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第一章

024 仲間を引き入れます

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 さて、物語もいよいよ佳境に入ってまいりまして、私も呪いや毒の攻撃を数多しておりますが、一向に効果がありません。
 事故に見せかけても、加護のおおかげかうまい具合に避けてしまわれるのですよね。
 まあ、効いたら一撃死間違いないので、避けていただかないといけないのですけれどもね。
 ルナール様とのイベントは着々と進行しているようでございまして、先日は二人でクロス先生の操作する箒に乗って街の視察に出かけたようですわ。
 まったく、いくら護衛がうっとおしいとはいえ、クロス先生を護衛に付けるだなんて、ルナール様でなければできないことですわよ。
 ルーク様なんて、後でそのことを知らされて、真っ青になっていらっしゃいましたわ、お気の毒に。
 そうそう、ルーク様と言えば、フェさんを想っていると言うのが公式設定でございますけれども、この世界ではどうやらそれはあまりないようなのでございます。
 私の主観ですけれども、幼馴染の勘と申しますでしょうか、あまりフェさんに好意を持っているようには感じられないのです。
 むしろ、ルナール様に集る虫のように思っているのではないでしょうか?
 ルーク様はルナール様命ですものね、ルナール様を煩わせるようなものを疎んじてもおかしくはないのですけれども、そうなりますと、どうしてゲームの中ではあんなに好意を持っていたのでしょうか?
 それともこれはあれでしょうか、転生ヒロインの弊害というものかもしれませんわね。
 ルーク様の好感度だけはあげているようですけれども、好感度だけあげても印象は変わらないのですわよね。難しいところですわね。
 好感度と言えば、クロス先生もエルブ様も好感度だけは上げているようですけれども、イベントが進んでいないせいか、好物をくれる人、という印象しかないようでございます。
 なんともうしますか、間抜けな話でございますわよね。
 イベントの大切さがよくわかると言うものでしょうか?
 私と致しましては、エルブ様との按摩のイベントや毒の入手というイベントを着々とこなしております。
 好感度が上がっているかはわかりませんが下がっているとも思えませんわね。
 エルブ様の前で半裸になるのにもだいぶ慣れてまいりました。
 ああ、半裸と申しましても、コルセットとパニエを脱いだ姿であって、肌を露出しているわけではありませんわよ。
 そうそう、唐突な話になりますが、呪い返しについて前回お話したと思いますけれども、具体的な内容をお伝えしておりませんでしたわね。
 まあ、呪い返しの対策はいくつかあるのですが、周囲に自分よりも弱い生き物を用意しておくとか、呪いまじないをかけた人形を用意しておくとか様々ですわ。
 私がとっている手段は呪いまじないをかけた人形を用意することでございます。
 流石に可愛らしい生き物たちの命を奪うような真似はしたくはありませんので、この方法しかないと言ってもいいかもしれませんわね。
 幸い、お人形などは沢山送られてまいりますので、数に困ることはございません。
 まあ、中にはその人形に呪いのろいがかけられて送られてくることもあるのですけれどもね。クロス先生の非公式の愛弟子として、そんなものに負けるわけがございませんわ。
 むしろそんなものを贈ってきた方に呪い返しをする程度には、魔法を嗜んでおります。
 まあ、呪いをかけた翌日に、中のワタが散乱した人形を見るたびに、天使付きの方のすごさを思い知るのですけれども、どんなに巧妙に呪いをかけても、返ってくるんですもの、自信を無くしてしまいますわ。
 ちなみに、呪いのろいは怪我をさせるような、なんて甘いものではなく、完全に殺しにかかっている物なのですけれども、どんなに丁寧に呪っても無意味なのですわよね。
 同時に事故に見せかけた殺人行為も行っているのですけれども、運良く助かってしまわれるのですよね。
 本当に、天使付きの方の幸運値はどうなっているのでしょうか?

「ミスト様」
「あら、ルーク様にお姉様。珍しい組み合わせですわね」
「ご機嫌ようミスト。最近の貴方の行動について伺いに参りましたのよ」

 あら、私の行いはエンディングまでバレていない予定なのですけれども、そう言われてみれば事前調査もなく突然最終通告をするはずもありませんものね、こうして裏では調査が行われていたに違いありませんわ。

「私の行動ですか?」
「ミスト、最近随分フェさんにちょっかいをかけているそうじゃないの、どうしてなのかしら?」
「まあ!お姉様ってばお分かりになりませんの?フェさんが王妃の座を狙っているからですわ」
「まあ、貴女は王妃の座には無関心でしょう?昔からエルブ様一筋ではありませんか」
「そうですよ、少なくとも我々の前でその言い訳は通用しませんよ」

 困りましたわね、ルーク様だけなら何とでもけむに巻くことができるのですけれども、お姉様もいらっしゃるとなると、中々に難しいものがありますわね。
 お姉様は鋭くていらっしゃいますし、何よりも私はお姉様にどうしても勝てないのですわ。
 もちろん能力的な問題では私の方がまさっておりますけれども、おわかりになりますでしょう?なんとなく押しに負けてしまうのですわ。

「ミスト、貴女が何を考えているか、私たちに教えてちょうだい。協力できるかもしれなうわ」
「そうですよミスト様。我々は立場は違えど幼馴染の仲ではありませんか」

 そう言われて考えてしまいます。ここでこの二人を引き込めれば、最後に番狂わせが起きても、私の天使付きへの攻撃の暴露があって、婚約者の座から引きずり降ろされる可能性は高いかもしれませんわ。

「唐突な話になりますわよ」
「かまいませんわ」
「そうですよ。天使付きに無意味な攻撃をしていると言うほどに唐突な話などそうそうないですからね」

 では真相を言ったらどんな反応を見せてくださるのでしょうか?ちょっと楽しみですわね。
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