Miracle Box

紫苑

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Miracle Box

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小林みくるは19歳。情報処理系の専門学校生だ。クリスマスイブの夜なのに、賑やかな繁華街で放心したように立ち尽くしている。

「好きな人が出来た‥ごめん‥」

たった一通のメールでボーイフレンドに振られてしまったらしい。

ここ数ヶ月、おかしいとは思っていた。仕事でドタキャンも多くなり、たまのデートも上の空‥

だけど‥だけど‥何もクリスマスイブの夜じゃなくてもいいやんか(泣)

せっかくおしゃれして出てきたのに‥

でも、こんなに早く泣きながら帰ったら、きっと、パパとママが心配するから帰れない‥

友達だっていまさら、連絡出来ないし‥


みくるは、とぼとぼ歩き出した。
繁華街を抜けると急に寂しい通りに出る。

ん?暗い通りの向こう何やら灯りが見える。何だろう?行ってみよう‥

「こんなところに喫茶店あったっけ?」

小さな木陰から、うさぎのサンタさんが手招きしてる。何だか可愛い(・_・;)

みくるは誘われるようにふらふらとドアを開けた。

「いらっしゃい」

そこには色白で無駄に美形のマスターがいた。

「ようこそ MiracleBoxへ。
こちらにどうぞ。」

促されるままカウンターに座る。

みくるが何も注文していないのに、
温かいココアが出てきた。

「美味しい‥」

凍えた心に染み渡る‥

続いて、出てきたのは、おもちゃをひっくりかえしたような、夢をいっぱい詰め込んだXmasケーキ

「可愛いお嬢さんがイブの夜にどうしたの?」

みくるは、ケーキを食べながら、今までのいきさつを話す。

「別れ話もまともに出来ずに逃げるなんて最低‥!」

話しながら、みくるはまた哀しくなってきて涙がこぼれた。

いつの間にか、マスターはカウンターから出てきて、みくるの小柄な身体を抱きしめて頭を撫でてくれたので、みくるは思いっきり声をあげて泣き出した。

なんて優しいハグだろう‥
ぬいぐるみのくまさんに抱かれているみたい‥

ひとしきり泣いたら、なんだか少し落ち着いた。

「きっと、その人は貴女の本当の相手じゃなかったんだよ。今度はもっと良い相手に出会えるから大丈夫‥!」

「ほんとに‥?」

「ほんとだよ。それにね、女の子は涙を流した分だけ綺麗になるから‥」

だから、きっと大丈夫‥

気づいたら、いつの間にか、繁華街の真ん中にいた。

(今のは一体‥?夢だったの‥?)

みくるの涙はいつの間にか乾いていて、凍えた心も暖かくなっていた‥


独りぼっちの寂しいイブの夜には
MiracleBoxにいらっしゃい‥

無駄に美形のマスターが貴女の涙を明日への希望に変えてくれるから‥


             fin.
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