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10話 優しい人と優しくない世界
「本当に申し訳ありません!!!!」
ベルに土下座されてハルミは苦笑した。ハッと目覚めたらベッドに寝かされておりベルは床に土下座の体勢でスタンバっていた。
「ベル、やめて。土下座しなきゃいけないのは私だよ?」
ハルミがそう言うとベルは顔をあげる。ベルの顔は耳まで真っ赤だ。
「本当にすみません。………我を忘れて……、あんな醜態を晒してしまい果にはハルミにあんな事をしてしまい。本当にすみません」
ベルは震える声で言う
「…………私がして欲しいって言ったんだし………ね?お願い。謝られると……逆に辛いよ、やめて………」
そう告げるとベルはまた土下座した。それにハルミは少しだけ胸が痛む
(………………【醜態】に【あんな事】ね。………はあ。やっちゃったなぁ)
こっそりため息を吐く。ハルミ的には最高だった。思い出すと子宮がキュンキュンするくらいだ。でもベルは震えて謝っている、後悔しているのだろう。
(………………やっぱりベルを誘うのは駄目だな。……………こう言う態度は辛いよ)
ベルはハルミのお願いを断れないのだ。それなのに弱みにつけ込んだ。それを実感させられて辛い。確かにムラムラして我慢できなくなったけど次からは出来るだけ自分で処理しようとハルミは今度こそ心に決めた。そうじゃないと段々要求がエスカレートしていつか童貞を奪ってしまいそうだ。
(……………ベルも言ってたもんね。………無理矢理の行為は犯罪だって、……………そうだよね。お互い楽しくないと駄目だもんね。それに後から後悔されるなんて絶対に嫌………もうこんなのいや……)
「ベル。本当にやめて?……………ねえ、私結構寝てた?」
この空気を変えたくてそう尋ねるとベルは顔をまた上げた。
「あれから3時間程ですね…………。………あの体は何処も辛くありませんか?」
ベルは青い顔で言う。
(体……、ん?…………なんかめちゃくちゃ調子いい気がする)
何故か体に力がみなぎっている。それにハルミは自分の頬を触ってハッとする。頬だけじゃない全身すべすべもちもちだ。慌てて立ち上がり洗面所の鏡に向かうと何故か肌艶が良い。髪にもキューティクルが光っている
「え?嘘……………、なんか、綺麗になってる」
ハルミは唖然とした。
(………女性ホルモンが沢山出たのかな?……めちゃくちゃ良かったもん)
じっと鏡を眺めているとベルが後ろから心配そうに声をかけて来た。
「ハルミ?やはりどこか悪いですか?」
「ううん!!!むしろ絶好調!!!……………ベル本当に平気だから、次謝ったらデコピンするよ?」
そう笑って告げるとベルはホッとした様に息を吐いた。
「あ、……はい、すみません」
ベルがまた謝ったのでハルミはデコピンをお見舞いした。
▷▷▷▷▷▷
「…………出来るだけ早く帰ってきますから、誰が来てもドアを開けないでくださいね?」
ベルは今日、依頼された物を納品に街に行くそうだ。だからハルミはお留守番である。
「簡易的な結界を張っていきますので、安心してくださいね」
「ん、わかったよ。行ってらっしゃい」
ハルミはベルを見送ってすぐにドアを閉める。とりあえずソファーに座るが一人になるとすることが無い。ここにある本も字が読めないし、スマホがないのがこんなに辛いのかとハルミは項垂れた。
「寝るしか無いなぁ」
呟いてポフンとベッドに倒れ込む、今ならベルも居ないし少しだけなら良いだろうと
枕に顔を埋めるとベルの匂いがしてアソコがキュンキュンする。
(…………はあ、パブロフの犬かよ)
ハルミは自分に呆れる。ベルとはまだ少ししか過ごしてないのに濃厚なエロい時間を過ごし過ぎて匂いにすら発情する。これはやばい。それに何故かこちらの世界に来てからムラムラすることが増えた。
(…………ベル…………ん………)
すうっと匂いを吸い込んでハルミはとろんとする。
(……………ベルは、優しいなぁ)
仰向けになり考える。いくら自分のせいで喚んでしまったと言っても責任を取ると言える人がどれだけ居るだろうか。もしハルミがベルの立場なら適当に小金を握らせて放り出すかもしれない。
(…………それか奴隷として売るとか?……まあ私は売れないか、この容姿じゃね…………)
ゴロンと寝返りを打つ。暫くゴロンゴロンとしてベルの枕を抱きしめているとカサリと音がした。
(……………なに?何か入ってる?……紙?)
気になって枕をごそごそすると何か紙切れがカバーの下に入っている。手を突っ込んでソレを取り出してハルミは唖然とした。そこにはベルと美しい少女が腕を組んで写っていたからだ。
(え?これベルだよね?…………ちょっと今より若いけど。………ベルだ)
ベルの隣にはあの奴隷館で見たAランク並みの容姿の少女。美しい金髪に青い瞳。ベルとは全く似てないから絶対に家族では無い、人種が違う。ハルミはそう思った。
「……………彼女居ないって言ってたじゃん」
ハルミは呟く。それから写真を枕に戻す。
(……………彼女、じゃ無くても好きな子とか?枕に入れてるってそう言う事だよね?…………なーんだ。やっぱりベルも可愛い子がいいんだね、そうだよねー)
ハルミは胸を押さえた。元彼と浮気相手の顔が浮かんでブンブンと頭を振る。
「………男は皆可愛いほうが良いよね、知ってる……」
そう呟いてノロノロとベッドを降りてソファーに丸まった。
(…………良かった。童貞奪わなくて、………そうだよ。ベルは……責任を感じてくれてるんだ。好き好んで私みたいな地味な女抱いたりしないよね。…………勘違いする所だったなぁ)
「こんな、世界嫌い…………………」
ハルミはポツリとこぼした。
▷▷▷▷▷▷
「ただいま帰りました。…………ハルミ?寝てるんですか?すみません遅くなって……」
「……………起きてるよ」
ハルミはソファーからのそのそと身を起こした。
「……………予定より少し遅くなってしまいました」
ベルは申し訳無さそうだ。
「ううん。お仕事だもんね。仕方ないよ………」
そうハルミが返すとベルはホッとしている。
「お腹空いてますか?………実は今日は出来合いの物を街で買って来ました。美味しいと評判の店の物だよ。さ、食べましょう」
ベルは微笑む。
「うん。ありがとう。………お腹ペコペコ」
ハルミも笑顔を返した。
▷▷▷▷▷▷
食後ベルはソワソワしている。それを見てハルミは少しだけ暗い気持ちになる。
(………わかりやすいな)
きっとベルはまたお風呂でハルミからエッチな事に誘われたらどうしようかと困っているんだろう。
(……………もうやめよう)
▷▷▷▷▷▷
「え?………一人で?」
ベルは不思議そうな顔をした。
「うん。お湯だけ浴槽に溜めてくれれば大丈夫。ごめんね我儘ばかり言って。……これからはやっぱり一人で入る事にするよ」
ハルミはベルにそう告げる。
「わかりました。………では足りなくなったら呼んでくださいね」
ベルはニコリと笑って返事をした。
「…………うん。ありがとう」
ハルミもニコリと返した。
桶で体を流しながらハルミはため息をはいた。
「………理由も聞いてくれないんだ?やっぱり………無理してくれてたんだな。…………早く気づけて良かった」
頭からお湯をかぶる、ポタポタと雫がタイルに落ちた。
▷▷▷▷▷▷
「あれ?それ何?」
ハルミがお風呂から上がるとベルが赤い宝石のような石をヤスリで削っていた。
「ハルミ、これは魔力を貯めておける魔石の一種です。今日街に出た時に知り合いに会って良い話を聞けたので。………これも譲って頂きました!!!」
ベルは嬉しそうだ。
「魔力を?」
ハルミはそう呟いてベルの手元を覗き込む。するとベルははにかんだ。
「これで指輪を作りますね。……そうすればハルミも自分で水やお湯を出したり、電気をつけたり出来る様になりますよ」
「え?じゃあ私も魔法を使えるって事?」
そう尋ねるとそれには首を振られた。
「流石にそれは無理ですけど、でも生活するくらいなら問題ないです。…………3日もあれば出来上がりますから楽しみにしててくださいね。」
ベルはウキウキとした様子だ。
「ありがとう。凄く楽しみ」
ハルミが告げるとベルは頬を赤く染めた。
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