White Marriage

紫苑

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White Marriage

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小林唯華(こばやしゆいか)は25歳。
大阪にある大手商社の会社員だ。

彼女には同期入社の彼がいたが、第3営業部配属後、すぐに東京支社に転勤となってしまい、二人は遠距離恋愛中である。

そんなわけで、実際に彼と会えるのは年に数回だ。あとはビデオチャットとラインのやりとりでコミュニケーションをとっている。

お互い忙しいせいもあり、転勤当初こそ、毎日連絡を取り合っていたが、最近は滞りがちである‥

唯華は自宅のリビングで、スマホを持て余しながら呟いた。

「今日も連絡なし‥か」

最近、唯華は同じ課の先輩に交際を申し込まれている‥

同じ会社の為、表向きは彼氏いない風を装っていたので‥困ると思いつつ、悪い気もしなかった。

「あー、一体いつになったら大阪本社に戻れるのよ?いい加減、乗り換えよっかなあ‥」

でも‥やっぱり、彼と別れるなんて想像出来ない‥

唯華の彼の坂上健人は不器用だが真面目な性格で、何よりも優しかった‥

遠距離になってから、
もうすぐ3年が過ぎようとしていた‥

「はぁ‥なんか寂しい‥」 

外はしんしんと雪が降っている‥

唯華の住んでいるところは
めったに雪が積もらないのだが‥

(明日の朝は雪残ってそうだな‥

ベランダに雪だるまでも作るか‥)

時刻は午前零時を過ぎようとしていた‥

その時、突然玄関のチャイムが鳴った。

「こんな時間に誰‥!?」

恐る恐る玄関のドアをあけると

そこには、健人が立っていた。

「健人?どうして‥?」

「唯華にどうしても伝えたい事があって‥最終の新幹線で帰ってきた。

俺、春には本社に戻れる事になったよ。」

「だからってどうして‥?」

健人はポケットから小さなビロードの箱を取り出した。彼はその箱のフタを開いた。

そこには、雪の結晶のような形のダイヤモンドの指輪が輝いている‥

「唯華、随分待たせたね。
  春になったら結婚しよう!」

「健人‥‥!」


ある寒い冬のひとつの恋の物語‥
春はもうそこまで来ていた‥

             fin.
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