、と言っているようなものだろう。

 なんて危なっかしい。

 僕がしつけてあげなきゃ。

 その考えが自然と脳裏に浮かび、僕はただの射精よりも遥かに強い快楽が全身を突き上げるのを感じた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~

水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。 アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。 氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。 「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」 辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。 これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!

牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!

ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。 牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。 牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。 そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。 ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー 母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。 そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー 「え?僕のお乳が飲みたいの?」 「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」 「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」 そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー 昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!! 「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」 * 総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。 いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><) 誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。

ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました

あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」 完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け 可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…? 攻め:ヴィクター・ローレンツ 受け:リアム・グレイソン 弟:リチャード・グレイソン  pixivにも投稿しています。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。

批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました

あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」 穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン 攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?   攻め:深海霧矢 受け:清水奏 前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。 ハピエンです。 ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。 自己判断で消しますので、悪しからず。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~

水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。 死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!? 「こんなところで寝られるか!」 極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く! ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。 すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……? 「……貴様、私を堕落させる気か」 (※いいえ、ただ快適に寝たいだけです) 殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。 捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!

「大好きです」と言ったらそのまま食べられそうです

あまさき
BL
『「これからも応援してます」と言おうと思ったら誘拐された』のその後のお話 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ リクエストにお答えしましてその後のお話🔞を書きました。 ⚠︎ ・行為に必要な色んな過程すっ飛ばしてます ・♡有り

処理中です...